透き通る様な世界観にいる一般呪術師   作:半ライス大盛り

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 お待たせしやした。
 呪術廻戦、本誌もアニメも盛り上がってますね。やっぱり五条先生とパパ黒かっけえな。あと戦闘シーンの作画コストエグいって。パパ黒そんな動きできるんか。渋谷事変もアニメ楽しみ。

 グラブルともコラボ来るみたいだし楽しみやね。

 ブルーアーカイブも2.5周年。
 こちらも盛り上がってますねえ!とりあえず水着シロコは140連で確保。水着ウイは天井でお迎えしました……いやキッツ。4万近くあった石がもうないよアロナ。


感想、評価、お気に入りありがとうございます。もっとくれ(強欲の壺




リボ払いは使うなよ…

 

 a月j日

  

 

 無事帰還。んー、ピースピース。

 あれから色々とあったが、ひとまずは無事に解決したという事でいいんだろうか?まあ、問題はそれだけじゃないのだが。

 

 兎にも角にも久しぶりにはちゃけたが、中々いい運動になったと思う。やっぱり定期的に運動しないと体がなまっちまうからな。

 

 しかし、やっぱり女の子相手に拳を向けるのは心が痛む所存。いくら相手が腕の立つ呪術師並み並に頑丈であったとしてもやりにくいったらありゃしない。

 

 真希ちゃん相手なら加減なしでやれるけど、というか加減したらめちゃくちゃキレられる。流石に頑丈とわかっていても初対面の女の子相手に遠慮なく攻撃なんてできない。

 

 あと毎度思うんだが、まじでキヴォトスの人間ってどうなってんだ。銃弾で打たれてもピンピンしてるし、生身の頑丈さなら多分俺負けてるんじゃないか? 頑丈さでいえば悠二に近い気がする、あいつも「なんでその程度の怪我で済んでんだ?」ってくらい耐久力はだんち。

 

 それはともかくとして、あの後の事を記録ついでに書いておく。

 

 あの後、意外にもというか、拍子抜けというか、アビドスで暴れてたゲヘナ風紀委員会の子たちは“ある人物”の登場であっさり帰っていた。

 

 その人物というのは、なんとゲヘナ風紀委員会のリーダー。風紀委員長の空崎ヒナちゃんだ。

 

 彼女がどんな子かというと、なんというか見た目の特徴が多い子だ。あとすごくかわいい、なんというか甘やかしたくなるタイプだね。

 

 なんかあの横乳丸出しの変態気質な格好をした自称風紀委員の天雨アコちゃんはまだ殺る気マンマンというか、戦闘の意思は全然萎えてなかったのだが彼女の登場で状況が一変した。というかなんだその横乳、ちゃんと隠せ風邪引くぞ。

 

 風紀委員会がどうしてわざわざアビドスにまで来て暴れていたのかはわからなかったが、話を聞いていく中でなんとなくわかった。

 

 どうにも、ゲヘナ風紀委員会の目的はアビドスに滞在している便利屋68、ゲヘナ学園の生徒の捕縛という名目でシャーレの先公を目的としていたようだ。

 

 名探偵カヨコちゃんの推理によると、風紀委員会が自分たちを狙いわざわざ他校の自治区まで追ってくるなんて、そんな非効率な運用は風紀委員長のやり方ではないとの事。

 

 それも便利屋68を相手にするとしてもあまりに多すぎる兵力。他校の集団と戦闘する事を想定していれば説明がつく、故に行政官の独断的な行動である。

 

 そしてその目的はシャーレの先公。

 

 なんで先公を狙ってるのかはわからんかったが、これもカヨコちゃんの名推理によって謎が解けた。

 

 横乳ちゃん曰く、大人の先生が担当している連邦生徒会長が残した正体不明な超法規的な部活……『怪しい匂いがプンプンするぜえー!』との事なのでトリニティとの条約とかなんとかが無事締結されるまで風紀委員会の庇護下にお迎え(拉致)するつもりだったようだ。

 

 君やろうとしてる事エグくない?

