紅魔館に住み込みで働くことになりました。そして咲夜さんの先輩メイドです!   作:ライドウ

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☆ 92冊目 20~23ページ

 

転生93年と1か月6日目(木曜日、日中:晴、夜中:晴・満月)

 

私が紅魔館(こうまかん)、ひいてはレミリアお嬢様に拾われてから悠久とも思える月日が流れ・・・早93年と1か月6日の月日だ。正直に言えば、苦はなくむしろ楽しかなかった。つい最近、レミリアお嬢様が100歳の誕生日をお迎えになったことで、紅魔館(こうまかん)の裁量決定権をレミリアお嬢様に返してからというモノ、私の苦労は泡のように消えていき、メイドとしての仕事を優先できるようになったどころか、休日ができるようにもなっていた。93年近く年中無休でやっていたせいかおかげなのかわからないけれど、休日ができるようになってきたのは喜ばしいことだ。

さて、私が転生し93年、そしてレミリアお嬢様が100歳、フランお嬢様が95歳となった節目にこれまでに何があったのかを軽く書いておこうと思う。

と言っても、ほとんど平和なものだ。まずはメイド隊から書き記してみよう。

 

メイド隊は私を含めて、副メイド長で不老不死系元バトルシスターのアンナ、副メイド長補佐で毛玉の大妖精になったオリビアちゃん、調理・給仕担当メイド長のルージュと、清掃・洗濯担当メイド長のブラウの5名しか相変わらず居ない。もちろん、私も何度か紅魔館(こうまかん)の周りをうろちょろしている妖精に「メイドとして働いてみないか」と声掛けをしていたけれど、声をかけた妖精のそのほとんどに残念ながら断られてしまっている。この話は置いておいて次は個人の話と行こう。

さて、まずアンナだけれど最初はミスも目立って何度か取り返しのつかないミスを起こしかけたが、本人が頑張って改善し今ではどこへ出しても恥ずかしくないメイドに仕上がっている。けれど、アンナ自体があまりこの紅魔館(こうまかん)以外でメイドをすることに対して乗り気ではないし、そもそもアンナはレミリアお嬢様との悪魔の契約紅魔館(こうまかん)のメイドをしているのでそもそも逃げることもできないだろう。

次に、私が毛玉にメイドプリムを被せて妖精にしてしまったオリビアちゃんなのだが、93年と言う月日が流れたおかげか、最初は普通の(毛玉の)妖精だった彼女も、今では妖精としては上位の存在である(毛玉の)大妖精だ。もちろん、メイドとしての能力も十二分で天然でお調子者のアンナを見て育ったため真面目だけど柔らかい思考を持つ少女へと成長していた。言葉もしゃべりだした頃はたどたどしかったモノもハッキリとしゃべるようになり、今ではアンナのブレーキ役としても活躍している。

次にルージュだけど、ルージュもルージュで成長していた。まず、何て言うか・・・身長が伸びた。元々が156㎝台だった身長が173㎝ぐらいにまで伸びて、顔立ちはシュッとした童顔だ。残念ながらスタイルはスレンダーなままだったが、本人曰く「むしろ動きやすい」とのこと。

最後にブラウだがほとんど変わっていない、元々166㎝で少女らしい顔つきとスタイルを持ち、アンナに次ぐ胸の大きさを持つ。(少しでいいんです。私に分けてください。)けれど、強いて変わったところを挙げるとするならば、いつの間にかモフニストになっており、自分の仕事が終われば、中庭に出てオリビアちゃん配下の大毛玉をモフモフしつつブラシで毛並みを整えることが多くなった。

ちなみに私は4㎝ほど身長が伸びた!

