ずっと、泣きたくて笑ってた。
ずっと、笑えなくて泣いてた。
だけど、それは出来ないから無理して笑ってた。
ほーきちゃんとちーちゃん、いっくんに出会うまで、ずっと泣きながら笑ってた。
私は宇宙に行きたいだけなのに、その夢も叶わない。
ずっと嗤われて、泣いてた。
でも、ちーちゃん達は嗤わなかった。
嬉しかった。
私はもう、一人じゃないんだって思えた。
だから、頑張って宇宙に行く為の、届かない場所に届く為の翼を作った。
でも、結局はダメだった。
私が作った翼は、そうじゃない使われ方をして、宇宙じゃなくて空を飛ぶだけになった。
悔しかった。でも、何も変えられなかった。
人が求めるのは未来の価値じゃなくて、目先の価値だけ。
目に見える価値しか、見てもらえなかった。
ちーちゃんも頑張ってくれたけど、私の作った翼は結局地上に縛り付けられて、誰も宇宙を見上げない。
だからかな、私は少しだけ疲れちゃったんだ。
もう、終わりにしよう。
地球から離れて、自分だけで宇宙に行こう。
だから、最後に大切な三人に会おうと思って、IS学園に忍び込んだ。
そしたらさ、なんか変な奴らに見つかっちゃったんだ。
うん、凄く変な奴ら。
すぐ笑うし、何かにつけて騒ぐし、正直頭悪い奴ら。
……でも、誰も私の夢を嗤わなかった。
『しのぴー、宇宙行くの?!』
『え、マジ?!』
『やっべえ天才じゃん!』
『あーしらも行きたーい! しのっち、連れてって!』
誰も私の夢を嗤わず、むしろ乗り気で色々な提案までしてきた。
でも、私はあまり信用出来なかった。
どうせ、こいつらも結局は私の夢を嗤う。
そう、思ってた。
だけど、
『は? ふざけんなし。しのぴーの夢バカにするとか何様だし』
『宇宙行くとか、マジすごじゃん。バカにする奴がバカなんじゃん』
『多分、そいつらあたしらより頭悪いよ』
『自称エリートってやつだ!』
誰も私の夢を嗤おうとしなかった。
誰も、誰一人も私の夢を嗤わず、むしろ自分達も行きたいと、そう言ってくれた。
ちーちゃん達以外で初めてだった。
嬉しかった。
諦めかけた灰色の夢に、また色が戻ってきた。
私とちーちゃん達だけで行こうとしていた夢は、あの日から一気に大きくなった。
『リーダー! リーダーも行くよね!』
『うん? 宇宙なら私も行きたいね』
『ほらね、なら夏休みは宇宙旅行しようよ。世界初だよ!』
『え? 夏休みに?』
『ほら、篠原ちゃんを困らせないよ。でも、篠原ちゃん。皆で宇宙旅行は決定だから、抜け駆けは無しだよ?』
もう一度、色が付いた世界は綺麗で優しくて暖かかった。
もう、終わりにしようと思ってた一人ぼっちの夢は、気付いたら一人ぼっちじゃなくなってた。
でも、ダメ。
このままだと、皆と宇宙に行けない。
ISの技術を流用した衛星砲、あれを無くさないと皆が危ない。
もう嫌なんだ。私の夢を嗤わない人達が笑えなくなるのは、もう嫌なんだ。
だから、私が終わりにする。
皆はこの手紙に書いてる場所に避難して。
私は天災だから、私が全部終わらせる。
テロリストになんか、皆を奪わせない。
大好きな皆は私が護るから、だから皆は笑ってて。
何時もみたいに向日葵みたいな笑顔で笑ってて。
絶対、帰ってくるから。
そしたら、皆で宇宙に行こうよ。
「さて、皆。これが篠原ちゃんの言い分だけど、何か言いたい事はあるかな?」
「よし、一回ひっぱたこう」
喧騒鳴り止まぬ整備ドックで、 がそう問えばそんな答えが返ってくる。
「一回ひっぱたいて、思いっきり抱き締めてやる」
「うん、そうだね。そういえば、篠原ちゃんが居なくなる夜、私実は篠原ちゃんに抱き枕にされてたね」
「は? リーダー抱き枕にするとかしのぴーうらやま」
「リーダー抱き枕券は全員にあると思いまーす」
「うーん、皆は私をなんだと思ってるのかな?」
「私達のリーダー」
「怒ると怖いコアリクイ」
「ははは、シンプルにコアリクイが出てきたね? じゃあ篠原ちゃん抱き枕券は私が貰うね」
緊張感の欠片も無い会話、しかし全員の目には覚悟の火が灯っていた。
「リーダー、準備出来た」
「うん、ありがとうね」
「リーダー、絶対に篠原ちゃんを連れ戻そう」
「うん、絶対に連れ戻すよ」
「よし、じゃあ円陣組もう! 円陣!」
言うなり、六組は を中心に集まり肩を組む。
「いいかな? 私達は世界なんて救わないし助けない。というか、そんな事出来ない。私達は意地っ張りのわからず屋な友達を連れ戻しに行くだけだよ」
「絶対連れ戻すよ!」
「うん、連れ戻してお説教だ!」
「あーしらはしつこいぞー!」
「IS学園一年六組ー! ファイッ……!」
「オーッ!!」
私達は落ちこぼれだ。
世界の事も、未来の事も分からないくらいに頭が悪い。
でも、友達が一人で苦しんでるのをそのままにはしないよ。
覚悟しろよ、篠原ちゃん。
私は頭も諦めも悪いよ。
ねえ、 ちゃん。
あの日、私を見付けてくれてありがとう。
あの日、私を皆の中に入れてくれてありがとう。
あの日、私の夢に色を着けてくれてありがとう。
大好き
大好き
大好き
さようなら、大好きな ちゃん。
今までありがとうなんて、言わせない。
これからもありがとうって言わせてやるからね。