透き通る様な世界観にいる一般呪術師   作:半ライス大盛り

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亀更新でスマソ。
アクナイの方も執筆してたんで時間かかりました。リハビリがてら色々やってたんですが、執筆途中のスルト編が余裕で30000文字超えそうで震えてる。R-18久しぶり過ぎて頭こんがらがる。

呪術新OPかっこよすぎ。
アニメも本格的に渋谷事変始まってきたし、本誌も新宿バトルが熱くてヤバいしでやばい(小並感

区切りがよかったので今回ちょっと短め。
多分あと2、3話でアビドス編も終わるか…?

感想、評価、お気に入りありがとうございます。もっとくれ(強欲の壺





ワシとポッキーゲームじゃ!!

 

 

 「お、出店やってんじゃん……おじちゃーん! たこ焼きくださいな!」

 

 「はいよ! 何個入りにするんだい?」

 

 「んじゃ10個入りにしよっかな。あっちの子と一緒に食べるから」

 

 「お! そっちの子は可愛い子は彼女さんかい? 」

 

 「おお! おじちゃん見る目があるねえ。でも残念ッ、まだお友達なのよね〜。これから口説いてくるとこ」

 

 「なんだ、こんな可愛い子侍らせようなんて隅に置けないな坊主……ほらよ」

 

 「羨ましいっしょ……ほいこれ、お金置いとくよ」

 

 「へっ……少しおまけしといたから、精精がんばんな応援しとくぜ」

 

 「お、マジで! サンキュー!」

 

 

 既に日は傾き、アビドスは夕闇に包まれかけている。

 砂漠に呑まれ、荒廃しかけているアビドスだがそこに暮らす住人がいないわけではない。アビドスの都心にこそ住人は少ないが、郊外に近づくにつれて活気付き街ゆく人々の姿をチラホラと見かけるようになる。

 

 仕事帰りなのか、着崩したスーツにビジネスバックを片手に二足歩行で歩くパグや柴犬などの犬種の姿をした住人。それだけではなくスーツ姿で自立歩行するペッパーくんの親戚のようなロボットまでいる。

 

 知り合いに呪骸(じゅがい)の物騒な人型ロボットがいるが、生きていると言うよりあれはどちらかというと遠隔操作されたラジコンみたいなものなので、キヴォトスで見かける人型ロボットとは別物だ。

 

 行き交う街の人々の様子に、マジで自分は異世界に来たんだな、なんて考えてしまう。

 

 感慨に耽るのもそこそこに、人を待たせているので踵を返して歩き始める。ついでに近くの自販機で飲み物も購入して、待ち人のいるベンチに向かう。

 

 

 「ホシノちゃんお待たせー!」

 

 「……うん」

 

 「コーラとお茶どっちがいい?」

 

 「うへ……タローくんが買ってきたんだから私はどっちでもいいよ」

 

 「なら俺はコーラにしようかなっと」

 

 

 ベンチに座る彼女の隣へ腰を下ろす。

 飲みきりサイズの小さなペットボトルをホシノへと手渡して、凛太郎はコーラの缶のタブに指をかけて封を開ける。カシュっと炭酸が抜ける音が耳に心地いい。コーラを口にすると、炭酸がしゅわしゅわっと口の中を刺激した。その刺激に目が覚めた感じがする。

 

 

 「はいホシノちゃん。あーん!」

 

 「え……!」

 

 「ほらほら遠慮せずに、ささ! はい、あーん!」

 

 「さ、流石にそれはおじさんも恥ずかしいといいますか〜」

 

 「ほらお口あーん!」

 

 「……あ、あーっ……熱っ、はふはふぅ」

 

 

 先手必勝と言わんばかりに有無をいわせず割り箸で挟んだたこ焼きを彼女の口元へと運ぶ。動揺しながらも羞恥から遠慮しようとしたホシノだが、数秒逡巡した後笑顔で押しつけてくる凛太郎の圧に押し負け渋々と口を開く。

 

 口内に放り込まれるたこ焼き。

 覚悟決めて頬張ったはいいものの、出店で買ったばかりで出来立てホヤホヤのたこ焼きの熱さに目を見開く。凛太郎が軽くふーふーと冷ましたとはいえ、それでもまだ熱かったようで熱に苦戦しながらはふはふと咀嚼する。

