紅魔館に住み込みで働くことになりました。そして咲夜さんの先輩メイドです!   作:ライドウ

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今回の視点はレミリアお嬢様の視点でございます!


□ 綺麗で優しい私のメイド長

 

ほんの休日の一コマ。小説ではそんな風に描かれるであろう、良く晴れた満月の昇る空。その月が照らす私の執務室で私はメイド長と抱き合っていた。ハレンチな意味ではなく、普通にハグだ。

 

「ふふっ、レミリア様ったら・・・」

「今日ぐらいはイイじゃない。」

 

ぶぅ。と少しだけ拗ねてみると、困ったような、嬉しそうな笑みを浮かべて私の頭を撫でるメイド長。100年たって、人も増えて来たけれど・・・いまだ彼女は私の専属メイドだ。それに、親代わりでもある。こうして甘えたってかまわないはずだ。流石に、フランに見られたら恥ずかしいけれど・・・フランは最近、庭園迷宮へと足を運んでいるのでしばらくは執務室には来ないだろう。

 

ハグをしあうメイド長の胸に顔をうずめると、メイド長の心臓の鼓動が聞こえてくる。ずっと変わらない温かさと・・・どこか安心するほど一定な心臓の鼓動。

ほんのりと、ケーキのようなクッキーのような甘いお菓子の優しくておなかのすく匂い。

私より少し大きな手が、頭を撫でれば・・・安心感と共に少しの眠気が襲ってくる。

 

「ねえ、メイド長。」

「・・・はい、レミリアお嬢様・・・どうかしましたか? 」

「いつも、ありがとう。」

 

ときどき、こうして感謝の言葉を伝えるようにはしている。

なにせ、100年だ。100年間も、私の専属メイドをしてくれている。ずっと変わらない忠誠を、優しさをくれている。

 

「毎日、私たちの為に頑張ってくれて、ありがとう。」

「レミリアお嬢様・・・こちらこそ、ありがとうございます。」

「へっ? わ、私はメイド長に感謝されるようなことはしてないわよ?」

 

メイド長が私に感謝の言葉を述べて、私は少しだけ困惑してしまう。

なにせ、いつも困らせるようなことしかしていないはずだからである。我が儘を言ったり、変な落としモノを拾ったり、思い付きでやってメイド長の仕事を増やしてしまったことすらある。

 

「いえ・・・私は、レミリアお嬢様から毎日、”笑顔”という贈り物をもらっておりますから。」

「わ、私・・・そんなに笑ってた?」

「ええ、それはもう可愛らしい笑顔を。」

「~~~っ。」

 

そう言われると少し恥ずかしい、正直私の笑顔はフランからどちらかというと「不敵な笑み」か「怖い笑み」のどっちかしかないと言われているから、普段どんな笑顔を浮かべているのか分からない・・・それに、私自身()()()()()()()()()()とは思っているので、かわいいと言われても困ってしまうのだ。

 

「ふ、フランの方が・・・かわいいと思うけれど?」

「それはそれ、これはこれですね。フラン様にはフラン様の可愛さがありますが、レミリアお嬢様はレミリアお嬢様の可愛さをお持ちですので。」

「~~~っ!」

 

顔が赤くなって、リンゴみたいになっているのが自分でもわかる。

その顔をメイド長に見られるのがなんとなく恥ずかしいので、メイド長の胸にぐりぐりと頭を押し付けて隠す。

 

「メイド長のばか。」

「うふふっ、恥ずかしがるレミリアお嬢様も愛くるしゅうございます。」

「むぅ~~~・・・」

 

メイド長に手玉を取られているようで、なんだか少しだけ複雑な気分だ。

ふと見上げると傷一つなく、細くきれいなメイド長の首筋が目に入る。普段は青空に似た色の髪に隠されているその首が、どうしようもなく欲情的で・・・ふと思ってしまう。

 

(噛みついて、血を吸ってみたい。)

 

どれほど、()()()()のだろう。どれほど、甘美なんだろう。

愛しい人の、愛しい血液。メイド長は、許してくれるだろうか。

ゆっくりと口を開き、彼女の首へと牙を―――

 

 

「―――ダメですよ?レミリアお嬢様。」

 

 

パッと・・・メイド長の言葉で正気に戻り、首筋から離れる。

メイド長の視線を感じて、目線を合わせると、ゴールドオーカーの瞳がナイフのように細くなった目からこちらを見ている。

少しだけ怖い、けれどそれよりも優しさの方が感じ取れる・・・そんな瞳が、こちらを見ている。瞳に映る私は、だらしなく口を開け、牙をむき出しにして、瞳を煌々と光らせていた。

吸血鬼としては、正しい姿・・・けれど、メイド長の前では見せてはいけない愚かで醜い姿。

 

「ごっ・・・ごめんなさ―――」

 

 

 

 

ふと、ふわりと。メイド長の長髪と、甘いお菓子の匂いが広がった。

 

謝罪の言葉をふさぐように、唇には柔らかい感触があり・・・視界いっぱいに、メイド長の妖艶で美しい顔が広がっている。

 

「・・・今は、これでご容赦を。では、私は仕事に戻りますので。レミリアお嬢様、午後のお仕事を再開なさってくださいね?」

「あ、うん。ガンバリマス。」

 

メイド長が離れて、そそくさと執務室から出ていこうとする。が、何かを思い出したのかメイド長は振り返ると・・・

 

「今のキスは、どうかご内密に。」

 

妖しい笑みを浮かべて、人差し指を口元にあて、そして今度こそ退出していった。

 

キス。kiss。ちゅー。

触れただけの、やさしいキス。

 

・・・・・・・・・・。

 

ッ!!!??

 

ようやく、メイド長にされたイタズラを理解し、顔どころか体中が赤く、そして熱くなる。心臓の鼓動は激しくなり、手足が震えてしまう。

 

(き、キキキ、キスゥ!!????)

 

ど、どどど、どうしよう!?

こ、これって責任を取るべき!?そ、それとも責任を取らせるべき!?

い、いやそもそも私もメイド長も女の子だからそんなことはありえないだろうけれど、えぇ・・・えぇぇぇぇっ!!!!??

 

 

 

 

 

その後、私は午後の仕事に集中できず。何ともないメイド長にこっぴどく叱られてしまった。

それと、アンナに”アレ”や”ソレ”を教えてもらうハメになった。

 

「あ、レミリアお嬢様。メイド長なんっすけど、すました顔して耳が真っ赤なんで多分風邪ひいてるっす。お休みを申請するっすよ。」

「・・・・・・えっ?」

 

 





すこし短いですがこんな感じで。

ちなみに全然関係ない話ですけれどメイド長は紅魔館の中でも壁(ここから先は血と花瓶のかけらが邪魔で読めない)
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