紅魔館に住み込みで働くことになりました。そして咲夜さんの先輩メイドです! 作:ライドウ
「……みんな、そろっているわね?」
その動作に合わせるように、メイドたちや狼女たちは整列し、背筋を正し、真剣な面持ちでレミリアお嬢様のお言葉に耳を傾けるように集中しだしました。
「ふふっ……そんなに畏まらなくていいわ。少し肩の力を抜きなさい?」
でもレミリアお嬢様には、少し恥ずかしかったのかニヤニヤする口を隠しながらそうおっしゃった。
住人たちは、その言葉にそれぞれ笑いつつ立ちながらも楽な体勢になっていった。
「さて、庭園迷宮の調査報告を詳しく聞く前に……庭園迷宮が何なのか分からない、もしくは忘れたというメイドや警備兵は居るかしら?恥ずべきことではないから、正直に手をあげなさい?」
レミリアお嬢様が上座からゆっくりと下りながら、大広間に居る住人たちに問いかける。レミリアお嬢様が、恥ずかしいことではないとおっしゃったからか、ちらほらとメイドたちの何人か……主に吸血鬼メイドたちや
「よろしい、正直……私も詳しく知らないから助かるわ。」
「カリスマ状態のドヤ顔で言うことですかレミリアお嬢様。」
紅魔館の住人がずっこけると同時に、私は思わずツッコんでしまった。
私と、レミリアお嬢様のボケとツッコミに
「うー……だって~、パチェの庭園迷宮のレポートは事細かに詳しく書かれていたけど、忙しくて要点しか読んでないのよ~、うー。」
「要点だけはしっかりと読んでるんですね……。」
「まあ、その要点が43行ぐらいのなっがい奴だったけど……調査レポートなんて5枚で送られてきたし。」
思わず目が三白眼になりそうだったけれど、気を取り直すようにわざと大きくコホンと咳払いをする。
ゆるゆるな雰囲気は戻らなかったものの、私の咳払いでレミリアお嬢様……じゃなくて、パチュリーの言葉を聞くように促され、少しだけ真剣な雰囲気が戻ってくる。
「では、パチェ……みんなの前で庭園迷宮の説明、頼むわね。」
「……ええ、任されたわ。」
レミリアお嬢様が、パチュリーに声をかけて、庭園迷宮が何なのか説明するように頼むと、パチュリーは何か言いたげだったものの、緊張した面持ちでレミリアお嬢様の隣に立ち魔導書を開く。
その途端、レミリアお嬢様の上座以外何もなかった空間に、大量の椅子がキレイに整列して現れ、空中にはホログラムのようなものが浮かびあがった。
随分近未来的な様子だけれど、たぶんパチュリーほどの魔女だからこそ使用可能な贅沢な魔術の使い方なのだろう。
「長い話になるから、座って聞くことをお勧めするわ。レミィ、いいかしら?」
「ええ、大丈夫よ。」
レミリアお嬢様が許可を出された後、
全員座ったのをパチュリーが確認した後、空中に浮かんでいるホログラムの姿が変わった。
「庭園迷宮とは……この
元々、この魔道具の用途は
そのあふれ出した魔力がどこに行ったのかと言うと……長い間放置されていた庭園に流れた。これが、庭園迷宮の始まりよ。
ここまでで質問はあるかしら?」
一度パチュリーが区切り、大広間を見渡す。
そして、パチュリーの言葉に従うように、何人かの頭のいいメイドたちが手をあげていた。
「そこのメイドちゃん、質問をどうぞ。」
「は、はい!庭園迷宮の始まりについては分かったんですけれども……いつできたんですか?」
「これは私の推察にはなるのだけれど、おそらくは紀元前にまでさかのぼると思うわ。私が見つけたスカーレット家の古い時代に仕えた従者の手記によると、レミィが生まれる4251年前から
と、言うのも『この時代からスカーレット家、ハンターグリーン家、ミッドナイトブルー家のにらみ合いが始まったから』と言うのが私の考えよ。」
「なるほど、回答ありがとうございました!」
「次に質問がある子はいないかしら?」
再びパチュリーが質問がないか確認するが、先ほどより数が減っていた。
どうやら、さっきのメイドちゃん……運搬メイド隊のユーチカちゃんと同様の質問をしようと考えていた子が多かったみたいだ。
