透き通る様な世界観にいる一般呪術師   作:半ライス大盛り

39 / 56
お気に入り、高評価、感想、ここすき、大変励みになっております!

周年ガチャ来ましたね。
皆さんはどうでした? 私は無事ピックアップ3人のお迎えしましたが、その代償として財布が領域展開 坐殺博徒としましたね。臨戦ホシノとミカは無事天井です、キツすぎる。

まぁこのあと水着ガチャも天井するんですけどね!





やればできる子です

 

 

 b月¥日

 

 

 なんだかどっと疲れた。

 まるで休み明けに長時間労働させられたような気分だ。

 

 それに気のせいか、久しぶりにペンを握り日記を書いている気がする。そういえばこの日記帳とも長い付き合いになってきたかもしれない、3日坊主で辞めてしまうかもしれないと思っていたがそんな事はなかったな。

 

 いやー困っちゃうな、どうやら俺もインテリイケメンとしての才能が目覚めてきたのかもしれない。趣味が日記というのも中々悪くないんじゃないか、これを渡してくれたホシノちゃんには感謝しなければ。メガネクイッ

 

 しかしキヴォトスの生徒というのは本当に恐ろしい。

 

 まさか我流 簡易領域による“身勝手の極意(仮)”擬きまで使わされるハメになるとは、そこまで手の内を晒すほど戦闘で手こずることはなかったのではシンプルに驚いている。というかあのちびっ子メイドちゃんの耐久力がダンチすぎるだって。

 

 女性に手を挙げるのは不本意だけど、全自動(フルオート)の迎撃なら身体が勝手に動いてるだけで俺が殴ってるわけじゃないからセーフだよね……なんて思いながら使ってたが、俺かなりラッシュを叩き込んでたのにあの子最後まで楽しそうに笑いながら突っ込んできたぞい。ヒェ…!

 

 しかしユウカちゃんからの“お話”がこれから待っていると考えると恐ろしくなるでい。悪ノリしてたとはいえ、結構すごいこと口走ってた気がする。

 

 楽しかったしまァいいか!

 

 それはそうと先公とゲーム開発部には俺からちょっとお話があります。君たちあのちびっ子メイドちゃんと出会してたんだよね? だったら俺とあの子がエンカウントしないようにすることだってできたよね? それなら俺が無駄に頑張ることもなかっただろうし、タワーの被害も抑えられたでしょうに。

 

 ……そういや、“神秘”だっけか。

 もしかするとあれって呪力との相性が最悪かもしれないな。多分、負のエネルギーに正のエネルギーをぶつけてる感覚に近いかもしれない。あのちびっ子メイドちゃんの神秘の所為か、何度かこっちの術式が乱された。

 

 とりあえず今日はチャチャっと飯とシャワーォ済ませてスヤァさせていただきます。ちかれた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 b月@日

 

 

 作戦は無事終了。

 差押えられていた『鏡』を取り戻してヴェリタスに頼んでた“G.Bible”と〈Key〉かいう物の解析が終わったみたいなのだが、どうにもゲーム開発部の空気が重いというか、いつもなら鬱陶しいくらいに元気が有り余ってるモモイがあそこまで落ち込んでいる姿にびっくりだ。

 

 ミレニアムプライスまでに『TSC2』という「神ゲー」を作るんだ、なんて息巻いていたのに何があったというのか。とりあえず今頃チビ共が頑張って作業してるんじゃないかと思って、ジュースやお菓子やらを差し入れに部室の方へ俺が来た時にはそんな有様になっていた。

 

 どうしよ〜、なんてモモイが泣きついて来たが正直言って俺に出来ることはない。前から言ってるが、俺はゲームを遊ぶユーザー側であって開発者側ではないからそっちの知識など皆無だ。

 

 なので『助けてよタロえもん〜!』なんて鼻水を垂らしながら足にくっついて来るモモイを引き剥がして、情けなく項垂れている背に腰を下ろして座布団代わりにしておいた。うむ、コンソメポテチが美味い。

 

 俺の心情としては、あれだけ自信満々で周りを巻き込んで事を大きくしたのだ。泣き言言ってないで早く作業しな。しかしそれを口に出せばチビたちの泣きっ面に蹴りというか、追い打ちを掛けるのはやめておいた。

 

