紅魔館に住み込みで働くことになりました。そして咲夜さんの先輩メイドです!   作:ライドウ

130 / 161
□ 陰の立役者、ベンジャミン

 

雑務メイド隊のお仕事は、書類仕事だけ……そう思われることは多いが、その実雑務メイド隊は、書類仕事以外でも大忙しだ。館の点検や修理、様々な魔導具の修理や、備品の確認に補充に、壊れた時は修理を施したり、各メイド隊への連絡係も担当するし、マリアやレミリアへの報告も大体ここが担当している。

ディスクワーク中心ではあるメイド隊だが、実際は、陰から紅魔館(こうまかん)を支える場所だ。

 

そんな、雑務メイド隊には、これまで一度もスポットライトを浴びていない一人の妖精が存在した。

 

「どっせぇい!なんじゃ、この程度なんか?数だけ揃えりゃあ、あっちに勝てるなんて、なめられたものじゃけぇのぉ!」

 

と、黒いゴブリンに囲まれながら、伸び縮みする金槌を振るう一人の妖精……ベンジャミン。

妖精のグレムリンで、これまで、メイド長の日記にも、大事件でも活躍の場面があまり見られなかった妖精だ。

しかし、それにも理由がある。まず、グレムリンは技術士で、雑務メイド隊では、館の点検や修理、魔導具の修理やメンテナンス、備品の修理などを担当しており、まずメイド長と会う機会が無い。他のメイドたちや五大メイド長でも目撃したって話が無かったのも、修理のために自室の工房に閉じこもることがほとんどで、稀に出てきても、基本的に夜中の就寝前の軽い散歩ぐらいで、青リボンのアンナと吸血鬼メイドたちしか見ないぐらいで、青リボンのアンナと吸血鬼メイドたちもそもそもマリアメイド長と顔を合わせないので、メイド長の日記に書かれることはほぼなかったのである。

 

そして、大事件の最も彼女は残念なことにスポットライトを浴びれずにいた。

彼女が所属した後の大事件と言えば、聖母(マリア)戦争だが、そもそもベンジャミンは、戦闘はできるものの非戦闘員として、避難する手はずになっている。何せ、館の点検や修理を行っている以上、構造に詳しいため、万が一戦っていて捕まったりしたら、構造的弱点を突かれて不利になるのと、そもそもベンジャミン以上の強者が揃いにそろっているので、ベンジャミンにはそう言う仕事を任せているのもある。

ちなみに、ベンジャミンの能力は「不具合を認識する程度の能力」と言う能力で、ありとあらゆる不具合部分を認識し、自分の知識の有無にかかわらずに、間違っている部分が分かる能力だ。この能力のおかげで、「破損」や「損傷」を知れるほか、スペルミスなど、もはや何でもありの、対ミス特化の能力だ。

……ここで、察しのいい方はこう言いたくなるだろう。じゃあ、あのカスの能力で、レミリアお嬢様の痛みが増された生理も、すぐにわかったんじゃないの?と、残念なことに、あのカスの能力の効果は、元あったものを否定し、さも自分の考えが()()()正しかったように見せるので、ベンジャミンの能力では騙されてしまうわけである。それに、当時のベンジャミンはちょうど、美鈴(メイリン)が力加減を謝ってぶっ壊した訓練場の修理と訓練道具の点検と修理で忙しかったので、そもそもレミリアお嬢様の状態をみることができなかったのである。

 

結局のところ、ベンジャミンにこれまでスポットライトが当たらなかったのは、裏方として100点の活躍をしていたという事であった。

 

「へっくしょん!……ズビッ、誰かあっちの噂話でもしたのかな?まあ、そんなことより……」

 

ベンジャミンは金槌を構えながら辺りを見渡す。

ベンジャミンが倒した黒いゴブリンの死体がゴロゴロと転がる中、ちらほらと能力が不具合を訴える死体が転がっていた。彼女がその死体に近づき、能力でもう少し詳しく調べてみると……

 

(コイツ、元はタダの牡鹿で……こっちはオスの熊……こいつは、オスの魚?魔法や魔術の痕跡もない……パチュリー様のはなしだと、黒いゴブリンは、闘争心が強くて、今回みたいな数を揃えれるはずがない。魔法や魔術で、種族変更なんて話は聞いたこともないし……って、なると……)

 

ベンジャミンが死体の不具合から、どうしてそんな風になったのかの考察を深めてゆく。

修理屋の半面がある彼女だが、その役職上どうしても学ばないといけないことが多く、その知識量は、最低限でいいならばパチュリーに並ぶほどだ。

ちなみに、本人は「工学」や「魔術・魔法学」を得意の専門としているが、前者に関してはまだ紅魔館(こうまかん)に工学に関連するものは少なかったり、後者に関してもパチュリーやノワールと言った大魔女や魔術師の祖ともいえる存在が居るので、最近は学びなおし始めたとか……?

閑話休題

ベンジャミンが、しばらく考えていたのだが、バキリと茂みの方から枝の折れる音と重々しい足音が聞こえて来た。

 

「……ちっ、こっちは考え事してるんじゃけぇ。邪魔しないでくれんか?」

 

彼女はイラっとし、自らの金づちを構え……茂みから出て来た巨大な影をにらみつけてた。

その影は、黒いトロールで……凶悪そうな顔とだらだらとよだれを垂らし、不快な臭いを漂わせていた。

ベンジャミンはその臭いに顔をしかめながらも、武器である金槌を構える。

 

「あっちは戦闘員じゃけど?まあいいや、ちぃと相手してやる……来いヤァッ!」

 

ベンジャミンの掛け声とともに、黒いトロールが叫び声をあげて走り出そうとするその瞬間―――

 

[パパパパァンッ!]

 

「っ!?」

 

()()()()()()()()が連続して聞こえて来たのである。

音の正体をベンジャミンが探すと……狼女の一小隊が、()()()()の棒を構えて、黒いトロールに向けて()()()()()のである。

 

「ベンジャミンさん!救援に来ました!!」

「……はぁーっ、なるほど。あの設計図がこうなるんか、わや面白いのぉ……救援感謝じゃ、そうれ伸びろ”如意金槌”!!」

 

撃たれた黒いトロールは、その攻撃に困惑して大きな隙を見せていたのだが、その隙を突かれてベンジャミンの金槌……如意金槌を振るわれ、頭を割られてフラフラと数歩動いたかと思うと、絶命する。

 

「はぁー……ちぃと疲れたわ。」

「ベンジャミンさん、怪我は?」

「こう見えて、腕っぷしはまあまああるけん。ほれ、どこも怪我はなしじゃけぇ。」

「他の妖精メイドから、見知らぬ妖精メイドが助けてくれたって話でしたから……急いできましたよ。サッ、脱出しましょう!」

「……もうちょっと散歩増やし見てみるか。」

 

ベンジャミンは、救援に来た狼女の小隊と共に脱出口へと向かうのだった。

 




救出後

ベンジャミン「ところで、それはどうしたんじゃ?」
狼女小隊長「ノワール様が試作中の元を提供してくれたんです。敵に向けて、この引き金を引くだけなんて、楽ですね!」
ベンジャミン(あっちが設計した、マスケット式のライフルと随分違うなぁ)
狼女小隊長「魔石を利用して撃つんですが、魔石の魔力が切れると……こんな風に交換する必要があるんですけどね!」(マグチェンジの代わりの魔石チェンジ)
ベンジャミン「へぇ、こんな構造なのかぁ……」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。