透き通る様な世界観にいる一般呪術師   作:半ライス大盛り

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呪術本誌見た感想。
雷神おま、なにしに来たんだ。それで終わりなんか?
というか宿儺、お前のその呪具飛天って名前だったのか。知らんかった、どこかに乗ってたかその情報?

ブルアカ、イチカちゃんゲットできなかった;;
けど仕方ないんや、原神とかスタレとかに課金しちゃったから特級呪具諭吉がいないんだ。

それと最後のシーン、描写をぼかす為にわざとセリフだけになってたりします。めんどくさかったとかじゃないです、ほんとです。

とりあえず、アビドス編は完結…なのか?
次回は後処理の話とかになるかも。




せやかて工藤

 

 

 

 「う〜ん。どうすっかな」

 

 

 凛太郎は現在全力で疾走していた。

 上はぴっちりと張り付くような半袖の黒いインナーシャツ、下は白いジャージにランニングシューズ。側から見れば砂漠に埋もれたアビドスを走る彼の姿は早朝に日課のランニングをこなすスポーツマンのようにも見えるだろう。

 

 

 「もう一段階ギアあげるか? けどそれだと周りの被害がやばいしな〜。あー、しんど。やり過ぎて皆からドン引きなんてされたら俺の心が死ぬって」

 

 

 ちらり、と後ろに目を向ける。

 そして嫌なものでも見たかのように凛太郎はゲッ、っと顔を顰めて更に速度を上げる。

 

 側から見れば普通にランニングをこなす青年。

 先程はそう述べたが、凛太郎の状況を見れば明らかに普通ではない光景だと理解できるであろう。

 

 

 『■◾︎◾︎■■■◾︎◾︎!!!』

 

 「うげ、あのクソトカゲ元気だな!」

 

 

 怒り心頭といったようで凛太郎を追いかけるビナーの姿がある。

 

 砲門から放たれるミサイル。

 凛太郎は更に速度を上げ、アビドス砂漠のかつての残骸を盾にし滑るするように建物の隙間を縫って走る。至近距離で響く爆発音に耳がイカれそうになるが、どうにか堪えて直撃しそうなものだけ呪力のバリアと呪力弾によって対処する。

 

 

 「あいつ意外と硬いな。お兄さんそれはちょっと計算外だったよ……うお、あぶねえ!」

 

 

 件のビームでの火力勝負。

 実をいうと、その勝敗は()()()()()()()()()()()

 

 というのも、純粋な火力勝負で負けたというわけではない。

 

 凛太郎が得意とする呪力の高出力指向放出。それはビナーが放つ熱線「アツィルトの光」にも勝るだけの威力は十分にあるものだと凛太郎本人も自負している。

 

 しかしそれは最大出力で放てた場合の話だ。

 凛太郎が呪力を溜めて高出力指向放出が最大出力に達するよりも早く、ビナーの「アツィルトの光」が収束(チャージ)を完了させて放たれた。

 

 凛太郎もビナーの熱線を相殺すべく、最大出力に満たない呪力放出で対抗して完全とはいかないものの「アツィルトの光」をギリギリで打ち消す事には成功している。しかし受けたダメージは最小限に抑えるという事はできなかった。

 

 衣服は煤けて、顔や腕には熱線によって肌が焼け焦げたような傷が残っている。肉体が反射で行う反転術式の治癒は術式のギアが3rd状態に入らないと使えない。なので現在、傷を修復することもできない。

 

 

 「近接フルボッコで行くか?……ま、なるようになるか!」

 

 

 撹乱するようにビナーの周りを駆け回る。

 様子見の呪力弾を飛ばすが、どうにも効きが弱い。ビナーの頭部や胴体を跳ね上げさせるだけの膂力はある。しかし近接フルボッコで叩きのめそうにも、あの馬鹿でかい体躯にどれだけ打撃のダメージが響くかもわからない。

 

 だがこれ以上時間を無駄にするわけにもいかない。

 そして何より、いちいち面倒くさいことを長く考えるのも性に合わない。凛太郎はとりあえず殴って解決することにした。

 

 

 「“力は重さと速さ”……だったか。それには俺も同意見だぜドブカスゥ!」

 

 

 加速する。

 呪力をジェット噴射の要領で逆噴射させて速度を上げる。

 

