透き通る様な世界観にいる一般呪術師   作:半ライス大盛り

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うっそだろ。五条おま……単眼猫ぉぉぉ!
う~~ううう あんまりだ……H E E E E Y Y Y Y あ ァ ァ ァ ん ま り だ ァ ァ ア ァ AHYYY AHYYY AHY WHOOOOOOOHHHHHHHH!!

……フー、スッとしたぜ。
カルバノグの兎編の続きが楽しみだぜ。

感想、評価、お気に入りありがとうございやす。


 


まだあわあわわ展開あわわ

a月×日

 

 ホシノちゃんから日記帳をもらった。

 この日記帳はアビドス校舎の使われていない教室を掃除している時に出てきた物だ。埃こそ被っていたが使われていた痕跡もなく、新品同様の真っさらな綺麗な状態な物だった。

 

 かつてアビドスに在学していた生徒の物だろうか。捨てるのは勿体無いが、かといってそのまま残しておいても持ち主が取りに来ることはないだろう。

 

 アンティーク調とでも言えばいいのか、昔見た音割れしてそうな魔法使いの映画にでも出てきそうなオシャレな日記帳だ。

 

 専門の店で売るかオークションにでも出せばそれなりの値段がつくのではないかと思い、対策委員会本部にてお昼寝していたホシノちゃんに聞いてみたのだが俺がもらっていいと言っていた。

 

 なんでも「勝手に売るのもなんだか申し訳ないし、それならタローくんに使ってもらったほうが元の持ち主も嬉しいんじゃないかな〜」との事でこの日記帳を譲り受ける事になった。

 

 しかし日記を書くなんてインテリっぽい事は慣れないというか、やった事がない。何を書けばいいかわからないし、まあ、その日あった事をチマチマ書いていこうかと思いまする。

 

 三日坊主にならない程度に続けていけばいいか。

 

 

 

 

a月k日

 

 今日のアビドスは平和。

 そういえば、あの銀行強盗の後色々あった。

 

 現状確認と情報を纏める為にもこのまま書き記しておこうと思う。まず第一に、カイザーは黒で確定だ。もう泥沼へズブズブに浸かりきっているレベルで真っ黒だ。

 

 銀行から入手した現金輸送車が持っていた集金記録の束、そこにはアビドスから利息の788万円を集金したと記されている集金記録、そして更にそこからカタカタヘルメット団なるものへと「任務補助金500万円提供」としっかり記録されたものも発見した。

 

 これで今までのアビドスへ襲撃してきた武装集団、カタカタヘルメット団の背後にはカイザーグループがいると言う裏付けが取れてしまった。

 

 カヨコちゃんから得た情報から予測して、それを言い伝えた時から覚悟はしていたのだろうが、それでも衝撃はおおきかったのだろう。シロコちゃんたちは理解できないと、驚きを隠せない様子で呆然としていた。

 

 無理もない事だと思う。

 自分たちが必死になって返済した現金が犯罪者や反社会勢力、何かしらの犯罪組織に横流しになっており、知らず知らずのうちに自分たちがそれを援助する形になっているようなものなのだから。

 

 今回の件に巻き込んでしまう形となったヒフミちゃんも、この事実には驚愕しており、カイザーコーポレーションの実態を在学するトリニティ総合学園の生徒会、『ティーパーティー』へと報告するとの事。

 

 それと現在アビドスが置かれている状況についても何か力になれるかもしれないと、そちらも報告すると言ってくれていたがそう上手くはいかないだろう。

 

 なんでもホシノちゃん曰く、そのティーパーティーとやらもカイザーやアビドスの状況はとっくに把握しているだろうと。何せキヴォトスで三大学園と数えられるほどの規模を持つマンモス校だ、そんな学園のトップに立つ首脳部なら知らないはずが無い。

 

 この事にヒフミちゃんは酷く驚き、困惑を露わにしていた。

 知っているのならばどうしてアビドスのみんなの事を見て見ぬふりをしているのかと。

 

