紅魔館に住み込みで働くことになりました。そして咲夜さんの先輩メイドです! 作:ライドウ
今回はフランお嬢様してん!
もうすぐ朝、空は明るくなり始めて、私たち吸血鬼にとっての眠る時間がやってくる。
正直、私は暗い夜よりも明るいお昼の方が好きだ。日に当たれば、灰になって死んでしまうとはいえ・・・日光浴をしながら温かな庭園でお昼寝とかもしてみたい。
そんな事を考えながら、朝日が入ってこないように分厚いカーテンを閉めて、
・・・けれど、一向に眠気が来ない。むしろ目が冴えてしまって、そのまま体を動かしたい気分だ。
どうしたものかと考えていると、私の部屋のドアがノックされる。入室許可を出すと、メイド長が入ってきた。
「まだ起きていらっしゃったのですか?」
「あはは・・・ちょっと眠れなくてね。」
私がそう言うと、メイド長はなるほどという言葉と共に何かを考え出す。
「少々、お待ちいただいてもよろしいですか?」
「へっ?う、うん、全然大丈夫だけど・・・。」
「では、しばしお待ちください。」
どうやら、メイド長に考えがあるみたいだ。
私はメイド長に任せることにして・・・とりあえずいつでも寝れるように横になって天井を眺め始めた。
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しばらく経つと、また私の部屋のドアがノックされる。
入室許可を出せば、メイド長が私のマグカップをお盆に乗せて持ってきていた。
「お待たせしました、フランお嬢様。こちらをどうぞ。」
「これって、ホットミルク?」
手渡されたマグカップには暖められた牛乳が注がれていた。今日は少し肌寒い日というのもあってか、ホットミルクから湯気が出ているけれど・・・熱くて持てないというわけでもなく、ちょうどいい温かさだった。
一口飲んでみると・・・うん、普通にホットミルクだ。
「眠れないときは、ホットミルクを飲むと眠くなるらしいですよ。」
「ふーん・・・でも、ちょうど肌寒かったし・・・ありがとう。」
「いえいえ、眠れないフランお嬢様の為ですから。」
メイド長は笑顔を浮かべながらそばに待機してくれるのでちびちびと飲みながら、メイド長に話しかける。
「どうして、私の部屋に?」
「うなされていないか、見に来ただけですよ?」
「・・・あぁ、なるほど。」
どうやら私は、眠ろうと目を瞑ってかなり長い時間、目を瞑ったまま起きていたみたいだ。それこそメイド長がうなされていないか見に来るほどの時間だ。
つまり今の時間は、ちょうどメイドたちがお昼の休憩に入る少し前ということだろう。むしろ、その時間まで何もせずにボーっとしていた私もなかなかヤバい。
どうして眠れないんだろう、昨日は特に変な事はしていないはずだけど・・・?
「たまには、眠れない日もありますよ。」
「そっか・・・そんな日もあるよね。」
「ええ。」
なんて、たわいもない会話をしているうちにホットミルクを飲み干してしまう。
空っぽのマグカップをメイド長に渡すと、メイド長はまたそそくさと部屋を出て行こうと離れてゆく。
・・・それが、なんだか、ちょっとだけ寂しくて、メイド長のスカートのすそを掴んでしまう。
「? どうか、されましたか?」
「あっ・・・えっと、あの。ご、ごめんなさい・・・」
「・・・なるほど。」
私が謝罪の言葉を口にすると、メイド長はマグカップの乗ったお盆を部屋に備え付けられているテーブルにおいて、私の
少しだけ狭くなるけれど、メイド長はそんなことを気にせずに私にハグをした。
「えっ、あっ・・・うぅ。」
「ふふっ、まだまだ甘えん坊ですね・・・フランお嬢様も。」
よしよしと言いながら、私の頭を撫でてくれるメイド長。
優しい手つきで、ゆっくりと撫でられていると・・・胸の奥からじんわりと温かくなってゆく。
言葉では否定したくても、私でも気づかないうちに・・・メイド長に甘えたかったのは確かなようで、言葉をうまくまとめることができず、メイド長のされるがままにされる。
・・・メイド長からしたんだし、私もちょっとぐらい、いいよね。
腕を動かして、メイド長にハグをし返す。さっきより密着してメイド長のインクのにおいが一層強くなる。さっきまで書類作業をしてたのかな?でも、嫌なにおいじゃない・・・むしろ、メイド長って感じの匂いだ。
「あらあら~。」
「も、もうちょっと・・・こうさせてほしい、かな。」
「フランお嬢様が満足するまで、思う存分ハグなさってください。」
ニコニコとメイド長が笑顔を浮かべている。
しばらく、メイド長とハグしあっていると・・・思ってしまったことがある。
(・・・もし、
私が生まれた時、血の流し過ぎで死んでしまったお母様。もう、私のせいで死んだとは思っていない。アレは、不幸な事故だった。お父様もお姉さまもそうとらえて・・・私も、やっとそうとらえることができた。
そんなお母様が、血を流しすぎずに生きていたのなら・・・私とお姉さま、そしてお父様とどんな話をしていたのだろう。今のメイド長のように、眠れなかったらホットミルクを作って持ってきてくれたり、こうしてハグをしてくれたのだろうか。
・・・そんなことを考えて、顔に出ていたのかメイド長が撫でるのをやめて私を優しく・・・けれど離さないようにしっかりとハグする力を強める。
「大丈夫ですよ、フラン様。レミリアお嬢様も、私も・・・そしてスカーレット卿もいます。」
「・・・うん、そうだね。完璧、じゃないけど・・・十分な幸せだ。」
メイド長のやさしさで、ポロポロと涙がこぼれてしまう。
そして、その同時に・・・眠気がやってきた。
「わたし・・・いきてて、いいんだ。しあわせでも、いいんだ。」
「はい・・・フランお嬢様は、生きて幸せにならないといけませんよ?」
「うんっ・・・・・・ありが、とう・・・めいど、ちょう。」
そうして・・・私はメイド長の暖かさを感じながら、ゆっくりと眠りについた。
きっと、起きればいつもと変わらない日常が待っているのだろう。
(・・・しあわせ、だなぁ。)
きょうは、あくむを・・・みなかった。
次回からはまたしばらくメイド長の日記になると思います。
それにしてもメイド長は、スカーレット卿に変な事を言われたり、レミリアお嬢様をからかったり、フランお嬢様の親代わりを立派にして・・・なんていうか、スカーレット家限定の魔性の女ですね。