 

 

 「どう美味しい?」

 

 「美味しいけど……ちょっと舌が火傷したかも」

 

 「あははっ、ごめんごめん」

 

 

 ムッと恨めしそうに視線を向けてくるホシノの様子に笑ってしまう。凛太郎も続くように口にたこ焼きを放り込む。

 

 熱い、確かに熱い。

 噛めば外はふわふわと柔らかく、中からはトロッとした中身と少し大きなたこが口の中に流れてくる。ソースも美味い、味の感想をその手の達人のように伝える事は凛太郎には出来ないのでその程度の感想しか出てこないが、また買おうと思えるくらいには美味しかった。

 

 熱々のたこ焼きを飲み込んだ後、そこに炭酸を流し込む。うん、美味い。凛太郎はとりあえずもう一口と、更に放り込んで咀嚼する。

 

 

 「んぐっ……ん、もう一個食べる?」

 

 「……あーっ」

 

 「どうぞどうぞ。遠慮なくお食べくだされホシノ先輩や」

 

 

 箸で掴んで差し出せば恥ずかしいそうにしながらも、もきゅもきゅと頬張るホシノの姿に癒される。ずっとこのまま眺めていたいところだが、そうもいかない。コーラを傾け一口飲んだ後、本題を切り出すことにした。

 

 

 「ふぅ……さてと、俺に聞きたい事あるんじゃないのホシノちゃん」

 

 「───……っ」

 

 「ははっ、そんな顔しないでよ」

 

 

 凛太郎の言葉に、何処か影のある引き攣った表情を浮かべるホシノ。そんな彼女の姿に凛太郎はつい苦笑いをしてしまう。そんな哀しそうな顔をさせるつもりはなかったのだが、仕方ない。自分と彼女の間でこの話は避けては通れないものだ。

 

 

 「……黒服の人に、タローくんは会ったの?」

 

 「一緒にお茶する羽目になったよ。おかげで無駄に時間使ったかな」

 

 「───ッ。どう、して?」

 

 「向こうから接触して来た。んで、俺に協力してくれないかって言って来たよ。しかも報酬としてアビドスの借金も半分肩代わりしてくれるとさ」

 

 

 太っ腹だよね〜、なんて言いながら笑う凛太郎とは対照にホシノの表情は明るくはなかった。何せ自分が恐れていた“最悪の結果”に行き着いてしまいそうになっているのだから。

 

 “なぜ?”

 “どうして?”

 “その話は受けてしまったのか?”

 

 ホシノの胸中に様々な言葉にならない声が渦巻き、頭の中はパンクしてしまいそうになるくらいに嫌な考えが加速するように過ぎっていく。凛太郎の答えを恐れ拒絶する様に、問いただす言葉が出てこない。

 

 そんなホシノの心情を知ってか知らずか、凛太郎は呑気にカラカラと笑う。しかしそんなホシノの心配も徒労に終わる事だった。

 

 

 「───けどまあ、信用できるかよって断って来たけど!」

 

 「……え」

 

 「だってそうでしょ。いくらなんでも胡散臭さ過ぎるっての、いきなり現れて借金の肩代わりとかさ……だからさ、ホシノちゃんもあんな奴を頼るくらいならもっと俺を頼ってよ」

 

 「っ……おじさんの話も、聞いちゃった?」

 

 「ん〜全っ然! けどホシノちゃんって意外とわかりやすいから」

 

 「うへ……そっかぁ」

 

 

 凛太郎は黒服からホシノについては何も聞いていない。そもそも、黒服が深く話を切り出す前にあの会合の場を潰してしまったのでそんな話を聞く時間も余裕もなかった。

 

 ただここ最近の彼女の思い悩むような姿と、何より自分が黒服の話題を出した瞬間の驚いた様子から推測してあの謎の人物がホシノへと接触してしいた事はなんとなく理解した。

 

 

 「ホシノちゃんはアイツの話を聞いてさ、要求を飲むつもりだったんじゃない?」

 