 ヒフミちゃんはやっぱりと言うか、つくづく優しい子だと思う。でも世の中そんなに甘くない事ばかりだ。

 

 いい事は連続して起こらないくせに、悪い事は連続して起こるもんだ。この言葉は中々的を得ているし、俺はこれが世の常だと思う。

 

 そういえば、後輩呪術師の恵も近しい事を言っていた気がする。

 

 不平等な現実のみが平等に与えられている。

 因果応報は全自動ではなく、悪人は初めて法の下で裁かれる。呪術師はそんな“報い”の歯車の一つ。少しでも多くの善人が平等を享受できる様に、不平等に人を助ける。

 

 ……一日で色んな事があり過ぎた。

 だけどまあ、銀行強盗が意外と楽しかったというか。もしこの先、俺が同級生や後輩、先生なんかの友人たちと再会できる事があれば面白おかしく語れる武勇伝になるだろう。

 

  やっぱり少し寂しい。みんなに会いたい  

 

 

 

 

a月h日

 

 今日はシャーレの先公と一緒だった。

 個人的に野郎と二人きりでの活動ほど盛り上がらない事はないが、これも致し方なしと割り切って一緒に仕事をする事にした。やったった事といえば単純でいつも俺がやっているようなアビドス校舎の清掃や点検、修繕などを主にこなしてもらった。

 

 俺はよくノノミちゃんから力仕事なんかを任せられるので、今回それをシャーレの先公と一緒にやったのだが、先公は驚くくらいに体力がなかった。

 

 今までは使う教室の掃除や整理だけをしていたが、俺が校舎を寝床にしている事や、先公が来ていて人の出入りがあり、男手があるからとの事で他の空き教室や使えそうな機材、今後必要になりそうな物なんかの整理をしていた行ったのだが、早い段階で先公はバテていた。

 

 貧弱すぎる、もっと体力つけろ。

 ノノミちゃんから任された仕事は途中から、というか8割くらい俺が仕事してたぞ。俺のやつよりも小さい荷物を抱えてピーピー弱音を吐いていたのは許さんぞおまえ。

 

 休憩中になんとなく握手して、その際に力を込めてみたら野太い叫び声を上げながら膝を付いていた。その様子に思わず、「うわっ…シャーレの先生、雑魚すぎ…?」状態になってしまったくらい。

 

 今度、無理矢理にでもランニングに引きずって行くかと考えているくらいだ。いくらなんでもフィジカルがクソ雑魚過ぎる。

 

 男同士だからか意外と気安く、休憩中に面白い話もいくつか聞けた。

 

 キヴォトスに初訪した時なんかも色々あって大変だったようで、言葉とは裏腹にどことなく楽しそうに語っていた。先公貧弱すぎるのに、この世界のドンパチに巻き込まれたらいつか死ぬんじゃないかと思ったが意外と大丈夫らしい。

 

 なんでも『シッテムの箱』と呼ばれる秘密道具で自分の身を守っているらしい

 

 見た目はただのタブレットだが、超高性能で防護フィールドによりどんな攻撃も防いでくれるらしい。

 

 ものは試しで思いっきり殴ってみたのだがこれがまた凄かった。見えない壁のようなもので攻撃が防がれるのだ、原理は違うが五条先生の無限バリアを殴っているような気分だ。

 

 それから『シッテムの箱』なるものにはアロナちゃんと呼ばれるスーパーAIが搭載されているらしく、AIの彼女(ここ重要)が先公を守ってくれているとの事

 

 よくわからんがタブレットの中にかわいい女の子がいるって事はわかった。普通に羨ましい。

 

 それと、どうやらこの先公もキヴォトスではない他の場所、『キヴォトスの外』から来たらしい。どうりで頭の上に光る輪っかがないわけだ。

 

 それならと、俺の知ってる漫画やアニメなんかの話を振ってみたが、あまり話が通じていないようだった。というよりも、お互いの知識に妙なズレがある感じだった。こっちの世界で連載や放送していた作品のタイトルこそ共通だが、その内容は俺の知ってるモノとは違うようでお互いに何言ってんだこいつ状態に陥っていた。

