紅魔館に住み込みで働くことになりました。そして咲夜さんの先輩メイドです!   作:ライドウ

118 / 161

こんな感じでいいのか不安……


□ 廃屋敷の特別なメイドたち:マキシーネの場合

side:マキシーネ

 

こうして、1人になるのは果たしていつ以来だろうか。

人を惹きつけてやまないメイド長に誘われ使用人(メイド)として仕えることになり、この薄暗く埃まみれの屋敷から連れ去られて……いま、こうして、また薄暗く埃まみれの部屋に閉じ込められている。

 

「待て、しかして希望せよ。人は暗く深い絶望でも一筋の光があれば希望を捨てることはないでしょう。」

 

ふと自分に言い聞かせるように、そう言ってみると、ふわりと使用人(メイド)として……警備隊の隊長として働いていた思い出が脳裏によぎる。

館の主として懸命に振る舞うレミリアお嬢様とは皮肉のように聞こえる言葉遊びを何度かした。

大人びていながらも少しだけワガママなフランお嬢様、ときどき仰るかわいいワガママによく警備隊は振り回されたものです。

ここぞと言う時に頼りがいのある美鈴(メイリン)隊長さん、あの人の代わりに書類を何枚も片付けたものだ。

私を隊長と慕ってくれる狼女たち、隙を見つけられたらくっつかれてメイド服に毛をつけられたっけ。

子供らしくてかわいい妖精メイドたちに、大人びていながらもどこか人懐っこい毛玉メイドたち、そしてついつい意地悪したくなってしまうメイド長……私の、騒霊(ポルターガイスト)のマキシーネとしての大切な記憶。かつて、私が人間だった時の暖かい記憶と同じぐらい大切な記憶。

 

「……見捨てるはずがないのです。ええ、私が大切だと思える仲間たちが、私の事を助けないわけがないのです。」

《それが、あなたが諦めない理由?》

 

ザザザッと、音を出して壊れかけの蓄音機が動き出す。

そして、蓄音機のラッパから聞こえる声は……ここに閉じ込められる前にも聞いた、忌々しい声。

パメラ・スカーレットの呆れたような声が聞こえて来たのだ。

 

《あなたもそんな事を言うだなんて……はぁ、あなたがそうなったことを知っている身としては非常に悲しいわね。》

「……貴様が、私の何を知っているのでしょうか?」

 

自然と私は、愛銃のリボルバーライフル……『サムハイン』を引き抜いた。

 

《元辺境伯、両親や使用人からも愛され、領民からも愛され、不自由なく過ごしていたあなたは、ある日突然、教会に両親が『魔女』として使用人もろとも処刑され、家族を、家を失った。》

「……」

《その後あなたは、復讐のためにあちこちの教会を襲撃し、聖職者や騎士、ハンターを血祭りにあげた……最終的には処刑されたのでしょう?》

「……ッ」

《だからこそ、あなたは教会を恨み、怨み、今でもその怒りは隠せていない!だからあなたは、あの不老不死メイドを嫌い……彼女を庇い建てるあの妖精メイドが気に食わない!》

「……?」

 

何を言っているのでしょう、この人は……?

途中までは、当たっていた……実際、私は両親と家族のように思っていた使用人たちを教会に殺され、私はあちこちの教会を襲ったところまではあっていた。

しかし、私はアンナさんや元教会の人間の吸血鬼メイドたちを恨んだり、嫌っていたりはしない。アンナさんに限った話では、教会への悪口でそこそこ盛り上がった時もあった。まして、私はメイド長の事が気に食わないわけじゃない……どちらかと言うと、ちょっとした”いたずら心で困らせたい”ぐらいの感情だ。

 

《ふふふっ……いいわ、私はアナタの手伝いをしてあげる》

「……何を言っていらっしゃるのか分かりませんわ。」

《私は、あなたがワイルドハントの伝承を持った騒霊(ポルターガイスト)であるという事は、十分承知なのです。》

「……あーあれですか。」

 

一度、どういうわけか紅魔館(こうまかん)に意思のない幽霊たちがあふれた時があった。メイド長も日記に記さなかったぐらい些細な事件で、その時私に”ワイルドハント”と言う伝承が引っ付いているという事が判明し……恥ずかしながら暴走してしまったのだが、その……美鈴(メイリン)隊長さん一人でワイルドハントの死の河を越えられてしまって……あれ以来、制御ができるようになったのだがゴースト対策であちこちに魔術陣が施されたせいで、ワイルドハントとしての力はあまり使えない……まあ、あったとしても使わないのだが。

 

《意図的に、それを暴走させてあげる……来なさい、幽霊騎士たちよ!!》

 

足元の魔術陣が光り、意思のない半透明な騎士たちが次々と出現し始める。

……もし、これが初めての幽霊の飽和状態だったのなら私もここで初めて”ワイルドハント”の伝承に引っ張られて、暴走していたことだろう。

けれど、一度美鈴(メイリン)隊長さんに圧倒されて以来、制御できるようになった私では……むしろ、意思のない幽霊なんかは簡単に操れる存在だった。

 

「……あっ、蓄音機が動いていない。」

 

出すだけ出していなくなったのは、いくら何でも不用心すぎやしないだろうか。

そう思いつつも、魔術陣が起動しっぱなしなため、意思のない半透明な騎士たちを操って下僕にしても、どんどんと出てくる。

 

「……これ、いつまで出てくるのでしょう。」

 

私は未だに出てくる幽霊騎士たちを操り下僕にしつつ、救助が早く来るように祈るのだった。

 

 





間違いやご指摘のほどよろしくお願いします!できれば優しく!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。