紅魔館に住み込みで働くことになりました。そして咲夜さんの先輩メイドです! 作:ライドウ
レミリアは、燦々と降り注ぐ太陽に似た魔法の光を浴び、自分の思い描いた通りの運命を辿り、ひとり意味深な笑みを浮かべていた。
「……お姉様?急にほくそ笑んでどうしたの? ちょっと気持ち悪いよ?」
「きもっ……酷いわよフラン!別に私がほくそ笑んだって気持ち悪いはずがないじゃない!!」
フランの急に出された毒舌にレミリアはおもわず泣きそうになった。
実際自分でも、おもむろに笑い出すのはちょっとどうかとも思うけれど、実際に指摘された挙句に気持ち悪がられると心に来るものだ。
それが、再々の妹からの指摘と、反応ともなれば余計にだ。
「こう、にちゃぁっ……。とした、わぁっるぅい笑顔だったよ。」
「しっ、しししっ、してないわよ!にちゃぁなんて!!」
「してたよお姉様、にちゃぁってわるぅい笑顔」
「してないもん!してないったらしてないもん!!」
きゃーきゃーわーわーと、仲良し姉妹の姦しい声が大森林に響く中、ズズン!と、大きな音ともに地響きと、遠くで土煙が舞い上がる。
姉妹の戯れ愛をしていた二人でも、その音と地響き、大きな土煙を見れば、嫌でも誰があれをやったのかすぐに思いつく。
「あそこに行けば、ルージュがいるんだよね、お姉様。」
「……えぇ、そのはずよ。」
その土埃を見た時、レミリアにゾクリと背筋が凍りつき、嫌な汗が流れる。
しかしフランは、その感覚に、雰囲気に気づいていない……。
(いざと言う時は、フランだけでも……)
最悪のケースを予想して、そのケースが無いかの確認のために、"運命を操る程度の能力"を使い、未来を見た……その瞬間―――
「っ!!!?」
―――ゴトリと首が、落ちる。
そのイメージが、レミリアの脳裏を焼いた。
フランに悟られないように、冷静さを保ちつつも自分の首を触る。
……繋がっている。グッと自分の指が、喉の気道を塞ぐ息苦しさを感じる。呼吸が少し浅くなる。
(……い、今のは?)
レミリアは自分の見たものが信じられなかった。
小さくコヒューと息を荒らげながらも、今見た強烈なイメージとおなじ結末を辿る未来を見た。
そしてレミリアは、自分のいる場所が、既に敵の攻撃圏内ということに気づき、内心パニックに落ちかけていた。
(狙いは、私……? フランじゃないだけ、まだいいか……。けれど、しっかり狙われてる。
”絶対に”首を斬り落とすっていう、分かりやすいの殺意ね。)
パニックに落ちかけたレミリアだが、冷静に現在の状態を分析し落ち着きを取り戻す。狙いはレミリアの首一点、先を歩くフランには、その殺意は向けられていない。
それに、見えないから首を切り落とすことなんてできない。そんな甘い考えをするほど、レミリアの経験則は浅くはなかった。
(……いえ、むしろ姿を見せずにここまでの殺意を感じさせれるの。
こんな芸当ができるは、ルージュくらいね。
―――ふふっ、それなら
冷静になったレミリアは、すぐにそんなことをできる相手を思いつき、そんなことができるのはルージュぐらいだと見抜いた。
相手が、ルージュとなれば……レミリアは怖くなんてなかった。
ふぅっ。と、一息を着いたあと、何事も無かったかのように先を行くフランの元へと一歩踏み出す。
直後、木の影から人影が飛び出し、レミリアの首元を斬り落とそうと駆けた。
「ッ!?お姉様っ、危ないっ!!」
フランが咄嗟に気づき、レーヴァテインを呼び出して迎撃しようとするものの、それよりも人影は早く―――
凶刃が、レミリアに襲いかかった。
「……何故?」
ルージュは、レミリアの首元に愛用の大剣をかざしながら問いかけた。
ルージュの目の前には、ルージュに大剣で首を狙われながらも、その表情に、微塵も恐怖心を見せずにただ柔らかく微笑むレミリアがいた。
