透き通る様な世界観にいる一般呪術師   作:半ライス大盛り

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ブルアカとあるシリーズとコラボするんか…。

今回はちょっと短めです。
それと「しがない男子メーカー」で作って頂いたものを、作品に載せたいのだが版権的なものが大丈夫なのかわからず、どうすればいいかわからない。無知な私を許してくれ…。

いつも感想、誤字報告感謝です。
幕間は全部で5話くらいを予定してます。今回のプロローグを含めれば6話か…?

ようやく色んなキャラが出せる…。
残りに幕間で呪術サイドの話もちょっとだけ出るかも。



幕間
平穏はいつも近くに


 

 

 『“───ねえ、凛太郎”』

 

 

 頬を優しく撫でる微風。

 木々の隙間から差し込む月明かり。

 

 どこか遠くから響いてくるような小川からせせらぐ音が心地よい。その全てが鮮明で、記憶の底に焼きついた懐かしい記憶。ずっとずっと、ここにいてしまいたくなるような、そんな優しい空間。

 

 だからこそ、この全てが自分の願望でかたどられた偽りの憧憬であると認識できる。

 

 

 『私ね、大きくなったらパン屋さんになりたい! おっきな街でたくさんの人に美味しいって言ってもらえるようなすごいパン屋さんになる!……その時はりんたろーもいっしょにやろ!』

 

 

 穢れを知らないような綺麗な眼だった。

 そんな純粋な()()の言葉に、自分は照れくさくなって濁すように返事を返していた。いま思い返せば、自分の気持ちを素直に言葉にするべきだった。

 

 そんな後悔を抱いたところで、もう遅いというのに。

 

 

 『うっ……こ、今回のテストあんまりいい点数取れなかったかも……凛太郎は、ってなんで自分のは隠してるの! ちょ、見せてよ!』

 

 

 つまらないと思っていた。

 

 何の面白みもない。窮屈で、退屈な場所で育った。

 その退屈な場所で過ごした平和な時間がどれだけ幸せだったのかなんて考えもしないで。刺激や変化を求めて、巣の外へ羽ばたくことを夢見ていた。

 

 

 『ほ、本当に行っちゃうの?……もう少しだけここにいても……そっか。ううん、わがままだったよねごめん。ちゃんと連絡してよ……うん、その時は私も一緒!』

 

 

 彼女と共に6〜7回ほどの冬を越したくらいの時だったか、親の仕事の関係で引っ越しが決まった。両親は仲の良い夫婦、“だった”。小さく無知であった自分は、仕事の都合でなんて……そんな嘘を信じて父と共に生まれ育った小さな村を出た。

 

 再会を約束し、幼馴染の少女を残して外の世界へと飛び出した。

 

 どれだけ時間が経とうとも、()()とは連絡をとり続けていた。慣れない環境や、新しくできた友人、難しい勉強なんかに苦戦しながらも、週末に必ず家に届くあの子の手紙をポストから取り出すのが一番の楽しみだった。

 

 そんな手紙のやり取りが突然終わってしまったのはいつだっただろうか、記憶が曖昧で思い出せない。彼女から手紙の返事が返ってこなくなったのだ、どれだけ待っても手紙が自分の元へと届くことはなかった。

 

 嫌われてしまったのかな。

 自分でも気がつかない内に怒らせるような事をしてしまったのか。

 

 そんな不安を抱いて、朝起きれば学校に行き、帰ってきたら手紙を書いて眠る。そんなことを繰り返していた、毎日のように手紙が届いていないか、自分の身長よりも大きなポストを背伸びして必死に覗いていた。

 

 ある日、小さな自分は直接あの子に会ってごめんねと言いに行こうと思ったのだ。父親に黙ってこっそり、少ないお小遣いとお弁当なんかを用意して、電車を乗りついであの小さな村に帰ろうと足を痛めながら長い道のりを歩いていた。

 

 楽しみだった。

 ワクワクしていた。

 

 顔を合わせたら、最初に謝ろう。

 村では食べたことのないよなお菓子もいっぱい用意した、父親が隠していた高そうなお菓子も内緒で持ってきた。彼女が許してくれたら、どんな話をしようか必死に考えていた。

 

 どんなつまらない話でも、あの子なら笑って聞いてくれると信じていた。それからお母さんにも会いに行こう、背も高くなったけどきっと自分だと気づいてくれる───僅かな不安を抱えながら、揺れる電車の中で一人で笑っていた。

 

 

 そして地獄を見た。

 

 

 あの小さな村に帰った自分を出迎えたのは、立ち入り禁止と書かれた大きなバリケードと至る所に巻かれた無機質なテープの山だった。

 

