紅魔館に住み込みで働くことになりました。そして咲夜さんの先輩メイドです!   作:ライドウ

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お待たせしました!
こちら、マグノリアハーゼ様リクエストのお話となっております!



□ マルガさんの菜園づくり

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side:マルガハーリー

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紅魔館(こうまかん)の庭園には警備隊の『農園』が存在する。

様々な種類の農作物や、庭園迷宮内で捕まえた家畜たち……挙句の果てには果樹園まで存在する大きな農園だ。

そんな農園の隅の方の一角……日当たりもよく水捌けのいい場所に、私の……『マルガの個人菜園』を持てることになった。

 

 

 

私の名前はマルガ=ハーリー、ハーフオーガの魔術使い。

オーガの里から成人と同時に旅立って、いろいろあって紅魔館(こうまかん)のメイドとして働いている。メイド……って、言ってもほとんど司書みたいな立場ではあるかもしれない。

普段は、ヴワル魔法図書館という紅魔館(こうまかん)の地下にある大図書館で働いているのだけれど……今日はその日の当たらない地下室から出て、ずっと前からの趣味でもある菜園を作ろうと、こうして外に出ているのだけれど……。

 

(中々、ヒドイ荒れようだなぁ……)

 

私がもらった農園の隅の方の土地は、一言で言えば荒れ地であった。

木は乱雑と生えて倒木しており、雑草も好き勝手に育っており、野生化して独自に進化したのか実から棘が出ているトマト(今思うとなんだコレ)がところどころに生えている。

そう言えば、ここの土地を貰うとき狼女の人が「一度は畑にしようとしたけれど、嵐で台無しになったし、人でも足りないので放棄した場所だよ」って言ってたっけね。たしかによく見ると、畑道具や斧と言ったものが置きっぱなしになっているし、作りかけだけれど倉庫のようなものがある。

 

(とりあえず、始めるか。)

 

作りかけの倉庫に近づき、狼女の一人から借りたハンマーを手に取った。

 

~~~~~

 

「おーい、マルガさーん!」

「……ん、みんなどうしたの?」

 

しばらく作業をしていると、数人の狼女の人たちが農園の作業着のまま、私の菜園予定地に来ていた。

 

「農園のお仕事が終わったから、マルガさんのお手伝いしてもいいー?」

「……お願いしてもいい?」

「もっちろん!任せてよっ!!みんなー、マルガさんがお願いだって!!」

「よーし、やろう!」「まかせてー!」「がんばろー!」

 

わちゃわちゃと狼女の人たちが雑草を抜いたり、木を切り倒したり、倒木を協力して運んだり……手慣れた様子で作業が進んでいる。私も、彼女たちに負けずに作業を励み、協力しながら小屋の作製を頑張った。

狼女の人たちと協力しながら、菜園の下地を作っていると……

 

カランカランカランッ!

 

みなさーん、お昼休憩の時間でーす!キリのいい所で、お昼休みに入ってくださーい!!

 

遠くの方から、オリビアさんの声が拡声魔法を通じてここまで聞こえてきている。

私も、狼女の人たちもその声を聴いていったん作業の手を止めて、いつの間にか作られていたテーブルと椅子に集まる。

 

「もうこんな時間か~。やっぱり、作業してると時間が早いね~。」

「警備の仕事をしていると時間は長く感じるのに、作業とかしてるとあっという間だもんね~。」

「そういえば、マルガさんの方のお仕事はどう?司書隊って、どんな仕事をしてるか分からないんだけど……。」

「……そうだね、私の仕事は大半が本の整理かな。」

「えっ、それって毎日なの?」

「……うん。あの図書館は、なぜか本が勝手に移動している時があるから。」

 

ヴワル魔法図書館では、不思議なことにきちんとそろえたはずの本棚が次の日には順序がめちゃくちゃになっているということが毎日のようにある。最初はまだ教育中の妖精メイドや毛玉たちに時々混ざってる”悪毛玉*1”のイタズラなのかなとは思い、一日中本棚の監視をしていたこともあったのだけれど……不思議なことに一瞬目を離した隙に、整理したはずの本棚がごちゃまぜになっていたのである。パチュリー様が調べている最中だけれど、黒無地の魔導書(ベシュヴェールング)解読の片手間にやっているので、いつ解決するかは未定である。

 

「あ、みなさんこちらにいたのですね。」

 

と、狼女たちと談笑しているとバスケットを持った毛玉メイドがやってきた。どうやらお昼ご飯を持ってきてくれたみたいだ。

狼女の一人が駆け寄り、その毛玉メイドと少し話した後バスケットを持ってこっちに戻ってくる。そのバスケットの蓋を開けると、中に入っていたのはスタンダードな具材のサンドウィッチがたくさん。丁寧に作られていて、一種の芸術作品化のようにも見える。

それを、菜園にいるみんなで分け合いつつ美味しくいただく……うん、美味しい。具材はほんとにシンプル、ベーコン、レタス、トマトの三つで、はさんでいるパンにはそれぞれマヨネーズとマスタードが塗られている正直、こんなにおいしいサンドウィッチを食べたのは初めてかもしれない。

 

「あーっ、これ農場で育てたレタスとトマトだ!」

「このベーコンは……うっうっ、おいしいよぉっ。」

「うちの成果がこうして大切に使われるだなんて、感動~っ!」

 

……狼女たちがそれぞれ反応している。見ていてとって面白い。

 