 「それは……」

 

 

 視線を逸らし言い淀むホシノの姿に、疑惑が確信に変わる。彼女も同じような売り文句で接近されたのだろうと。

 

 苛立ちが募る。

 それはホシノに対してなどではなく、立場の弱い人間の善意に漬け込むような薄汚いやり方に対してどうしようもない苛立ちが募るのだ。あの黒服と喫茶店で会った時に、“軽い警告“程度ではなく”半殺し”にすべきだったかとすら考えてしまうくらいだ。

 

 

 「いや〜、悲しいなあ。俺ホシノちゃんの事頼りにしてるのに、ホシノちゃんは俺やみんなの事を信じてくれないのかぁ〜」

 

 「……う」

 

 「よよよー、悲しくて涙が出ててきちゃうなァ! 俺がこの話をしなかったら、きっとみんなに黙ってあんな怪しい話に同意してたかもしれないんだからさー」

 

 「う、うぅぅ……」

 

 「あ〜、もう胸が張り裂けちゃいそうだな〜!」

 

 

 嘘泣きもいい所だ。

 もはや相手を煽っていると言ってもいいようなオーバーリアクション。幼児がぐずるようなモノマネをしながらチラチラと視線向けている。そんな凛太郎の反応に気まずそうにするしかホシノには出来ることがない。

 

 凛太郎は彼女の反応に内心で「やっべ。なんか楽しくなってきちゃった!」なんて思いつつも、ほどほどにしておくことにする。あんまりイジメすぎて嫌われるような事はしたくないので。

 

 高専で周りに女の子たちは、みんな気の強い女性ばかりだったのでなんだか新鮮な気分だ。

 

 

 「まあ、ホシノちゃんを揶揄うのはここまでにしてと」

 

 「なんか、タローくんって意外と意地悪だよね」

 

 「男の子は可愛い子に意地悪したくなる生き物なんだよ。そういうバカな生き物なの」

 

 

 教室で凛太郎の話を聞いた時、彼に連れられてここまで歩き、核心に迫る発言を切り出された時は足元が崩れ落ちるような激しい眩暈に立ち眩む感覚に襲われた。

 

 だが隣で楽しそうに笑う男の姿に、自分が申し訳なくなっていたのがなんだか馬鹿らしくなってくるような気がした。

 

 引き攣っていた表情もいつの間にか消え、心なしか柔らかな表情を浮かべている。

 

 

 「あのさ、ホシノちゃん俺さ」

 

 「んー、なに〜?……あ、たこ焼きもらうね」

 

 「どうぞおお召し上がりくださいな。あ、俺に食べさせてくれてもいいのよ?」

 

 「それは恥ずかしいからやだ。んっ、はふはふ、おいひぃ〜」

 

 「あらやだ。うぅ~ん、ホシノちゃんのいけずぅ~!」

 

 

 隣で喧しい凛太郎を無視してホシノはたこ焼きに舌鼓を打っている。先程とは固い様子とは打って変わっていつもの調子に戻ってきた彼女の様子に安心しながら、凛太郎は伸びをしてベンチの背もたれに寄りかかる。

 

 視線の先には夕闇に包まれた街並み、そして夜空に浮かぶ星のように光を灯す街灯や窓からもれる灯が地面に太い光の縞を描いている。

 

 光に照らされる通行人を静かに眺める。

 

 

 「ね、ホシノちゃん……君と俺はさ、似てるって勝手に思ってたんだよね」

 

 「 私と、タローくんが……え、なんで?」

 

 「だってホシノちゃんは、きっと大事な何かを()()()()()()()()()()()()()()……そうでしょ?」

 

 「───……ぇ」

 

 「俺もそうだよ。すごく苦しくてさ、自分の罪すら逃げる言い訳にしようとして、それでも目を背けられなくて吐きそうになりながらずっと歩いてきた」

 

 「タローくん……」

 

 「後悔だらけだよ。色んなモノを取りこぼした……()()()()()()ってのは結構キツいよ。俺はそんな思いホシノちゃんにも、アビドスのみんなにもしてほしくない」

 

 

 思い出すのは自分の原点。

 消してしまいたい忌まわしい記憶。

 

