紅魔館に住み込みで働くことになりました。そして咲夜さんの先輩メイドです!   作:ライドウ

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聖母(マリア)戦争 その4

テリーの能力”ありとあらゆるものを都合よく歪める程度の能力”は、現代で分かりやすく言えば、ハッキングである。本来なら使うための権限を持たないパソコンに対して、ウイルスを使い侵入し強引に使う。それがテリーが”ありとあらゆるものを都合よく歪める程度の能力”と自称した能力だった。

 

そして、この能力を使いテリーはレミリアに対して能力行使(ハッキング)を行った。

マリアの誘拐に最も厄介なのは未来を見通す能力を有する”運命を操る程度の能力”を操るレミリアただ一人。他のモブみたいなメイドや狼女たち、無駄に背のデカいパチモン中国女や自分より賢いクソ陰キャぽっちゃり魔女、時を止めるだけの可愛くないクソガキや、破壊しか能のないキ○ガイ吸血鬼は、自分自身に不可視の概念を歪めて貼り付けることで突破できるが、レミリアだけは違った。

だからテリーは、吸血鬼には”一応”生理周期があるという点を利用し、レミリアの女の子の日の酷さを人間があまりの痛みでショック死するレベルに歪めたのだ。その結果が、レミリアの女の子の日ということであり、紅魔館(こうまかん)にできた一瞬の隙であったのだ。

 

だが、そのレミリアがココに居る。

恐怖すら感じる笑みを浮かべ、グングニルを輝かせ、自らを殺そうとゆっくりと歩みを続けている。

 

「こ、殺せっ……は、はやくあいつを殺せ!!ボ、ボクに近づけるな!絶対にだ!ど、どうしたお前ら……早く動けェッ!!

 

テリーが再び、プライドもクソもない悲鳴に似た指示を飛ばすように見せかけ、異形化吸血鬼たちの身体能力に自分の能力を発動する。異形化吸血鬼たちの存在をさらにゆがめ、自分の命令を絶対に死守するようにし、身体能力の向上、耐久能力の強化、攻撃性の暴走もさせ、突撃の指示だけでなく挟撃や空中からの強襲も命じる。

先ほどまで、元となった吸血鬼の理性が残されていたであろう異形化吸血鬼たちの瞳は不気味なほどに緑色に光りだし、ゆっくりと歩いてくるレミリアを排除すべき外的、そして新しい獲物と認識し襲い掛かる。

 

「ひひっ、ひっーひっひっひっひっーひひひひひひひっ!!!終わりだ、終わりだ!死ね、死ね、死ね!!ボクの邪魔をした天罰――――――」

 

「――――――ビビオンちゃん

 

テリーが勝利を確信し笑い出すと、レミリアの歩みが止まり、小さく何か名前のようなものを口ずさむ。

するとレミリアのちょうど目の前に、一人のメイド服を着た人影が降り立ち、右手の持った弓に腰部にある矢筒から作り出された矢を複数つがえる。

 

指示(オーダー)受領、束ね撃ちにて殲滅します。』

 

無機質な少女の声が宣言し、複数つがえられた矢が発射される。しかし、一射だけでは終わらず、素早く複数の矢をつがえて放ち、また繰り返す。

大量に放たれた矢は、異形化吸血鬼の群れに命中し、一部異形化吸血鬼がそのまま絶命した……だが、他の異形化吸血鬼が進み続けようとした途端、死亡した異形化吸血鬼に刺さった矢が爆発し、多くの異形化吸血鬼が巻き込まれた。その結果……レミリアに襲い掛かろうとしていた異形化吸血鬼は、全滅した。

爆発で起きた黒い煙がやがて晴れ……爆発の衝撃で天井が一部崩れたのか、紅い月明かりがレミリアと、レミリアの前に立ったメイド服の少女……ビビオンを照らす。

 

「ご、ゴット○ーガンだとぉ!?」

『……殲滅を確認。』

 

ビビオンの口こそ動かないが、たしかにビビオンから声が聞こえてくる。改造した際に発声機能を付けたのだろう。だがそれはいま語るべきことではない。

 

「ありがとうビビオンちゃん。戻っていいわ。」

『この程度、造作もないことです。失礼いたします。』

 

