転生93年と5か月10日目(水曜日、日中:晴れ、夜中:曇り・満月)
紅魔館の中に、咲夜を仕事中でも甘やかしたいという派閥と咲夜が仕事中は見守るだけにしようという派閥が、私が休んでいる間にできた……前からあったような気もするけれど、咲夜が1人で仕事するようになって顕著になったような気がする。
咲夜を甘やかし隊はレミリアお嬢様が率いている派閥で、ルージュとノワール、美鈴と言った面々で隠れてお菓子とかあげたりしているみたい。レミリアお嬢様は私に叱られる覚悟で咲夜を甘やかす節がある。それはまあ、別にいいのだ。レミリアお嬢様も実のところを言うと、私のお説教を甘んじて……それどころか、どこか嬉しそうになさっているのだ。決して、レミリアお嬢様がマゾヒズムに目覚めた訳ではないけれど、お説教がご褒美になっているので別のお仕置きを最近は考えている。前まで、キャロットカップケーキという手があったのだけれど、残念なことに出しすぎてレミリアお嬢様の大好物にまでなってしまっている。さてどうしたものか……
ちなみに、レミリアお嬢様の甘やかしはまだいい方だ。ルージュとノワールは割とシャレにならない甘やかしをする。
ルージュは元々、お気に入りの毛玉メイドや妖精メイドに対してかなり甘い。それでも、調理メイド長としてはかなり厳しいので、あまり問題視される程度ではない。しかし、その甘やかしは紅魔館メイドの中でも顕著であり、しょっちゅうお菓子をあげたり、隠れて美味しいものを作って食べさせたりと、他メイドの健康や体重が気になるレベルだ。一応、咲夜にはお菓子や食べ物の食べ過ぎには気を付けるように言ってあるので大丈夫だとは思うが……。
次にノワールなのだが……なんというか、ノワールは魔法・魔術的な甘やかしをする。どいうわけかというと……。
ノワールは、お休みの日になるとヴワル魔法図書館にある共用魔法工房で自作のマジックアイテムを作る趣味がある。これが結構、高品質で便利なものでパチュリーとの協力で量産し、メイド隊や警備隊、司書隊に導入もされるほどのものまで存在する。実際、『インクいらずの羽ペン』は、私が今使いながら文字を書いているし、持ち歩きにも結構便利だ。
紅魔館に便利な道具をもたらしてくれるノワールなのだが……咲夜には、特別製のマジックアイテムをプレゼントしようとしたり、魔法・魔術の弟子にしようと躍起になっているのだ。
この前なんて、『魔力を流し込むと姿を消せるようになる指輪』やら『敵意があるものが近づくと自動で呪い殺す人形』とかパチュリーが聞いただけで目を血走らせて解析したいと興奮していた代物をポンポンと渡そうとする。ぶっちゃけそうなったパチュリーを鎮めるのは大変だからやめて欲しい。
ちなみに美鈴はなんというか、お昼寝に誘っては一緒にお昼寝していることが多い。それも咲夜がちょっとだけ無理をしたタイミングでかならず誘うのでむしろ助かっている。美鈴は普段から働き詰めだから少しくらいサボったとしても大丈夫だ。
逆に咲夜が仕事中だけは見守るだけにしようという派閥はフランお嬢様を筆頭にブラウとプリム、そしてパチュリーと言った面々だ。こっちの派閥は正直、私としても見ていない間に咲夜を見ててくれているので助かっている。
しかも休憩中に掃除のコツだったり妖精メイドの子達と一緒に勉強したりと仕事のコツを教えたり、交流を深めたりと楽しそうだ。
フランお嬢様は、咲夜に対して正直に言うとレミリアお嬢様よりゲロ甘だ。
紅魔館の中でもダントツに咲夜に対して親愛を向けていらっしゃる。レミリアお嬢様のように、もし咲夜が男の子だったらと考えても安心して任せられるぐらい危険性もない。うん、まあ……あの距離感だと男の子だった時の咲夜の方が恋愛感情を向けそうだ。
次にブラウなのだが……なんというか憧れの人の立ち位置に収まっている。というのも、どうにも咲夜はブラウに憧れを持っているようでほかのメイド隊と比べて清掃メイド隊に研修に行く時だけテンションが少しだけ高い。それに、いい仕事をして褒められた時はアンナ、ルージュ、ノワール、プリムの時とは違い10分ぐらい褒められたことを自慢する。
そんなブラウは、実のところを言うと咲夜を相手にどうやって接したらいいか測りかねてているみたいで、どう甘やかしたり褒めたりすればいいのか私やアンナに聞いている時がある。少なくとも、ネペタちゃんみたいに甘やかしても大丈夫だよとは伝えているが、どうやら緊張のあまりあまり褒めたり甘やかしたりができていないみたい……。
プリムは咲夜に対しての甘やかしは一般的というか、大人しい方だ。というより、プリムの方が咲夜に甘やかされているまである。プリムはここに来たばかり、ということもありまだうまく他のメイドたちと馴染めていないのもあって、結構ストレスを溜めている。その為か、咲夜セラピーを重点的に受けている。けれどその咲夜セラピーのお礼なのかどうかは知らないけれど、咲夜はプリムから綺麗な文字のかきかたを教えてもらっているようで、最近少しづつ文字がキレイになっていっている。
まあ、私的にはその二つがあってもよほど激しい喧嘩をしなければいいやと考えている。
ただ、咲夜の教育に悪かったりすれば……まあ、介入もやむ無しって感じかな?
