紅魔館に住み込みで働くことになりました。そして咲夜さんの先輩メイドです!   作:ライドウ

65 / 161
☆ 93冊目 28~29ページ

転生93年と5か月21日目(月曜日、日中:晴れ、夜中:晴れ・半月)

 

昨日、一昨日と妖精メイドを新しく雇用したのをきっかけに、(どうやって広まったのかは不明だが)紅魔館(こうまかん)のメイドとして働きたい!という妖精が大勢やってきた。

その妖精のほとんどは、一般的な妖精の類いではあったのだけれど、その中に一人……名前を持ち、なおかつ能力を持った妖精が居た。

その妖精の名前は、セリアちゃん。”好みの紅茶を生み出す程度の能力”という、ひどく限定的な……しかし、この紅魔館(こうまかん)において重要な能力を持つ子が、メイドになりたいとやってきていたのだ。

メイドになりたいとやってきた普通の妖精たちは、とりあえずアンナとオリビアちゃんに預けて、私はセリアちゃんを執務室に案内し、面接(お話)を開始した。

 

セリアちゃんと話したことで分かったことが結構あった。

まず、セリアちゃんは元々普通の妖精だったこと、紅魔館(うち)と同じように妖精に教育を施す所で知識を付けた事、その当主の為に働こうと思ったが、従者に虐待をするタイプの当主だったために逃げた事、逃げた後も各地の吸血鬼貴族やその他人外貴族の屋敷に雇用されたものの、そのすべてがクソ当主だった目に、逃げてきたこと。(ちなみに、レミリアお嬢様を連れ去ろうとしていた吸血鬼(勘違いクソヤロー)の所にも雇われたが、1時間で逃げ出したらしい。)

色々なところに雇われたが、雇用主がクソだったので逃げまくったという経歴を聞いて、何というか、主人運が無いんだなぁ、と少し同情してしまった。

ともかく、いろんな雇用主から逃げて、それでも誰かに使えていたいという奉仕魂を持て余しているところに我が紅魔館(こうまかん)の噂を聞きつけて、やってきた……というのが、セリアちゃんの雇用アピールだった。

その際に、セリアちゃんの能力”好みの紅茶を生み出す程度の能力”を使い、私好みの紅茶を淹れてもらったわけだが、大変美味しい物で、紅茶に関しては味のうるさいノワールと、給仕係としてよく紅茶を飲んでいるアンナ、この紅魔館(こうまかん)ではトップクラスの紅茶淹れの腕前を持つ、吸血鬼メイドのフーリンに飲んでもらったのだけれど3人とも合格を出していた。

あと、紅茶によく合うお菓子作りの腕もあるみたいで、その腕を見込んでルージュの調理メイド隊として雇用することになった。

 

その後、セリアちゃんの能力をレミリアお嬢様とフランお嬢様にもお披露目、ご試飲してもらうことになった、最初はレミリアお嬢様とフランお嬢様はその能力を絶賛、紅茶の方もお二方のお好みということもあり、血入りの紅茶を飲み干しなさったのだけれど、普段のお茶会では私の紅茶を飲みたいとおっしゃった。