 凛太郎の脳裏に蘇るのは()()()で加速する呪術師の姿。禪院家相伝の術式「投射呪法」の使い手。己の視界を画角とし、1秒を24分割した動きをあらかじめ頭の中でイメージし、その後実際にその動きをトレースできる能力。

 

 加速度には限度があるが、絶えず術式を重ねていくことで限度を超えた加速が可能になる。しかし、失敗すると1秒間フリーズする。また、作った動きは途中で修正できず、過度に物理法則や軌道を無視した動きを作れずフリーズしてしまう。強力な反面、非常に扱いが難しい能力。

 

 だが扱いこなせば五条悟を除いて最速へと至れる術式。

 

 

 (ムカつくが……あの野郎の打撃は中々痛かった)

 

 

 “投射呪法”の使い手、禪院直哉の戦闘。

 膂力(パワー)耐久性(タフネス)も、身体能力(フィジカル)では凛太郎が上回っていた。ただ一点、敏捷性(アジリティ)に関しては直哉が上手であったのだ。そして“投射呪法”によって繰り出される加速した攻撃は凛太郎に大きなダメージを与えるだけの重さがあった。

 

 加速し続ける素早い相手に苦戦を強いられた。

 

 

 「ま、初速は俺の方が速かったけど!」

 

 

 全身を呪力で強化する。

 そして凛太郎は最高速度で放つ一撃の為に下半身を重点的に呪力で強化した。筋肉の繊維の一本一本、血管の一筋一筋まで呪力を巡らせる。力を脚に溜めに溜め込んで、一息に踏み込んで力を爆発させる。

 

 ドンッ、と空気が爆ぜた。

 

 

 「“光”の速度で蹴られた事はあるかい?」

 

 『……!!』

 

 「因みに俺は……ねえッ!」

 

 

 粉砕。

 限界まで速度を乗せた前蹴り。

 

 文字通り、ビナーを蹴り飛ばす。

 初撃で宙へと大きく浮き上がったビナーを追いかけて跳躍する。そこから更に連続で蹴りを叩き込んで上空へと打ち上げる。ビナーの長く大きな全身を空中へ放り出すことは流石に出来ないが、それでも体をくの字に曲げ怯むビナー。

 

 隙を作る事は出来た。

 凛太郎はビナーの背へ張り付くと、そのまま頭上付近まで駆け上がる。

 

 ビナーの装甲が硬い事は理解した。

 しかしその硬さにも漸く()()()()()ところだ、拳を叩きつけビナーの背にある砲門を破壊する。ビナーが悲鳴のような雄叫びを上げるが、容赦なく畳み掛ける。

 

 そして装甲の縁を掴み呪力出力にモノを言わせて力づくでその巨体を投げ飛ばす。

 

 

 「ふぅ〜……さてと、これで大分シロコちゃんたちから距離は取れたかな?」

 

  『■■■■◾︎◾︎!!!』

 

 「ちょっと乱暴しただけだろ、そんなに怒るなよ……何言ってるかわかんねえけど」

 

 

 ビナーの目からは殺意にも近い怒りの感情が見てとれた。

 凛太郎本人としてはどうしてここまで自分にヘイトを向けられているのか理解できないが、そっちがその気ならとりあえず遠慮なくぶっ飛ばすだけだと言った感じだ。

 

 今しがた投げ飛ばした際に、千切るように引き剥がしたビナーの装甲の一部を放り投げる。

 

 

 「ハァッ!」

 

 

 片手を翳して呪力を放つ。

 小さな呪力弾、しかし見た目とは裏腹に威力は凄まじくビナーの装甲を容易く破壊する。

 

 

 「慣れちまえば、なんて事はないな。そのうちこいつ喰らわせて跡形もなく消し飛ばしてやるよ」

 

 

 わかりやすい挑発。

 挑発が通じるかは不明であったが、効果は的面であった。互いに言葉は通じなくとも、激昂するかのようにビナーは空気を振動させるほどの咆哮を上げた。その様子に凛太郎は笑みを深める。

 

 

 (あのクソトカゲの体力が残りどんくらいかはわからんが、少なくとも3〜4割くらいは確実に削ってる。このまま畳み掛けて、削り切る。それなら───)

 

 「───作戦変更、ちまちま削るよりも大技で手っ取り早く片付けるか」

 

 『■■◾︎◾︎■■■■◾︎◾︎!!!』

 