~~~~~

 

「ふぅ、お腹いっぱーい!」

「農業って、素晴らしいねぇ……。」

「狩りとは違う良さがあるよね。」

 

「よーし、じゃあマルガさんの菜園づくり、再開しよう!」

「「「おー!」」」

 

お昼も食べ終わり、菜園づくりを再開する。それぞれ、得意分野を担当したり、時々私が細工したり、美鈴(めいりん)さんのペットのロン君が様子を見に着たりと、いろいろなことがありつつも……

 

「菜園完成―!」

「わーい!」「やったーっ!」「農園に負けないぐらい立派!!」

「……満足する出来だね。」

 

無事に菜園が完成した。趣味でやるとはいえ、ここまで立派な菜園を貰ってもいいのかちょっと不安になるぐらい立派だ。

でも、それはそれとして狼女の人たちと一緒に、菜園が完成した喜びを分かち合う。

 

「ところで、マルガさん。この菜園には何を植えるの?」

「……魔法植物を、植えようかなって。」

 

実のところ、菜園を作った理由はヴワル魔法図書館で保管している魔法植物の在庫が少なくなってきているからだ。魔法植物といっても、ごく一部の安全で日の光が必要な種類のみを育てようと思っている。それ以外の魔法植物は保管庫の隣に、室内菜園で育てているけれど……私が育てようとしている魔法植物はよく使われる代物だ。そのため、パチュリー様がどうにかしてその魔法植物を増やそうかと考えている時に、趣味を兼ねて私が育てることにしたのである。ちなみにその魔法植物は、ポーション作りや錬金術にもよく使われる代物だ。

 

「なるほどね。だったら、植物の育成は私たちじゃ手伝えないかも……。」

「……ん、大丈夫。魔法植物の他にも、育てるから。」

「そっちは手伝えるね!」

 

……前から思っていたのだけれど、狼女の人たちは何ていうか……昔、人間の父が連れてた大型犬みたいな感じがする。感情表現が豊かで、嬉しかったり人と会ったりするとしっぽをブンブンと振り回す様子が、なんだかとっても懐かしい。

たまには実家に手紙でも書いてみようかなぁ……。

そんな事を考えつつ、私は一度ヴワル魔法図書館へと戻るのであった。

*1
額に悪って書かれた少し悪い顔した毛玉





次回は、バスクケーキ様リクエストの「ビビオンダイアリー」を予定しています!
首を長くしてお待ちください!!
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