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転生93年と5か月11日目(金曜日、日中:晴れ、夜中:晴れ・半月)
久しぶり……うん、めちゃくちゃ久しぶりにレミリアお嬢様のご趣味であるお散歩にご同行することになった。ここ最近、いろいろなことがあって散歩が出来なかったり、そもそもレミリアお嬢様か私がそんな状態じゃなかったりしたので……忘れかけていた。ともかく、久々のお散歩は中々いいモノになった半月ながらに道が見えるほどの月光に照らされ、静まり返った森を歩き、時折聞こえてくるフクロウの鳴き声を聞きつつ、優雅に散歩をしていた。そして散歩をしている途中で、レミリアお嬢様と現在の紅魔館が抱えている問題について話すことができた。
まず、メイド隊の人数について……正直なところ、仕事に慣れてきた毛玉メイドや妖精メイドがそれなりに増えてきているおかげで仕事が回り、休憩や休日ができるようにこそなってはいるものの……緊急事態や各メイドたちの体調面や精神面を考えると今の数の2~3倍は数が欲しい。そのぐらい、紅魔館は広すぎる。
次に、紅魔館のメイド隊に警備隊に関するモノで、今現在紅魔館の装備や物資は枯渇気味だ。テレスちゃんのおかげで枯渇気味ですんでいるわけだが……正直、テレスちゃんの修理能力に対しての備品が壊れる割合があまりにも大きすぎている。このままのペースならば、近いうちに備品は枯渇するだろう。幸いにも、備品を生産するための素材……鉄や皮と言った品は庭園迷宮の迷い込んだ猛獣やゴーレムを狩ることで潤沢に存在している。後は、それを加工する場とそこで働く人員すら整えてしまえば何とかなるだろう。
今のところ、重大な問題はこの二つだろう。警備隊に関しては、美鈴がどうにかして人員を増やそうと頭を働かせてうなっていたし……。司書隊に関してはもう問題はほとんどないに等しい、強いて言うのならパチュリーいわくヴワル魔法図書館にいつの間にか知らない本が増えていることだろうか……。
後は、庭園迷宮の調査も順調……紅魔館にかかる魔の手も、スカーレット卿が目を光らせてくれているおかげでほとんどない。教会勢力も、この前の襲撃でだいぶ戦力を削っているので半世紀ほどは大人しくなるだろう。
後は……メイド隊の練度不足や、アンナ隊の吸血鬼メイドたちの食糧とおもちゃが人数に対して微妙に足りていない事、ユーリ君が結構大きくなり最近だと少し動くだけでも地響きが起きる事、美鈴の飼っているツチノコのロン君がどういうわけかマジの竜になった事、パチュリーがそんなロン君を羨ましがり魔法工房に閉じこもり魔法生物を作り始めた事、後はメイド隊で使っている家具がボロボロになってきたのでそろそろ交換時なこと……考えれば考えるほど次々と出てくる。
私の言葉を聞いていたレミリアお嬢様は、少しだけ問題の多さに頭を抱えていたけれどその表情はずいぶんと明るいものだった。きっと、運命をご覧になられ……いい運命を見たのだろう。
レミリアお嬢様の「がんばりましょう、マリア。」という言葉に、私は頷きレミリアお嬢様のおそばを歩くのであった。
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転生93年と5か月12日目(土曜日、日中:晴れ、夜中:曇り・多分三日月?)
今日は、特に何にもない日だった。いつも通り仕事をしたぐらいで特に何もなかった。
こういう日は、書くことに困る。強いているのなら、ユーリ君とロン君が日中に庭園で身を寄せ合って昼寝をしていたことだろうか。2匹ともそれなりに大きいので(ユーリ君に限っては歩くだけで地響きがするレベル)昼寝していた場所が少しだけクレーターになっていたけれど、警備隊が頑張って元に戻していた。
本当にこれぐらいしか書くことが無い……。まあ、今日はこれでいいか。