紅魔館に住み込みで働くことになりました。そして咲夜さんの先輩メイドです! 作:ライドウ
side:レミリア
「やぁあああッ!!」
グングニルを振るい、敵対しているリビングアーマーを撃破する。
室内で振るいにくいけれど、何とか戦えている。
複数でまとまって襲い掛かってくるリビングアーマーのコアを的確にグングニルで貫き、手元に引き戻して背後に迫ったリビングアーマーの頭をグングニルの石突で砕いて、胴体を掴んで床にたたきつけた。
フランの方も、疑似剣レーヴァテインを振り回し、リビングアーマーだけでなく理性のないゴーストの騎士まで斬り捨てていた。
《敵性リビングアーマー、敵性
「さすが、フランね。」
「そういう、お姉さまだって!」
つい先ほどから、テレスちゃんとマキシーネを救出した部屋からゾロゾロとその二体があふれ出しており、私とフランでその軍勢を相手取っていた。さすがに、私とフランでも、無限に湧き出てくる軍勢をいつまでも相手取るのは難しいが、現在パチュリーが、遠隔からの魔術解除を行っており、それまで耐えるために奮戦しているのである。
それと、別のところからも同様に無限に出てくるインスマスやデスパペットと言ったやつらが無限に出てきていたが、そちらはすでに解除ができているらしい。
一応、テレスちゃんとマキシーネに残ってもらい、この二種を支配下に置いてもらうことは考えたのだけれど……ぶっちゃけ、この程度の存在がいくらいても警備兵の代わりにはならない。戦力にはなるだろうが、攻勢時の雑兵程度の役割にしかならないだろう。リビングアーマーに関してはエントランスに飾るとかはできそうだけれど。
ちなみに
《……くっ、ごめんレミィ、フラン!解除前にまたリビングアーマーと
「……謝らないでパチェ、私たちはまだ大丈夫よ。」
「うんうん、だからパチェは焦らずゆっくり魔術式を解除していってね!」
《レミィ……フラン……ええ、任されたわ!だから二人は―――》
ブツリと、通信魔術が途切れ何も聞こえなくなる。
急に切れたため、私もフランも驚いてしまう。今までこんなことは一度もなかったはず……。
もしかして、パチェの方で何かが召喚された?それとも、隠されていた妨害魔術が起動した?
なんて頭を回していると―――
「ごめん、お姉さまっ!」
フランに蹴飛ばされ、壁に叩き付けられる。
フランが急に裏切った!?と、内心パニックになりながらもフランの方を見ると……フランはレーヴァテイン・レプリカを再び出現させ、斬りかかってきた何かとつばぜり合いを行っていた。
その何かとは……フラン自身だった。いや、正確にはフランがもう一人居て、私を蹴り飛ばしたフランとつばぜり合いを始めたのだ。
「っ、よくできた偽物だね!私に化けるなんて考えたじゃない!」
「そっちこそ、レーヴァテイン・レプリカを使えるなんて化けるにしたって頑張りすぎじゃない!?」
私が混乱していると、二人のフランは何かを感じ取ったのかお互いに距離を取った。
その直後、さらにフランが増えて二人のフランがつばぜり合いをしていた場所にレーヴァテイン・レプリカを振り下ろした。
「この偽物どもめ!私に化けるなんていい度胸ね!」
「私がまた増えた!?」
「くっ、コイツもレーヴァテイン・レプリカを使えるの!?」
……その後も、一人、また一人とフランが増えはじめ、最終的にフランは10人に増えてしまった。
フランの数が増えていくうちに、分かったこと……と言うより、思い出したことがある。確か、この世界のどこかには姿をまねる種族が居て、その種族は本人を殺して成り代わるとかそう言う感じのやつがいたような気がするのだ。
「多すぎるのよ!本物は私だけで十分なんだから!!」
と、女の子っぽいフラン
「ちょっと、私こそが本物のフランドールだよ!?」
心なしか顔が幼いフラン
「アンタも偽物でしょうに!アタシが本物なんだから!」
なんだか男勝りなフラン
「私が本物よ!偽物のアンタたち何て軽くひねってやるわ!」
やけに好戦的なフラン
「偽物のアンタが本物の私(わたくし)をひねるだなんて……400年前から出直しなさい!」