 まぁ、俺があれこれ言う前にアリスちゃんの熱量に感化されるかのようにゲーム開発部は立ち直って作業に取り組んでいた。とりあえず、あまり長居するのも邪魔になるだろうし偶に様子を見に来るくらいにしよう。

 

 先公にもあの子たちのフォローよろしくと伝えておこう。どうせあいつもこの部室に入り浸ってるんだ、それならゲーム開発部の面々にコキ使ってもらおう。

 

 ユーザー側の俺はこの子たちが作る「神ゲー」とやらがしっかり形になるのを楽しにみにしていよう……いやほんと、流石にクソゲーはもう勘弁です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 b月Ω日

 

 

 

 ちびっ子共の方へ頻繁に顔を出して開発作業の邪魔をするわけにもいかないので、今日は1人で黙々と書類整理を片付けていた。と言っても長時間の作業ではなく、余裕のある仕事ばかりだった事もあり後半はダラダラと空調の効いた部屋で作業をしたりシャーレ施設内の掃除をしたりしてました。

 

 それから筋トレ。

 やる事無さ過ぎて、先公が買ったまま読んでない漫画を俺が先に読んでネタバレしてやろうと思いしばらく読書タイムにふけていたのだが、急に筋トレしたくなって体を動かすことにした。

 

 シャーレ居住区にあるトレーニングルームを利用して暫く身体を動かしていたのだが、走り込みや腕立て腹筋100回ずつではちょっと物足りなくなって、こっそり“やんちゃ”することにした。今日はシャーレに訪問して来る予定の生徒もいないしちょうどいいだろうと思ったのだ。

 

 その“やんちゃ”というのが俺がキヴォトスに来る前からよくやっていた術式や呪力強化で肉体に負荷を掛けて行うトレーニング方法だ。とりあえずトレーニングルームではなくシャーレの格納庫でやることにした。

 

 これがどういうものかというと、肉体がぶっ壊れる寸前まで何度も虐め抜いて微弱な反転術式を使い肉体を修復促進させる方法だ。俺はデフォで反転術式は使えないけど術式のギアを上げ続ければ問題ない。

 

 この筋トレ方、わかりやすく言えば無理やり筋肉痛になって「超回復」で筋肉を修復させて肉体のエネルギーを増加させている感じだ。まぁ、術式と呪力出力の調整ミスったら穴という穴から血が噴き出て来る感じで文字通り体がBON!なんだけど。

 

 というか実際に友人や後輩の前で何回かなってる。

 なんでそんな事やってんの!? なんて血相を変えて詰め寄られた事があったが、俺の術式の関係上これが()()()()()()()()()()

 

 武器などに急激な呪力を込めたら器がもたないように、俺も急激な呪力出力で強化したら肉体の方がもたずその跳ね返りが来る。だったらその負荷にも耐えられるように生身の肉体を強くして上限値を増やせばいいわけだ。

 

 そんな俺の天才的な発想から生み出されたのがこの筋トレ方。因みに五条先生は「うわドMじゃん」とかドン引きしてた。ちゃうねん、別にそういうのじゃないねん。

 

 ま、どれだけ傷つこうが反転術式で直せるんだし問題ないでしょ。反転術式サイコー!

 

 今回その筋トレを行なってたんだが、オートの反転術式が発動するレベルまでギアを上げたのはいいものの、久しぶりにやったからか調整ミスってやらかしてしまったのだ。

 

 全身から梨汁ブシャァァ! とでも言えばいいのか普通に死にかけた。痛いとかそういうのじゃなくて、何か線が切れるような感覚と一緒に意識が吹っ飛んで気がついたら血溜まりで気絶してた。

 

 そして目が覚めてみれば辺り一面が真っ赤に染まる怪奇的な殺人現場とかしていた。  

 

 いやー、トレーニングルームではなく格納庫でやってよかったと心の底から思ったね。何せここには戦車や車両、ヘリコプターを洗浄する為の水道とホース、排水溝まであるのだから、おかげで血溜まりは簡単に掃除できた……のだが。

 

 最悪なことにこの場面を先公と一緒にシャーレに来ていたユウカちゃんに見られてしもうた。すごい剣幕で2人から詰め寄られたが、正直に話す訳にも行かないので『と、トマトジュースこぼしちゃった』で誤魔化しておいた。

 

 『そんなわけないでしょ!!??』と納得の言ってない様子だったが、格納庫はあらかた掃除を済ませておいたので事件性のある証拠もなく、追求することはできないのでこの話はなぁなぁで終わった。

 

 ふぅ、危ない危ない。

 今度からは失敗してもバレないように工夫しなければ……。

 

 あ、それとしっかりお説教とミレニアムタワーの分厚い修繕費の請求書を受け取りました。いやー、予想してたけどエグいで(白目)。おうこら、何笑っとんじゃい先公、お前も同罪だからな?

