紅魔館に住み込みで働くことになりました。そして咲夜さんの先輩メイドです! 作:ライドウ
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side:アンナ
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その立ち振る舞いは、まさに『完璧なメイド』と呼ぶにふさわしいだろう。でも実のところ、そんなメイド長でも完璧じゃないところがある。その完璧じゃない部分というのが、メイド長は”働きすぎる”のだ。
話を聞いた限りだと、レミリアお嬢様に
ともかく、レミリアお嬢様とフランお嬢様のお父上に正式に雇用され、レミリアお嬢様の専属メイド兼レミリアお嬢様とフランお嬢様の母代わりとなったメイド長だが、その時はメイド長しかいないこともあり、何でもかんでもメイド長がやっていたらしい。今でこそ、清掃メイド隊や調理メイド隊と言ったメイド隊が存在する……けれど、そこから長い間は私やブラウさん、ルージュさん、オリビアちゃんの数人で仕事をしていたのだ。
当時は、私も過労死しながらずっと働き続けていて、今じゃ親友の死神メイドちゃんが魂を狩りにきたのにドン引きしてたなぁ……。
ともかく、その間の癖がいまだに抜けていないのかメイド長はやけに他のメイドの仕事をやる。休んでほしいのに仕事をしてしまうのだ……それもほぼ無意識に。95年分、そうやって働き続けて来たということもあって、中々抜けないのは理解しているけれども……最近では人数もかなり増えて来たし、書類だって雑務メイド隊のおかげでかなり量が減っているのだ。
たまにはこう……なんていうか、丸一日サボってほしいとメイド隊だけでなく警備隊や司書隊のみんなが考えているのである……。
「と、言うわけで知恵を貸してほしいっす。」
「お貸しくださいレミリアお嬢様!」
「えっ……?い、いきなり何??」
長々と地の分で自分語りをした後、
何やら本を読んでいたご様子だが、私と
「レミリアお嬢様、お口が開いていますよ!!」
「ムグッ!?」
「さ、
話は変わるが、
この子、メイドとしての仕事中とか研修中では|かなり真面目でキリっとしているのだ、メイドとしての目標は間違いなくメイド長だし、その意欲も高い。
けれど……素が、ね?素が
「さ、
「はい、アンナ姉さん!」
「ケホッケホッ……何かしら、なんだか気分が……」
「レミリアお嬢様ダメっす!その扉だけは開けちゃダメっすよ!?」
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しばらくお待ちください……
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あの後、何とかレミリアお嬢様の
「ふぅん、なるほどね?メイド長……マリアが95年間働き続けてたから、そのせいで無意識のワーカーホリックを発動してるので、どうにかしてマリアを休ませたいってことね?」
「説明を3行にまとめてくださり感謝っす。そのとおりっすよ。」
「実際、お母さまは休憩時間とか寝る前に日記を書いてますけれど、それ以外だと働いているところしか見ません!」
大げさかもしれないが、メイド長が椅子に座る様子を見るのはほとんど見ない。というか、いつご飯を食べているのかさえ不明だ。ルージュさん曰く、メイド長も同じ時間に食べているとのことだけれど……私の部下を含めて全員が、メイド長が同じ時間帯に食べていたことを初めて知ったぐらいだ。
「……もしかして、マリアはまともに休んでいない可能性がある?」
「もしかしたらそうかもしれないっすね。」
実際に見た訳ではないけれど、メイド長の側にいることの多い
もしかすると、休憩中に他のメイドの目を盗んで何かしらの作業をしているのかもしれないと考えると、ゾッとすると同時に、怒りが少しだけ沸いてくる。
けれど、メイド長も考えあってのことだろうし、実際メイド長が働かないといけない環境だったことも考えると怒るに怒れなくなってしまう。
「……メイド長への愚痴はこの辺にして、そろそろ本題に入りましょうっす。」
「そうね……たしか、メイド長を休ませる方法だったかしら?」
「そうですレミリアお嬢様!」