 なにも残ってなかった。

 

 あの子と遊びに行った場所も、小さな秘密基地も、自分を可愛がってくれたおばあちゃんの駄菓子屋さんも、なにもかもが残っていなかった。自分の家も母親の姿もなく、村の友達も、あの子の姿も家もなかった。

 

 なにもなかった。

 

 どうやって家に帰ったのかは覚えていない。

 偶然その場にいた黒いスーツを着た大人に話を聞いても、詳しいことはわからず、焦げたような嫌な匂いと変わり果てた故郷の姿が脳裏に焼きついていた。

 

 9()()1()9()()()()()()()()()が起きたらしい。

 ()()()()1()1()2()()()()()()()()()()()()()7()()()()()()()。小さな自分はそんなことを言われたって理解できなかった。

 

 ぽっかりと、胸に大きな穴が空いたような感覚だった。なにをしても、どれだけ頑張っても、埋めることができない大きな穴だった。そんな日常を過ごしていた。

 

 

 ───その日を境に、俺は化け物が見えるようになった。

 

 

 ただ呆然と、静かに灰色の景色を眺めて過ごした。

 そして年月が経ち自分も中学生になり、二度目の春がやってくるような時期だったか……俺はある事件に巻き込まれて呪いの世界に足を踏み入れた。そして再会したのだ、死んだはずの幼馴染と。

 

 呪いを植え付けられ“変わり果てた姿”のあの子と再会したんだ。

 

 いつだって力不足の自分を殺したくなる。

 瞼を閉じれば今でも思い出す、遠い昔に抱きかかえた()()()の身体から熱が、あたたかさが失われていく感触を。

 

 

 『───ねえ、凛太郎』

 

 

 忘れるはずがない。

 忘れることなんてできない───だって俺が殺したんだから。

 

 

 『……えへへ、だいすき』

 

 

 今でも手に染み付いてる。

 彼女の柔らかく細い喉が跳ねるあの嫌な感触を。

 

 

 『ごめんね』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 「えっとー、リンタロウ……? うなされてたけど大丈夫そう? あとできれば手を離してくれると嬉しいかなー、なんて思ったり」

 

 「───………は?」

 

 「気分は大丈夫……じゃなさそうだね」

 

 「………最悪だよ。なんで寝起きで野郎の顔を眺めなきゃいけないんだっての」

 

 

 目が覚めた。 

 状況が理解できず混乱する。目の前には驚いたような表情を浮かべながらこちらを見ているシャーレの先生、そしてそんな彼の胸ぐらを凛太郎は寝転んだ体勢のまま掴み上げていた。

 

 手を離す。

 ここはどこだったかと、記憶を掘り起こす。そしてすぐに思い出した。自分はつい先日アビドスを離れ、このシャーレへと住み込みで先生の仕事を手伝うためにスカウトされたのだった。

 

 シャーレの居住区へと自分が寝泊まりする専用の個室を用意してもらい、その日は軽く荷解きをしてすぐに眠った。そして朝早くに目を覚ました。先生の出勤時間まではまだ時間があり休憩室のソファの上で休んでいたのだが、気がつけば二度寝してしまっていた。

 

 壁に掛けられた時計を見てみれば既に昼過ぎだ。

 

 

 「えっと、大丈夫?」

 

 「……悪い。シャワー浴びて来る、仕事の話って後でも大丈夫か?」

 

 「あ、うん。大丈夫だけど」

 

 「なら、ちょっと待っててくれ……マジですまん」

 

 「じゃあ、何か飲み物でも買って来るよ」

 

 「……さんきゅー」

 

 

 最悪の気分だった。

 相当うなされてたいたのか、びっしょりと汗をかいていた。なにも聞かずに送り出してくれたシャーレの先生へと感謝しながら、凛太郎はソファの背もたれへ脱いだ制服を掛けると重い足取りで歩き出す。

 

 休憩室を出てすぐ側の、トレーニングルームの近くにあるシャワー室の扉を開ける。衣服を放り出すように脱ぎ捨てロッカーの中へとしまう、そして並ぶように設置されているシャワールームの一つへ入っていった。

 

 綺麗な場所だな、なんて現実逃避するような感想を抱いた。

 

 

 「………少しは“マシになった”と思ってたんだが、ダメだなこりゃ」

 

 

 なんて顔をしてるんだか。

 今にも吐きそうな最低な面構え、鏡に写る自分の顔に凛太郎は自嘲的な笑みを浮かべる。悪夢にうなされるような夢見の悪さに襲われるのは今に始まったことじゃない、キヴォトスに訪れアビドスのみんなと過ごす内にマシになっていたのだが。