「ぐっ……グググウウウウウウッ!!こ、これでも喰らえっ!!テリーウルトラハイパースペシャルアルティメットデススーパーバレット・乱れ撃ちッ!!」

 

余裕綽々なレミリアとビビオンのやりとりに、テリーの怒りが爆発する。

そして、アンナを増やしたあの不可視の即死弾を何十発も放ってきたようだ。さすがのレミリアでも見えない物を避けることはできない。そこまで”運命を操る程度の能力”は万能ではないのだ。

だから、家族(部下)に力を借りることにする。

 

「セキュアちゃん……安置に案内、お願いできないかしら?」

「お任せください!レミリアお嬢様!!」

 

不可視の即死弾が飛んでくる中、セキュアがレミリアと手をつなぐ形で現れ……セキュアが能力を発動させる。セキュアの能力である”安全に案内する程度の能力”は、道案内の途中であれば『必中』の概念すら歪めて安全に案内する事すら可能な能力だ。セキュアがレミリアの手を引いて案内すれば、面白いようにテリーの必殺技(笑)は外れてゆく。

 

「あれ~?これ、私が案内する必要、ありました~?」

「もしかしたら、必要なかったかもしれないわね。それでもありがとう、セキュアちゃん。」

「お役に立てて光栄です!それでは失礼します~。」

 

そう言い残しセキュアが先ほどのビビオンと同様に消える。

 

「お前……その能力はなんだ!?おかしいだろう、何でお前がそんな能力を持っている!?」

「あら、家族の絆にケチをつけるだなんて……あぁ、だからあなた家族に嫌われて―――」

「う、うるさいうるさいうるさい!!しねしねしねしねぇっ!!テリーウルトラハイパースペシャルアルティメットデススーパーバレット・極太ッ!!」

 

煽られたテリーが発狂しながら、不可視の巨大な即死弾を発射する。見えないのは確かだが、殺意が形となって気配して分かるためレミリアはまたメイドを読んだ。

 

「メラルドちゃん、お願いしていいかしら?」

「お、お任せください!てりゃー!!」

 

呼び出されたメラルドが能力を発動し、盾をブン!と振ると不可視の巨大な即死弾はテリーの方へと跳ね返る。本来なら、メラルドの能力”護る程度の能力”と前までのメラルドの精神状態ではテリーの必殺技(笑)を跳ね返ることは不可能ではある。跳ね返す前にメラルドが”護る程度の能力”のデメリットで死んでしまうだろう。

だが、短い間ではあったが紅魔館(こうまかん)で過ごした日々によりメラルドの精神は回復し、さらにはほめて伸ばす方針のメイド隊、そして信頼して任せてくれたレミリアへの忠誠心により、メラルドは不可能を可能にしたのである。

 

ひっ、ヒィイイイイイイイイイッ!!

「……あら?」

 

跳ね返された必殺技(笑)は、もちろんテリーに向かったわけだがテリーはどういうわけかとても大げさにその攻撃を回避する。そして、必死な表情を浮かべギリギリで回避をすると、安堵のため息を吐いていた。

それを見たレミリアはある可能性が浮かぶが……確信が持てなかった。その為メラルドにお礼を言いメラルドに下がってもらい、今度は答えを知るには最適な二人を呼び出した。

 

「フォリアちゃん、クエスちゃん……ちょっといいかしら?」

「ただいま伺いますっ。」

「はーい、何か御用でしょうか?」

 

フォリアの能力は”答えを知る程度の能力”。自問自答という形ではあるし、使用するたびに頭痛が起き、意味のない質問だと最悪気絶もしてしまう自他ともに認める使い勝手の悪い能力だ。そのアカシックレコードに等しい能力は、普段はレミリアの許可がなければ使用することはできないが、今回ばかりは使うことを許した。

 

「まず、フォリアちゃん。アイツがあそこまで大げさに避けた理由は何かしら?」

「……お待ちください。…………イタッ、わ、わかりましたっ!あ、あのクズは自分の攻撃以外だと死にませんが、自分の攻撃だとどんなものでも即死します!」

「なるほど?じゃあ、クエスちゃん。アイツにそれが真実か質問してちょうだい?」

「は~い!ねえ、ボク?いまフォリアちゃんが言ったことは本当~?」

 

