紅魔館に住み込みで働くことになりました。そして咲夜さんの先輩メイドです!   作:ライドウ

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応募キャラの登場までに3話ほど先にやっておきたいことを投稿していきますので、ご容赦ください!


☆ 490冊目 4~5ページ目

同化1日目

転生490年と7カ月4日目(木曜日、日中:晴れ、夜中:晴れ・満月)

 

目を覚ましたら1週間が経っていて、そしてパメラ・スカーレットの手によって困難となった庭園迷宮の完全攻略戦が終わっていた。

 

そんな経験は、これまで何度もあってきた。フランお嬢様の暴走の時と聖母(マリア)戦争の時がそうだろうか。私が気絶、あるいは意識を操られている間に、物事は終わって、私は後日譚としてその話を聞く。

2度あることは3度あるというが、今回ばかりはさすがにダメかと思ったな。

 

ともかく、庭園迷宮の完全攻略戦が終わったことで、第1層”庭園最奥”を除く、すべての階層がレミリアお嬢様の支配下となった。

そのおかげで、これからは庭園迷宮の警戒に気を使う必要がなく、人手の配置もかなり変えることができるだろう、いい事だ。

 

これからは、メイド隊の育成と平和で素敵な日々が訪れる――

――そうであればどれほどよかっただろうな。

 

ハッキリ言って、今の紅魔館(こうまかん)はずいぶんと居心地の悪い場所になってしまった。

パメラ・スカーレットの策謀が、様々な問題の種を植え付けてゆき……それが徐々に芽吹きだしていたのだ。

 

どれから書いていくべきだろうか……。

 

ならばまずはメイド隊全体について書くべきだろう。

今回の完全攻略戦は、本来戦闘メイドや狼女の小隊のみで行い、戦術や戦略をもって余裕をもって行うべきはずだったのだが、パメラ・スカーレットの先制によって、それは破綻した。

そして、先制によって私は第7層の石棺に放り込まれ……そして、意識を失った。聞けば、私が石棺に放り込まれた後、紅魔館(こうまかん)の住人は、レミリアお嬢様、フランお嬢様、咲夜(さくや)、パチュリー、美鈴(メイリン)を残し、全員庭園迷宮へと転移させられたのだ。

 

この時、多くのメイドや狼女たちは命の危機にあった。

さらに言えば、そこで負傷したメイドは決して少なくはなく……特に、古くから支えてくれていた古参の子たちがその割合が多い。

全員、レミリアお嬢様のおかげで、誰も欠けることなく救出され、後遺症が残るほどの怪我を負った子は……そんなに多くはないのは幸いだった。

 

しかし、庭園迷宮の攻略が終わった後、戦争中の興奮が途切れたのだろう……最も深く、治療の難しい傷が見え始めた。

心の傷……PTSDという傷が、ジワリジワリと広がっていたのである。

ソレを発症してしまった子の大半は業務につこうとした途端に、トラウマを想起させてしまい、パニックになり、悲鳴をあげて我を忘れ、その場から逃げ出すという行為を繰り返してしまっている。

また、PTSDとは行かずとも、その精神に大きな傷を負ったメイドは多く、不眠症に悩まされる子や、摂食障害を起こしている子、精神的な身体麻痺や歩行困難を起こしている子もいる。

 

統括メイド隊直属の医療班となったメディー曰く、PTSDの治療……ひいては、精神の治療(メンタルケア)は専門外であり症状の診断程度しか出来ないという。

表情に出さず、声もいつも通りに寄せていたが、メディーさんの心の内は、きっと大荒れだろう。

 

そして、肝心の重傷者たちについてだけど……。

重傷者の大半は、狼女の警備兵たちだ。幸いにも、彼女たちの傷は後遺症が残らず、完治すればまた警備兵として働ける程度だが……問題は、ヘスティーナさんだった。

ヘスティーナの怪我は重傷者たちの中でも深く、そして鍛冶師である彼女にとって致命的なものだったのだ。

暴走したブラウの飛ぶ斬撃で、右肩に深い傷跡を残し、力が少し入りずらくなってしまっている。

日常生活には支障はないが、鍛治をするとなれば……。

だが、ヘスティーナさんには何かの考えがあったらしく、メディーさんと同じで統括メイド隊直属の鍛冶隊の長としていろいろと動いている。

 

……これだけであれば、本当によかったんだけど。

問題は、これとは別にもう一つ、とても大きな問題があった。

パメラ・スカーレットの策謀のせいで、レミリアお嬢様の”疑う力”は悪い方に育ってしまった。

当主らしく大人に近づいた……と、考えれば喜ばしいものだが……今回ばかりは、それが火種になっている。

 