 

さて、次はレミリアお嬢様とフランお嬢様についてだ。

レミリアお嬢様は100歳となり、御父上であるスカーレット卿との約束で無事この紅魔館(こうまかん)の裁量決定権を持つことになった。急に渡したためてんやわんやしていないか心配だったが、割と慌てずにスカーレット卿の書斎を自分の執務室にリフォームしてしまい、その隣に自分の私室を構えた。私が今までさばいていた書類や手紙、見合い状(ときどきフクロウ便を通じて送られてくる迷惑メール)を、初めてのはずなのに慣れた手つきで名前を書いたり、じっくりと黙読した後その手紙に対する返信をしたためたり、見合い状は焼却穴(いろいろ邪魔なものを燃やすために庭園の隅っこのほうに深めに掘った)に放り投げるよう私に指示してくれた。これなら、下手な指導をせずに済む・・・と思ったのだけれど、10歳で発現した『運命を操る程度の能力』を58年ほど練習して操れるようになったというモノ「私は紅い月より遣わされた吸血神の天使!とこしえより出でたるザ・ワールドの使い手なり!」と中二病(例のあれ)を発動させてしまっている。100歳となった今では、ほとんどと言っていいほど鳴りを潜めているが、私は知っている・・・私室の吸血鬼が写る特別製の鏡の前で、カリスマポーズの練習をしていることを。そして、最近の趣味はお散歩なことを。

対してフランお嬢様はそんなレミリアお嬢様を見ているからか、反面教師として素直で淑女らしく育っている。そして、フランお嬢様の悩みのタネであった『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』は完全にフランお嬢様がコントロールしていて、完全消滅~デコピンほどの痛みと言う風に威力を調整できるようになっているとのことだ。試しに、花瓶の中にある枝を折るように能力を使用してほしいと伝えると、花瓶の中にある枝を粉になるまで破壊していた。それぐらい精密使用ができるようになっている。

さらに言えば、レミリアお嬢様とフランお嬢様の仲は良好だ。一時期は、お二人とも変な性癖に目覚めてしまうのでは?と言う、否定することができない不安がメイド隊に蔓延していたのだが、結果的に言えば二人はそんな性癖の扉を開けずに、すくすくとお育ちになった。それを見てメイド隊の全員が、ホッとため息をついた。

 

けれど、この紅魔館(こうまかん)を取り巻く問題は終わっていない。

まず第一に人手不足だ。今の紅魔館(こうまかん)はお世話をする主人がレミリアお嬢様とフランお嬢様のみで、客人はめったに来ないのでとりあえずスカーレット家の威厳が損なわれない程度の清掃はしてある。けれど、この紅魔館はただでさえ広大、私とアンナ、オリビアちゃん(と配下の毛玉たち)とブラウの総出で清掃しても1日で半分ほど終わるかどうかという部屋と廊下の長さだ。正直、嫌になりそうだ。もうちょっと人手が欲しい。

次に、庭園についてだ。庭園は私が手入れをし、手の空いたオリビアちゃんと(その配下の毛玉たち)でお手入れをしている。しているのだが、それでも手が足りていない。割と見えない裏手や農具を収納している倉庫の方は、背の高い雑草が生え散らかし、ときおり胴体がずんどうの蛇を見かけるぐらいだ。いま考えれば、アレはツチノコだったんだよなぁ・・・捕まえておけばよかった。

最後に食事情についてだ。レミリアお嬢様とフランお嬢様は吸血鬼、私とルージュとブラウとオリビアちゃんは妖精(もしくは精霊)、アンナは不老不死の人間で、メイド隊は、何も食べなくても動くことはできるアンナの場合は餓死しながら働くという死神も真っ青な状態になるのだろうけれど、不老不死なので問題はないだろう。

問題はレミリアお嬢様とフランお嬢様だ。妖精か精霊な私たちと、不老不死な人間のアンナとは違い、お二方は生きている吸血鬼。そう()()鬼だ。吸血鬼は、血を主食とする必要がある、幸いにもレミリアお嬢様とフランお嬢様は吸血に関しては小食であり、少量で済む。ちなみに何もしなかったわけではない。不老不死なだけで人間のアンナの血を、一度レミリアお嬢様とフランお嬢様が味見なさったことがある。結果は、まあ・・・お二人とも「くっそマズイ」の一言だった。アンナはその日、一匹の大毛玉を涙で濡らし、その大毛玉に慰められていた。

