紅魔館に住み込みで働くことになりました。そして咲夜さんの先輩メイドです! 作:ライドウ
皆さま、大変長らくお待たせしました。
主人公の帰還です!()
第7層の大扉を開き、レミリアたちが見た光景で、まず目に飛び込んだのは、棺に刻まれた魔術陣を解除しているパチュリーと、パチュリーの側で不安げにソワソワしている
「あ、あれ?パチュリーと
「……私はあの二人を6層で見かけた記憶はないですが」
居ないはずの二人に、フランとルージュが驚いていると、レミリアがフフッと笑みを零し、説明をした。
「キャスパリーグと
「この子のおかげで、さらに長い時間止められるようになったので、せんせ……パチュリー様をお運びするのは楽でしたわ。」
「にゃーん♪」
レミリアがフランたちに説明し、
「それで、どうかしらパチェ。
パメラの最期の足掻きは解除できそう?」
そんなことが起きているさなか、レミリアは解読中のパチュリーに近づいて声をかける。
パチュリーはブツブツと呟いており、なかなか難航しているように思える。それこそ、レミリアが声をかけたのにも関わらず、それに気づかないほどだ。
ふと、レミリアは気になり、パチュリーのつぶやきに耳を傾けたのだが……
「あーもうなんなのよこのグチャグチャの魔術式……所々わざと間違えてるくせに最後の答えだけ合わせに行ってるのなんなのよ……うっわ、こんな式の使い方ドルイドでもないと使わないわよなんで使えるのよ……って、ここの式がわざと間違えてるのになんで作動してるの!?あぁっ、こっちの数式で間違えを修正しているってわけ!?ほんとふざけんじゃないわよぉ、なんでそんな芸当ができるのあのババア……。
……っ!あぁ、レミィ。解読は順調よ……この私に任せない。」
「いや、ごまかせてないごまかせてない!」
レミリアが聞き耳を立てたことをパチュリーが気づいてドヤ顔でごまかしたものの、レミリアは思わずツッコんでしまった。
そのツッコみに、パチュリーはくッと顔をしかめて、悔しそうな表情を浮かべる。
「不覚だったわ、まさかレミィに背後を取られるだなんて。」
「私はアンタを消しに来た暗殺者か何かなの?
それより、解読は難航してそうね……。どれだけ難しいの?」
「スパゲッティコード」
「……? 何か言ったの??」
「い、いえ、なんでもないわ……とりあえず、パスタみたいにこんがらがってるって言えばいいかしら。
それを一本一本調べてまっすぐに直して並べているって……いえば伝わる?」
「うわぁ……。
なんとなくわかったわ、解読お疲れ様……。」
パチュリーの言葉にレミリアは、メイド食堂にメイド服を着て忍び込んで食べたトマトパスタを思い出し、あれを一本一本、まっすぐにしてから並べるのを考えて、パチュリーの苦労をなんとなく察したのであった。
「つまり、あと数日かかりそうって感じなのかしら?」
「あー……そうでもないわ、あとは魔術式の無力化をするだけのところまで来てるわ。
けれど、そこが難所で……まあ、数十本のパスタが塊になって絡まっているのよ。
しかも、途中でちぎれてたり、全く違うパスタになってたり、そもそも先端しかなかったり…………フフフ、カイドクタノシイ。」
「……後で私たちとお茶会してゆっくり休みましょう?」
目からハイライトが消え、フフフと壊れたような笑いを浮かべるパチュリーにレミリアは後で労わってあげようと、心に深く誓ったのであった。
……それから、数十分後。
「ここを、こうして…………こう、すればっ!
フフッ、ウフフフフフッ!!解読が終わったわよ、レミィッ!!」
「わかった、わかったからゆっくり休んでパチェ!女の子がしちゃいけない表情してるから!!」
「Fuuuuuuuuu!今日はパーリナイだぜ!!バイブス、アゲてこー!!」
「ルージュ!パチェを取り押さえて!!今にもテンションに身を任せてまた黒歴史を作ろうとしているわ!!