 自分にもっと力があれば結果は変わったのかもしれない。そうすればきっと、大切な友人や初めて好きになった()()()()も、今もどこかで楽しく元気に暮らせていたのかもしれない。また一緒に笑い合えていたのかもしれない。

 

 渋谷の戦いでもそうだ。

 もっと力があれば大勢の人を救えたかもしれない。五条先生を助け出せた、宿儺との戦いでも敗れる事なく、後輩に重荷を背負わせる事はなかっただろう。

 

 けど、そうはならなかった。

 ()()()()()()()()()()()()()()()

 

 今までも、そしてこれからも。

 

 いつだって力不足の自分を殺したくなる。

 瞼を閉じれば今でも思い出す、遠い昔に抱きかかえた()()()の身体から熱が、あたたかさが失われていく感触を。

 

 それが凛太郎(呪術師)の始まり。

 

 

 「ホシノちゃん、君は───()()()()()()?」

 

 「───ッ。私は、わた、しは……」

 

 「答えが見つからないのならゆっくりでいいよ。けど、もしも答えがもう見つかってるなら、俺も君もその想いに恥じない生き方をしようよ」

 

 「……うん」

 

 

 胸が痛くなる。

 吸い込まれるように視線が逸らせなかった。

 

 彼は気づいているのだろうか、ホシノは考える。目の前の少年の横顔は寂しそうに、悲しそうに、今にも泣き出してしまいそうな表情を隠すように静かに微笑んでいた。

 

 そんなどこか痛々しい姿に瞳が揺れる。

 

 少年は自分と似ていると言った。

 自分が引き摺る影を見抜き、自分と同じで託された側の人間だと。確かにその通りだ、ホシノの心象には今でも()()の姿が焼き付いている。

 

 彼女の後を継いでアビドスを、大事な後輩たちを守る為にホシノは先の見えない荒野を必死に歩いてきた。

 

 

 「タローくん、ありがとうね」

 

 「どういたしまして、礼を言われるような事はしてないけどね」

 

 「それでも、こういう時は感謝するものだよ」

 

 「そう? それならその感謝は素直に受け取っておくよ」

 

 「そうそう。先輩からの感謝の言葉は素直に受け取っておくべきだよ〜」

 

 

 そしてそんな自分の痛みに理解を示す少年の姿に、ホシノも静かに微笑んだ。

 

 

 「それじゃ、そろそろ帰ろうかホシノちゃん」

 

 「そういえば、もう真っ暗だね。うへ〜、なんだか真面目な話してたらおじさん疲れちゃった〜」

 

 「俺も〜。さっさと帰って寝たいです……あ、暗いし送ってくよ」

 

 「んー、ならお言葉に甘えようかなぁ」

 

 

 こうやって面と向かい合い、真面目な話をするのは慣れないモノだ。ましてや、相手に道筋を示唆するなんて凛太郎は自分のガラじゃないと思っている。

 

 欠伸を溢しながら帰路につく。

 ひとまずは安心してもいいだろう。思い悩み話を真剣に聞いてくれたホシノの姿に、彼女が間違った選択をしないだろうと凛太郎は確信した。自分と同じような思いは優しい彼女にはしてほしくない。

 

 

 「───あ、明日ちゃんとシロコちゃんたちにも説明しなきゃダメだぜ」

 

 「……うえ!?」

 

 「なんで驚いてるのさ。みんな心配してたんだから、当然でしょ」

 

 「う〜、シロコちゃん怒ってたからなー。はあ、大事な後輩に怒られなきゃいけないなんて……おじさん気が滅入っちゃうよぉ!」

 

 「大丈夫だって、ちゃんとフォローするし。なんなら一緒に謝るよ」

 

 

 

 

 

 

 




 
・小鳥遊 ホシノ
「あ、そうだ」

・津上 凛太郎
「どうしたんホシノちゃん」

「タローくん……あ、あーん」

「───……ふぁ!? あ、危ねえ! 可愛過ぎて意識がトんだ!」



今後の展開。※参考程度

  • 時計じかけの花のパヴァーヌ編
  • エデン条約編
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