六組日記   作:ジト民逆脚屋

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ずっと、泣きたくて笑ってた。

ずっと、笑えなくて泣いてた。

だけど、それは出来ないから無理して笑ってた。

ほーきちゃんとちーちゃん、いっくんに出会うまで、ずっと泣きながら笑ってた。

私は宇宙に行きたいだけなのに、その夢も叶わない。

ずっと嗤われて、泣いてた。

でも、ちーちゃん達は嗤わなかった。

嬉しかった。

私はもう、一人じゃないんだって思えた。

だから、頑張って宇宙に行く為の、届かない場所に届く為の翼を作った。

でも、結局はダメだった。

 

私が作った翼は、そうじゃない使われ方をして、宇宙じゃなくて空を飛ぶだけになった。

悔しかった。でも、何も変えられなかった。

人が求めるのは未来の価値じゃなくて、目先の価値だけ。

目に見える価値しか、見てもらえなかった。

 

ちーちゃんも頑張ってくれたけど、私の作った翼は結局地上に縛り付けられて、誰も宇宙を見上げない。

だからかな、私は少しだけ疲れちゃったんだ。

もう、終わりにしよう。

地球から離れて、自分だけで宇宙に行こう。

だから、最後に大切な三人に会おうと思って、IS学園に忍び込んだ。

そしたらさ、なんか変な奴らに見つかっちゃったんだ。

 

うん、凄く変な奴ら。

すぐ笑うし、何かにつけて騒ぐし、正直頭悪い奴ら。

……でも、誰も私の夢を嗤わなかった。

 

『しのぴー、宇宙行くの?!』

『え、マジ?!』

『やっべえ天才じゃん!』

『あーしらも行きたーい! しのっち、連れてって!』

 

誰も私の夢を嗤わず、むしろ乗り気で色々な提案までしてきた。

でも、私はあまり信用出来なかった。

どうせ、こいつらも結局は私の夢を嗤う。

そう、思ってた。

だけど、

 

『は? ふざけんなし。しのぴーの夢バカにするとか何様だし』

『宇宙行くとか、マジすごじゃん。バカにする奴がバカなんじゃん』

『多分、そいつらあたしらより頭悪いよ』

『自称エリートってやつだ!』

 

誰も私の夢を嗤おうとしなかった。

誰も、誰一人も私の夢を嗤わず、むしろ自分達も行きたいと、そう言ってくれた。

ちーちゃん達以外で初めてだった。

嬉しかった。

諦めかけた灰色の夢に、また色が戻ってきた。

私とちーちゃん達だけで行こうとしていた夢は、あの日から一気に大きくなった。

 

『リーダー! リーダーも行くよね!』

『うん? 宇宙なら私も行きたいね』

『ほらね、なら夏休みは宇宙旅行しようよ。世界初だよ!』

『え? 夏休みに?』

『ほら、篠原ちゃんを困らせないよ。でも、篠原ちゃん。皆で宇宙旅行は決定だから、抜け駆けは無しだよ?』

 

もう一度、色が付いた世界は綺麗で優しくて暖かかった。

もう、終わりにしようと思ってた一人ぼっちの夢は、気付いたら一人ぼっちじゃなくなってた。

でも、ダメ。

このままだと、皆と宇宙に行けない。

ISの技術を流用した衛星砲、あれを無くさないと皆が危ない。

もう嫌なんだ。私の夢を嗤わない人達が笑えなくなるのは、もう嫌なんだ。

だから、私が終わりにする。

皆はこの手紙に書いてる場所に避難して。

私は天災だから、私が全部終わらせる。

テロリストになんか、皆を奪わせない。

大好きな皆は私が護るから、だから皆は笑ってて。

何時もみたいに向日葵みたいな笑顔で笑ってて。

絶対、帰ってくるから。

そしたら、皆で宇宙に行こうよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、皆。これが篠原ちゃんの言い分だけど、何か言いたい事はあるかな?」

「よし、一回ひっぱたこう」

 

喧騒鳴り止まぬ整備ドックで、  がそう問えばそんな答えが返ってくる。

 

「一回ひっぱたいて、思いっきり抱き締めてやる」

「うん、そうだね。そういえば、篠原ちゃんが居なくなる夜、私実は篠原ちゃんに抱き枕にされてたね」

「は? リーダー抱き枕にするとかしのぴーうらやま」

「リーダー抱き枕券は全員にあると思いまーす」

「うーん、皆は私をなんだと思ってるのかな?」

「私達のリーダー」

「怒ると怖いコアリクイ」

「ははは、シンプルにコアリクイが出てきたね? じゃあ篠原ちゃん抱き枕券は私が貰うね」

 

緊張感の欠片も無い会話、しかし全員の目には覚悟の火が灯っていた。

 

「リーダー、準備出来た」

「うん、ありがとうね」

「リーダー、絶対に篠原ちゃんを連れ戻そう」

「うん、絶対に連れ戻すよ」

「よし、じゃあ円陣組もう! 円陣!」

 

言うなり、六組は  を中心に集まり肩を組む。

 

「いいかな? 私達は世界なんて救わないし助けない。というか、そんな事出来ない。私達は意地っ張りのわからず屋な友達を連れ戻しに行くだけだよ」

「絶対連れ戻すよ!」

「うん、連れ戻してお説教だ!」

「あーしらはしつこいぞー!」

「IS学園一年六組ー! ファイッ……!」

「オーッ!!」

 

私達は落ちこぼれだ。

世界の事も、未来の事も分からないくらいに頭が悪い。

でも、友達が一人で苦しんでるのをそのままにはしないよ。

覚悟しろよ、篠原ちゃん。

私は頭も諦めも悪いよ。

 

 

ねえ、  ちゃん。

あの日、私を見付けてくれてありがとう。

あの日、私を皆の中に入れてくれてありがとう。

あの日、私の夢に色を着けてくれてありがとう。

大好き

大好き

大好き

さようなら、大好きな  ちゃん。

 

 

今までありがとうなんて、言わせない。

これからもありがとうって言わせてやるからね。

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