 

 例えば、人気のあった作品がこっちだと続編がいくつも作られていたが、向こうだと続編が作られておらず1作品目で完結して完全に終了、そんな感じだ。

 

 それとなく渋谷で何か大きな事件はあったか聞いてみたが、渋谷を知らず俺が何を言っているのか理解できていない様子だった。キヴォトスの外とやらの謎が深まるばかりだ。

 

 マルチでバース的なアレなのか。

 そういうの俺バカだからわかんねぇけどよ、バカだからわかんねぇわ。

 

 とりあえず明日はカヨコちゃんたち便利屋68のみんなに会いに行く。その時、先公も一緒に同行する事になった、情報を伝えてくれた御礼と挨拶をしておきたいとの事で。

 

 帰れ、ついてくんな。

 俺が便利屋のみんなとイチャイチャする場に貴様は呼んでないんじゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ───凛太郎は現在、困っていた。

 どれくらいのレベルで困っているかといえば、トイレでデカい方の用を足した後にケツを拭く紙がないか、詰まりを起こして流せない状況に陥っているくらいには困っていた。

 

 解決する手段もなく。

 助けを呼ぶにも呼べないような状況、あの瞬間の絶望は体験した本人にしかわからないだろう。素数を数えて落ち着いたところで、どうする事もできない。そんな小さな絶望感と危機的状況。

 

 兎にも角にも、凛太郎は困っていた。

 

 それはもう緊急事態だ。

 

 

 「あー、できれば降参してほしいんだけど……それって無理そ?」

 

 「売られた喧嘩を買わないなんてことは、風紀委員会としてできない。そっちこそ、痛い目に遭いたくなかったら速やかに投降することをお勧めするが」

 

 「売られた喧嘩っていうか、絡まれたからこっちは抵抗してるだけであってですね……はあ、女の子相手じゃ気が滅入るって」

 

 

 ダル、しんど、やる気でねー、の三拍子。

 

 重く溜め息を吐いて面倒くさそうに頭を掻く凛太郎の姿からは、言葉にせずともその心中が態度に現れている。どうしてこう、自分が望まずしてトラブルの中心へと引き込まれていくのか、ひょっとして俺って呪われてる? まさか女難の相、なんてくだらない考えすら脳裏に過ってしまう。

 

 カイザーの件の報告も兼ねてカヨコちゃんたちの元へ遊びに来ただけなのになぜこんな()()()()に巻き込まれてしまっているのか。どちらかというと、揉め事ではなくToLOVEるな展開に巻き込まれてキャッキャッうふふしたいのが本音だ。

 

 

 「! おっと……」

 

 

 ふいに、自分の脳天目掛けて飛んできた弾丸を首を傾げて回避する。

 容赦ないなこの子、なんて能天気に考えながら続けて放たれた第二射を軽く身を翻して避ける。気は進まないが、とりあえずなんとかするしかない。

 

 呪力を練り上げ、身体強化を施す。

 状況を確認。頭の中で道筋(ルート)を構築。そのまま一息で距離を詰めて眼前の()()を無力化するべく、地面を踏み砕く勢いで加速する。

 

 

「───ちっ」

 

 

 しかし、頭上から弧を描くように飛来した物体を目視した事により、凛太郎は即座にルートを変更する。地面を滑りながら加速した勢いを殺し、飛来した物体が標的に着弾するよりも早く、拾い上げた小石を呪力で強化して投げ放ち、衝突させる事によって空中でその物体───迫撃砲を爆発させる。

 

 

 「(ったく、鬱陶しいなあれ……)」

 

 

 先程から遠くで遠慮なしにポンポン打ち込まれてくる迫撃砲により思うように動けない。防ぎきれず被弾した周辺のアスファルトはその威力から吹き飛び大きく抉れている。周囲の建物も黒煙に包まれ火を吹いているようにも見えるが、倒壊しないだけまだマシか。

