紅魔館に住み込みで働くことになりました。そして咲夜さんの先輩メイドです!   作:ライドウ

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マグノリアちゃんと青ざめた騎士(ペイルライダー)との戦いに悩みまくって遅れた挙句、バッサリカットした愚か者です。
遅れて申し訳ない!


□ パメラ事件、最大の決戦

 

回復魔術陣が消え去り、青ざめた騎士(ペイルライダー)がスクリと立ち上がる。

天上から降り注いでいた光の柱も消え去り、青ざめた騎士(ペイルライダー)がその双眸を開く……寒気すら感じる無感情な瞳、それが一人、また一人と的確に戦士たちを射抜いてゆく。

抜き身のヒビの入ったショートソードがキラリと、何かしらの光を反射すると……

 

《避けろぉッ!!》

 

通信魔術からノワールの絶叫が響き、戦士たちは咄嗟に大きく回避行動をとる。

直後、ズパン!と音を立て、下段から振り上げられたショートソードから、斬撃が飛んでいた。

そして、ガシャガシャと音を立てながら、縦に真っ二つとなったリビングアーマーが崩れ、幽霊騎士は青い炎をあげながら浄化されており、強固な岩壁までもが鏡面のような斬撃の跡を残していた。

 

「じょっ、冗談じゃないッ!」

「ここから、”敵”認定ってわけね。」

 

美鈴(メイリン)の言葉に、戦っていた戦士たちが同意し、青いリボンのアンナの言葉に唯一ベナミは顔をしかめた。

今の今まで、青ざめた騎士(ペイルライダー)が手加減をしていた。おそらくだが、青ざめた騎士(ペイルライダー)は自分の強さをよく知っており、全力を出さずとも相手を倒せることを理解していた。

しかし、もう違う。一瞬でも、意識を落とすところまで追いつめた。

 

そのせいで、自分たちは”全力で殺す敵”と認定されたのだ。

 

戦士たちがそれぞれ構え、青ざめた騎士(ペイルライダー)がどう動くのかを注視していた―――その時、

 

《パチェ、パチェっ!聞こえる!?ヘスティが負傷したわ!!》

《なんですって!?》

 

通信魔術から、レミリアの悲痛な叫びが聞こえてくる。

それは同時に、青ざめた騎士(ペイルライダー)と戦い時間稼ぎをしていた戦士たちにとって、”作戦失敗”を意味する言葉であり、同時に―――

 

 

「――――――は?」

 

マグノリアにとって、ヘスティーは親友であり同時に信頼できる相棒だ。

付き合いで言えば、アンナ……赤いリボンのアンナよりも長く、お互いに知らないことの方が少ないほどの親愛だ。

そして、マグノリアにとって、そんなヘスティーを、正確には大切な人を傷つけられれば……当然、それは彼女にとっての逆鱗であり、それをガツンと殴られたと同じなのであった。

 

「許さない……許さないッ…………ゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないっ!!

 

呪詛のような言葉と同時に、マグノリアの動向が縦の細くなり、桜色の瞳が紅蓮に染まり、うなじから頬にかけて濃い緑色の鱗が出現する。

赤黒い怒気が彼女の体を包むと、ズドン!という音共に彼女の周りにいたリビングアーマーと幽霊騎士を吹き飛ばしながら、青ざめた騎士(ペイルライダー)に突撃する。

 

「ッ!!?」

「ツブレロォッ!!」

 

突撃したマグノリアは、青ざめた騎士(ペイルライダー)の頭を掴むと押し倒すようにそのまま勢いよく後頭部を地面に叩き付ける。ズガァン!!という破砕音の直後に巨大なクレーターが出現し、衝撃波が周りにいるリビングアーマーと幽霊騎士を吹き飛ばし、巨大な土煙が舞い上がった。

そして、その衝撃波の威力は、美鈴(メイリン)でさえ防いだものの、数センチほど勢いに押されて後退するほ

どで、美鈴(メイリン)がそれを受けて、撤退を考えた次の瞬間―――

 

