リトライ!    作:荒星

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第10話 「五分前行動を心がけよう」

 日曜日。僕は今、札幌駅にある変な白いモニュメントの前で人を待っていた。

 

「遅いな、雪菜」

 

 待ち合わせ時間を10分過ぎても雪菜は現れない。僕は雪菜の家の前で直接待ち合わせにするんだったと若干後悔していた。

 

 

 時は少し遡って木曜日の放課後、僕たちは部室でいつも通りダラダラしていた。

 

「あー、麗子と雪菜ちゃんの対戦が終わるまで暇ね。嶺二君、宝くじのの番号今書いてるんだけど、何か良い番号ないかしら」

 

 僕が某死にゲーをしている隣で燐さんは、カードゲームをしている麗子さんと雪菜をチラリと見ながら、鉛筆を持って頭を悩ませている。

 

「すいません燐さん、今集中してるんで。おわっ危ない!?」

 

「嶺二君、だいだらぼっちがこの形態になったら小さいだいだらぼっちから倒してったほうが良いわよ」

 

「そうなんですか!? 邪魔だ退けッ!」

 

「嶺二君ってゲーム……。特に死にゲーとFPSやってると、性格変わるよね」

 

「そりゃあ必死ですから」

 

 ――ヨシ! これで……!!

 

「「あ」」

 

 どうやら小さい敵に気を取られている間に、後ろからボスに攻撃されたようだ。

 

「燐さん! 言ってることと違うじゃないですか!」

 

 僕が燐さんを揺さぶると、燐さんは抗議した。

 

「ちょ、ホントなのに! ボスを攻撃してると後ろから細々とした攻撃が来て、怯んで回避不能になったところにボスの攻撃叩き込まれるから、小さい方から片付けた方がいいのに! これはただ単に、嶺二君の腕の問題だと思います!」

 

「ぐッ! う……ひ、否定できない」

 

「ま、がんばりなさいな。あっちも終わったらしいし、私は麗子にリベンジしてくるわ! 今度こそ泣かせてやるんだから!」

 

 僕が再びコントローラーを握ると、どうやら順番が回ってきたらしい。燐さんが麗子さんの待つテーブルに気合が入った様子で歩み寄り、今度は入れ違いで雪菜がこちらに来た。

 

「どうだったー?」

 

「フツーに負けたわよ。フツーに」

 

 雪菜はそうに呟くとそこら辺に放ってあった、アニメのマスコットキャラのぬいぐるみを抱きしめ、ソファに寝っ転がりながらボーっと僕のゲーム画面を見つめる。

 

「あらら……。その様子じゃあソリティアでもされましたか」

 

「いや、それは当たり前だけど……」

 

 ――最近の雪菜、元気ないな……。

 

 最近の雪菜はどこかおかしい。気がつくとどこか上の空だったり、不機嫌そうだったり偶に泣いた跡があったりして、僕はその度に心配するのだが、のらりくらりと躱されてしまっている。

 

「雪菜……。最近何かあった?」

 

「別に……」

 

 そう言ったっきり、やはり雪菜は黙り込んでしまった。

 

「ちょっと麗子! 一人でカード遊びするのやめてよッ! つまらないじゃない!」

 

「うるさいな! 今の環境はこうなんだ! 燐! 君はいつの時代のプレイヤーだ!  ただ大型モンスターを並べるだけなんて!」

 

「だってアニメだとこれで勝ってたじゃない!」

 

 ――ちょっと黙っててくれないだろうか。

 

「はあ……。あれ見てると、悩むのも馬鹿らしくなってくるわね」

 

「あはは……。だね」

 

 そう言うと、雪菜ははにかんだ。

 

「燐の場のモンスターをすべて破壊! 私は更にモンスターを召喚する!」

 

「まだ私にはトラップが!」

 

「モンスターの効果を発動! トラップを無効化して破壊する!」

 

「ムキィー!」

 

 ねぇ、なんかリアルファイト始めだしたんだけど……。

 

「まあアレだよ。気分転換に出かけてみたら?」

 

「そうね……。そういえば、今度見たいアニメの映画があったわね……。それでも見に行こうかな」

 

「いいんじゃないかな?」

 

「そうだ! アンタも一緒に行かない? 一人で見に行くのはアレだしさ」

 

「うん、良いよ」

 

「じゃあ今週日曜日! 札幌駅に集合!」

 

「あ、家の前じゃないんだ」

 

「女の子には色々とあんの!」

 

 良かった、ちょっとは元気になってくれたみたいだ。

 

「待てカレン落ち着け! 私は悪くない! 全て燐が!」

 

「違うわ! 麗子が意地悪するから!」

 

「それがカードゲームというものだ!」

 

「だからと言って、何時でもトドメを刺せるのに刺さないで、6ターンもいたぶるなんてあんまりじゃない!」

 

「ねえ二人共、ちょっと黙っててくれないかな?」

 

「「ギャァァァァァァ!?!?」」

 

 今日もサブカル部は平和です。

 

 

 

 

 そして再び日曜日に戻る。

 

「おっ待たっせ!」

 

 僕がボーっと待っていると、背中に衝撃が走る。

 

 僕が振り向くとそこには、可愛らしいワンピースを着た雪菜が居た。

 

「ごめんごめん、遅れた! 行きましょう?」

 

 ――普段見慣れちゃってるから、気にしてなかったけどやっぱり雪菜は可愛いな……。

 

「う、うん」

 

「それにしても楽しみね!」

 

「うん! 第一作の方は作画も凄かったし、今回もワクワクするよ!」

 

 そうして僕たちはポップコーンとドリンクを買い、いよいよ席についた。

 

 

 

 

「ぽへー」

 

「……」

 

 

 ちなみに、映画は面白かったし作画も凄かったけど、最初と最後で比べてみると皆どこか元気が無かったし、僕と雪菜は真っ白に燃え尽きた。




 さて、嶺二達はなんの映画を見に行ったのでしょう……。二日連続で9時間バイトの上、疲れ果てて昼寝してたらこの時間に……。恐ろしや。
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