 

 先に迫撃砲(アレ)をどうにかするべきか。

 チラリと背後の物陰に視線を向ければ、そこには不意打ちで叩き込まれた迫撃砲によってダウンしてしまっている便利屋68の姿がある。普通の人間と変わらない耐久力をしているシャーレの先生も無事だ。シッテムの箱による防護フィールドで防ぎ切ったのだろう

 

 無事で何よりだ、キヴォトスの住民と比べて紙装甲の先生が生身であんなものを喰らえば普通に死ぬ。

 

 

 「……だいたい、2kmって所か。うん()()()()()()

 

 「もう一度だけ言うぞ。大人しく投降しろ、私たちが用のあるのは後ろにいるうちの厄介者共だけだ。これ以上邪魔をするなら部外者であっても問答無用で叩きのめす」

 

 「はいそうですねって、大事な友達を引き渡せないって……それよりも()()()ちゃんだっけ? もし君の仲間に怪我させちゃったらごめんね」

 

 「───はっ?」

 

 

 その言葉に、何を言っているんだと少女───片目を隠した銀髪ツインテールに褐色の肌が特徴的なゲヘナ学園所属の風紀委員会、銀鏡(しろみ)イオリは怪訝そうな表情を浮かべた後、目つきの鋭い赤い瞳を見開きその顔色を大きく歪ませる事となる。

 

 ───()()()()()()

 

 凛太郎は周囲を見渡した後、視界に映った一台の自動車に手を伸ばした。そしてリアバンパー部分を掴むと片手で持ち上げ、後輪が浮き上がり車体が前のめりの体勢となってできた隙間に体を素早く滑り込ませて下から車体全体を両手で持ち上げる。

 

 

 「ふぅぅッ……よっこい、しょォ!」

 

 「なっ! お、お前いったい何して……!?」

 

 「それじゃあ、いっくわよォォッ!」

 

 「ちょ、ちょっと待てッ本気かッ!?」

 

 「ああ! 本気(マジ)だぜ!!」

 

 

 呪力を迸らせながら走り出す。

 助走距離は十分に足りている。陸上競技選手が踏み切りの位置まで勢いをつけるように加速して、ステップを刻み踏みしめた両足で地を蹴りイオリの頭上を軽く飛び越える程に跳躍する。

 

 イオリは自分への攻撃かと身構えるが、それは違う。

 

 開けた視界から狙いを済ますのはただ一点。

 視線は遠くに固定。2kmほど離れた位置にいて確認できるゲヘナ風紀委員が率いる擲弾兵にいよる部隊を視界に捉えた。

 

 

 「どっ、りゃあああぁぁぁッ!!」

 

 「な、投げたぁぁぁ!!?」

 

 

 シャーレの先生が驚愕するような声が聞こえる。

 全身の筋肉を唸らせ、球技のジャンプシュートの要領で投げ放たれた自動車は戦艦から発射されたミサイルのような速度で宙を駆け飛来する。

 

 後方の部隊から慌てふためきながら退避するように指示を飛ばす声が聞こえるが、正面から真っ直ぐ放たれた空爆と言ってもいい攻撃に対して間に合うはずもなく大爆発を起こす。

 

 凄まじい爆発音に塞ぎたくなる。

 

 

 「お〜、派手にトんだな……だ、大丈夫だよね? 流石に死んでない……よね?」

 

 

 誰の自動車かは知らんが、まあいいだろう。

 相手側の攻撃に巻き込まれて殆ど壊れかけと言ってもいいような状態だったし、遅かれ早かれというやつだ。完全にトドメを刺したのは凛太郎なのだが、当の本人は知ったこっちゃないと爆発によって立ち上る黒煙を見上げている。

 

 しかし着弾地点、当たりどころが悪かったのか。思っていた以上にド派手に吹き飛んだ自動車と相手の部隊に少しやり過ぎたかと心配になってしまう。

 

