編集版 転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~ 作:ドラゴンネスト
(……取り敢えず、未来人に対する報復処置はどうするか?)
どうも毎回ハッキングして来て、その度にゼアに撃退されている超についてそう考えていた。
魔法バレを狙っている超鈴音サイドの目的を阻止することは前提である以上、現時点ではハッキング元が向こうだと知っている事を知られるのもどうかと思うのでそれがバレない範囲での報復だが。
流石に警戒され過ぎて学園祭終了後に飛ばされたら困る。別に魔法使い側がどうなろうが知った事では無いが、それが此方にも飛び火して来るのは困るのだ。
一応案はあるが、超包子の売り上げにでもダメージを与えるのを狙う策なのだが、そうなると使いたくない手札のカードを使う必要が出てくる。
(あとで胡桃ちゃんにでも相談してみるか)
『胡桃まなか』。魔法少女組の一人で大人も唸らせる料理の腕を持つクッキング系魔法少女。なお、専門分野は洋食。
何気に秋とは、将来的に九角インテリジェンスがスポンサーとなって彼女の店をオープンさせる約束をしている。
既にアトリエを用意した上で、九角インテリジェンスがスポンサーとなってアーティストとして活動しているアリナと同じように、だ。(なお、魔法少女としての力を使う際には絶対に秋に対して相談する事が絶対条件だが、当人は自由に使えるアトリエをプレゼントされて、結構秋の事を気に入っていたりする)
(文化祭の日とかは兎も角、普段は数量限定の弁当を、予め作って貰った分を売り出すか? ……未来人の店の前で)
特製弁当の出張販売。購入意欲を唆るであろう数量限定、そして、洋食という別ジャンルの料理、許可を取るのに学園長辺りと交渉する事にはなるだろうが、未来人側へのゼアへのハッキング行為の軽い仕返しにはなるだろう。
(……いっそ、反対側で売って客足を幾分か奪うか? その後は超包子の反対側に出して客足を遠ざける、と。店員役でオレ達が護衛をして、学園祭の日には直接屋台とかで胡桃ちゃんに腕を振るってもらうか?)
ハッキングの報復として超包子への経済攻撃の案を幾つか出しつつ、秋は九角インテリジェンス本社ビルの地下階。……表向きは存在しないことになっている魔法使いを始めとする裏の相手に対抗する為の部署、警備部零課、通称ゼロワン課の本拠地に入る。
「お帰りなさいませ、主様」
「ああ」
其処が衛星ゼアの本来の機能を十全に発揮できる部屋であり、表向きは存在していないことにされている魔法等の裏関連の対応を行う部署のトップでもある。
秋に夜架、切歌と調、エルニィ。そして、十七夜を纏め役とした魔法少女組(折り合いの悪さからアリナは別口だが、一応ゼロワン課の所属……と言うよりも管理下)と秋がガチャで集めた人員が、ゼロワン課の構成メンバーである。
メンバー全員が未成年の少年少女で構成されているのも、ゼロワン課がその存在を表に見せない理由でもある。
秋はゼロワンドライバーとライジングホッパープログライズキーの置かれた部屋の中、その奥にある椅子に座る。
……まあ、ゼロワン課と言っても其処に普段から居るのは秋と夜架だけで、二人に次いで頻度が多いのは研究室との往復程度のエルニィだが。
その事を気にもせずにパソコンを起動させると部屋に現れたモニターに外部にいるゼロワン課のメンバーの姿が映し出される。
「それじゃ、会議を始めようか」
議題は麻帆良潜入作戦に於けるゼロワン科のメンバーの役割分担。
十七夜以下の魔法少女達は潜入班の秋達のサポートに当たる訳だが、矢張り戦闘力の低いエルニィに関する問題点だ。
『私も君は自衛手段は必要だと思うぞ』
「だろうな」
「ですわね」
『ちょ!?』
十七夜の言葉に同意する秋と夜架。他のメンバーも同意見なのかうんうんと頷いている。
満場一致でお前は自衛手段を持てと言われている様な物だ。
それは仕方ないとは思うが、エルニィ自身としては、持っていたとしても寧ろ奪われる危険の方が高いと判断しているのだが。
『そもそも、君は生身では普通の人間よりマシ、と言うレベルだろう』
「オレ達は生身でもある程度戦えるしな」
『うぅ……』
流石にそれを言われると何も反論できなくなるエルニィだった。
『それに、現状君の研究が私達には希望なんだ』
魔法少女の魂の在り方については、この場にいる全員が理解している。
ソウルジェムという形に加工され、肉体から一定距離離れると肉体をコントロール出来なくなるという事も。
とある魔法少女はその在り方をゾンビと称えていた。
秋としては、肉体と魂の在り方については合理的な考え方としても、ソウルジェムと言う形も欠点は大きいと思うが、それは今この場で議論すべき案件では無いし、それを議論すべき相手も此処にはいないだろう。