 

 まあ俺はこっちの情勢とか詳しくないし難しい話は苦手なので、というかそういうのは専門外。とりあえずシロコちゃんとあっち向いてホイして聞き流してたけど。フェイントに釣られてたシロコちゃん可愛かった。

 

 その所為で横乳ちゃんはバチくそキレてた。その胸部でまだカルシウム足りてないんか。

 

 あらかた片付けたと思っていたゲヘナの部隊もまだいたようで、増員を投入して第二ラウンドが始まるかなってタイミングで現れたのが風紀委員長のヒナちゃんだ。

 

 彼女が来てからはあっというまだった。ゲヘナ風紀委員会に撤収準備をさせたり、独断で動いていた横乳ちゃんに謹慎処分を言い渡したりと。

 

 因みに俺はヒナちゃんとは初対面ではなく、顔を合わせるのはこれで二度目だ。

 

 前に懸賞金目当てで一稼ぎしに行き、呪霊に襲われるカヨコちゃんを助けたあの日に実はヒナちゃんと会っているのだ。

 

 懸賞金の掛けられた生徒の中にゲヘナ学園所属の子がおり、引き取りの連絡をした際にその場に現れたのがヒナちゃんである。なので顔を合わせるのは二度目ということ。

 

 他にもヴァルキューレ警察学校の子なんかとも顔を合わせたっけな。

 

 向こうも俺の事は覚えてくれてたみたいで、顔を見るなり驚いたような表情を浮かべてた。それから近況を伝えたりちょっとだけお喋りしたのだが、少し疲れたような顔をしていた。

 

 はちゃめちゃが押し寄せてきそうなこのキヴォトスで割と常識人というか、まともな感性の持ち主なので彼女は仕事に追われてストレスが凄そうなイメージだ。

 

 というかまじでいい子だと思う。

 アビドスのみんなにも横乳ちゃんのやらかしを彼女が頭を下げて謝罪してたし。ヒナちゃんにあんまり迷惑かけるなよ横乳。

 

 とりあえずストレス発散も兼ねて今度遊び行こうよとナンパしといた。

 

 それからお喋りしてる時に、ヒナちゃんから興味深い話を聞かされた。

 

 真相こそまだわからないが、それはアビドスの砂漠でカイザーコーポレーションがコソコソと何か企んでるという話だった。

 

 またカイザー。もういい加減力尽くでカイザー潰した方がいい気がしてきたんだが……。

 

 あと帰り際に手を振って声を掛けたら、少し恥ずかしそうに振り返してくれた姿は可愛かったです。

 

 

 

 

 a月▲日

 

 

 今日は謎のかわい子ちゃんとお忍びデートしてきました!

 

 その謎のかわい子ちゃんとは数日前からちょくちょく顔を合わせている白いフードになんか機械的なかっちょいいガスマスクを装着したミステリアスな雰囲気の子だ。

 

 俺の可愛子ちゃんセンサーが反応している。あの子は顔も中身も絶対に美人だと。なんというか雰囲気でわかる。

 

 以前会ってから待ち合わせなんかをした訳ではないが、郊外のコンビニまで買い出しに行こうと思い遠出した際に彼女に出会ったのだ。

 

 なんとこのmysterious girl……わざわざアビドス付近まで会いに来てくれたらしい。なんでもゲヘナ風紀委員会がアビドスで暴れていた情報は意外と広まっており、それを聞いた彼女は心配になって少し顔を見に来てくれたようだ。

 

 ええ子やなっ……!

 

 詳しく聞きはしなかったが、彼女は意外と偉いところのお嬢様らしく普段はあまり表には出ず外出する際も護衛の人が何人かいるようで。

 

 なのだが、今回はこっそり抜け出し外に出てきちゃったとの事だ。それって大丈夫なのかと心配になったが、だから代わりにと護衛の役割を任されてしまった。

 

 かわい子ちゃんにこうも頼まれちゃ仕方ない。その日限定で臨時の護衛を任される事にした。

 

 そういえば、勉強の甲斐あってかしっかりと手話で彼女とお話する事が出来た。手話を披露した際はマスクで表情こそ見えなかったが驚いている雰囲気は感じ取れた。

 

 それから少し嬉しそうに挨拶を返してくれる彼女の様子にこっちも嬉しくなってしまった。

 

 彼女曰く「挨拶は大事な事」らしい。

 

 いやー、いいねこういうの。女の子と手話で会話する機会なんてそうそうなかったが、こういうやり取りは親密な子との秘密の挨拶みたいで私はドキドキします。

 

 そういや、俺は自己紹介して名乗ったが彼女の名前は分からずじまいだったな。

 

 それは内緒、との事で教えてもらえなかった。まあ謎の多い女性というのも素敵だ、女は秘密を着飾って美しくなるってベルモットさんも言ってました。

 

 まあ、それは別としてなんて呼べばよろしいか困っていたところ彼女から『アッちゃん』と呼んでほしいと言われた。

 

 アッちゃんかわいい!