 恐らくだが、衝突の瞬間にその場にあった迫撃砲やら何やらといった爆発物を巻き込んで派手に誘爆した結果、爆心地のような惨状となっている。

 

 こればかりはキヴォトスの住民の耐久力を信じて無事を祈るしかない。

 

 

 「………」

 

 「………え、えへ☆」

 

 「可愛くないから二度とやらないで」

 

 「あ? どこをどう見て言ってんだ。可愛いかっただろが」

 

 「うわキッツ……」

 

 「あ゛ぁ゛ん!?」

 

 

 つい背後に視線をやれば、そこには「やりすぎだよお前」と言わんばかりに引き攣った表情で凛太郎を見るシャーレの先生と視線が合う。とりあえず笑って誤魔化す事にした。

 

 自分も先生に対して遠慮はないが、最近じゃシャーレの先生も凛太郎に対して砕けた感じというか遠慮がなくなってきている気がする。

 

 

 「く、車を素手で投げ飛ばすなんて……い、いくらなんでもめちゃくちゃがすぎるぞ!?」

 

 「え? いや、これでも手心を加えてるほうで……俺からしたらかめはめ波(ビーム)撃たなかっただけまだマシだというか」

 

 「ビームッ!?」

 

 

 ビームってなんだ!? と困惑しているイオリに注意を向けつつ、状況を再度確認する。

 

 

 「(うーん、数が多いなぁ……てか囲まれてるよなこれ)」

 

 

 後方から嫌がらせのようにちまちまと砲撃してくる部隊は潰せたと思うが、相手の部隊はそれだけではない。イオリが率いている部隊のメンバーに加えて自身を取り囲むように物陰に隠れて身を潜めている気配をいくつも感じる。

 

 その数はアビドスに襲撃を仕掛けてくるヘルメット団以上のものだろう。

 

 どうすっかなー、と元々無いような知恵を振り絞って状況を打開する為の一点を生み出そうとするが妙案は浮かび上がってこない。もうこのまま単純(シンプル)な解決策として便利屋のみんなと先生をどうにか担いで逃げるべきか。

 

 自分一人でならどうとでもなるが、守りながら戦うとなれば別だ。

 

 そもそも、どうしてこんな状況になったのだったか。

 近況報告も兼ねてシャーレの先生を連れて便利屋68のみんなに会いに行った。

 

 

 『あはっ。タロちゃんおっひさ〜!』

 

 『お、ムチュキちゃんお久しブリブリ。元気してたー?』

 

 『そりゃあもちろん! くふふ〜。それでそれで、タロちゃんってば今日“も”カヨコちゃんに会いに来たの〜?』

 

 『んー、惜しい、残念ハズレ。今日はカヨコちゃんだけじゃなくて便利屋のみんなにデートのお誘いかな』

 

 『ぷっ、あははっ! タロちゃんって意外とプレイボーイだねぇ。でもダーメ、アルちゃんがわる〜い狼さんに誑かされちゃうのはムツキちゃん見過ごせないかなぁ』

 

 『そんな〜、そりゃないぜムツキちゃん』

 

 『え〜、どうしよっかな〜♪』

 

 『……あ、あなたたちいつの間にそんなに仲良くなったのよ』

 

 

 そこまでは問題なかった、しかし問題はその後だ。

 

 前回、凛太郎が便利屋と仕事をした時に彼女たちが中々ひもじい思いをしている事はわかっていたので、どうせなら食事でもしながらと考えていたのだが突然すぎる襲撃を受けたのだ。初めましての挨拶はなく、それどころか挨拶代わりの遠距離砲撃。

 

 その所為で、食事を済ませようと思っていたセリカちゃんのバイト先である柴関ラーメン屋が吹き飛び見るも無惨な姿になってしまった。ゲヘナ風紀委員会許すまじ。因みに柴関ラーメンの大将は無事だ。

 

 キヴォトスって本当に恐ろしい所やで。

 

 

 『リンタロウさん! 大丈夫ですか!?』

 

 「おろ?……アヤネちゃんか、どうしたん?」

 

