転生93年と1か月12日目(水曜日、日中:曇り、夜中:雨・たぶん満月)
美鈴が倉庫付近の探索と、雑草の除去、土地の整理をしてくれたおかげで、倉庫の隣に畑を切り拓くことになった。野菜の種は無いと思われるかもしれないが、じつのところを言うと、レミリアお嬢様のお散歩で、ときどき拾うことがあるので、その点は心配いらない。トマトにニンジン、パプリカにキャベツに、あとは小麦も!とにかく、お昼の間に切り拓いた畑に種を植えて、芽が出るまで管理する。その役目は、美鈴が自分から引き受けてくれた。聞いた話によると、農作は修業時代にやっていたので、問題はないとのこと。畑を見つつ、紅魔館の庭園の管理、そして紅魔館全体の管理と忙しそうだが、美鈴いわく、「庭木の手入れと、草を刈ったりするのは、メイドのお仕事を比べるとそこまで大変ではありませんよ?あと、この子たちもいますし!」と言われて、何も言い返せなかった。
さて、実はめでたいことは美鈴が農婦になった、と言うだけでなくもう一つある。
なんと、メイド隊に人手が増えた。毛玉の大妖精であるオリビアちゃんだが、彼女は言葉も覚え仕事もそつなくこなし、なんなら悪い意味で目を離せないアンナのお目付け役だ。そんな彼女には、371匹の毛玉が配下としてこの紅魔館にいる。なぜ、そんな話をしたのかって・・・?そんな371匹の毛玉たちのうち、4匹の毛玉が人型に変化したからだ。休憩中に進化?したので、私とオリビアちゃんは紅茶を思いっきり吹き出してしまった。
その毛玉は、オリビアちゃんの配下たちの中でも古参の方(見た目ではわからないけれど、オリビアちゃんが言ってるから間違いはない。)髪形は、オリビアちゃんが緑色の妖精らしい髪色なのに対し、元の毛玉と同じ真っ白な髪だ。そんな変化した毛玉は最初は表情を変えて困惑していたものの、次第になれたのか、いつのまにかメイド服を着てメイド休憩室の掃除を始めていた。オリビアちゃんの指示なしで動けるようになり、やり方も丁寧で即戦力、文句なしだ。オリビアちゃんが困惑していたが、メイド隊には人手が足りないんだよぉッ!今は毛玉の手でも借りたいんだよぉッ!!(切実な叫び)
・・・コホン。ともかく、美鈴が農婦になった事、毛玉が人型になってメイド隊の即戦力となった事をレミリアお嬢様に伝えると、レミリアお嬢様も笑うしかなかったようで、微妙にひきつった顔をして笑みを浮かべていた。フランお嬢様は、理解が追い付かなく背後に宇宙が見えていた。アンナは、お腹を抱えて笑い出し、そのまま酸欠で笑い死んで生き返った。ブラウは現実逃避をして、ルージュは頭を抱えていた。美鈴も口をあんぐりと開けて人型になった毛玉を見ていた。
こうして、紅魔館の記念すべき最初の一般メイド(役職を持っていないメイド)は、毛玉の一般メイドだった。(ちなみにオリビアちゃんに通訳を通してもらったのだが、どうして人型になったのか人型になった毛玉たちも分からないらしい。)
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転生93年と1か月13日目(木曜日、日中:雨、夜中:雨・たぶん半月)
さて、毛玉が人型になるという原作シリーズからしても前代未聞どころか、アンチが喜んで叩きそうな事態が起きた日から、たった一日。人型になった毛玉たちは、オリビアちゃんが3年でマスターした言語をたった1日でマスターした。しかも、たどたどしいというわけではなく、少し教えただけでスラスラと言葉が流れるようにその口から出てきていた。オリビアちゃんがそれを見て、ショックでメイド休憩室のベットで私の膝を枕にして寝込んでしまった。ちなみに、「ぬるぽ。」と言っても首を傾げたから、おそらく中身は私と同じと言うわけではない、純正なこの世界産の魂だ。
人型になった毛玉・・・面倒くさいので”毛玉メイド”と表記しよう、毛玉メイドの4人をそれぞれ2人に分けて、一組をルージュの厨房組に、もう一組をブラウの清掃組にあてた。毛玉メイドたちはオリビアちゃんと同様、毛玉に指示こそ出せるものの、毛玉を移動させる力はないようで、本人たちはホッとしたような、がっかりしたような複雑な表情をしていた。多分、これで毛玉メイドが毛玉を動かせていたら、毛玉メイドも「やべぇ」みたいな感じで顔を青くしていたかもしれない。
