紅魔館に住み込みで働くことになりました。そして咲夜さんの先輩メイドです!   作:ライドウ

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△ メイド長が猫になった日 その2

無事に小悪魔ちゃんが泣き止んだあと美鈴(メイリン)から注意がかかった。

なんでも、警備隊の隊長格が目を光らせている廊下をぬけた先……紅魔館(こうまかん)本館では、武装した妖精メイドたちが警戒している、との事だ。

無論、各メイド長や副メイド長はもちろんの事、ライちゃんやカートちゃんと言ったメイド隊の中でも強い子達が警戒に当たっているみたい。

「そ、それじゃぁ……ぶ、ブラウさん達も!?」

「あ、いえ。ブラウさんたちもレミリアお嬢様の方から説明がされていると思いますよ?私に説明し終えたあと早足で向かってましたし。」

 

ということは多分大丈夫だろう。レミリアお嬢様がその手のことをミスするとは考えづらい。いや、まあ……たまにミスするけれど。

けれど、美鈴(メイリン)の言葉を信じるなら恐らくカリスマスイッチが入っているから、間違いなくブラウたちには伝えているだろう。

 

「にゃー。(それにしても、ずいぶん迅速な対応ね美鈴(メイリン)、訓練でもしてたの?)」

「メイド長、私はさすがにネコ語は分かりません!」

「にゃー!?(そんな迫真に言うことなの!?)」

「なんて言ってるか分かりませんけれども、とりあえずハイ!!」

「シャーッ!!(ドヤ顔で言うな、このおバカ!!)」

 

ベシベシと猫パンチを美鈴(メイリン)に食らわせる。「痛いですっ!あっでも肉球がっ、やわらかっ、メイド長もっと!」とか抜かすので、爪を立てて目に突きつけて睨みつけておいた。

 

「にゃー。(いい加減にしないとぶち殺すわよ?)」

「すみませんでした。」

 

さすがにすこし調子に乗ってるので分からせておいた。

いくら、敵はいないと言ってもレミリアお嬢様は『実戦のように挑め』と言っているのだ、ふざけすぎも良くないのだ。

爪を引っ込めて、小悪魔ちゃんに再び抱っこしてもらい美鈴(メイリン)に冷たい視線を送っておく。

 

「うぅ……事実を言っただけなのにぃ……。」

「だとしてもタイミングが悪いと思いますよ?」

「こ、小悪魔ちゃんまで!?」

 

よよよ〜と嘘泣きをする美鈴(メイリン)だったのだけれど、ふと真剣な表情になった。

 

「部下が来ます。小悪魔ちゃん、メイド長を連れて早く行ってください。」

「ひぇっ、は、はい!」

 

どうやら遊びすぎたようで、狼女の子が1人こっちにやってきていたみたいだ。

真剣な表情を浮かべた美鈴(メイリン)に急かされるように小悪魔ちゃんはヴワル魔法図書館を後にするのであった。

 

~~~~~

 

「はぁ……はぁ、ここまで来ればまずは一安心?」

「……にゃー。(……そうでもないみたい。)」

 

廊下に置いてある木箱の山の陰で一息を着いた小悪魔ちゃんだったが、私はその先にいるおっかない人たちを見ていた。

 

美鈴(メイリン)さまったら〜、もしかしたら侵入者が逃げるからって、私たちを廊下の警備に当たらせるだなんて〜。」

「……それも、仕事。」

「…………。」

 

そこに居たのは、アストレアちゃんとメリーさんにマキシーネさん。3人ともに警備隊の隊長格を務める実力者だ。ひとつ言えることは、猫じゃない私ならともかく、今の状態(ネコの姿)の私や小悪魔ちゃんだと手も足も出ないだろう。

無能力者でありつつも、半吸血鬼(ダンピール)としての身体能力の高いアストレアちゃん。元セラフィムの堕天使、身体能力ももちろん高い……メリーさん、けれどメリーさんの真の脅威はその能力だ。『ナイフを操る程度の能力』、ナイフを投げるという行為では、アンナがギリギリ勝っているレベルだ。それでも、メリーさんの能力込みのナイフ捌きは脅威だ。

そして、騒霊(ポルターガイスト)のマキシーネさん……アストレアちゃんとメリーさんが戦闘面で脅威であるというのなら、マキシーネさんは追跡面で一番厄介だろう。霊体ゆえに壁や床をすり抜けることもできるし、飛行能力で言えばマキシーネさんは早い方だ。

 

「ど……どうしましょう……流石にここだと隠れながらも無理そうですし…………。」

「……にゃー。(私に、いい考えがあるわ。)」

「ほ、本当ですか!?」

 

=====

 

「……あら~? 小悪魔さん~。」

「こ、こんにちは~。みなさんも、侵入者の対応を?」

 

……ぎこちない言葉ながらも小悪魔ちゃんが対応してくれる。私の考えに乗った小悪魔ちゃんも、相当怖い思いをさせてしまったけれど、これもよく襲撃される紅魔館(こうまかん)が悪いのだ。今のうちに慣れてもらうしかない。

私が考えた作戦はこうだ、小悪魔ちゃんに空き箱を一つ持ってもらい私はその中に入る。小悪魔ちゃんは私の入った箱を運び、この場を切り抜ける。誰だって考えつきそうで簡単に見破られそうだけれど、その簡単に見破られるのにやるか?という穴をつくのだ。

 

「その箱はなんです~?」

「これ、ですか?実は、急いで避難しないとなのにパチュリー様にこれを捨ててきてって言われてしまって、あははっ……。」

「……その、パチュリーは?」

「私も戦えるわって言って、魔法図書館にいますよ?」

 

小悪魔ちゃんの感じている怖さが、箱の中にいる私に震えとして伝わってくる。

相当無理しているみたいだけれど……ここを抜けないと、ノワールに会いに行くことはできない。

 

「まあ~大変ですね~。」

「……マイペース。」

「あははっ……じゃあ、通っても大丈夫ですか?」

「どうぞ~、気を付けてね~?」

「ここは、暗いからね。」

 

よし、何とか二人は騙せたみたいだ。けれど、ここまでマキシーネさんが黙っていることが不安だ。

 

「では、私はこれで~」

 

……と、再び箱が揺れだし小悪魔ちゃんが危険から脱した。

 

「……ボソッ」

「ッ!? し、失礼します~!!」

 

けれど、おそらくマキシーネさんが小悪魔ちゃんに耳打ちをした途端、箱が揺れる感覚が大きくなった。いったい、何を言われたんだろう。しばらく酷い揺れに酔いそうになりながらも耐え、ようやく小悪魔ちゃんが箱から私を出してくれた。

 

「な、何なんですかあの人……こ、怖すぎますよぉっ!」

「ま、マキシーネさんに何を言われたの?」

 

「『嗚呼、箱の中の猫は果たして生きているのか死んでいるのか、不思議なことがあるものですね。』って!!」

 

案の定、バレているみたいだ。けれど、マキシーネさんがアストレアちゃんとメリーさんに伝えていないということは、黙っててくれるのだろうか?いまいち、マキシーネさんの考えていることは分からないものの、しかし協力的ではあるみたいだ。正直、マキシーネさんはミステリアスすぎてその内背中を刺されそうで怖い。

 

「にゃー。(小悪魔ちゃん、すこし休憩して、気持ちを落ち着けましょう?)」

「は、はいぃ~……スゥー……ハァ……」

 

……それから、しばらくの間、私は小悪魔ちゃんの気持ちを落ち着けることに専念することにした。

 

 

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