「じゃあ、そこの警備兵さん、質問をどうぞ?」
「はいっ、誕生した経緯と、いつごろできたかという質問を踏まえて、各階層がいつぐらいにできたか~……とか、わかりますか?」
「あぁ、あなたは確か図書館でダンジョンについて調べていた人ね……良いわ、それも踏まえて答えましょう。
まず、ダンジョンがどうやってできるのかは話の流れで分かっている子が多いだろうけれど、特定の場所の中心に魔力が集まり、それが”ダンジョンコア”になる事でダンジョンが出来上がるわ。大体のダンジョンは、平均100年程度で1階層分の成長をするのだけれど……庭園迷宮はどうやら例外らしくてね。けれど、大体の予想はつくわ。
第2階層は4123年前、第3階層は4064年前、第4階層は3023年前、第5階層は2083年飴、第6階層は1852年前……そして、第7階層は……492年前よ。」
「フランと同じ年数!?」「わ、私と同じ年数!?」
パチュリーの言葉に、レミリアお嬢様とフランお嬢様が驚き、大広間に居る住人達もザワザワと騒ぎだす。
「ま、まてパチェ!つまり、庭園迷宮はまさか……。」
「レミィの考えている通りよ。元々庭園迷宮は第1層で終わるはずだった。実際、庭園迷宮の第1層はいまだに拡大の兆しを見せているし……警備隊の報告書を信じるなら奥地に行けば行くほど強い魔物が現れているの。
じゃあ、第2階層からはどうなのかと言うと……庭園迷宮が調査され始めてから第2階層以下の階層は、成長も拡大もしていないわ。これは、明らかに迷宮に誰かが手を加えていたということになる。
もちろん、手を加えた犯人はこれまでのスカーレット家の当主かお抱えの魔法使いか魔術師でしょうね。古代の魔法使いや魔術使い……おそらく、そのどれも魔女や魔法使い・魔術使いの教科書に載るレベルのね。」
「じゃ、じゃあ第7層は誰が!?」
フランお嬢様がパチュリーに駆け寄り、見上げながらそう聞く。
「おそらくは……スカーレット卿か、
ここで、彼女の名前が出てきたこと、それには私も驚く。
パメラ・スカーレット。レミリアお嬢様とフランお嬢様の実の母親にして、フランお嬢様をお産みになった際に出血多量で死亡してしまったスカーレット卿の妻……。
これまで、スカーレット卿の口から死んだ事しか伝えられておらず……彼女のお墓も、遺体の行方も、レミリアお嬢様とフランお嬢様はこれまで一切知らなかったのだ。
それが、こんな形で、再びその名前を聞くことになるとは……。
「強力な存在が守っている第7層……いったい、お母様は何を……。」
「お姉様……。」
レミリアお嬢様は神妙な顔を浮かべ、口に手を当て小声で何かをブツブツと言いつつ、考え出し……フランお嬢様は、そんなレミリアお嬢様をみて、不安げな表情を浮かべている。
「……だいぶ話が逸れてしまったけれど、質問の回答はこれでいいかしら?」
「は、はい……ありがとうございます。」
それからしばらく、パチュリーによる庭園迷宮の説明があったが……
レミリアお嬢様とフランお嬢様は、まったくパチュリーの話を聞けていなかったのであった。
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「さて……私からの庭園迷宮とは何かの説明は以上よ。有意義な時間になったら、幸いね。」
と、パチュリーが礼をしながらそう言うと大広間に大勢の拍手が響いた。
しかし、レミリアお嬢様とフランお嬢様は未だに考え事をなされているようで、パチュリーの説明が終わっても動じなかったのである……。
仕方なしに、私がレミリアお嬢様の隣に立ち言葉をかけることにした。
「パチュリーの分かりやすい説明もあった事ですし、次は警備隊による現在の庭園迷宮について報告してもらいましょう。
「お任せくださいっ、メイド長!」
と、
そして、パチュリーが展開しているホログラムに目を向け……そのごパチュリーに目配せして、第1層の情報に切り替わった。
「私からは、調査の結果判明したことと、そこに出てくる魔物……そして攻略時の注意について説明しますね。