以上の三つが今の紅魔館(こうまかん)を取り囲む問題だ。割と、何とかなりそうな問題だろうとタカをくくると痛い目を見る。なにせ、まだ東方紅魔郷(原作)紅魔館(こうまかん)()()()()()()ではないのだ。

 

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転生93年と1か月7日目(金曜日、日中:晴、夜中:晴・半月)

 

今日はレミリアお嬢様のお散歩の日だ。80歳になってからというもの、レミリアお嬢様は夜中にメイド隊の誰かひとり(まあ大体は、私なのだが)を連れて散歩に行くことが趣味になっている。曜日は月曜日と金曜日に、大体1時間ほど散歩をしたら紅魔館(こうまかん)に帰るという、一般的に言えばジョギングに変わりがない。ちなみに、天気が曇りだったり雨だったりすると諦めて執務室で読書していることが多い。(まあ、お散歩に行くたびに落とし物を拾うからできれば月曜日と金曜日の夜中にだけ雨が降ってほしいのだが・・・)

 

さて、なぜそんなことを書いたのかと言うと、今日もお嬢様は落とし物を拾っていた。いや、正確には落とし”者”だったけど・・・。ともかく、落としモノを拾ってきたのだ。目を離した一瞬に林の中に飛び込み、傷だらけでボロボロの中華服を着た少女を担いで出てきたとき、思わず悲鳴を上げてしまった。レミリアお嬢様は見ず知らずなため助ける義理も損得も考えてはいなかったようだけれど、「目の前で傷ついて倒れている人を見捨てるほど私は冷血じゃない」の言葉に根負けし、その日のお散歩を中断し、私の能力で紅魔館(こうまかん)のメイド休憩室に移動した。ちょうどアンナが居たため、大急ぎでベットに寝かせて医療処置を施す。アンナもオリビアちゃんに声をかけて水桶と大量のタオル・・・そしてブラウが念のためにと言って作ってくれた医療用の器具を持ってきてくれて、スムーズに処置を施すことができ、彼女の力次第だが回復へと向かうだろう。途中からルージュとブラウが手伝ってくれたのもあって、夜が明ける前に彼女の傷はすべてふさぐことができた。

 

レミリアお嬢様が見つけて拾ってきた、中華服を着た少女が倒れていた原因は傷のせいではなかった。その少女の傷はどちらかと言えば浅く、矢傷もそこまで深刻なほど深く突き刺さっていたわけでもない。けれど、彼女が倒れていたのは別の要因・・・アンナの古巣である化け物討伐組織の祝福された武器が原因のようだ。アンナが詳しく説明してくれたのだが、化け物討伐組織には人間の力を増幅させ、人外に対する力を封じ込める”祝福”があるとのことだ。アンナに実演してもらったところ、レミリアお嬢様が嫌悪感にあふれた顔で見ていたので間違いはない。私が試しに触れてみたのだが、何ともなく・・・けれど、確かに中華服の少女を蝕んでいるエネルギーと言うことが分かった。だが、アンナが言うにあくまで『封じ込める』だけであり、しばらくすれば自然に封印が解けて、彼女は起きるとのことだ。その言葉を聞いて安心した半面、アンナの古巣・・・化け物討伐組織に対して本格的に対策しなければと考えてしまう。

 

そして、この日はそれ以外何ともない、普通の一日だった。

 

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転生93年と1か月8日目(土曜日、日中:晴、夜中:晴・三日月)

 

お前もなのか!

そう叫んでしまうぐらい、中華服を着た少女は一日で目を覚ました。傷一つなく、昨日まで蝕んでいた祝福の影響まできれいさっぱりなくなっている。もちろん、私の叫びは他のメイドにも聞かれていたようで、アンナを除く全員が、アンナがすぐに目を覚ました時のように中華服を着た少女に対してドン引きしていた。

 

