編集版 転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~ 作:ドラゴンネスト
「おっ、ここだ」
「ここって……」
さて、この日、四季とクリスの姿が日本のヨハネスブルクこと米花町に有った。詩乃と雫は他に用があるらしく不参加なのだが、最近評判の喫茶店に来てみたかったらしい。
側から見ればデートにしか見えない状況である。
……まあ、その場所が米花町な時点で嫌な予感しかしていないが、的中してしまった様子だ。
なお、
(……何故、彼らが私のお気に入りの喫茶店に……)
それを見ていた久瀬が二人に見つからない様に回れ右をして帰っていったりするが、それは別の話。
店名と場所を見た瞬間、四季としては微妙な目をその店に向けてしまった。
喫茶ポアロ。
死神などと呼ばれる原作主人公のお膝元である。時期にもよるが、アルバイトに公安のトリプルフェイスが、近くの寿司屋に犯罪組織のNo.2の幹部がいるトンデモ地帯である。
特に仮にも組織のNo.2が板前やってる時点で、いろは寿司の大将=組織のボスと言う疑惑さえある。
元々目撃情報の多さから、犯罪組織の幹部がこの街に定住しているのでは、と言う疑惑まであるが、現在進行形でテロ組織の幹部がここに定住している。
禍の団の構成員である久瀬達や、ソーサラーに助けられたカテレアも普通に此処で生活していたりするのは、別の話。
多分、調べれば住民票も出てくる。
悪の組織にとって居心地のいい日本のヨハネスブルク(笑)こと米花町。
そんな米花町にある喫茶店、喫茶ポアロ。クリスはそんな喫茶店の評判を聞いてそこに来たわけなのだが。
「ああ、何でもハムサンドと半熟ケーキが美味いらしいぜ」
「昼時ならカラスミパスタもお勧めだと思う」
「何だよ、知ってたのかよ?」
知ってたのならもっと早く教えてくれと言う様子のクリスに明後日の方を向きながら、軽く謝っておく。
喫茶店だけが目的では無いが、四季としては無事に終わって欲しいと思う。……強盗程度ならば物理的手段で殴り飛ばせば即時解決は可能だし。
幸いにも二人での行動と言うこともあり、バイクで此処まで来たので事件で動けなくなると言うことも無いだろう。
四季はそんな事を考えながら、クリスと連れ立ってポアロのドアを潜る。
「いらっしゃいませー! お好きな席にどうぞ!」
女性店員の梓に対応されてテーブル席に座る。
「好きな物頼んで良いぜ、アタシの奢りだ」
「いや、金ならオレの方が持ってるから……」
「偶には先輩らしい事させろよ」
普段から先輩として頼りにしているのだが、と思いながらも変に固辞するのは逆に失礼と思い、機嫌の良いクリスに素直に奢られておくことにする。
普段から四季達はクリスの事は頼れる可愛い先輩と言う認識だ。
まあ、可愛いと言う点だけは譲れないが、彼女が頼れると言う点では最も戦闘経験が多い事もあり、強敵との戦いや、世界の命運を賭けた戦いも何度も経験していると言う点もある。
「ご注文はございますか?」
「ハムサンドと半熟ケーキとコーヒーを二つ……で良いか、クリス先輩?」
「ああ」
あれだけ楽しみにしていたと言うならその二つだと辺りをつけて注文を聞きに来た男性店員にそう対応する。
特にメニューを見る事もなくそう対応する。飲み物については適当に決めてしまったが、問題はなかった様子だ。
「そう言や、夏休みに誘われてたよな、冥か……生徒会長の実家に」
「一応、上の代理として出向く様にって言われたからな……」
渡に船ではあるし、ナデシコCは使えないのでシトリー家の移動手段に便乗できるのも有り難い。
シトリー家と言うよりも外交担当のセラフォルーにも話が通っているらしく、その伝でソーナから誘われた訳だ。
日本神話の意思としては聖書側としても、四季達という無視できない戦力を得た日本神話も若手悪魔の顔合わせの会に誘われたが、代理として四季達の顧問を立てた訳だ。
日本神話側としても、態々主神が出向く必要が無いと判断した訳である。
「まあ、上の金で旅行できるのは良いけど」
「行き先が問題なんだよな……」
「「……ハァ……」」
ゆっくりと国内旅行でもしたかった所だが、そこは運命は許してくれないらしい。
「なあ、何か、この町に入ってから妙に警戒してねえか?」
「ああ、この町の警察に問題あるせいか、事件が絶えないからな」
ギャグ時空(犯沢さん)では一日の殺人事件の件数が事故を超えている、その辺歩いている人が殺人犯予備軍かもしれない危険地域だ。警戒などし過ぎという事もない。
