紅魔館に住み込みで働くことになりました。そして咲夜さんの先輩メイドです!   作:ライドウ

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□ 廃屋敷の特別なメイドたち:トレスの場合

side:トレス

 

お気に入りの宝箱の中で目を覚ます。

チラリと、鍵穴から外を眺めてみると……相変わらずのボロボロの廃屋敷の一室の中。懐かしさすら感じるぐらいボロボロだ。実際、私はここの生まれだから、あながち間違いではないのだろうけれど。

 

お気に入りの宝箱の蓋を開けて、完全に出てから背筋を伸ばす……宝箱から体を全部出すのは久しぶりだ。

仕事中は忙しくて、基本的に宝箱に入りっぱなしっていうのもあったけれど……休日も気分で宝箱に籠ったり、お昼寝したりお散歩したり、メイド長に甘えてみたり……もちろん、宝箱に下半身を入れたままでだ。

こうして、完全に出たのは、一度だけ……メイド長が珍しく居眠りをしている時に一度だけ出た時ぐらいだろう。

 

「……ふぅ。」

 

お気に入りの宝箱の蓋を占めて、その宝箱に腰掛ける。

私が、生まれてからずっと一緒の宝箱……磨いたり直してもらったりしているけれど、小さな傷とかちょっとした汚れは残っている。

でも、こんな小さな傷も汚れも……私がメイドとして、運搬メイドとして仕事をした証だ。

……まあ、ノワール様が「私はなんでも知っている」という態度を改めてくだされば、職場環境もいいので文句はないのですが……。

でも、ノワール様もノワール様であの態度とは言え、私たち運搬メイドを気にかけてくれている。「疲れはないな?」とか「不便があれば言うがいい」と、物言いはどうかと思うけれど、それでも根本にある優しさが温かい。

さらに言えば、ノワール様がどんどん仕事を魔道具や魔術で効率化してくださっているので、運搬メイド隊の仕事で事務作業はほとんどない。だから、運搬メイド隊のメイドたちは、運ぶお仕事に集中する事ができる。

……ほんとに、あの「私はなんでも知ってる」という態度さえ改めてくだされば、いい人なんですけれど……。

 

なんて考えていると、近くにおいてあった古い蓄音機から聞いたことのない声が聞こえて来た。

 

《……宝箱妖精?こんな珍しい妖精まで捕まえて従えさせているの……?》

「……アナタは……だれ?」

《……これから死ぬ相手に教える名前などありませんわ。》

「……そう。」

 

宝箱から立ち上がり、下半身を、宝箱に沈ませて……宝箱から武器を取り出す。とりあえず、ショートソードを取り出して構えた。

正直、私はあまり強くない。防御力だけなら紅魔館(こうまかん)最硬を名乗れるし、レミリアお嬢様からその称号を頂いたのだけれど……それ以外は、平均的で頑張ればオリビアさんと互角に戦える程度の力だ。

どんな相手が出てくるのか分からない以上……警戒はしないといけない。

 

《さようなら、宝箱妖精さん。殺しなさい、サイクロプス!》

「グォォォォォゥッ!!」

 

ズドン!と棍棒が床に叩き付けられながら、単眼巨人が現れる。

今まで戦ったことのないような大きさの敵だけれど……でもなんでだろう。

簡単に勝てそうだ。

 

~~~~~~

 

「ぐおおおぉぉぉぉぉぉぅ………」

「……ほんとに……簡単に……勝てた。」

 

拍子抜けだ。自分でももう少し苦戦するかと思ったけれど、傷一つつかずに、それも一度も宝箱に籠らないまま勝ててしまった。

私もそこまで強くなったのかな?と思ったのだけれど、よく考えると……武闘派のメイドたちはもっと強くなってるんだろうなぁと考えるのは想像に難くなかった。

 

「……早く……救助……こないかな。」

 

流石に、この部屋にも飽きて来たから……早く出て新鮮な空気を吸いたい。

そう思いながら私は、再びお気に入りの宝箱に籠るのだった。

 

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