庭園迷宮を攻略してからという物の、レミリアお嬢様のおそばには、私ではなくルージュかベナミさん、あるいはレミリアお嬢様に狂信的な吸血鬼メイドたちと精鋭の狼女たちが、武装した状態で常にいるのである。

 

それは、明らかにあの時……私はパチュリーから聞いた話だが、私が目を覚ましたとき、レミリアお嬢様と咲夜(さくや)の間に一悶着があったらしい。

私の瞳がシルバーマーキュリーになっていたのを目撃し、私に対して武器を向けたレミリアお嬢様と、それを見て、私とレミリアお嬢様の間に割り込んでつい武器に手をかけてしまった咲夜(さくや)

その場はフランお嬢様が上手く収めてくれたものの、帰ってきてからレミリアお嬢様は先程書いた通り、武装した腹心……親衛隊とも言うべき子達を常に傍に置いている。

 

それを見た咲夜(さくや)はもちろん激怒……までは言わないが、業務をしっかりこなすものの、明らかに仕事のやる気を無くしてしまっている。

それを見た一般メイドの殆どは、咲夜(さくや)と同じ行動を取るようになった。

まあ、誰しも剣に手をかけられ、監視されている状況でいつも通りの仕事をしろと言われても、脅されているようなものだ。

咲夜(さくや)と、その賛同者たちからしてみれば、信頼を裏切られ、裏切り者として疑われていると考えても不思議ではないだろう。

それをフランお嬢様と、フランお嬢様と仲の良いメイドたちが何とか仲裁しているものの……その効果は、果たして本当にあるのか、分からない。

パチュリーがとりあえず宣言した中立派は、紅魔館(こうまかん)にできた派閥の中でも最大の数を誇るが……1人、また1人とレミリアお嬢様か咲夜(さくや)の派閥に合流している。

特別なメイドたちは分からないが、その子たちもどこか居心地の悪そうな表情をしている。

 

それと、これは個人的な愚痴……に、なるのだろうか。

ココ最近、やはりと言うべきかレミリアお嬢様は私に対して、どこかよそよそしい態度を取られるようになった。

以前のように、マリアと、名前で呼んでくれなくなり、職務に関しても、専属メイドとしての職務を任されなくなってきているのだ。

理由は、まあ、私の目の色がマーキュリーシルバーになったのが原因だろう。

レミリアお嬢様からしてみれば、今の私はかつての私を演じる何者か……に、見えてしまうのだろう。

死んで生まれ変わらない限り、私は私……それ以上でもないし、それ以下でもない、私の魂に刻まれているのは変わらず、『レミリアお嬢様の専属メイド』と、『紅魔館(こうまかん)統括メイド長』という役割であり、そこに嘘偽りも、裏切りも一点すら存在しない。

 

……はっきりいって、私も何が書きたいのか分からなくなってきた。

もう、考え事で頭がいっぱいいっぱいで、どうして私たちはこうも平和で仲良く過ごすことができないのだろう。

これも、私が弱いからいけないのだろうか……私に、もっと力があれば……

(残りの文字は涙の乾いた跡で滲んでいたが、なにかと理由がつけられたごめんなさいが書き綴られていた。)

 

同化2日目

転生490年と7カ月5日目(金曜日、日中:曇り、夜中:曇り・多分半月)

 

昨日は年甲斐もなく涙を流してしまい、この日記帳を少し濡らしてしまうという気恥しい失敗をしてしまった。

何とか涙の跡を乾かそうと思ったものの、すっかり消えない跡になってしまっている。

願わくばその部分は、私の記憶から消えてくれることを願う……うぅ、恥ずかしい。

 

さて、今日は紅魔館(こうまかん)の外について書いていこうと思う。

レミリアお嬢様とフランお嬢様、そして紅魔館(こうまかん)の住人たちが庭園迷宮にかかりっきりの間、世間はかなり大きな出来事が起きたらしい。

私も御前会議でのレミリアお嬢様のお話からしか知らされていないが、旦那様のラウル様率いるスカーレット派の吸血鬼集団と、ミッドナイトブルー家が率いるエルダーヴァンパイアと呼ばれる吸血鬼集団が戦争状態に入ったらしい。

 

……そして、その戦争はとても大きく、紅魔館(こうまかん)に戦火の火の粉がいずれは届くらしく、ラウル様のご命令の元、紅魔館(こうまかん)を、極東に存在する人外の楽園……幻想郷へと、数ヵ月後に転移させるらしい。

 

……ついに、ついにこの時が、来たのである。





ゆっくりと地獄を煮詰めております()
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