「……私の当主命令で一日休ませるとか?」
「それでもいいんっすけれど、そう言う日って大抵侵入者とかトラブルが起きて結局メイド長が働く羽目になるっす。」
「言われてみればそう言う日が多いわね……。」
「それなら私がお母さまと一緒にお部屋でお休みします!」
「いいかもしれないっすけれど、
「うっ……。」
「アンナは何か考えているの?」
「一応、
「「「うーん…………。」」」
あれこれ考えては見ているけれども、どれも納得のいくものが出ない。
「ピクニック……行ってみたいなぁ。」
ポツリと、
そう言えば、
そういえば、メイド長が
「私にいい考えがあるっす!」
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あの後、とんとんと話が進み。メイド長本人の休みも作ってもらい、私が考えたいい考え……庭園迷宮第3層の湖にピクニックに来ていた。
心地のいい湖風が吹き、春の陽気のような日差しが少しだけ眠気を誘う。
「いい天気ね~。」
「そうっすね~!ちょうどいいぐらいの晴れで……ふぁ~、ちょっと眠くなるっす。」
ピクニックの準備で忙しかったからか、自然とあくびが出てしまう。もちろん、ピクニックの準備をしたのは私一人ではなく、
「わぁー!すごいすごい、とってもきれい!お母さま~!アンナ姉さ~ん!はやくはやく!!」
「気を付けるっすよ~!あんまり走り回ると危ないっす~!」
「はーい!」
私が注意をすると、
「アンナもすっかりお姉ちゃんね。」
「へへっ……そうっすか~?」
妹……妹か。血は繋がっていないものの、容姿が瓜二つな私と
「メイド長が言うなら、そうなんっすね。」
「ええ、私が言うんだから……間違いはないわよ。」
自信たっぷりなメイド長……お母さんを見て、自然と笑い声がこぼれてしまう。
お母さんはそんな私を見て、ニコニコと笑顔を浮かべていた。
「みてみてお母さま!アンナ姉さま!!魔力が詰まった金色の杯が流れてたの~!!」
「「なんでそんなものが!?」」
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そして、なんかとってもいい感じな湖の畔*1を見つけて、そこでお昼を取ることにした。作ってきたのは、ピクニックと言えばの定番、サンドウィッチだ。
ルージュさんに頼み込んで美味しいサンドウィッチの作り方を指導してもらい、最終的に私と
それをメイド長が口にすると……
「んーっ……とっても美味しいわ!」
「にひっ、上手くいったっすね!」
「うん、アンナ姉さん!」
メイド長の目が輝き、アホ毛がブンブンとしっぽのように動きまくっている。
メイド長が喜ぶ姿を見て、私も
談笑しながら、メイド長、私、
……やっぱり、メイド長も疲れを隠していたのだろう。やがて私と
「……上手く行ったね、アンナ姉さんっ。」
「そうっすね……ふぁ~、アタシも……少し眠いっす。」
ポカポカと温かい木漏れ日から差し込む光、そして春風のような心地のいい湖風……温かいメイド長の体温、それが私にも眠気をもたらした。
よく見ると、
……メイド長には少し悪いけれど、私は体をずらし……メイド長の膝を枕にして、
「ふぇっ……アンナ、姉さん?」
「
「……うんっ。」
比較的穏やかな
母は娘二人を膝枕しながら……姉は、母の膝枕を堪能しつつ妹を抱きかかえ……妹は大好きな姉に抱き着かれながら、大好きな母のすぐ近くで……
きっと、その光景を絵画に残したのであれば……きっと後世に非常に美しい芸術作品として世に残っていただろう。
だが、そんな無粋な真似をするような存在は、そして彼女たちの幸せを邪魔するような存在は、この場にいないのであった。
大変長らくお待たせいたしました!
こちらリクエスト二つ目、ハーヴァ様ご応募のお話となっております!
今回のお話では親子3人、家族水入らずということでそれぞれの素をかなり出すようにしました!
また、今回のお話は個人的にかなり悩みました。こう、いい話を書こうとするとシリアスになる持病があって……ともかく、最後までシリアスにはならないように気を付けたため、最後はこの形となりました!
長々となりましたが、このお話をリクエストしていただいたハーヴァ様!
繰り返し感謝を申し上げます!まことに、ありがとうございます!!