・・・これで分かったことがあるのだが、毛玉には謎が多い。専門的な研究家がついていいほどに謎が多い。オリビアちゃん自体も毛玉のすべてを理解しているわけではないみたいで、本人たちも困っていた。
昨日から雨続きなこともあり、ブラウが「洗濯物が干せない」と愚痴をこぼしていたり、美鈴も「庭園の作業ができない」と嘆いていた。さすがに我慢してもらうしかないが、こういう雨続きだと不安なのが、明日のお散歩で何があるのか分からないということだ。大体こういう雨が降り続いた後にレミリアお嬢様がお散歩に出かけると、とんでもないものを拾ったりするのだ。
例としては、『命の霊薬が沸く壺』・・・一滴口に含んだだけで完全な不老不死になる薬が無限に湧き出てくる壺とか言うとんでもないものが落ちていたり。『無限に金のインゴットが出てくる木箱』だったり、『絶対に壊れない案山子』だったりと割と存在してはいけないような神器に近いものが拾われてしまう可能性が高いのだ。ソーシャルゲームのガチャシステムで言う、確定演出一歩手前の状態なのだ。これで明日の天気が、日中と夜中がどっちとも晴であるなら、間違いなくそれらと同じとんでもないものが拾われる可能性がある。明日の昼まで私は雨が降っていることを願ってみた・・・。
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転生93年と1か月14日目(金曜日、日中:晴、夜中:晴・三日月)
デスヨネー。あまりにも早いフラグ回収、私でなければ見逃しちゃうね☆
さて、現実逃避はこれぐらいにして、今回レミリアお嬢様がお拾いになった物を書き記していこう。
今回、レミリアお嬢様がお拾いになられたのは、北欧神話の最高神”オーディン”が持ち、必殺必中、持ち主を必ず勝利させ、ホーミング機能を持ち、必ず手元に戻ってくる神話の槍『グングニル』をお拾いになられた。
待てや!(ペニーワ○ズ)
なんでそんなもの・・・特に最高神が使う神器がこんなところに落ちてるんです!?ここ結構、田舎の方なんですけれど!?間違いなくここは北欧じゃないから投げたよね!でもここにあるってことは武器に愛想をつかされた・・・ってこと!?いや、武器に愛想をつかされるってなに!?まさかグングニルに付喪神的なあれが・・・?いやいやいやそんなまさか・・・。(日本神話的には八百万の神々だからあながち否定できないけれど・・・。)
・・・ともかく、レミリアお嬢様が『グングニル』をお拾いになられた。
話は変わるが、原作シリーズに登場するレミリア・スカーレットが放つ”神槍『スピア・ザ・グングニル』”は、弾幕を超高速で投げることで槍の形にしているだけのものだ。それでも原作シリーズの一部のシリーズでは防御・かすり不可の一撃必殺のスペルカードでもある・・・どこのビームマ○ナムだよ。なお、原作シリーズにおけるレミリア・スカーレットが初登場する東方紅魔郷では”神槍『スピア・ザ・グングニル』”は登場せず・・・のちに発表された別のゲームでレミリア・スカーレットの代名詞となったわけである。
なにが言いたいのかと言うと、原作シリーズにおける”神槍『スピア・ザ・グングニル』”はコピーでもレプリカでもなければ、あくまで名前を使っただけの吸血鬼の身体能力を利用して超高速で投擲したただの弾幕だ。本物のグングニルの権能を持つわけでもなく、ただのパロディだ。
しかし、私がいるこの世界では、レミリアお嬢様は本物の『グングニル』を拾ったのだ。そう、必殺必中、持ち主に必勝効果にホーミング機能に、必ず手元に戻ってくる本物の『グングニル』だ。
どこから東方紅魔郷ブレイクになったのかは、私がメイド長になっている時点で言いたくはないが・・・もし東方紅魔郷が起きる前の吸血鬼異変が起きたら、幻想郷は勝てるのだろうか・・・。
まあその時のことは、その時に考えよう。とにかく、レミリアお嬢様が本物の『グングニル』を拾って、お気に召してしまったので振り回さずに私室か執務室の壁に飾ることを条件にレミリアお嬢様に預けた。お喜びになる姿はとても可愛らしかったが、『グングニル』が視界に入ると気が気ではないのは内心の秘密だ。