その様子に、ルージュは疑問を問いかけることしかできないのであった。
「ルージュは私を斬らないと、分かっていたからかしら?」
「……私は本気で、レミリアお嬢様の首を斬り落とそうと、本気で殺意を向けたのに?」
ルージュは、少し悲しげに目を細めながらレミリアにまた問いかける。
レミリアに本気の殺意を向け、武器を向けた時点でルージュは
パメラには啖呵を切ったものの、ルージュは内心レミリアに刃を向けることを躊躇していた。
自分に暖かな居場所をくれた人に、武器を向けるのは果たして正解なのかと。
けれど、この試練は必要なことだと割り切り、レミリアに襲いかかったのである。
結果は、今この現状が全てだった。
「あなたの考えは、よくわかるわよ。それに、どうしてこんなことをするのかも、ね。」
「気づいていたんですか……?」
「……ノワールから、軽く聞いたのよ。それは後で、ちゃんとルージュの口から聞くわ。
ルージュ、あなたの力は私が使う。あなたは恐れず、その力を私の命令に従い、思うままに振るいなさい。」
ルージュはその言葉に、瞳を揺らし……大剣をレミリアの首元から外し、そっと地面に起き、レミリアに膝まづいて頭を垂れる。
レミリアはおもむろにルージュの置いた大剣を両手で拾い上げ、その大剣でルージュの肩を優しく叩く。
その場で始まった叙勲式に、フランは状況についていけずにレーヴァテインを顕現させ、目を丸くしたまま固まっていた。
急に人影が自分の姉の命を狙ったと思ったら、その影は助けるべき大切な家族のひとりであり、首を切り落とすのかと思ったら、斬らずに止まって、数回言葉を交わしたと思ったら、いきなり叙勲式が始まったのだ。
「????????」
あまりに謎な状況に、フランは背景に宇宙を背負ったのであった。
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背後に宇宙を背負ったプランは置き去りに、その叙勲式は進んでいた。
レミリアは、その作法を本でしか読んだことがなかったものの……いつか絶対必要になると考え、練習していたかいがあったと内心はしゃいでいたが、やはり表には出さずに粛々と叙勲式を終わらせてゆく。
「ルージュ、これからアナタは、ルージュを名に、レッドライダーを家名に、私に忠節を捧げなさい。
あなたの役割は、私の切り札。ここぞと言う時に、比類無き力を振るうのが役割よ。」
「…拝命いたしました。レミリアお嬢様、ルージュ・レッドライダーはこれより貴女様の切り札としてこの力を振るわせていただきます。」
その言葉を最後に、レミリアはルージュに大剣を返し、ルージュはレミリアの傍にたった。
「フラン、いつまでほうけているの?」
「えっ、これ私が悪いの?」
「あーうん、先に説明してなかった私も悪かったから、そんな顔しないで?」
「いいよお姉様、どうせ先に説明していたら未来が変わってこんなことにはならなかったんでしょ?」
「えっ、そんなこと全然ないわよ?」
「……(無言の軽い肩パン)」
「あいたっ!フランっ、そんなに怒ってるの!?」
「ふーんだ。」
「……ふふっ、仲のいい姉妹。」
目の前に繰り広げられた光景に、ルージュは温かなほほえみをこぼしたのであった。
(……うん、近いうちにレミリアお嬢様に、私の過去を話そう。)
そして、自らの過去に区切りをつけることを、決意したのであった。
長らくお待たせして申し訳ありませんでした!
どうやってこの結末にするか試行錯誤していたらこんなに更新が遅れてしまいました……。
次回でついに、庭園迷宮最終層!
同時に、第4回キャラクター応募は締切となります!
更新は不定となりますが、お早めにご応募のほど、よろしくお願いします!!
↓↓↓応募↓↓↓
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