魔法少女達としても、ドッペルと言う非常手段こそ有れ、魔女化を防ぐ為の命の綱であるグリーフシードの供給を秋に握られている現状も、秋が信頼できる相手である事も有り受け入れてはいる者も多いが、普通の人間に戻れるならば戻りたい。
……序でにアリナの結界を利用した魔女の養殖などは持って他であるので、秋が絶対にやらない様に、と厳重注意済みである。
あまり考えたくも無いが、秋が彼女達を見捨てたら、若しくは秋からの援助が受けられなくなれば、彼女達に待っているのは、魔女化した仲間を倒しながら命を繋ぐ手段だけだ。秋自身にそんな意図は無いにしても首輪をつけられている様な状況だ。
そんな折に聞いたのが、エルニィの世界にある人機と言う巨大ロボの事だ。
特にそれらの機体の中に希少だが存在する、魔法少女の固有魔法にも匹敵する特殊な力であるハイアルファー。その中には精神、魂と言った物にまで干渉する力も有ると聞いた。
秋と十七夜は、人機の特殊能力であるハイアルファーと人機の開発能力のあるエルニィならば、もしかしたらソウルジェムから魔法少女の魂を元の肉体に戻せるのでは、と考えている。事実上魂に干渉出来るハイアルファーを持った人機が有れば良いと考えるべきだが。
それは秋も同じで、魔法少女達を助けられるのならばと、彼からエルニィには研究の依頼をしているのだ。
問題点はかなり有る。開発に成功したとしても、それを扱える者が居なければ意味は無いだろうが、それでも確かに魔法少女の運命から逃れる可能性が有った。
今は人機の試作品が建造中であるが、其方は学園祭の時期には完成の目処がたっている。
……ぶっちゃけてしまうと巨大兵器というカテゴリーではあまり期待していないので、巨大ロボと言う宣伝塔の役割なので、動けばよしと言う考えの一号機だ。
『分かったよ』
そこまで言われると折れるしか無かった。大丈夫かなと思いながらも、正式にバルキリー用の装備の一式を受け取ることとなったエルニィだった。戦闘スタイルも割とエルニィ向けなので、割と不満も少ない。
「それでは、次の議題だが、麻帆良への潜入の際の目的だ」
飽くまで自分達は九角インテリジェンス、引いては自分達『日本呪術連合』のメンバーとしての活動となる事を告げる。
主要メンバーは確定している秋、夜架、切歌、調の四人と本人の希望による参加となったエルニィ。
目的はそこに修行の為に送られるであろう、ネギ=スプリングフィールドについての調査と、内情の調査。
アキ=スプリングフィールドだと言われても知らないと通すのみだし、直接的なホットラインのない組織に属しているのだから、連絡など来るわけもない。
そもそも、関西呪術協会(と言うよりも、近衛詠春)とも折り合いが悪い関東の小規模組織の集合体である以上、他所の組織の命令など聞く必要はない。
(もう既に情も湧かない相手とは言っても、身内が引き起こす事を考えると頭が痛いな……)
取り敢えず、未来の子孫の魔法バレは全力全開で阻止すると心に誓う秋であった。……巨大ロボを持ち出しても。
「それと……」
ふと、十七夜が真剣な顔で口を開く。魔法少女組にとって大事な話だ。
「……その、そう言う要求をされても、君に命を握られている私達は逆らえない。だから、もしそう言う事をしたいのなら、せめて私か、君に好意を持ってるレナ君位にとどめて置いて欲しい」
「いや、しないから!」
きりしらコンビからの冷たい視線に耐えながらそう返すのだった。
某所……
「彼らが来年度から入学すると言う九角からの関係者かのぉ……」
ぬらりひょん……もとい学園長こと近衛近右衛門は五人の少年少女の資料に目を落としていた。
九角インテリジェンスの関係者となる四人の少女と、秋の資料だ。
既に後にネギの担当する事になるクラスのメンバーは決まっているので、人数の都合とでも誤魔化せるのは二人が限界だろう。四人全員となると、流石に一クラス一人入れれば良いと言う事になってしまう。魔法でも教室のサイズという問題は校舎自体を大きくする必要があるので無理だ。
なので、そのうちの二人を裏の関係者、あるいは関係者の身内や一般人で有りながら特に才のある物達を集めたクラスへと入れて、残りの二人は別々のクラスへと配置する事を決める。
最後に残ったのはアキ=スプリングフィールドと同一人物と目されている九角秋の扱いだ。
彼がアキ=スプリングフィールドと同一人物かどうやって調べるか、だ。理想を言えば血液サンプルでも入手出来れば、とも思うが根本的に、今回の五人の他組織からの留学生と言うべき者達の受け入れが初の交流なのだから、変に探りも入れられない。
衛星ゼアやゼロワンを含め、裏の魔術的な組織でありながら魔法の域に匹敵する科学技術に加え、昨今では海外の反MM組織とも広く繋がりがで始めた者達なのだ、学園長でも迂闊に強引な手段には出られない。
強引な手段に出ようとする魔法関係者を宥めつつ、上手く彼らを取り込む為の算段を学園長は思案するのだった。