 『どうしたじゃないですよ!? 一個中隊の規模の部隊を率いたゲヘナ風紀委員会を相手に戦闘なんて、いまどういう状況ですかっ!!?』

 

 「あー、なんていうか……簡単に言うと喧嘩売られたから買ったというか」

 

 『け、喧嘩売られたッッ!!??』

 

 「詳しく説明すると長くなりそうだし、俺もよくわかってないからそれはまた後でね」

 

 

 もう強引に包囲網を突破して逃げるか、なんて考えているとジャケットの衣嚢に突っ込んでいたイヤホンサイズの物体、アビドス対策委員会から渡されていた通信用のインカムが点滅している事に気がついた。

 

 そういえば渡されてたな、なんてぼんやり思い出しながらも装着してみればどこか慌てたようなアヤネの声が通信機越しに凛太郎の耳に入った。

 

 周辺を見渡してみればアヤネが日頃から戦闘支援などで使用している小型のドローンが飛び回っている。あらやだかわいい。

 

 とりあえず手を振って挨拶しておく。

 

 

 『ふざけてる場合じゃないですよ!』

 

 「いやふざけてないって、ちょーまじめだよ。それよりもゲヘナって何? そんなヤバいの?」

 

 『え……し、知らずに応戦してたんですか!?』

 

 「うっす。まあ、いきなり喧嘩吹っかけられただけだし」

 

 

 そもそもゲヘナ風紀委員会、もといゲヘナ学園とは何か。それは学園都市キヴォトスに置いてトリニティ総合学園に並ぶほどのマンモス高であり、その規模はトリニティ総合学園と一、二を争うほどである。

 

 因みにトリニティ総合学園とは昔から犬猿の仲で、街中でトリニティとゲヘナの生徒が出会せば即時に銃撃戦に勃発するほどのものである。

 また『自由と混沌』を校風としている他、破天荒、型破り、粗暴な生徒が多く、銃撃戦が茶飯事というキヴォトスの価値観も加わっている所為か、領内の治安は非常に悪いんだそうだ。

 

 そしてゲヘナ風紀委員会とはゲヘナ学園の委員会の一つである。銃弾飛び交うこのキヴォトス内で、特に治安が悪いゲヘナ学園の秩序維持を一手に担っており奔走している組織だ。

 

 まぁ、詳しく説明された所で凛太郎からしたら、なんじゃそりゃといったくらいの感想しかないのだが。

 

 

 『現在そちらに先輩たちが向かっています!』

 

 「え、そうなの? 俺も先公と便利屋のみんなを連れて適当に逃げるから大丈夫だけど」

 

 『いえ、そうもいきません。風紀委員会が私たちの自治区で既に戦術的行動をしたという事は政治的紛争が生じます……』

 

 「??……政治?…? えーっと、つまり……?」

 

 『風紀委員会が動いたという事はそれだけの理由があるんでしょう。しかし、だからといって、他の学園の風紀委員会が私たちの許可もなく、こんな暴挙を敢行していい理由にはなり得ません!』

 

 「あー、要するに、アイツら追い返せって事ね」

 

 

 通信機越しでも、ふんす!と意気込んでいるアヤネの姿を幻視して苦笑いが浮かぶ。

 

 政治的紛争やら何やらと、キヴォトスの複雑なルールについては詳しくわかっていないが、武力で解決しろというなら話は簡単だ。寧ろ得意分野だ、馬鹿な自分にもわかりやすいやり方である。

 

 怖い顔で睨みつけてくるイオリに、余裕たっぷりな表情で笑みを浮かべて返す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 

・津上 凛太郎
「ホシノちゃ〜ん。どうせなら交換日記しようぜ〜!……おめえには言ってねえよ!」
 
・小鳥遊ホシノ
「え、ええ〜。おじさんそういうのに疎いから、なんだか恥ずかしいなー」
 
・シャーレの先生
「いいよ!」
 

今後の展開。※参考程度

  • 時計じかけの花のパヴァーヌ編
  • エデン条約編
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