 「それじゃあ、そろそろ決着(ケリ)つけようか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……凄まじいですね」

 

 

 場所は変わる。

 学園都市キヴォトスにおいて三大学園に数えられる一大勢力、トリニティ総合学園。その一角で、現在アビドスで発生している戦闘を映像越しに見ている者がいた。

 

 トリニティ総合学園の生徒会。

 かつて無数の学園が紛争を繰り広げていたトリニティ自治区。そんなトリニティ自治区で調停の場として存在したのが『ティーパーティー』である。やがて各学園は統合され、その中でも主要な3つの学園であった『パテル』『フィリウス』『サンクトゥス』は、学園内の三大派閥へと姿を変えた。

 

 ───語れば長くなる複雑なトリニティ総合学園の内部事情は今は置いておこう。

 

 トリニティ総合学園は各生徒会長が一定期間ごとに変わり、最高意思決定者となる。『ホスト』と呼ばれる役回りを交代して運営している。

 

 そしてフィリウス分派の代表である桐藤(きりふじ)ナギサ。彼女はティーセットの用意されたテラスにて、食い入るように映像を流す小さな通信機を眺めていた。

 

 当初は彼女が寵愛している後輩の阿慈谷ヒフミの頼みと、シャーレの先生へ“貸し“を作るつもりで牽引式榴弾砲を扱う野外授業という名目で先生と対策委員会に支援をヒフミに任せていた。

 

 その様子を生徒の一人にカメラで記録させ、影ながら見守っていたのだが予期せぬ光景を見せられる事となっていた。それがビナーの顕現と、突然現れたビナーと戦闘を繰り広げる凛太郎の姿だ。

 

 はっきり言って、それは異様な光景だった。

 何せ圧倒的な体格差のある巨大な怪獣を武器も使わずに、殴る蹴るなどの体術のみで圧倒しているのだから。凛太郎が蹴り一つでビナーを空中へと打ち上げた時は驚きのあまり飲んでいる紅茶を吹き出しそうになった。

 

 

 「……ミカさんも相当アレなほうでしたが、ひょっとしてこの方はそれ以上なのでは?」

 

 

 いや、寧ろ同じくらいか。

 ナギサの脳裏には、「やっほー!」なんて軽い挨拶と共になんて事のないように壁をぶち抜くことのできる友人の姿が浮かぶ。そして理解した彼もまた彼女と同じようなパワータイプ(ゴリラ)であろうと。

 

 映像の向こうでは凛太郎が電柱を根本からへし折り武器として使いビナーをタコ殴りにしている。まるでアクションシーンが豊富な怪獣映画でも見ている気分になってくる。

 

 

 「確か、津上 リンタロウさん……でしたね」

 

 

 ヒフミの報告からカイザーについて調べた時、アビドス対策委員会についてもある程度のことは調べていた。

 

 その中でも一際異彩を放っていたのは彼だった。何せ経歴は一切不明でアビドスに突然現れた対策委員会の協力者。ヘイローをその身に宿さず、シャーレの先生と同じでキヴォトスの“外部”からの来訪者だと予想は出来たが、あまりにも異質だった。

 

 人間離れしている。

 凛太郎という人間を調べていくうちにそう感じた。調べによると、武装した不良生徒や懸賞金を掛けられた組織を相手に生身の徒手空拳で制圧したらしい。最近ではゲヘナ風紀委員会相手にも一人で完封し、その事からとてつもない実力を有していることがわかる。

 

 

 「───恐ろしいですね」

 

 

 凛太郎がヒフミや正義実現委員会、トリニティ総合学園の生徒やゲヘナ風紀委員会の生徒とも個人的な友好関係がある事は調べがついている。ゲヘナとの“例の条約”が目前に迫っている、今は下手に動くわけにはいかないが彼を中心に不要なトラブルが生まれないことを祈るばかりだ。

 

 

 「───あれれ? どうしたのさナギちゃんってば浮かない顔しちゃって、紅茶の飲み過ぎでお腹痛くなちゃった?」

 

 「っ……ミカさん。いつからそこに?……というか、いい加減な事を言わないでください」

 

 「あはは、ごめんごめん。さっきから声かけてたのに気が付かないんだもん」

 

 

