紅魔館に住み込みで働くことになりました。そして咲夜さんの先輩メイドです! 作:ライドウ
小悪魔ちゃんが落ち着いてから、すぐ……私と小悪魔ちゃんは、地下室の廊下から脱出することに成功した。幸いにも、メインホールには武装したメイドの姿は見えなかったため急いでノワールのいると思われる運搬メイド隊の執務室に向かうことにした。
運搬メイド隊の執務室は、本館倉庫(代わりの部屋)の隣に存在しており、基本的に運搬メイド以外ではめったに行くことはないのある。しかし、私は総括メイド。しっかり、運搬メイド隊の執務室の場所は把握しているし、道順もよく覚えている。
「にゃー。(この先の道を右よ、小悪魔ちゃん。)」
「はいっ……それにしても、長い廊下ですね~。」
「にゃー。(それはそうね、元々
「つまり、今は普段よりも広がってるわけです?」
「にゃー。(そう言うことになるわ、そういうことをする必要になったのは
「……メイド長さん、何でそれ今言っちゃうんです?」
「……にゃぅ(あー、なるほど。フラグだったのね。)」
「ッ!警報で言われていたネコを発見!!小悪魔さんが抱きかかえています!!」
私の道案内で、指示通りに右に曲がった小悪魔ちゃんだったのだけれど……そこに居たのは、ビン底メガネをかけた妖精……オリビアちゃんがそこに居たのである。
「ま、待ってください!こ、これには深い事情が!!」
「事情は、捕まえてからじっくり聞きます!吸血鬼メイドたちがッ!!」
「それ、実質の処刑宣告じゃないですか!?」
小悪魔ちゃんが悲鳴を上げて、私を抱えたままオリビアちゃんの反対側に向けて全力疾走をする。さすがの小悪魔ちゃんも吸血鬼メイドたちの拷問の噂を聞いたことがあるようで、逃げ足が先ほどの駆け足よりも早い。
「あっ、待ちなさい!毛玉たち、足止めをお願い!」
「!!」*1
「!!」*2
「!!」*3
「!!!」*4
「?」*5
オリビアちゃんが毛玉を放ち、小悪魔ちゃんを追いかけ始める。けれど、小悪魔ちゃんの逃げ足が速いおかげでオリビアちゃんと毛玉たちから逃げ切れる。
流石の逃げ足だなぁ、と感心していたのだけれど……
「居た~ッ!まて~ぇっ!!」
「小悪魔さん!そのネコを渡すにゃー!」
「ひぃいいいっ!な、なんでこんなところにお二人がー!?」
「にゃ、にゃー。(あー……マジかぁ。)」
よりにもよって、メイド隊の中でも実力者であるマグちゃんとカートちゃんが走ってきた。
おそらく、警報が鳴って本館の警戒に当たっていたところ、偶然小悪魔ちゃんが目の前を走ってしまったのだろうか……?それとも、オリビアちゃんが能力を使い、毛玉たちに連絡して毛玉メイドがそれを伝えたのか……。少し考えてみるけれども、普通にオリビアちゃん経由で伝わったんだろうなぁ、と考えてしまう。
まあ、見つかってしまった以上は、逃げるしかない。というわけで、小悪魔ちゃん、(死ぬ気で)頑張って!
「いやぁああああっ!私、身体能力そんな高くないんですぅーーーーーっ!!」
「逃げ足が速い~!」
「……うん? あの猫ってもしかして……?」
カートちゃんがなにか感づきそうだけれど、残念なことに私の正体が何なのか心当たりがないみたいだ……おのれ、パチュリーめっ! どうやれば私だと認識できないぐらいの変化を爆発で生じた煙で発生させられるんだ!一体あの部屋で何やってんだよっ!?
「あーもう、分かんないからとりあえず捕まえるにゃ!吸血鬼メイドたちに任せておけばそのうちはくだろうにゃ!」
「応援を呼んだから、追い込もう~!」
その言葉が聞こえた後、マグちゃんとカートちゃんの後ろから武装した毛玉メイドや妖精メイドが集団になって追いかけて来た。正直、そのせいで、ドドドドドとすごい音が廊下に響き、少し揺れているわけであり……。
「あぁああああっ!つ、ツボが倒れてきたぁッ!」
ヒョイッと小悪魔ちゃんが、倒れて来たツボをスライディングでかわしたり……
「止まれ!」
「ここは行き止まりだよー!」
「大人しく捕まりなさーい!」
「いやですぅううう!」
「と、飛んだぁ!?」
「すっごいジャンプだー!」
「6mはジャンプしてるのー!」
先回りしていた、メイドの集団をジャンプでかわしたり……
「こ、こんなところに行方不明になっていた小さい私が!!」
「にゃー!?(行方不明になっていた小さい私!?)」
小悪魔ちゃんいわく、いつの間にか行方不明になっていたデフォルメ小悪魔ちゃんを回収したりと、『小悪魔エスケープ』と名付けんばかりの逃走劇を披露していた……。
その光景が、なんか既視感があるなぁと思ったら、アレだ。デフォルメ小悪魔ちゃんを拾うという要素はあるけれど、インターネットがつながっていない時にプレイできるあのゲームだ。
なんだか懐かしいなぁ……上手くは思い出せないけれど、暇つぶしにはちょうどいいシンプルだけど奥の深い面白いゲームだった気がする。
「待ちなさーい!」
「小悪魔ちゃん、あの猫を連れて逃げるつもりだー!」
「そんなの許さないよー!!」
「来ないでくださいぃいいいいいっ!!」
……いろいろと、カオスな光景になってきたなぁ。
あの後、無事に小悪魔ちゃんはメイドの集団から逃げ切り、私をノワールのもとに送り届けてくれた。小悪魔ちゃんと、ノワールのおかげで私は猫の姿から元の妖精の姿にも戻れた。もし捕まっていたらどうなっていたことか考えてみるものの……流石に吸血鬼メイドたちが猫に発情するわけでもないし、きっとレミリアお嬢様のもとに連れていかれるところだったのかもしれない。
ちなみに後日。
私から、私が猫になった理由を聞いたレミリアお嬢様は、パチュリーを呼び出し許可のない実験の禁止を言い渡していたのだけれど、どうやらあの騒動の間にパチュリーの望みの物……生き物は完成していたようで、何と”マンティコア”のオスとメスをペットにしていたのである。それを見てしまったレミリアお嬢様は、思わず気絶をしてしまっていたのでした。
あ、もちろんお世話はパチュリーがするみたいだけれど、基本的なお世話は
ある日、『小悪魔エスケープ』の単語が浮かんで、書きたくなってメイド長を猫にした。後悔はない。
元ネタのあのゲームはオンラインでもできるみたいですし、たまにやってみるのもいいかも……?
おまけ
「…………。」(ユーリ君)
「ゴルルルル……ッ」(ロン君)
「キシャーーーーッ」(
「グルルルル……ッ」(マンティコア夫婦)
「なんで紅魔館は危険な存在ばかりペットにするんですかー!?」