 

 しかしゲーム開発部のほうは建物への損害などを部活動中の『事故』として処理されたらしい。どうやらC &Cなるメイドさんたちがそう処理してくれたみたいだ。

 

 なら俺の方も頼むよ〜、と思いちびっ子メイドちゃんに()()()()()()()()()()()ついでに懇願しに行ったが『お前の方は損害デカ過ぎて無理』と断られてしまった。

 

 ちぇ、意地悪ないメイドちゃんだぜ。「器の大きさと身長は比例するんだね」なんてボソッと呟いた所為で追いかけっこになって被害が増大してしまったが、全力で責任をメイド部になすりつけて逃げてきた。

 

 ごめんシロコちゃん、いやアビドスのみんな……来月からは仕送りがちょっと少なくなるッピ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 b月α日

 

 

 

 今日はいつぞやに約束していたアキラちゃんと紅茶とケーキの美味しい喫茶店とやらに行って参りました。可愛い女の子とお出かけ出来るのは嬉しいけど、君いつの間に俺の予定を把握してたんだい?

 

 朝食を済ませて軽くランニングにで行くつもりが、シャーレの入り口の前でさも当然のように待ち構えててお兄さんはびっくりしたよ。とりあえず予定を変更して、トリニティの自治区までお出かけすることになった。

 

 いつもの怪盗コスチュームでは目立ってしまうと考えてなのか、彼女の私服と思われる真っ白なワンピースはとても似合っていて目の保養になり可愛らしかったです……けどその上に羽織ってた黒いパーカーは見覚えがあるというか、もしかしてそれって俺の上着……あ、気のせいですか。オッカシイナー

 

 喫茶店に寄る前に、トリニティにあるショッピングモールで買い物をしたりもしました。なんというか、七囚人と呼ばれている子でも楽しそうに服や化粧品を確認するアキラちゃんの様子を見ているとそんな気がしないというか、普通の女の子に見えてしまう。

 

 七囚人か。

 目の前のアキラちゃんや、先公にホの字なワカモちゃん、既に7人中の2人と顔を合わせて面識がある。なのでそのうち残りの5人にも出会ってみたいなとは思う、気分はポケモン図鑑を埋めるトレーナーだ。

 

 いや、やっぱり怖いな。

 絶対に他の七囚人もキャラが濃い気がする、俺の中のハイパーセンサーが警鐘を鳴らし掛けている。アキラちゃんはともかく、喧嘩っぱやそうなワカモちゃんクラスの女の子がポンポン出て来たらそれはそれでやばいぞ。

 

 うん、絶対にキャラが濃い。

 

 まぁ、そんなこんなでアキラちゃんと一緒に食べたケーキは美味しかったです。通ではないので紅茶の善し悪しはわからないが、これぞ本場!みたいな紅茶も美味かった。午後の紅茶と比べるとだいぶ味が薄い気がしなくもなかったが、これは俺の舌がおかしいだけか?

 

 別れ際、アキラちゃんにこっそり買っておいたマニキュアをプレゼントとした。ショッピングモールでチラチラと気になっている様子だったが、手持ちの関係上なのか購入まで至らなかった物だ。

 

 俺は出来るイケメンなのでこういうところでイケメンポイントを稼いでいきます。ビックリしたり嬉しそうにしたり、コロコロと表情を変える彼女の様子にこっちも嬉しくなる。

 

 “どうせなら”、という事でアキラちゃんに頼まれて彼女の爪に色を塗る事をお願いされた。任せんしゃい、ガキの頃に何度かおばあちゃんの家で練習させられたりした。

 

 指先は細くしなやかで、肌は雪のように白い。真っ白な彼女に合う色を考えて赤色のマニキュアにしたがやはり似合っていた。  

 