ビビオンちゃんも、マルガもパチェを取り押さえて!!」
ようやく、パチュリーの手によってパメラの最期の足掻きが解除されるが、あまりの難易度でパチュリーの様子は、解除と同時にテンションがおかしくなってしまった。
そのせいで、女の子がしちゃいけない表情のままはしゃぎだしたパチュリーを、一番力の強いルージュと、家族(
「うおっ、何する!?HA☆NA☆SE!!」
「のわっ、取り押さえようとしたら抵抗した!?」
「ルージュ様、そのまま羽交い絞めを!当機は、足を押さえます!」
「魔力を弱らせておくよ……。」
暴れるものの、3人に取り押さえられドナドナと運び出されてゆくパチュリーを横目に、レミリアは緊張していたのである。
ようやく、自分の一番大切な存在……メイド長たるマリアを取り返せるのだが、先ほどから石櫃からは何やら重たいプレッシャーが放たれているような気がする。
「……フラン、一緒に開けましょう?」
「お姉さま?……う、うん。わかったよ。」
不安になったレミリアは、フランの手を取り姉妹で石櫃に近づいてゆく。
近づくたびに、レミリアには息苦しくなるようなプレッシャーを感じ、冷や汗が噴き出してくる。
(私は、何に怯えているの……?)
言い表せない恐怖が、レミリアに重く推しかかるものの……手をつないでくれているフランのおかげで、何とか前に進めている。
一歩、また一歩と石櫃に近づき……その蓋に手を掛けた。
「お姉さま、せーので開けよう!」
「え……ええっ。」
レミリアは深呼吸をして、フランの目を見る。
「「せーのっ」」
グッと石櫃の蓋が押されて、ズドンと床に落ちる。
石櫃の中には、マリアが口の端から血を流した状態で横たわっており……かすかに胸が上下している。
生きて、いる。生きてて、くれた。けれど、イヤな予感が、離れない。
「……フラン、回復魔術をお願い。」
「わかったよ、お姉さま!」
レミリアの指示に、フランは従ってマリアに回復魔術を施してゆく。
しばらくすると、マリアの意識が戻ったのか短いうめき声の跡、目が開かれ―――
―――
「ッ!?」
レミリアは、その瞳を見て背筋に冷たいものが走り、フランの首根っこを掴んで一気に離れる。
そして、グングニル・エクリプスを手元に引き寄せ、石櫃から体を起こす人物に敵意を向けていた。
「お、お姉さま?」
「れ、レミリアお嬢様?!
な、なにを!?」
咄嗟の、レミリアの臨戦態勢にフランは唖然とし、
あまりの出来事に、テンションがおかしくなっていたパチュリーも、パチュリーを運んでいた3人も動けずにいた。
「……お、じょう……さま?」
「……えっ?」
石櫃から体を起こした人物は、いつも通りのマリアの声でレミリアに話しかけていた。
確かにレミリアは、マリアの瞳が、ゴールドオーカーではなく、マーキュリーシルバーだったのを目撃した。
……目撃した、はずだった。
しかし、石櫃から体を起こし、眠たげな瞳をこちらに向けるマリアの瞳は、いつも通りのゴールドオーカーだ。
雰囲気もいつも通りで、さっきまでのプレッシャーもどこにもない。
「……(どういう、こと?)」
「ぱ、パメラの事だからマリアがもしかしたら偽物かもって、警戒しすぎたんだよね?
そ、そうだよね!?お姉さまっ!!」
「……え、ええ。
ごめんなさい、ちょっと、警戒しすぎたわ。」
レミリアはグングニル・エクリプスから手放し、その場にヘナヘナと座り込む。
フランの言う通りかもしれないと、レミリアは自分に言い聞かせ……深呼吸をして落ち着くことにする。
(……今のは、一体。)
マリアはマリアだ。
レミリアの大切な専属メイドにして
だが、
パメラによって育てられた疑う力が、悪い方向に働いたのである。
(……本当に、マリアなの?)
そして、今、レミリアの中にはマリアへの違和感が芽吹いたのである。
「……お姉、様?」
「レミィ?」
(……今は、見過ごそう。
けれど、フランに、パチェに、みんなにあの色の目を向けると言うなら)
(私は、私がマリアを、殺さなくちゃっ。)
後にこの決意が、
パメラの策謀による”庭園迷宮事変”は、こうして終わりを告げた。
もしここで、
レミリアがマリアに疑惑を持たなければ、
フランドールがレミリアの心を和らげれば、
パチュリーがすぐに仲裁していれば、
だが、それらはもはや全てありえない話。
結局、レミリアはパメラの策謀を全て阻止することは出来ず、掌の上で踊らされ、
えーらっい地獄になりそうな予感やなぁ()