まずは、私たちがよく知る庭園迷宮の第1層……警備隊では”庭園”と名付けて調査を終了していますが……先ほどのパチュリーさんの説明通り、現在でも成長と拡大を続けており……第1次庭園迷宮攻略戦の前調査により発見された第2階層へと続く階段のある広間から、新たな迷宮が広がっています。
警備隊は、この新しくできている迷宮を”庭園奥地”と名付けて調査を実行……しかし、”庭園奥地”はこれまでの”庭園”とは違いランダム性が非常に高い迷宮になっており……正直、出てくる敵を調査する程度しか調査の成果は得られていません。
庭園奥地は、今回の第2次庭園迷宮攻略戦では調査および攻略はしませんが……パチュリー様が言及したので、ついでに説明させていただきました!」
ここまでで一度きり、またパチュリーに目配せをする。
パチュリーは「やれやれね」と言わんばかりに肩を竦めたものの、素直に第2階層の情報に切り替えていた。
「続いては、第2階層……警備隊では”廃屋敷”もしくは”旧
こちらは、第1次庭園迷宮攻略戦後から拡大や成長が確認されておらず……また、長年の調査と警備隊の調査員の活躍により、完全攻略されています。
ではなぜ、今回この説明をしますのかと言うと……あっ、説明する?分かったわ。」
と、説明しよとした
たしかあの人は、最初に人型化した狼たちの中でも未だに怪我をせずに現役で戦っているレンデさんだったかな?
「
この”廃屋敷”の調査中に、実のところ”フロアボス”と呼ばれる魔物が出現することがありました。
それが、”ドラゴノイド・ガーゴイル”……竜と人の特徴を持った非常に完成度の高かった大きなガーゴイルが廃屋敷の地下大広間に存在しました。」
レンデさんの説明で、大広間が少しだけザワザワと騒がしくなる。
ガーゴイル……パチュリーいわく、魔術師が岩から彫りだし、魔術式を組み込むことで生まれる魔法生物の一体。精巧に作られれば作られているほど、その強さを増すという特徴を持っており、また岩から削り出されたことで頑丈で長持ちし、斬撃や貫通に非常に強い耐性を持つ存在だ。
しかも、レンデさんたちが発見したガーゴイルはドラゴノイド……半竜半人の特徴を持ったガーゴイルだったようだ。
「このガーゴイルと交戦し、
「そして、このフロアボスと言うのが第3階層から第7階層にかけて存在することが、最近の調査で分かったんです。」
顔を伏せたレンデさんに変わり、再び
「第3階層”湖畔”では
警備隊が発見したと思われるフロアボスの情報が次々と、空中のホログラムに映し出されていく……その一つ一つが、間違いなく……神話やそれに類する伝承に残される威圧感のようなものを感じ取っている。
「今回の第2次庭園迷宮攻略戦では、これらのフロアボスの撃破を最終目標としています。これにより、庭園迷宮を第1層”庭園奥地”を除き完全制圧、警備隊が完全に掌握することが可能です。」
「スカーレット家の紋様付きのリビングアーマーが守っている大扉……あの奥に、ダンジョンコアが存在していると私は睨んでいるわ。
どうも……迷いの森を創り出す魔道具からあふれた魔力は、あそこに流れ着いているみたいなの。本来なら”庭園”にあるはずなのに……。」
様々な謎や、力を持つ存在が居る事を知らされたこの集会……。
「さて、以上が庭園迷宮の説明と報告よ。以上を持って、本日の大集会を終了……明日の攻略戦に備え、みんな早く寝る事ね。」
しかし、今考えてもどうにもならないと考え、私は終わりの言葉を出す。
大広間に居るみんなは、それぞれいろいろと聞きたいことや言いたいことがあるみたいで、少し不満げな顔をしていたのだけれど……けれど、私の言いたいことも分かってくれたらしい。みんなそれぞれ、大広間から出てゆく。
(……パメラ・スカーレットの痕跡、ね。)
なんとか司会をし、集会を終わらせたものの……私にも、その衝撃は未だにモヤモヤを残しているのであった。
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