〓月⊇日 晴れたかな
我が六組は中中に賑やかだね。
入学して半年近くになるけど、騒ぎの中心にいる一組に負けず劣らずだと思うよ?
所謂、陽キャのギャルの集まりに放り込まれた陰キャの私には、少々荷が重い様に感じるね?
今日も新作のコスメの話題で盛り上がっていたが、地味な顔の私には過ぎたものじゃないかな?
もう少し目鼻立ちがはっきりしていればよかったかもだけど、まあ遺伝は仕方ないね。
だから、寮の部屋にまで来て私を飾り立てるのはやめようか?
∵月♭日 晴れよ
今日も平和でいいね。
特にこれといった問題も無く、何時も通りの騒がしさだったよ。
しかし思うのだけど、織斑君はどうして何時も騒ぎの中心に居るのかな?
まあ、学園に数少ない男性だから仕方ないのかな?
≡月∃日 晴れてね
どうやら一組に転入生が来たみたいだね。
しかも、片方はもう一人の男性操縦者だと聞くね。
だけど、パンピーの私が関わっても良い事は無いから、何時も通り傍観だよね。
だからね、
絶倫デュノア君計画
を立てるのはやめようか。
あの顔で絶倫という単語がくっつくのは、少々というかかなりマニアックな響きになるよ。
うん? そうだね。彼は男の子というより女の子な感じだね。
だから、燃える? ねちっこく責められたい? 攻守逆転されたい?
うーむ、君達も中々にマニアックだね?
しかし、もう一人のドイツの娘は中々に冷たい印象みたいだね。何か抱えているのかな?
くわばらくわばら、障らぬ神に祟りなし。
⇒月¬日 晴れてよ
さて、我が六組の最大の難関であるタッグマッチトーナメントが開催される事になったよ。
……本当にどうしようかな?
六組に割り当てられた練習機は、私専用みたいになってしまっている。
他の練習機もトーナメントに出ない生徒の習熟の機会に、全機予約が埋った状態。
ふむ、どうしようか。
え? 基本専用機持ち限定?
タッグ相手に選ばれない限りは出なくていい?
……ああ、良かった。
私も足を引っ張りたくないからね。
だから、私を見るのはやめてくれないかな? 織斑君。
∨月∧日 晴れた
危なかった。危うく、トーナメントに出る事になる所だったよ。
いやはや、織斑先生には感謝だね。
ほら、君達も残念そうにしないよ?
私は弱いから、すぐ凹むよ?
この学園の事だから、またすぐにそういうトーナメント開くだろうからね。
しかし、あの娘は誰なんだろうね?
友達? クラスは? 知らない?
ふむり、でも君達が友達というから悪人ではないのだろうね。
だけど、あの娘は君達と会話をしているというよりは、君達の圧に押されているだけな気もするよ?
まあ、悪い娘でないのは確かだね。
Н月Ф日 晴れたYO
さて、本日は晴天なり。絶好のトーナメント日和だよ。
だと言うのに、あれは一体何だったのだろうね?
詳しく書く気は無いよ。だけど、まあ通常からは外れた現象だったよ。
おかげでトーナメントは中止、明日まで学園も臨時休校に近い状態だよ。
いやはや、驚いたね。だが、我がクラスの明るさには救われるよ。あれを見ても、平然と騒げる。
だから、私の部屋に押し掛けるのは何故かな?
あと、君は一体何者なのかな?
気にするなと言われても、この場に居る以上は私は君に対して責任を持たなくてはいけないんだよ?
責任? うん、皆の友達が安全に過ごせるという責任だよ。
▼月※日 晴れようか
どうやらデュノア君はデュノアちゃんだったよらしいよ。
……意味が分からないね。
何故に性別を偽装したのかな?
まあ、パンピーが関わる問題でもなし、私は何時も通りに我関せずだよ。
だけど、我がクラスメイトは大騒ぎだよ。
なんでも、織斑君とデュノアちゃんが混浴をしたらしい。
確か、同室だった筈だから織斑君も中々にやるね。
まさか女学園で異性と同室になり、よもや混浴までぶちかますとは……
まさに
いやはや、青春かな?
〆月ー日 晴れるよね
織斑ダブル益荒男事件から暫く、特にこれといった問題も無く、我々は臨海学校に挑む事になったよ。
ははは、夏の海は我がクラスメイトの独壇場だよ。
コミュ力ブリュンヒルデの陽キャ軍団の力を見よ!
……ところで、なんで私を囲んでいるのかな?
水着? ははは、学園指定のものがあるよ。
待って、両サイドから抱え上げないで。寸胴な私の水着姿なんて、誰が得するのかな?
待って待って待って! あ! ちょっ……!!
派手な水着だね?
×月≠日 晴れぇ
とりあえず、ビキニは回避したよ。
まったく、こんな胸も尻もくびれも無い寸胴娘にビキニ着せるとか、どんな拷問だって話だね。
しかし、海は地味な私でも心踊るよ。
でも、はめ外しすぎて怪我とかしないようにね?
単に海水浴じゃなくて、実地でのIS操作の練習も兼ねてるからね?
まあ、初日は遊べるみたいだし、適度に遊ぼうか。
……囲まなくていいよ?
着る。着るから! 買った水着を着るから、囲まなくていいよ?!
「おい、お前」
「ん、なにかな?」
「なんで、お前は私に優しくするの?」
はて、と昼下がりの砂浜、その近くにある岩影で少女は首を傾げる。
「不思議な質問だね?」
「質問に不思議も何も無いよ」
「そうだね。……強いて言うなら、私が六組の代表だからかな」
「代表だから? それだけの理由?」
「あとは、君は皆の友達だからね。前にも言ったけど、私は代表だから責任のある立場。それに、友達に厳しくするのは必要がある時だけだよ?」
愛用の手帳を革製のベルトバッグにしまい、立ち上がると伸びをする。
尻に砂がついているが、どうせまた泳ぐのだ。あまり気にする事でもない。
「友達……」
「そうだね。〝篠原〟ちゃんがどう思ってるかは、私は知らないけどね。少なくとも、私達は君を友達だと思っているよ」
「本当に変な奴ら」
「おや、我がクラスメイトのコミュニケーション連携をくらいたいのかな?」
言うと、篠原は見るからに顔を歪めた。
しかし、それは嫌悪というより苦手なものを見た倦怠に近い。
「まあ、私は六組の代表で君がどのクラスなのかは知らないけど、君が私達の輪の中に居る間は私達は君の味方だよ」
「……そっか」
顔を俯かせる篠原に、少女は何も言わない。ただ、少しだけ遠くを眺めると、軽く手を振ってみせた。
すると、すぐに静かな岩影が賑やかになる。
「リーダー、どこ居るのさ? 探したんだよ」
「ほら、言ったじゃん。リーダーならどっか静かなとこ居るって」
「ていうか、しのちゃんじゃん。よっしゃ、これでイツメン揃った! ビーチバレーしよ!」
「え、あの、ちょっと……?!」
「ははは、こうなったら逃げられないよ?」
しのちゃん捕まえたー! と、篠原を囲み声を挙げるクラスメイトに続き、 もその後を歩く。
成り行きでなっただけの代表だが、悪くはない。
そう思えた。