まあ、実際には群馬県警の方がもっと酷いかもしれないが。まだ変な推理をする無能なのがいる分だけ。
厨房の方で何かが割れる音が聞こえたが、四季の言葉を聞いていた此処にいる警察関係者が動揺したのだろう。
「そもそも、聞いた話だと……日本が恋人と言う[危険人物予備軍]がいるらしいからな」
「おい! そんなヤバイ奴がいるのかよ!?」
「ああ、今は大した権力を持ってないだけ、奴よりマシなのがな」
「嘘だろ……」
厨房の方から更に大きな音が聞こえてきたが、四季とクリスの会話を聞いた、危険人物予備軍扱いされているトリプルフェイスが反応したのだろう。
だが、クリスの頭には一人の人物が思い浮かんでる事は間違いない。
『風鳴訃堂』と言う男の事が、だ。
四季としてもシンフォギア世界に関わるのならば、最悪隙を見て始末するべきかと悩む相手だが、間違いなくXV期までは生かしておいた方が助かるのも事実な、対応に困る立ち位置の超危険人物だ。
(
……例え、人に戻す方法が有ったとしても、だ。四季としては脳改造されたショッカー怪人の方が何倍も同情の余地がある。
「まあ、将来的にあの爺さんと、似た様な方向に転びそうな予備軍として考えた方が良いな」
「おいおい、この町の警察って大丈夫なのかよ?」
「大丈夫じゃないだろうな、間違い無く」
奥の方からまた音が聞こえてくる。……間違い無く奥にいるアルバイトは、将来の訃堂候補の犯罪組織に潜入調査中の警察だろう。
態々聞こえる様に警察及び当人に対する余計な一言を何度も繰り返した甲斐があった。
「おまたせしましたー」
妙に怪我した色黒の金髪の男性店員……バーボン(コードネーム)さんが注文の品を持ってきてくれた。
怪我とかぎこちない笑顔とかが気になるが、それはそれ。あれだけ当人やら警察やらへの一言を聞いていたのだから、それに反応してしまったのだろう。
ぎこちない笑顔は言い返したくても、警察関係者ではない犯罪組織の構成員として潜入してる立場と、言われて思い返した事から、何も言い返せないことから、だろう。
特に自分によく似た思想の危険人物については聞きたくても聞けないと言った所だろうか?
まあ、あまり追求せずに目の前に置かれたハムサンドに口をつける。
(あっ、美味い)
確かに評判になるだけの事はある。そう思いながら、時折りクリスの生クリームを口周りを拭いてあげながら料理を楽しんでいると、外から悲鳴が聞こえて来て男性店員が外に飛び出していく。
流石に二度目の来訪となれば慣れてくる四季と違ってクリスは動揺している様だが、
「先輩、これがこの町の日常だから」
「いや、良いのかよ、それ!?」
クリスの言い分の最もだが、それはそれ。此処は米花町だから仕方ないと言うしかない。
あれよあれよと言ううちにいつの間にか、窓の外には眼鏡の少年を筆頭とした五人の子供達と保護者らしき男性やら、警察やらが集まっている。
死神のお膝元ならば一周回って安心かと思っていたが、そうでもなかった様子だ。
被害者は四季とクリスの二人が来店中にポアロを出て行っていた三人組の女性客の一人。そんな訳で少し此処に拘束される羽目になってしまった。
***
「……何でこうなるんだよ?」
「……これが米花町って場所なんだよな……」
頭を抱えているクリスに二度目の米花町経験に冷静に答える四季。割といつも時間の起こってる町である。
ギャグ的な意味では爆弾の爆発は季節の風物詩な場所。
「……何か、さっきから子供が入り込んでるのに警察は何やってんだよ?」
「それがデフォってやつだから諦めた方がいい」
マジかと頭を抱えているクリスを尻目に四季は二度目の米花町体験と転生前の事前知識で割と冷静になっている。
まあ、クリスの反応も目の前で事件捜査している子供を見れば仕方ないかと思う。
「で、先輩……被害者に近づいた記憶は?」
「無いな」
ならば安心かと思って見ていると目の前で小五郎がガバガバな推理で失敗している姿が目に入る。
まあ、あれはアレで警察に変わって可能性を潰していると捉えれば良いのだが。
「も、毛利くん。まずはちゃんと全員に事情聴取をしてだね……」
と、目暮警部が言う。
「まずは貴女からお願いします」
と目が向けられたのは、亡くなった女性と一緒に来た女性。
「事情聴取って普通個室でやるもんじゃねえのか?」
「ですよねー、クリス先輩」