 

 俺の事はリンくんでお願いしますと頼んでおいた。最初は好きな風に読んでいいと言ったのだが、流石に『リンリン』呼びは反応に困る。

 

 その呼ばれ方はどこぞの喋るパンダ擬きに、味のしないガムレベルで弄り倒されたのでやめてほしい。

 

 それから彼女、アッちゃんと軽いデートと洒落込んできました。初めて会った時にもこの子は花壇前でジッと花を見つめていたが、一緒に歩いている時も道路や花壇に咲く花を興味深そうに見ていた。

 

 花や植物の話題を振ってみれば、やっぱりというか興味津々だった。俺のいた世界とキヴォトスで植物にどこまで違いがあるのかはわからんが、とりあえず俺の知識にあるものを解説しながらお花トークで盛り上がった。

 

 たんぽぽの根を使ってコーヒーが作れると教えてみればすごく驚いていた。まあ厳密にはコーヒーではないんだが。

 

 それと『死して賢者となりなさい』とか殺意全開で襲い掛かってくる森の妖精謙特級呪霊の話とか冗談半分でしようと思ったがやめた。アッちゃんピュアそうで信じちゃいそうだし。

 

 最後に時間だからそろそろ戻らないといけないと言う彼女を送ってから帰ろうと思ったのだが、迎えが来るからここまででいいと言う彼女に『また今度ね』と挨拶をしてその日のデートはお開きとなった。

 

 とても有意義で素敵な休日デートを過ごせました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「──、シノちゃん。おーい ホシノちゃーん?」

 

 「……うへ? あ、あれ? タローくんどうしたの?」

 

 「どうしたのって、そりゃ俺のセリフだって。話しかけても気づかないし、ボーッとしてたみたいだけど」

 

 「え……あちゃー。おじさんもやっぱりもう歳かね、どうにも最近疲れが取れなくてさ」

 

 「はいはい、何言ってんのさ。まだまだピチピチの美少女でしょうに、ホシノちゃんは自分の若さと可愛さに自信を持ってくださいな」

 

 

 呆然と、遠くに離れていた意識が引き戻された。

 場所は空き教室。気がつけば、自分の肩口からニュッとこちらを覗き込む男の姿がそこにはあった。

 

 男性にしては少し長く整えられたまつ毛。引き込まれそうになる澄んだ青い瞳にはポカンとした表情を浮かべる自分の姿が映り込んでいる。

 

 振り返れば鼻先同士が触れ合いそうになるほどの近い距離、ここまで接近されていたというのに気がつく事ができなかった事に対する驚きと、あまりにも距離が近い異性の存在に少しだけドキッとしてしまう。

 

 

 「(ぁ……綺麗な色)」

 

 

 青い瞳に、つい見惚れてしまう。

 海が青い理由は、海にそそいだ光が海中の物質にあたって反射すると、吸収されにくい青色の成分が多くなり、 そのために海の色は青く見えるのだという。

 

 まるで海のようだ、自分を見つめる青い瞳にそんな感想を抱いた。

 

 ホシノ自身、左右で色の違う橙系と青系のオッドアイであり鏡を見ればいつでも確認できる見慣れた色だ。しかし自分と似ているようで違う、深く澄んだ色合いの瞳に視線が奪われる。

 

 そして何より、自分とは瞳の奥に宿す“熱の色”が違う。

 

 

 「……うひぇ〜、何するのさタローくん」

 

 「んー、別に。ホシノちゃんのほっぺが柔らかそうだったのでつい」

 

 

 むにむに、と遠慮なくほっぺを摘んでは伸ばし、揉みほぐして柔らかさを堪能している。凛太郎は揶揄うような飄々とした様子で、ムッと不貞腐れたようなホシノに『えいえい。おこった?』と頬を突き始める。

 

 しかしやりすぎて『おこってるよ?』なんてグーパンが飛んできても洒落にならないので程々にやめておく。

 

 

 「それで、ホシノちゃんは何かお悩みかな?」

 

 「っ………え?」

 

 「あ、もしかしてバレてないと思ってるぅ? 残念、あれだけ心ここに在らずって感じなら流石にわかるって」

 

 「……そっか」

 

 「そんなホシノちゃんに朗報です。ここになんと! ホシノちゃんとお喋りしたくて暇そうにしているイケメンくんがいるんだけど、どうかな?」

 

 「うへ〜、おっかしいな。おじさんからはそんなイケメンくん見当たらないんだけど〜」

 

 「おっと、悪口かな。泣いちゃうぞ〜」

 

 