 ふむ、俺の見立てに間違いはなかったという訳だ。しかしアキラちゃんの指ほっそいな、力入れたら簡単に折れちゃいそうで心配になるよ。

 

 そんな事を思いながら手をニギニギしてたのだが、恥ずかしそうに顔を赤くしてたアキラちゃんがとても可愛かったです。

 

 そういや、ガキの頃は余り深く考えていなかったが俺のおばあちゃんって結構ボケてたというか。俺の事を()()()()()()()()()()()()()()っぽいんだよな。

 

 遊びに行った時に『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』なんてスカート穿かされそうになったりした気がする……あれってやっぱり歳だったんだろうか。

 

 ガキとはいえ、そんな女の子だと勘違いされるほどヒョロイ体形はしてなかったと思うが。うーん、記憶の中ではそこまでボケてるイメージはない元気なおばあちゃんって感じだったが……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 b月γ日

 

 

 

 さてさて、ようやくこの日がやって参りました。

 その名もミレニアムプライス。今日この日、ゲーム開発部の運命が決まる大事な瞬間と言ってもいい。まぁ結果から先に言ってしまうと“大成功”といった感じなんだけどね。

 

 ミレニアムプライスへの参加受付への登録も締切ギリギリだったようで、何をやってるんだかといった感じだが間に合ったようで何よりだった。これでモノは出来ても参加受付には間に合いませんでしたでは笑い話にもならないだろう。

 

 ミレニアムプライス当日、先公はゲーム開発部の部室でちびっ子たちの様子を見てくれているようなので俺は校舎内を適当にぶらぶらしてのだがユウカちゃんに捕まり生徒会室に連行されてしまった。

 

 しかし、ミレニアムプライスの中継をスマホで見ながら隣に座るユウカちゃんのソワソワ具合は凄かった。『あの子達大丈夫かしら?』なんて落ち着かない様子で行ったり来たりで、そんな彼女に苦笑いしてしまうくらいだ。

 

 落ち着きがなさ過ぎて俺の飲み物と自分の飲み物を間違えて慌ててるユウカちゃんは可愛かったです。ハハ、こやつめ。そんなに恥ずかしがられたらこっちまで恥ずかしくなるじゃろがい。

 

 どうやら今回のミレニアムプライスは過去最多の応募数となったようだ。まぁ、生徒会の方針が変わって成果を残せてない部活は廃部となってしまうのだから、そりゃそうかという感じだ。

 

 昨年の優勝作品は「思い出の詩集」というモノらしい。なんでもその形而上的な言葉の羅列?とやらが、ミレニアム最高の不眠症に対する治療法としてウケたらしい。なにそれちょっと気になる。

 

 ユウカちゃんに「すごいね。これ誰が書いてんの?」なんて聞いたら呆れたような顔で『貴方が殴って気絶させたセミナーの書記です』なんて言われてしまった……スゥー、すいません。今度お詫びの品を持って挨拶をさせてもらいに行きます。

 

 今回出品された三桁にも及ぶ応募作品のうち、選ばれるのはたった7作品だけという。でもゲーム開発部の「テイルズ・サガ・クロニクル2」ならいけるだろと考えていた。

 

 ユウカちゃんや先公と一緒にリリースされたゲームをプレイしてみたが、普通に面白かったしな。

 

 あとは他の作品が「歯磨き粉と見せかけてモッツァレラチーズが出る持ち歩きチーズ入れ」「光学迷彩下着セット」なんてよくわからないモノばっかだったし、この二つって絶対にエンジニア部だろ? 俺のアームギアも指先からトンカツソース出てくるし、あと訳わからん機能ついてるのは絶対エンジニア部の作品という偏見が植え付けられてる……あ、そういやアームギアぶっ壊しちゃった事知らせに行かないと。

 

 しかしそう考えている俺とは別に、ユウカちゃんはとても心配そうにしていた。そりゃもう微笑ましくなってしまうレベルだ。なんだかんだ言って、ユウカちゃんはやっぱり優しい子だと思う。

 

 そして7位から1位までが発表されたのだが、そのどこにもゲーム開発部の名前は出てこなかった。因みに7位は「光学迷彩下着セット」である、制作者はエンジニア部のウタハちゃんです。やっぱりお前らだったか。

 

