紅魔館に住み込みで働くことになりました。そして咲夜さんの先輩メイドです!   作:ライドウ

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□ ”湖”の戦い

side:プリム

 

「はぁああッ!」

「ギャーーーーッ!」

 

使い慣れないショートソードを振るい、醜悪な黒いゴブリンを斬り捨てる。

紫色のきったない血を撒き散らしながら、斬り捨てた黒いゴブリンは倒れるが、周りを見渡せば似たようなゴブリンがゾロゾロと棍棒やら拳やら、ボロボロの剣や槍を構えていた。

倒れた死体だけでも、この場所だと60体はくだらなさそうなのに……見ただけで動いているゴブリンは100体以上いそうで、数えるのもおっくうになる。

 

もう時間も分からないほど、この庭園迷宮の湖での戦いは続いていて……私も、いつ寝たのか忘れてしまうぐらい、戦い続けているような気がする。

こういう、手荒なことは、ルージュかブラウの特技だ……魔術が得意なノワールならまだしも、戦いの場においては弓しか取り柄のない私に、こういった荒事は向いていない。それに、長い事ディスクワークのお仕事が長かったからか、運動不足も手伝って、正直、体中が筋肉痛で悲鳴を上げている。

 

「はぁ……はぁ……」

 

息を整えながら、ショートソードを構え直す。

ケガをした戦闘妖精メイドから借りたもので、よく手入れされたものだったけれど、もうすっかりボロボロ……。ヘスティーナに叱られそうね。なんて考えつつも、敵から目を外さないでおく。

敵でる黒いゴブリンもまた、威嚇やウロチョロするぐらいしかせず、完全に私を舐め腐っている。それに、奴らの視線は警戒……と言うよりも、私の体に向けられている。

下心が丸見えの、胸やおしりにしか視線を向けておらず、鼻息を荒くしている奴や鼻の下を伸ばしている奴が多い。私のスタイルは、メイド長の中でも平均的なもので、何の面白みもないと思うのだが……。

それでも、こんな奴らに見られたという不快感が、段々イライラに変わって募り、冷静さを失わせかけている。

 

警戒を続けていると、私の背後から黒いゴブリンの短い悲鳴と共に、何人かの狼女の警備兵の子や、戦闘妖精メイドの気合の入った叫び声が聞こえてくる。

 

「プリム雑務メイド長!救援に来ました!!」

「おそい……のよぉっ!」

 

息も絶え絶えになりながら、悪口が少しだけ出てしまう。

実をいうと、私は一人でこの大軍の相手を引き受けたように見えるが、実際はその逆……みんなと合流しようと移動をしていたら、敵の本隊とぶつかってしまったというのが正解だ。

 

「申し訳ありません!ですが、プリム様のご活躍で、大半の妖精メイドたちを救出できました!!」

「……大半の?」

「まだ救出できていないのは、セキュアちゃん以下特別なメイドたちだけです!!」

「…………助けに、行きなさいっ。まだ私はッ」

「彼女たちより、プリム様の方が消耗しておられます!ここは大人しく、引き下がってください!!」

 

彼女の言い分も正しい……強がってはいるが正直限界だ。

それでも、私は……ディスクワーク中心の雑務メイド隊のメイド長とは言え、メイド長だ。メイドたちより先に救出されることは、許されない。私の立場は、メイドたちを統率し、護る責任がある。

 

「オリエット隊長!」

「どうした!?」

 

と、私に肩を貸してくれている狼女の警備兵の子に、別の狼女の警備兵の子が駆けつけてくる。

その様子は少し焦っているような、けれど嬉しそうな表情で―――

 

 

「―――敵軍本拠地、その後方にレミリアお嬢様の御旗を確認!!本隊到着、救援です!!

 

 

その言葉を聞いただけで、私は力が少し抜けた。来た。レミリアお嬢様が、フランお嬢様が……来た。

それも、私たちを襲う敵の……根城のすぐ後ろに出現した。という事は、第2層に続く階段は、そこにある。

この階層にバラバラになっていたメイドたちは、既にほぼすべて救出されている。

敵の本隊も……事故とはいえ私が戦力を少しだけ削る結果になっている。

 

「オリエット……」

「プリム様?」

「……私、少し疲れたわ。」

「私たちの陣までお連れします。」

「…………たの、む……わ。」

 

慣れない近接戦をしていて、そして極度の緊張がほぐれて……私の瞼がゆっくりと視界を閉ざしてゆく。

狼女の警備兵の子……オリエットの声が聞こえてくるけれど……眠すぎるのでそのまま眠ることにした。

それに大丈夫だよ、オリエット……今のレミリアお嬢様なら、大丈夫。必ず勝てるよ。

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