 

 まるで自分の罪を忘れるなと言わんばかりに、悪夢に襲われた。

 

 

 「はぁ……くそっ。先公には嫌なところ見られたな、変に気にしないでくれるといいんだが」

 

 

 バルブを軽く捻ってお湯を出す。

 壁に備え付けられたシャワーヘッドから勢いよく放出されるお湯を頭から被り、排水溝へと流れていく小さな水溜りの波を呆然と眺めていた。あんな夢を見た後だからか、どうにも気分が落ち着かない“いつもの自分”に戻ろうと思ってもなかなかスイッチが入らない。

 

 

 「……元気かな、みんな。今頃なにしてんだろうな〜、五条先生の救出失敗して全滅!……なんて事になってなきゃいいんだが」

 

 

 ───切り替えろ。

 パンッ、と自分の頬を張って凛太郎は自分を鼓舞する。

 

 これ以上ウジウジと考えたところでどうにもならない。あの時、自分は自分が納得できる行動をした。どれだけ後悔したって今更結果は変わらない。やれる事はやって最善を尽くしたのだ、なら後は自分の仲間を信じて祈るしかない。

 

 

 「……ん〜、腹減った。先公と飯でも食いに行くか」

 

 

 そうと決まればさっさと準備しよう。

 凛太郎はお湯を止めてシャワールームを出る、そこでふと思い出した。バスタオルを脱衣所のロッカーに突っ込んだまま持ってくるのを忘れてしまった事に。

 

 このシャワールームを利用するにあたって、先にタオルをロッカーから取り出して、そのままシャワールームへと向かい利用し終えたらその場で体を拭いて湯冷めする前に脱衣所へと戻り着替える、そのような手順で利用する事になっているのだが。

 

 先程まで気が動転していて、凛太郎はそれを忘れていた。

 びしょ濡れのまま脱衣所まで戻る事になるが、まあ床が濡れて掃除する手間が増えるだけだ。凛太郎は深く気にせず、濡れた前髪を掻き上げてタイルで足を滑らせぬよう気をつけながら脱衣所へと戻る。

 

 その時だった。

 

 

 『───先生! もう、どこにいるんですか先生!!』

 

 

 どこからかそんな声が響いてきた。

 シャワー室の外だろうか、ズンズンとシャーレの廊下を踏み締めるように歩く大きな足音が聞こえてきた。聞いたことのない声だな、凛太郎はそんな事を思っていたが。

 

 

 『どこに隠れたんですか先生! この領収書はなんですか、またシャーレの経費で変な物を買いましたね! 何度も注意してるのに、どうして浪費癖が止まらないんですかっ!』

 

 

 そんな少女の憤った声が聞こえる。

 状況はよくわからないが、なんとなく理解はできた。

 

 

 「……なにやってんだあいつ」

 

 

 思わず呆れてため息が漏れた。

 そういえばこの間、デカいホットプレートとかその他色々を持参してアビドスに来てたな。凛太郎は財布の紐が緩そうなシャーレの先生の姿を脳裏に幻視する。

 

 そんなことよりも、湯冷めする前にさっさと身体を拭いて着替えてしまうか。そう思い、ロッカーの扉を開いてタオルを取り出した後、扉を()()()()()()()()

 

 ガンッ、と大きな音が響いた。

 

 

 「もう逃しませんよ! こんなところに隠れてないで、ちゃんと説明を……して、くだ……さ……」

 

 「…………ん?」

 

 

 突然、脱衣所の扉が勢いよく開かれた。

 

 

 「………へ?」

 

 「………あ、ども」

 

 

 とりあえず挨拶はしておく。

 なぜなら「挨拶は大事」だと、仮面の少女ことアッちゃんも言っていたのでしっかりと挨拶はしておく凛太郎。たっぷり数十秒ほど、無言の時間が空間を支配していた。

 

 

 「え……あ……なん、お、おと……き、き」

 

 「きゃあああああっっ! のび太さんのエッチィィ!

 

 「きゃああっ、てなんであなたが悲鳴をあげてるんですか!!? のびたさんって誰!?……じゃなくて前、前を隠してください!!」

 

 「ふっ……照れるなよ。こっちまで恥ずかしくなる」

 

 「それが普通です!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




冷酷な算術使い
「あ、あわ、あわわわ…」
 
アビドスの全裸野郎
「興奮しちゃうじゃないか……」ズギューン
 
経費でおもちゃ買う奴
「……なんか騒がしいな」

ぶっちゃけどの時間帯に更新されると読みやすい?

  • 07:00くらい
  • 19:00くらいやな
  • 21:00くらいやでー!!
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