目を覚ました彼女は、普通に私たちと会話ができスムーズに話し合いが進んだ。中華服を着た少女の名前は紅美鈴(ホン・メイリン)。東の方に存在する清と言う国からシルクロードを通って、このヨーロッパで妖怪・・・こちらで言う化け物と言うことを隠して、傭兵をしつつ生活していたらしい。確かに彼女の外見だけを見れば、珍しい髪色を除いてほぼ人間の容姿だ。下手に隠すより大っぴらにした方がバレにくい容姿ともいえる。しかし、ある時・・・とある依頼主の護衛で教会に向かった際、妖怪であることがバレてしまい、教会から化け物討伐組織を向けられて襲撃された。もちろん、依頼主は妖怪と言うことを知らなかったが・・・問答無用で化け物討伐組織は妖怪を匿ったという罪でその場で首をハネられ、美鈴(メイリン)は命からがら、その場からは逃げおおせたものの・・・やがて追いつかれてあの森で戦い、追い払ったが祝福された武器のせいで思ったように体が動かせなくなって倒れて、レミリアお嬢様が見つけて拾ったということらしい。

そのことをレミリアお嬢様にお聞きすると「あの運命はそう言うことだったのね」と仰った。どういうことかと尋ねると、「気になる運命があったから引き寄せてみた、そしたら美鈴(メイリン)が倒れているのを運命通りに見た。これが運命の操る程度の能力を持ちしこのザ・ワー(ry」長くなりそうなのでオリビアちゃんに頼んで大毛玉を突撃させ、レミリアお嬢様の顔に直撃してもらいモフらせておく。彼女の命を救ったのは確かなのだろうが、そういうことは散歩についていく私に真っ先に教えてほしいものだ。その為、その日のおやつの時間に出すお菓子をアップルパイから、レミリアお嬢様が苦手でよく残しているニンジンを使った”キャロットカップケーキ”をお出しした。フランお嬢様は美味しそうにアップルパイを食べていたが、レミリアお嬢様はおびえながらキャロットカップケーキを食べて・・・そのままハマってしまった。

 

さて、問題の美鈴(メイリン)だが、もちろん彼女にこちらでの身寄りや傭兵としての仕事は難しくなるだろう。アンナが言うに化け物討伐組織はしつこいらしく、撃退しているゆえに見つけたら見つけたですぐさま追撃をしてくる。そうなれば美鈴(メイリン)の傭兵としての仕事は難しいし、そもそもシルクロードを通って清に帰ることも難しいだろう。美鈴(メイリン)はその言葉を聞いて泣き出しそうになったが、レミリアお嬢様がしばらく考えたのちに私に聞いてきた。「メイド隊の仕事で、メイドがやるべきじゃないことってどんな仕事?」とお聞きになられたので、私は「庭園のお手入れと、警備ですね。庭園のお手入れは私が、ブラウが掃除のついでに紅魔館(こうまかん)を警備してますけれど、一人だと結構手が足りなくて、休憩時間もかなり少ないです。」と答えた。

すると、レミリアお嬢様がしばらく考えて美鈴(メイリン)に質問した。「美鈴(メイリン)、君は庭の低木の手入れはできるかしら?」と聞くと、美鈴(メイリン)は「は、はい!お師匠様の元でそちらも修行しました!!」とのこと、それを聞いたレミリアお嬢様は「警備隊の隊長、そして庭園の庭師としてあなたを雇うけど、どうかしら?」と、おっしゃった。そんな甘い提案に美鈴(メイリン)が乗らないわけがなく、二つ返事で了承していた。思わず驚いてレミリアお嬢様を見ると、フフンと言った具合にドヤ顔を私に向けていた。人手が足りないのでちょうどよかったのだけれど、それでもキャロットカップケーキの刑は逃げられませんよ?

 

そんなこんなで東方紅魔郷(原作)において、3面ボスを担当し、紅魔館(こうまかん)の門番 兼 庭師の紅美鈴(ホン・メイリン)がこの世界の紅魔館(こうまかん)のメンバーに加わった。

 

追記

美鈴(メイリン)が雇った早々に警備隊 兼 庭師の増員要請をした。増員できれば苦労はしないよッ!

 





美鈴が加入しましたね!
やったねメイド長!仕事が減るよ!!

ちなみに、91冊もの日記帳はメイド休憩室においてあるメイド長用の机の3番目の引き出しの内部空間を広げて、その内部空間に本棚を設置してその本棚にしまってあります。
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