「さて、では次に君達ですね。天地君の事は前に聞いているが、其方のお嬢さんのお名前は?」
「アタシは雪音クリスだ」
内心、前にも巻き込まれたのかよ、と思いながら駒王学園の生徒手帳を見せるクリス。
「こ、高校三年生……?」
「間違いなく、オレより一つ上の先輩ですから」
「って、アタシがそうは見えないって言いてえのか!?」
小柄な分年齢が下に見られがちなクリスが憤慨すると目暮警部は咳払いして失礼と謝罪する。
「へ〜、クリスさんって言うんだ〜。珍しい名前だね〜」
其処に登場するコナン君がキラキラした目でクリスを見上げている。
多分、クリスの髪の色や名前で組織の関係者とでも疑ったのだろう。
ふとクリスの方を見てみると何なんだよコイツと言う視線を四季に向けてくる。妙に猫を被った様なコナンの態度に怪しいものを感じているのだろう。
「そっちのお兄さん、前に一緒にいたお姉さん達と違う人だよね〜、前にいたお姉さん達とは一緒じゃないの〜?」
これが中身高校生がやっていると思うと気色悪さと同時に笑いが込み上げてくるが、そこは頑張って耐える四季だった。
「三人とも同居人なんだよ」
それ以上追求される前に刑事さんの邪魔になるからと、コナンからの追及を切り辞めさせる。
「ねえ、お兄さん、もしかして、この事件の事何か分かってるんじゃないの?」
「いや、全然」
「え……えーと……お兄さん、前にレストランの時は気が付いてたんたでしょ? 今日って平日だよね? 学校があるんじゃ無いの? 何でここにいるの?」
「駒王学園は休校になってな。一晩で校舎中の窓が全部破られたとかで」
表向きはそうなっているが、派手に戦う事になった禍の団との戦闘の影響からの修理のための休校である。流石に三大勢力でも一晩での修理は無理だったと言う訳だ。
其処については隠し必要もないのでオープンにしておく。
「へー、そうなんだー」
調べようが調べまいが構わない情報なので放置しているが、下手に首を突っ込んだら何処かの勢力かはぐれ悪魔にでも始末されるだろう。
「おい、良いのかよ?」
「まあ、知られても問題ないだろ?」
クリスの良いのかは、迂闊に知らせて駒王町にいるはぐれ悪魔に襲われないかと言う意味だが、コナンには別の意味で捉えた様子だ。
「それに、引き時程度は分かるだろ?」
「それで良いのかよ?」
四季の言葉に良いのかと疑問に思うクリス。そもそも、探偵等と名乗っておきながら、取引を見るのに背後への警戒を怠り、死ぬ寸前で助かりながら警戒心も薄れている時点で、コナンこと工藤新一への評価は低いのだ。
はぐれ悪魔の餌になっても根本的に知ったことではない。
「ねえ、お兄さん達、あの女の人が倒れたとき、お店の中は騒然となったのに一人平然としてたし、気づいてからも全く慌てなかったよね? 普通近くで人が倒れたり亡くなったりしたらビックリするよね?」
「あー」
「確かに、普通はそうだよな」
それで疑われたのかと頭を抱える二人。確かに二人がいるのは、今更その程度で動揺出来るほど優しい世界ではないのだ。
クリスは以前から、四季は今世から、下手をしたら遺体が残っているだけ幸運な戦いを経験してしまっているのだから。
「ねえ、なんで?」
「子供が知らなくても良い話だよ」
そうバッサリと切り捨てる四季。これ以上答える気は無いとコナンからの「教えてよー」の声を一切無視している。
「大体、倒れたからとは言っても原因は外的要因とは限らないだろう? 病気等の疾患とかも考えられるからな。外傷が無いか、小さい物ならそう言う可能性もある」
いい加減鬱陶しくなった四季が一つ一つ解説していく。別に人が倒れたからとはいえ、それが即座に他者による悪意に繋げたがるのは、この町の住人の悪癖と言う可能性もあるが、先ずは病気等の可能性を疑うべきだろう。
「でも、やましい事が無いなら言えるよね?」
(真実を明らかにするには情報が必要だ。その情報を教えないなんて!!)
「真実なんて無価値な物に興味も無いしな」
「っ!?」
その四季の一言はコナンにとって聞き流すことは出来なかった。
「そりゃ……そうだよな」
「そう言う事」
真実よりも現実的な虚構の方を受け入れるものと、知られるべきでは無い真実を隠している側であるからこそ、理解しているからこその言葉だ。
はぐれ悪魔の様な怪物に殺されたなど信じられる筈は無い。堕天使に光の槍で刺し殺されたなどとされるよりは人に殺されたと考える方が普通だ。
(ふざけんな! 真実が無価値だと!? 真実はいつも一つなんだ!)