 気がつけば背後から覗き込んでくるように顔を近づけてくる友人の姿があった。どうやら自分が思っていた以上に思考の渦に囚われていた事にナギサはため息を吐いた。隠すように通信端末の電源を切って懐にしまう。

 

 

 「……? なになに、映画でも見てたの?」

 

 「───内緒です。それよりも、約束していた時間から大分遅れていますが……なにか申し開きはありますか?」

 

 「え〜、少し遅れただけじゃん。それに遅刻してるのはセイアちゃんも一緒でしょ」

 

 「セイアさんからは予め連絡を頂いています。時間にルーズなあなたと一緒にしないでください」

 

 「うわ、その言い方はちょっと傷ついちゃうな〜!」

 

 

 悪びれた様子もない友人の姿につい眉間に皺がよってしまうが、もう彼女とも長い付き合いになる。今更強く言ったところで素行が変わるわけでもないので、諦めるように思い息を吐いて紅茶の注がれたティーカップを口元に運ぶ。

 

 

 ───凛太郎と彼女たちが邂逅する事になるのはまだ先の話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「───オラァッ!」

 

 

 全身の筋肉をしならせて振りかぶる。

 凛太郎は近くにあった電柱を根本からもぎ取り、呪力を纏わせて武器としていた。両腕で掴み、大剣を肩へと担ぐように構える。

 

 そして跳躍して、ビナーへと上段から振り下ろす。

 人形サイズの自分と規格外の大きさのビナー、気分はモンスターを一狩りしに行くハンターだ。まるでVRゲームみたいだなと少しだけ心が躍る。

 

 ビナーの顔面を捉えた一撃。

 まるでビナーは重力に引っ張られるように頭部から地面に叩きつけられた。衝撃で地面が激しく揺れて砂埃が舞い上がる。

 

 

 「終わりか?……ッ!」

 

 

 ビナーへ叩きつけた際に砕け散った電柱の残骸を投げ捨て、凛太郎は動かなくなったビナーに視線を向ける。まさか死んだのか、自分の予想よりも早くダウンしたビナーの姿に眉を顰めつつ、近づこうとした瞬間。

 

 ビナーがそのデカい図体に見合わぬ速度で動き出した。

 

 まるで反発し合う磁力を利用して磁石を吹っ飛ばしたかのように、打ち出された弾丸のような爆発機な速度で予備動作もなく凛太郎を轢き潰そうと加速した。気がつけば、驚き動きを止めた凛太郎の目と鼻の先にビナーの頭部があった。

 

 ビナーの渾身の頭突きが凛太郎に触れた瞬間、文字通り頭突きの軌道にあるもの全てが爆発した。空気は舞い上がった土煙で白濁し、爆発の余波が暴風となって吹き荒れた。

 

 その風で土煙が吹き飛ばされる。

 

 

 『……■■◾︎◾︎!!!』

 

 「あぶねえな。急に突っ込んでくるんじゃねえよ」

 

 

 ビナーが繰り出した頭突きの前には、しかし、平然と立つ凛太郎の姿があった。手応えはあった、だというのにまるで何事もなかったかのようにビナーの突進を受け止めていた。

 

 ビナーは動かなかった。

 いや、どれだけ力を込めても動けなかった。

 

 

 「んじゃ……今度は、俺の番だ」

 

 『■……■■◾︎◾︎……!』

 

 

 凛太郎は右手でビナーに拳を叩き込んだ。

 鋭いアッパーカットに頭部が持ち上がると、素早く地面を蹴って飛び上がる。次の瞬間、ビナーの顔面に鋭い回し蹴りが喰い込んでいた。その一撃で、人間の数倍はある巨体が岩を打ち砕きながら大きく吹き飛ばされていった。

 

 ビナーが突っ込んで瓦礫の山と化した建築物の残骸の上に立ち、凛太郎は静かに相手を見ていた。

 

 

  『■■■……■■◾︎■■■■◾︎◾︎!!』

 

 

 怒りの咆哮と共に、ビナーが立ち上がる。 

 その様子に、凛太郎の眼がスッと細められた。

 

 土煙が烟る向こう側で、大きく開いたビナーの口元に光が収束されていく。じっくりと蓄積させていくように眩むほどの光が集まっていく。生身で喰らえば、ひとたまりもない。明らかに先程よりも高威力の一撃(「アツィルトの光」)

 

 

 「いいね。もう一回、火力勝負ってわけか」

 

 

