紅魔館に住み込みで働くことになりました。そして咲夜さんの先輩メイドです! 作:ライドウ
マグノリアちゃんと
遅れて申し訳ない!
回復魔術陣が消え去り、
天上から降り注いでいた光の柱も消え去り、
抜き身のヒビの入ったショートソードがキラリと、何かしらの光を反射すると……
《避けろぉッ!!》
通信魔術からノワールの絶叫が響き、戦士たちは咄嗟に大きく回避行動をとる。
直後、ズパン!と音を立て、下段から振り上げられたショートソードから、斬撃が飛んでいた。
そして、ガシャガシャと音を立てながら、縦に真っ二つとなったリビングアーマーが崩れ、幽霊騎士は青い炎をあげながら浄化されており、強固な岩壁までもが鏡面のような斬撃の跡を残していた。
「じょっ、冗談じゃないッ!」
「ここから、”敵”認定ってわけね。」
今の今まで、
しかし、もう違う。一瞬でも、意識を落とすところまで追いつめた。
そのせいで、自分たちは”全力で殺す敵”と認定されたのだ。
戦士たちがそれぞれ構え、
《パチェ、パチェっ!聞こえる!?ヘスティが負傷したわ!!》
《なんですって!?》
通信魔術から、レミリアの悲痛な叫びが聞こえてくる。
それは同時に、
「――――――は?」
マグノリアにとって、ヘスティーは親友であり同時に信頼できる相棒だ。
付き合いで言えば、アンナ……赤いリボンのアンナよりも長く、お互いに知らないことの方が少ないほどの親愛だ。
そして、マグノリアにとって、そんなヘスティーを、正確には大切な人を傷つけられれば……当然、それは彼女にとっての逆鱗であり、それをガツンと殴られたと同じなのであった。
「許さない……許さないッ…………ゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないっ!!」
呪詛のような言葉と同時に、マグノリアの動向が縦の細くなり、桜色の瞳が紅蓮に染まり、うなじから頬にかけて濃い緑色の鱗が出現する。
赤黒い怒気が彼女の体を包むと、ズドン!という音共に彼女の周りにいたリビングアーマーと幽霊騎士を吹き飛ばしながら、
「ッ!!?」
「ツブレロォッ!!」
突撃したマグノリアは、
そして、その衝撃波の威力は、
どで、
すごい勢いで、
思わず目で追い、
「アンナ、ごめん!!」
「ぐはッ!?」
隣にいた青いリボンのアンナを蹴飛ばして、自分は少し離れた場所に向けて飛び込む。
直後、土煙を貫くように白い色のブレスが放たれ、岩壁に叩き付けられた
「し、白色……?」
「ろ、六属性チャージブレス……」
属性についてあまり詳しくない
それは、マグノリアの程度の能力”ブレスを吐ける程度の能力”の中で、最も高威力であり、最もマグノリアに負荷のかかる物。それを、使ってきたのである。
バッと
―――だが、
「……撤退を、撤退します!」
「っ、
「今ここに居たら、巻き込まれて全員死んじゃいますよ!!」
「……アタシがしんがりを務めるから、さっさと逃げて」
「アンナさん、でも!」
「アタシはいくら死んでも死なないのは知ってるでしょ?だから、お願いっす。」
「……分かりました。全員、アンナさんを残して撤退!てったーい!!」
リビングアーマーと幽霊騎士たちも武器を投げ捨てて逃げ出し始めており、その戦場は暴走したマグノリアと
~~~~~
あれから、少しの時間が流れ……青いリボンのアンナは、目の前の光景が信じられなかった。
暴走したマグノリアは、間違いなく
―――そのはずだったのだ。
「グ…グァッ……」
「…………。」
一瞬の、ほんの一瞬の出来事。
武術の極みに至ったものでも、到底付け入る隙の無い、本当に瞬きすら遅い、ごくごくわずかな隙。
その隙を、
ショートソードを持たない左手が、暴走しているマグノリアの首を掴んで締め上げ、おそらく能力を使っているのか、左手から起きる黒い靄がマグノリアの首にへと消えてゆく。
やがて、マグノリアの抵抗が徐々に弱くなってゆき……両手がだらんと力なく垂れ下がった。
「っ」
「……。」
青いリボンのアンナは二つのショートソードを構えるものの……勝てる勝算なんてなく、足止めすらロクにできないだろうと、自分自身で分かっていた。
響いている足音は、まるで死神の足音のようであり……青いリボンのアンナは、ゆっくりと己が死に近づいているということに恐怖してしまう。
そして、
「……?」
「……。」
しかし、
青いリボンのアンナもつられて、同じ方向を見ると……そこには何は誰もいない横道が続いているだけだった。
だが、
青いリボンのアンナは、それを見て果敢に切りかかるも、放った袈裟切りは避けられ回し蹴りで岩壁に叩き付けられてしまう。
追撃が来るか、と身構えた青いリボンのアンナだったが……
(一体、何が?)
受けたダメージを癒しつつ、青いリボンのアンナもその横道に視線を送り続けると……横道の奥の闇から揺らめくような紅色の光がぼんやりと浮かんできた。
(……まさか。)
青いリボンのアンナが、その光の主を妄想した次の瞬間、その暗闇から矢の嵐と、黒いビームが
「はぁ~あ、面倒ね……今の攻撃で倒れなさいよ。」
「仮にも
と、ぼんやりとした紅色の光よりも先に、二人の人影が現れる。
「まあ、それもそうね……だからこそ、私たちが呼ばれた。」
大理石のような質感の不思議な弓を持つ、雑務メイド長たるプリムと、
「本来なら、私たちの出番はないはずだったのだがな……しかし、呼ばれたとなれば致し方あるまい。」
黒曜石のような天秤を片手に、不敵な笑みを浮かべる、運搬メイド長たるノワール……
「二人の力に頼るふがいない私で、ごめんなさいね?」
そして、コウモリの趣向が施された紅色の槍を持つ、青年の少女。
背が伸び、身体が成長し……大人っぽくなっている、その姿を、青いリボンのアンナは見違えるはずもなく
「……レミリア、お嬢様?」
「アンナ……お待たせ、仕上げに来たわ。」
強化されたグングニルを携えた、レミリア・スカーレットが……やってきた。