 ゲーム開発部の名前が最後まで出てこない事にユウカちゃんは顔を青白くしており、かく言う俺も見る目がねえなここの審査員なんて思っていたが、なんと「テイルズ・サガ・クロニクル2」が“特別賞”に選ばれ受賞した。これは今までにない異例の出来事らしい。

 

 これには俺もユウカちゃんもニッコリ。

 

 自分のことのように喜ぶユウカちゃんに引きずられてゲーム開発部の部室まで行ったのだが、なぜかお通夜ムードと化している部室内の様子に俺もユウカちゃんも困惑したが話を聞いて納得した。

 

 どうやら7位から1位までの発表は見ていたが、自分たちの名前が呼ばれなかった時点でモモイがモニターをぶっ壊したらしい。なにやってんねんちびすけ。

 

 特別賞を受賞したゲーム開発部は正式な受賞ではないが、来学期まで臨時の猶予という形でゲーム開発部の部室の没収および廃部を保留する事にしたらしい。

 

 おめっとさんと言ったらところか。

 とりあえず、ゲーム開発部はピンチを免れたと言う事だろう。状況も落ち着いたという事なら、そろそろ俺もゲーム開発部から報酬とユウカちゃんからは勝者の特権をもらうとしよう。

 

 ついでに打ち上げ的な感じな事もやってやるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  


 

 

 

 

 

 “えーっと、ユウカ? そっちの書類とってもらってもいいかな”

 

 「……ど、どうぞ。一応こちらでも確認しましたが、記入漏れなどがないか先生の方でももう一度チェックをお願いします」

 

「んしょ、どうでしょうかリンタロウ。アリスはメイド勇者にジョブチェンジしました!」コソコソ

「おお! めちゃくちゃ可愛いよアリスちゃん! あ、髪結いてあげるからこっちおいで……よし、こんなもんか」コソコソ 

 

 “……スゥー、えー、じゃあこっちの書類は別で分けてもらってもいい?”

 

 「わかり……ンンッ! か、かしこまりました」

 

 「じゃじゃーん! どう、中々似合ってるでしょー!」コソコソ 

 「えっと、どうですか? 変じゃないですかリンタローさん」コソコソ

 「……ハッ、馬子にも衣装ってやつだな。あ、可愛いよミドリちゃん、あとで先公からも感想聞いてみな」コソコソ 

 「おいこらいまなんつった!?」コソコソ

 

 “……いや、えっと”

 

 「先生。なにも言わないでください」

 

 「この服、フリルが多くて……恥ずかしい……うぅ」コソコソ

 「大丈夫大丈夫。似合ってるって!可愛いよ!」コソコソ

 

“ごめん。私じゃ絶対にツッコミが追いつかない” 

 

 「私だって無理です!」

 

 “あ、メイド服かわいいね”

 

 「そうですかありがとうございますぅっ!!!!」

 

 

 先生の言葉にやけくそ気味に返事をするユウカ。

 そんなユウカの様子に苦笑いしながらチラリと部屋の隅に視線をやる。

 

 現在の時刻はお昼過ぎといったところだろうか。

 場所はシャーレの室内。外の気温は高くなり始め、快適に仕事をする為にも室内の空調を機能させて過ごしている時に先生の前へと“それ”は現れたのだ。ぞろぞろと現れた生徒たちにの驚いたが、更に驚く事になったシャーレの先生。

 

 この状況を作り出した元凶であろう人物に視線を向ける。

 

 

 “えっと、説明してもらえるかなリンタロウ?”

 

 「ん? 見りゃわかるだろ。メイド服パーティ」

 

 “見ても理解しきれないから説明を求めてるんだけどなぁ!?”

 

 

 説明を求めるシャーレの先生に、凛太郎は何言ってんだお前はと言わんばかりに首を傾げている。そんな姿にシャーレの先生は怒筋がこめかみに浮き上がるが、説明をしてほしいのはそこだけじゃない。

 

 

 “というか何その格好!?”

 

 「お黙り、俺のことはメイド長とお呼び」

 

 “メイド長!?”