 その光を前にして、驚きや恐れ恐怖と言った感情は凛太郎にはなかった。寧ろ、もう一度ビームの火力対決ができる事に心が躍った。

 

 構える。

 凛太郎は自分の高出力指向放出(かめはめ波)が最大出力に達するよりも早く、ビナーの「アツィルトの光」が収束(チャージ)を完了させて放たれる事は先程の勝負で理解していた。

 

 そして今も、ビナーの方が先にエネルギーの収束を開始させている。かめはめ波では溜めが大きく、相殺させるので一苦労だと。

 

 だから、溜めが長く後手に回ろうとも関係ないほう一つの切り札を使う。かめはめ波が相手に“浴びせ続ける”呪力放出だとすれば、こちらは一点集中型で“貫通力”を高めた一撃必殺の高出力指向放出。

 

 呪力を練り上げる。

 額にあてた指先に向けて、雷光のような呪力が周辺に迸りながら集まってくる。全身に纏った呪力が前に突き出した二本の指先に集中していく。

 

 

 『■■■■◾︎■■■■◾︎◾︎!!』

 

 「───魔貫ッ光ッ……殺砲ォォッッ!!」

 

 

 空気を切り裂く。

 

 大地を震わせる雄叫び。

 攻撃の収束・発射共に工程を完了させるのはビナーの「アツィルトの光」が速かった。放たれた熱線の威力を肌で感じ取る、僅かに遅れて凛太郎の指先から練り上げられた高密度の呪力の高出力指向放出が放たれる。

 

 放たれたエネルギーの激しいぶつかり合い。

 しかし拮抗は一瞬だった。

 

 白熱する呪力の奔流。

 針穴に糸を通すように、凛太郎の放った魔貫光殺砲が「アツィルトの光」を削るように切り裂き直進していく。そして、魔貫光殺砲がビナーの頭部を捉え撃ち抜いた。

 

 強烈な呪力の流れは、流星のように空の彼方へと伸びて消えていく。

 

 頭部を大きく抉り取られたビナーは断末魔を上げる暇もなく、動きを止めてゆっくりと瓦礫の山の中へと倒れ込んだ。

 

 

 「……悪いな。俺の勝ちだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『よっと、やっほ助けに来たよホシノちゃん』

 

 『うへ、タローくんってばボロボロだね……大丈夫?』

 

 『 無問題(モーマンタイ)。ホシノちゃんこそ大丈夫だった?』

 

 『おじさんの事より、自分の心配もしなきゃダメだよ。派手に暴れてたみたいだけど』

 

 『いやー、ちょっと暴れ過ぎちゃったかも。さてみんなの所に戻ろっか、ここ通信機使えないし。あっちの状況も気になるから』

 

 『いやー、おじさんの無事を知らせてあげないとまたみんな泣いちゃうよ』

 

 『結構余裕そうで安心したよ、歩けそう?』

 

 『大丈夫だってば、タローくんってば心配性だな〜』

 

 『ははっ。そりゃ、年寄りは労わらなきゃね』

 

 『……ねえ、タローくん。ありがとうね』

 

 『ん?お礼を言うのはまだ早いんじゃない?』

 

 『今回ことだけじゃなくて、色々とだよ。いっぱい助けられたからさ。正直に言って、いくらお礼を言っても言い足りないよ』

 

 『気にしないでいいよ……って言っても気にしそうだよね。う〜ん、あっ! それならほっぺにチューなんてどうよ! 俺頑張ったし……ははっ、なんちゃ───ぇ?』

 

 『〜〜〜ッッ!………それじゃみんなの所に戻ろうか!』

 

 『………』

 

 『……み、みんなには内緒だからね。おじさんとの約束だよ!』

 

 『……ひゃい』

 

 

 






津上 凛太郎
「…………やわらかった」

ある程度の経験はあるかもしれないが、一線は絶対に越えようとしないのでバキバキ童貞。略してバキ童。気まずくてホシノとは目を合わせられない。このチェリーボーイが。


小鳥遊 ホシノ
「う、うへ……〜〜ッ!」

自称おじさん。
しかし心は乙女。こちらも気恥ずかしくて凛太郎とは目を合わせられない。後輩たちは不思議そうにこちらを見ている。




今後の展開。※参考程度

  • 時計じかけの花のパヴァーヌ編
  • エデン条約編
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