 近くにあった椅子を適当に取ると、背もたれを前にして肘を掛けて前のめりの体勢で座り込む。

 

 内心を読んだような凛太郎の言葉に最初こそポカンとした表情をしていたホシノだが、目の前で自信たっぷりなドヤ顔を浮かべれる男の気遣いについ笑みを溢してしまう。

 

 

 「さてさてさて、それではお悩み相談のお時間です! ゲストのホシノちゃーん、あなたのお悩みを聞かせてくださいな」

 

 「あれ、そういうテンションで行く感じ……?」

 

 「おろろ、体育教師の熱血指導風の方がよかった?」

 

 「んー、それもそれでなんか嫌だなぁ」

 

 

 さあさあ早く貴女の悩みを喋ってみなさいよと、聖職者気取りのポーズでホシノの返事を凛太郎は待っている。そんな男のノリノリな様子にホシノは苦笑いする。

 

 気遣いに甘えて胸の内を語ってもいいのかもしれない。

 しかし、自身が抱える悩みはおいそれと人に話せるようなものではない。しかもそれが悩みの渦中である()()()()()()()()()()()()()()()()なのだから。

 

 にょほほーん、と身体をくねらせている凛太郎を尻目にホシノは少し前の───まだ新しい記憶を掘り返す。

 

 

 『──これはこれは』

 

 『……』

 

 『お待ちしておりましたよ、暁のホル……いえ、ホシノさんでしたね。これは失礼』

 

 

 それはアビドス対策委員会の面々にも伝えていない、キヴォトスのどこかにある場所で小鳥遊ホシノの個人による単独的な秘密の会合。

 

 ホシノの視線の先に佇む、まるで()()()()()()()とも思わされる容姿の人物。黒いスーツをピッシリと着込んでおり、その体は影の様に黒く無機質。右目と思われる箇所は不気味に発光しており、そこから広がるように顔全体に亀裂が走っている。

 

 人の形をしたナニか、とても人間とは思えない姿。

 

 

 『いやいや、キヴォトスにはまだ馴染めていなくて。こちらへどうぞ、お座りくださいホシノさん』

 

 『……別にいいよ、長居するつもりはないし。“黒服の人”、今度は何の用なのさ』

 

 『……ふふ、少々状況が変わりましてね。今回は再度、()()()()()()()()()をお持ちのホシノさんにあるご提案をしようと思いまして』

 

 『ッ!……提案? ふざけるな!!それはもう……!』

 

 『まあまあ、そう声を荒げずに落ち着いてください』

 

 『……っ!?』

 

 

 今にも噛み付かんばかりに敵意を剥き出しにするホシノ。

 

 怠け者でどこか気の抜ける、おっとりとした普段の彼女の姿からはとても想像がつかないような姿。アビドスの後輩たちがその姿を見たら驚愕を露わにするだろう。

 

 しかしそんな彼女の相手を殴りかねない非情な剣幕を前にしても、黒服の態度が揺らぐことはない。

 

 

 『再度、ホシノさんへご提案をしようと思っていたのですが……今回はそれとは()()()()()をあなたへしようかと思いまして』

 

 『……違う、提案?』

 

 『はい。単刀直入にいいますと、現在アビドスにてホシノさんたちと行動を共にしている()() ()()()()()の身柄をこちらで預かりたいのです』

 

 『───、な、は?』

 

 

 予想だにしなかった黒服の要求にホシノの思考が止まった。

 

 

 『アビドス最高の()()をお持ちであるホシノさんとは別に、津上 凛太郎さん……言うなれば彼はアビドス最高の、その身に溢れんばかりの()()を宿している』

 

 『……なにを、言って』

 

 『神秘を宿してすらいない者が、なぜ神秘とは真逆の位置に属する恐怖を宿しているのか。そもそもあれは恐怖なのか私にとっても未だ未知数、非常に興味があります』

 

 『───』

 

 

 言葉が出ない。

 眼前に佇む黒服の者が何を言っているのかまったく理解できなかった。それに加えて黒服のいう別の提案とやらはホシノにとって到底理解し難いものでもあった。

 

 

 『ふ、ふざけるな! なんのつもりでタローくんを!』

 

 『クックック……先程 申し上げた通り、彼に興味を惹かれているのです。未知を既知とするのは探求するものとしては当然のことでしょう?』

 

 

 ホシノが以前に黒服から受けた提案、それは一種のスカウトのようなものだ。

 

 アビドス高校を退学して、黒服たちの()()に所属する。

 その企業が何をしているのかホシノ自身は詳しくは知らなかったが、この黒服という人物がカイザーの理事、お偉いさんと裏で繋がっている事は知っていた。

 