ちょっと優雅なフラン
「私の真似なんてして……コイン一個の価値もない下手な物真似ね!」
言い回しが独特なフラン
「フランが本物だよー!フラン以上にカワイイ吸血鬼はいないもん!」
かわい子ぶっているフラン
「わ、私が本物なんだから……真似っこなんてして、絶対許さない!」
陰気な雰囲気のフラン
「私が本物に決まっているでしょう、こんな偽物……見ればわかるわ。」
言い方が腹立つフラン
「えぇー……ど、どうしてこんなことに?」
増えたフランたちにドン引きしているフラン……
随分と個性豊かで、それでいて容姿や雰囲気はそっくりそのままなフランたちを前に私は、頭が痛くなっていた。
正直に言うと、もうこの時点で私は見分けがついていない。
「くっ、本物の妹を見分けられないなんて……姉として失格ね。」
「お、お姉さまが悲しんでる……これもあなたたちのせいだよー!」
「それは私のセリフ―!」
「アタシのお姉さまを悲しませるアンタたち何て……殺してやるぅ!」
「お姉さまの手を煩わせるまでもない!今ここでお前たちを破壊してやる!!」
「お姉さまを悲しませた野蛮なあなたたちに私(わたくし)が負けるはずないです!」
「お姉さまが悲しんでる……お姉さまが悲しんだ原因を消せば問題ないわね!」
「お姉さま大丈夫?かわいいフランを撫でて癒されて?」
「お、お姉さまに近づくな!」
「お姉さまを泣かせた奴なんて、この世からいなくなればいいのよ……そもそも、アナタたち何て存在する価値すらないんだから!」
イラっと来たので、むかつくいい方をするフランに向かってグングニル・レプリカを投げつける。
むかつくいい方をするフランは、私の投げたグングニル・レプリカを認知するまでもなく、腹部を穿たれ、そのまま死ぬ。すると、死んだからだから白い煙が噴き出し、やがて顔がのっぺりとした気持ち悪い化け物が、倒れたフランと同じ位置にいた。
「そうだ、思い出した……ドッペルゲンガーね。」
ドッペルゲンガー。確か、姿や雰囲気、魔力や記憶までもをコピーして本人に成り代わろうとする人外。
人間であれば、会う前に教会勢力が始末するらしいけれど、残念なことに私たちも敵対しているから対応外だろう。それで、こいつらの弱点と言えば……記憶までは完璧にコピーできないという事。
姿や雰囲気、魔力や記憶をコピーしたとしてもどこか違う要素を持つのが偽物……完璧な回答をできるのが本物だと、確か本で読んだ気がする。
「と言うかフラン!アンタならこの程度の存在レーヴァテインで焼き尽くしなさいよ!本物持ってるあなたならできるでしょ!?」
「でもお姉さま!」
「どういうわけかレーヴァテインは」
「使えないの!」
「多分パメラの」
「妨害魔術が」
「あるのかもしれないよ!」
「だから偽物と本物を」
「み、見分ける必要があるよ!」
「えぇい、一人一人順番にしゃべるな!仲良しか!?」
「「「「「「「「「偽物と仲良くするわけないじゃん!!」」」」」」」」」
どうしようどうしようと考えていると……二人分の足音が速いスピードで近づいてくる。
またフランの偽物が追加されたのかな?と思いその方向を見ると……
「レミリアお嬢様!非戦闘員のメイドたちの避難完了……しました?」
「戦闘員の状態もばっちり……です!?」
「「フランお嬢様がめちゃくちゃ増えてる!?というか、倒れてる奴キモッ!!」」
と、やってきたのは
「……そう言えば、二人ともパチェの通信魔術はどんな感じ?」
「実は、先ほどからパチュリー先生の声が聞こえなくて……」
「私もです!何かあったんでしょうか……。」
どうやら二人も通信魔術が妨害されているらしい。
参った、これではこのドッペルゲンガーがフロアボスなのかどうかわからない……。
いや、たぶん、このタイミングで出て来たという事は間違いないのだろうけれど。
それにしたって……フランに化けるだなんて、一番面倒ね。
「……どうしましょう。これ。」
「レミリアお嬢様の頭が復帰するまで待つしかないんじゃないでしょうか……。」