それを聞いたセリアちゃんは、いつか普段のお茶会でも飲まれるように働きながら能力のパワーアップをすると決意を燃やして、打倒私を目指しだしたのであった……。

 

~~~~~

 

転生93年と5か月22日目(火曜日、日中:晴れ、夜中、晴れ、満月)

 

警備隊の人員不足……それは、メイド隊の人員不足と同じぐらい深刻な問題だ。

警備隊とメイド隊は、今の所必要最低限の人数がその能力を最大限発揮できる職場環境でなんとか回っている状態であり、実のところを言うときちんと休めていない子が多い。もちろん、元気な子はとても元気だ。けれど、体力の回復にも個人差というものは存在するので、元気そうには見えていても体は疲れているという子もいる。そう言う子は、知らず知らずのうちに頑張り過ぎてしまい、過労で倒れてしまう。今はまだ、ライちゃんがいるおかげで休憩時間に仮眠を取ったり、休んだして最大のパフォーマンスをできるようになっているが、それもライちゃんへの負担を考えるとあまり褒められたものではない。

 

メイド隊に関しては、ライちゃんがいるというギリギリでセーフになっているストッパーが存在しているが、警備隊に関してはアウトだ。

警備隊は紅魔館(こうまかん)の警備の他に、庭園の手入れ、庭園迷宮の調査、農園の管理と言った、肉体労働が主だ。(メイド隊も肉体労働だが、庭園の手入れや農園の手入れなどは、どちらかと言えば重労働に入るだろう。)

ともかく、メイド隊に並んで警備隊にも人員は必要なのである。

 

それを解決するべく、私が美鈴(メイリン)と警備隊の増員について話していると、アンナが話を偶然聞いていたらしく、一人いい傭兵が居ると話してくれた。

アンナが教会に居た時代、十六夜(いざよい)アンナではなく、アンナ・ゲールマンだった時、凄腕の傭兵が居たと聞いたことがあるらしい。

その時のアンナは、一匹狼でとにかく人外を殺し回っていた時代だったため詳しくは知らないが、「教会にアンナあり、傭兵にベナミあり」という言葉ができるほどの強さらしい。そんな話をしていると、アイーダちゃんが1人の妖精を連れてやってきた。美鈴(メイリン)とアンナにも同席してもらったわけなのだが、後から考えると圧迫面接っぽかったなぁ。

 

ともかく、私、アンナ、美鈴(メイリン)の三人で一人の妖精を面接することになったのだけれど、何とその妖精は、噂したばかりの傭兵……”べナミ・ディフェクタム”その人、いやその妖精だった。

しかし、ベナミさんは妖精にしてはずいぶんと変わった姿だった。角が生えており、しまっている翼を出してもらうと、レミリアお嬢様と同じ蝙蝠のような悪魔羽。どちらかと言えば、妖精ではなく悪魔(デーモン)と言える容姿ではあったものの、偶然通りかかった妖精に詳しいブラウが解説してくれた、妖精たちの中でも戦闘に特化した妖精がいて、ベナミさんはその妖精種……戦闘妖精というたぐいの妖精らしい。また、そう言った妖精は、妖精らしからぬ特徴を持っていることもあり、時々悪魔や天使と言った存在に間違われるそうだ。ベナミさんが悪魔ではなく妖精ということはブラウの保証がされたため間違いないだろう。

 

さて、ベナミさんが妖精と判明した後、面接が始まる。

自己アピールに得意な事、能力を持っているのならその能力の説明や、これまでの経歴に過去にどういったことがあったのかという確認。最後のこれは、割と悲しい過去を持っている子が多いため、聞くようにしたのである。

 

まず、ベナミさんは戦闘に関しては自信があるとのことだ。

育ての親がシルクロードからやってきたグルカ兵で、そのグルカ兵に師事を受けていたそうだ。しかし、そのグルカ兵が寿命で人生を満足げに終えて一人の身になり、傭兵稼業を続けていたわけだがそろそろ仕えるべき場所を探すべきかと考え、妖精を優先的に雇っていると噂が広まっている紅魔館(こうまかん)にやってきた。というのもあるし、ベナミさん曰く、あの人外嫌いのアンナが紅魔館(こうまかん)に居るというのを見たかったということもあるらしい。

そして、能力も持ち合わせているようで、その説明もしてくれた。その能力の名前は”等価交換する程度の能力”、代償を支払うことでそれに見合ったものが受けられるという能力だ。

この能力のいい点は、代償さえ払えば(人体限定ではあるものの)欠損や大怪我を即座に治すことができるということ、さらに言えば、代償はその人に行くが他人にも付与可能とのことだ。

ベナミさんは、主に五感を代償に支払っており、そのおかげか戦闘妖精の中でもかなりの強さを持つとのことだ。ちなみに、一応ものでも行けるとのことだけれど、よっぽど希少価値の高いものではないと代償として使えないそうだ。

念のために聞いたことだったのだけれど、それで分かったこともあった。ベナミさんは自己犠牲の精神があり、過去に仲間を庇ってとても危険な戦地に飛び込んだことがあるそうだ。

 

そこまで聞いて、美鈴(メイリン)が意見を出し、ベナミさんを警備隊で雇うことにした。

もちろん、他の警備隊のメンバーと同じお給料と仕事条件を提示したわけだが、ベナミさんは少しだけ傭兵時代の感覚が残っているのか契約前の報酬を要求してきた。

しかし、残念なことに美鈴(メイリン)にはその契約前報酬を払うだけのものを持っていなかったわけである。

その為、美鈴(メイリン)に貸し1として、収納空間から一本の宝剣を取り出した。レミリアお嬢様とのお散歩で、レミリアお嬢様の悪癖で発見された異様に硬い宝剣で、敵を斬る……というより、鍛冶師が自らの技術を披露するために作り上げた剣……と言った方がいいような剣を前報酬として渡すことになった。そして、渡して分かった……ベナミさんは相当な武器マニアである。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。