すごい勢いで、青ざめた騎士(ペイルライダー)美鈴(メイリン)の横を通り過ぎる。

思わず目で追い、青ざめた騎士(ペイルライダー)に警戒心を向けようとしたものの、直感が『今すぐにその場から避けろ』と、これまでにないほどの警鐘を鳴らした。

 

「アンナ、ごめん!!」

「ぐはッ!?」

 

隣にいた青いリボンのアンナを蹴飛ばして、自分は少し離れた場所に向けて飛び込む。

直後、土煙を貫くように白い色のブレスが放たれ、岩壁に叩き付けられた青ざめた騎士(ペイルライダー)に襲い掛かる。青ざめた騎士(ペイルライダー)は叩き付けられた衝撃で体が上手く動かないのか、それとも岩壁に埋められて体が少し固定されたのか、放たれた白い色のブレスをまともに受ける。

 

「し、白色……?」

「ろ、六属性チャージブレス……」

 

属性についてあまり詳しくない美鈴(メイリン)だったが、蹴っ飛ばした青いリボンのアンナがそのブレスの正体を見破る。

それは、マグノリアの程度の能力”ブレスを吐ける程度の能力”の中で、最も高威力であり、最もマグノリアに負荷のかかる物。それを、使ってきたのである。

バッと美鈴(メイリン)と青いリボンのアンナが、ブレスの出元を見ると、怒りに飲まれたマグノリアはそのブレスに対する負荷が無いようで、竜眼に怒りを宿らせたまま、一歩、また一歩と青ざめた騎士(ペイルライダー)へと近づいていた。

 

―――だが、青ざめた騎士(ペイルライダー)がタダ黙ってやられるわけではなく、ブレスを受け続けてもなお、自分を掴む岩壁ごと、切り裂き、直後、ブレスを切り分けるように飛ぶ斬撃が放たれる。

青ざめた騎士(ペイルライダー)の飛ぶ斬撃が、マグノリアに迫るものの、マグノリアはブレスを中断したと思うと、身体をひねらせそのままの勢いで、竜の爪と鱗が出現した拳を飛ぶ斬撃に叩き付けて掻き消した。

 

「……撤退を、撤退します!」

「っ、美鈴(メイリン)さん、アンタ何を!?」

「今ここに居たら、巻き込まれて全員死んじゃいますよ!!」

 

美鈴(メイリン)の言葉に青いリボンのアンナが反論しようとするも、またしてもズドン!という音共に衝撃波が発生し、美鈴(メイリン)と青いリボンのアンナを勢いに押されて後退し……このままではいずれ、美鈴(メイリン)の言葉通りに、誰かが犠牲になるのは間違いがなさそうだった。

 

「……アタシがしんがりを務めるから、さっさと逃げて」

「アンナさん、でも!」

「アタシはいくら死んでも死なないのは知ってるでしょ?だから、お願いっす。」

「……分かりました。全員、アンナさんを残して撤退!てったーい!!」

 

美鈴(メイリン)の言葉に他のメイドたちは少し悩んだそぶりを見せたものの、青いリボンのアンナの覚悟のこもった表情を見て、大人しく撤退を開始し始める。

リビングアーマーと幽霊騎士たちも武器を投げ捨てて逃げ出し始めており、その戦場は暴走したマグノリアと青ざめた騎士(ペイルライダー)、そして青いリボンのアンナの三人になった。