そしてフォリアの保護者であるクエスの能力は”質問をする程度の能力”。今だに制御ができずに、ふとした独り言でも能力が発動し、なおかつ相手が強気であったり自我が強ければ能力を無効化されるこれまた面倒な能力ではあるが、相手に無理やりに質問した答えを言わせることができ、クエスの性格的に難しいかもしれないが拷問において最も有効な能力である。

そして、今のテリーは、レミリアに怯え弱気になっている状態だ。そんな状態でクエスの能力を喰らえば……。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!……ッ、言葉が勝手にッ。だが、それが分かったからと言って、貴様らに攻略できるはずがないだろう!!」

 

そう叫び、テリーがレミリアたちに向かい突撃する。

フォリアとクエスが武器を構え迎撃しようとした瞬間、レミリアが飛び出しテリーよりも早くパンチを繰り出した。

テリーの整いながらも狂気的に歪んた顔にレミリアの拳が深々と突き刺さり、レミリアの拳はテリーの顔の骨を砕く感触をしっかりと感じ取る。その感触を頼りに、レミリアが拳を振りぬき、テリーがまた大きな破壊音と共に壁に叩き付けられう。ガラガラと壁だった瓦礫が崩れ、土煙が上がる。

 

……土煙が少しずつ晴れると、レミリアに顔面を砕かれ死んだはずのテリーは頭を失いながらも立ち上がっていた。

 

「……ほんとに殺せないのね。驚いた。」

 

右手をテリーを殴ったときに出た返り血で汚しながら、レミリアは驚いた表情で頭のないテリーを見ていた。あのパンチで、あの感触があったのにもかかわらず……そして、パンチの瞬間にテリーに”殴られて頭蓋骨が砕けて脳が傷つき死ぬ運命”を付与したにもかかわらずに、生きているのだ。それに、いくら吸血鬼と言っても頭が無ければ死ぬはずだが……。

 

「まあ、とっても都合がいいわ。」

 

しかし、レミリアにとってテリーが死なないということは喜ばしいことだった。

 

「まず、『私にあの痛みを与えた罰』を、そして『紅魔館(こうまかん)に混乱を与えた罰』を、『私の家族(部下)に不便な生活を強いた罰』を、『私の家族(部下)に恐怖を抱かせた罰』を――――――

 

――――――そして何より、『私の妹に汚らしい手で触れて挙句凌辱しようとした罰』と『私の大切なヒトであるメイド長(マリア)を連れ去った罰』を与えられるんだからね。」

 

グングニルを、頭を再生しだしたテリーへと向けそう宣言する。

頭を無くし、脳すらないはずのテリーだが……それでも思案し、レミリアを出し抜く方法を考える。

異形化吸血鬼はまだまだ大量にいる。自分もいくら殺されようが死なないから何度でも戦える。紅魔館(こうまかん)のクソモブメイドどもを召喚する能力は分からないが……

 

だがらぁっでぇ(だからって)でめぇがおれにがでるわげねぇだろぉがぁ(テメェが俺に勝てるわけねェだろうが)れみりあぁあああああああっ!!」

 

再生中の頭部から響く絶叫、それに合わせてルヴェア城のあちこちに異形化吸血鬼が現れだす。

 

おればむでぎだ!(俺は無敵だ!)でめぇがいぐらづよがろうど(テメェがいくら強かろうと)いぐらざごのがずをぞろえようども(いくらザコの数を揃えようと)おれにば(俺には)むでぎのいぎょうぐんだんがいるんだ!(無敵の異形軍団がいるんだ!)ぞれにぃ(それにぃ)でめぇらのぢんげなごうげぎでぇ(テメェらのチンケな攻撃で)おれがじぬわげねぇだろうが!(俺が死ぬわけねェだろうが!)あのづぎみだいに(あの月みたいに)あがいろばらまいでじね!!(赤色ばらまいて死ね!!)

 

 

「ふふっ……こんなにも月が紅いから本気で遊んであげるわ。楽しい夜になりそうね。

 

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