 だからこそ、彼女はその提案とはカイザーPMCの傭兵として働く事を意味していると考えている。そしてその提案を飲めば、見返りとしてアビドスが背負っている9億という学生だけでは返し切れない多額の借金の半分近くを黒服が肩代わりするというものだ。

 

 それはあまりにも、誰から見たって破格な条件だ。

 

 だからこそ、ホシノはその条件を飲まなかった。

 

 何せ怪しすぎる。

 リスクに対してリターンが、大き過ぎる見返りに何か裏があるのではないかと考えるのは当然のことだ。そして何より、可愛い後輩たちの前に立つ者として、彼女たちと学園を置いていく選択肢を選ぶ事はよしとはできなかった。

 

 だがしかし、いま黒服が提示してきた提案は津上 凛太郎の身柄を引き渡せというもの。それはつまり、()() ()()()()()()()()()()()()()()と言われているようなものだ。

 

 

 『そ、そんなことっ……できるわけないだろッ! そもそも、それは私やお前が勝手に決めていい事じゃない!!』

 

 『ええ、確かにその通りです。この場にいない本人の意思とは関係なく、第三者のみで契約など交わせませんから。だからこそホシノさん、あなたの方からも彼へ声を掛けて頂きたい』

 

 『断る……。そんな提案飲むわけない』

 

 『それを決めるのはホシノさんではなく、彼と私の話し合いの末に決めさせて頂くものです』

 

 『ッ……!』

 

 

 これがホシノと黒服による秘密の会合、未だ記憶に新しい先日の出来事。当然この事は凛太郎本人には伝えていない。否、伝える事ができていない。

 

 それもそうだろう。

 助けを求められたシャーレの先生とは違い、凛太郎は結局の所アビドス自治区とは関わりのない部外者だ。 

 

 そんな部外者の彼が、アビドスの現状を変える為に自分たちを手伝ってくれている人間に自分の代わりにアビドスの為に犠牲になってくれなど口が裂けてもホシノは言えなかった。

 

 そしてそれを伝えられない理由はもう一つある。

 もし仮に、もし仮にホシノがこの提案を凛太郎に伝えたとして、自分の代わりに犠牲になってくれと頼んだとして、凛太郎がこんな馬鹿げた提案に二つ返事で快く引き受けてしまったら、自分はどうすれば良いかわからなくなる。

 

 だからこそ、伝える事ができなかった。

 

 共に過ごした時間は少ないが、ホシノにとって凛太郎は可愛い後輩たちと変わらないくらい大切なアビドスの仲間の一人となっているのだから。

 

 

 「おーい。ホシノちゃーん?」

 

 「うへ?」

 

 「……本当に大丈夫? またボーッとしてたけど」

 

 「……いやー、お日様が気持ち良くてすぐ眠くなっちゃうよ。ダメだねぇ、こんな時間にお昼寝してサボってたらまたセリカちゃんに怒られちゃうね」

 

 「……ふーん。ま、そういう事にしておいてあげるよ。それはそうとしてホシノちゃん」

 

 「んー? 何かなタローくん」

 

 「実は少し前から俺の財布の紐を握っているアヤネちゃんに内緒で高反発なおっきいマットレスを買ってみたんだが……どうする?」

 

 「おー! それじゃあアヤネちゃんに怒られる前におじさんと一緒にお昼寝しようじゃないか!」

 

 「やったー! じゃあ今からお昼寝のお時間ですね!」

 

 

 ───だからこそ今は、この束の間の平和に身を任せよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「クックック……津上 凛太郎さん。少々お時間よろしいですか?」

 

 「……あ゛? てめぇは誰だよ。挨拶は大事だって知らねえのか?」

 

 

 ───その夜、呪術師は不可解な探究者と出会う。

 

 

 

 

 

 






 ・津上 凛太郎
 「これが薔薇で、こっちがアネモネ。んでこれはたんぽぽ……そうだ、たんぽぽといえばこいつの根っこでコーヒーが作れるんだよ」

 ・アッちゃん
 「……!(スッ、ススッ、スーッ)」

 「いやいや嘘じゃないって本当だって! 飲んだことないけど、マジで作れるんだよ……あと猫のう○こからも」

 「……!!(スッ、ススーッ)」

 「いやマジだって! 詳しくは知らないけど、マジなんだって!」




今後の展開。※参考程度

  • 時計じかけの花のパヴァーヌ編
  • エデン条約編
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