 

~~~~~

 

あれから、少しの時間が流れ……青いリボンのアンナは、目の前の光景が信じられなかった。

暴走したマグノリアは、間違いなく青ざめた騎士(ペイルライダー)を凌駕していたはずだった。その代償として、竜のような妖精……ではなく妖精のような竜人のような姿になりかけつつも、確かに青ざめた騎士(ペイルライダー)をじわりじわりと追い詰めていた。

 

―――そのはずだったのだ。

 

「グ…グァッ……」

「…………。」

 

一瞬の、ほんの一瞬の出来事。

青ざめた騎士(ペイルライダー)をボコボコにしていたマグノリアの構えを変える一瞬の隙間。

武術の極みに至ったものでも、到底付け入る隙の無い、本当に瞬きすら遅い、ごくごくわずかな隙。

その隙を、青ざめた騎士(ペイルライダー)は掴んだ。

 

ショートソードを持たない左手が、暴走しているマグノリアの首を掴んで締め上げ、おそらく能力を使っているのか、左手から起きる黒い靄がマグノリアの首にへと消えてゆく。

やがて、マグノリアの抵抗が徐々に弱くなってゆき……両手がだらんと力なく垂れ下がった。

青ざめた騎士(ペイルライダー)は暴走したマグノリアに興味をなくしたのか、暴走したマグノリアを投げ捨て、青いリボンのアンナに視線を向けてくる。

 

「っ」

「……。」

 

青いリボンのアンナは二つのショートソードを構えるものの……勝てる勝算なんてなく、足止めすらロクにできないだろうと、自分自身で分かっていた。

青ざめた騎士(ペイルライダー)が、一歩、また一歩と足音を鳴らしながら青いリボンのアンナに近づく。

響いている足音は、まるで死神の足音のようであり……青いリボンのアンナは、ゆっくりと己が死に近づいているということに恐怖してしまう。

そして、青ざめた騎士(ペイルライダー)は段々と早く動き、目にも止まらぬスピードで青いリボンのアンナに対し、ショートソードを振り上げていた。

 

「……?」

「……。」

 

しかし、青ざめた騎士(ペイルライダー)は振り上げたショートソードを掲げたまま、別の方向に視線を向けていた。

青いリボンのアンナもつられて、同じ方向を見ると……そこには何は誰もいない横道が続いているだけだった。

だが、青ざめた騎士(ペイルライダー)はもはや青いリボンのアンナに眼中はないようで、振り上げたショートソードを構え直し、その横道に向けて警戒をしだしたのである。

青いリボンのアンナは、それを見て果敢に切りかかるも、放った袈裟切りは避けられ回し蹴りで岩壁に叩き付けられてしまう。

追撃が来るか、と身構えた青いリボンのアンナだったが……青ざめた騎士(ペイルライダー)は横道を警戒することに戻っている。

 

(一体、何が?)

 

受けたダメージを癒しつつ、青いリボンのアンナもその横道に視線を送り続けると……横道の奥の闇から揺らめくような紅色の光がぼんやりと浮かんできた。

 

(……まさか。)

 

青いリボンのアンナが、その光の主を妄想した次の瞬間、その暗闇から矢の嵐と、黒いビームが青ざめた騎士(ペイルライダー)に向けて放たれた。

青ざめた騎士(ペイルライダー)はそれに対して、飛ぶ斬撃を繰り出し、矢の嵐と黒いビームを掻き消した。

 

「はぁ~あ、面倒ね……今の攻撃で倒れなさいよ。」

「仮にも紅魔館(こうまかん)の最後の切り札と数えられるのだ……倒れるわけがないだろう?」

 

と、ぼんやりとした紅色の光よりも先に、二人の人影が現れる。

 

「まあ、それもそうね……だからこそ、私たちが呼ばれた。」

 

大理石のような質感の不思議な弓を持つ、雑務メイド長たるプリムと、

 

「本来なら、私たちの出番はないはずだったのだがな……しかし、呼ばれたとなれば致し方あるまい。」

 

黒曜石のような天秤を片手に、不敵な笑みを浮かべる、運搬メイド長たるノワール……

 

「二人の力に頼るふがいない私で、ごめんなさいね?」

 

そして、コウモリの趣向が施された紅色の槍を持つ、青年の少女。

背が伸び、身体が成長し……大人っぽくなっている、その姿を、青いリボンのアンナは見違えるはずもなく

 

「……レミリア、お嬢様?」

「アンナ……お待たせ、仕上げに来たわ。」

 

強化されたグングニルを携えた、レミリア・スカーレットが……やってきた。

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