 

 「そうですわ。土にお還りくださいませご主人様」

 

 

 先生の視線の先。

 そこにはメイド服に身を包んだユウカ、モモイとミドリ、アリスにユズといった顔見知りが立っているが……なぜかそこにはメイド服に身を包んだガタイのいいメイド長までもがさも当然のように彼女たちと並んでいた。

 

 しかもただメイド服を着ているだけではなく、ウィッグを被り軽く化粧までして変装と言ってもいいレベルでメイド服を着こなしているのだ。ユウカたちと並んで部屋に入ってきた時、シャーレの先生は初対面の子が来たのかと思っていたが正体が凛太郎だと知ると宇宙猫のような顔をしていた。

 

 

 “なんで!? なんでリンタロウまでメイド服着てんの!? 執事服とかじゃなかったの!?”

 

 「だってユウカちゃんがいやだって意地はるし、俺が着るなら着てくれるって言ったから」

 

 「だからって本当に貴方まで着ると思わないじゃないっ!?」

 

 

 ユウカが思い出すのはついさっき、数時間前の出来事である。セミナーの仕事を一通り片付けて休憩しようと思っていた矢先、凛太郎からの連絡によってゲーム開発部の元に呼び出されたのだ。

 

 向かってみればそこにはメイド服に身を包んだゲーム開発部の面々と、メイド服を片手に笑顔を向けてくる凛太郎。

 

 逃げなければと本能で察したのも束の間、ゲーム開発部により逃げ道を塞がれにじり寄ってくる凛太郎に対してユウカは“凛太郎が着るなら着てやる”と叫んだのだが、まさか目の前の男がノリノリで着替え始めるのは完全に予想外だった。

 

 

 “というか違和感なく着こなせてるのがなんか腹立つ!”

 

 「ふっ、イケメンは何を着ても許されるのさ……あ、ユウカちゃん似合ってるよかわいいね」

 

 「そう、ありがとうッッ!もう何度も聞いたからぁッ!」

 

 

 髪(ウィッグ)を靡かせてドヤ顔で笑う姿が中々様になっておりすごくムカつくが、なんとか怒りを抑え込んだ先生。いや、やっぱり無理だった、苦虫を噛み潰したような顔で凛太郎を見ている。

 

 腰の位置まである長い髪、素肌を隠すような長い袖にロングスカートなクラシックなメイド服。声質を意図的に変化させていた事もあり、凛太郎から声をかけられても先生は全く気が付かなかったのだ。

 

 

 “というか、本当になんでみんなでメイド服?”

 

 「ん〜、勝者の特権というかノリというか。まあ、俺への正当な報酬だな……本当ならお前にも着せてやろうかと思ったけど流石に大人用のメイド服はメイド部にはなかったみたいだから、先公の分はまた今度な」

 

 “やだ、絶対着ない”

 

 「というと思ったよ、アリスちゃん」

 

 「はい、先生! アリスは先生のメイド服姿も見てみたいです! それにパーティ全員で同じ装備にすればボーナスが発生すると聞きました!」

 

 “うっ……え、遠慮しておきます”

 

 

 自分の知らない所で女装させられそうになっていた恐ろしさに震え上がる。それどころかアリスに泣き落とし紛いの事すらやらせているメイド長が恐ろしくてたまらない。

 

 

 「よしユウカちゃん、あれやろうよ。萌え萌えキューン!ってやつ」

 

 「ぜ、絶対にやらないから! ちょ、こっち来ないでいいから!」

 

 「えー、一緒に練習したのに〜!……なら仕方ない、ここは俺がやろう」

 

 “リンタロウはやらなくていいから……フリじゃないから、マジでやらなくていいからね!”

 

 

 やるならば凛太郎以外の生徒にお願いしたいモノだ。

 

 どこからか取り出したオムライスとケチャップを準備し出した凛太郎を本気で止める先生。こいつの場合、「モエモエ気功砲ぉぉぉ!」とか衝撃波出してきそうだし、純粋に脳みそバグりそうになるので本気の拒絶を見せ始める先生の姿に舌打ちをして小道具を片付けた。

 

 

 “はぁ……もしかしなくてもコスプレとか好き?”

 

 「ん? ああ、好きだな。みんなでやるの楽しいじゃん」

 

 “ぐ、溢れ出る陽キャオーラで焼き殺される……!”

 

 「えっと、どうですか先生。その……似合ってますか?……可愛い、でしょうか?」

 

 “かわいいっ”

 

 「そ、そうですか。そう言ってくださると……嬉しいです。えへへ」

 

 「えー! 先生、私は私は!」

 

 

 実はこの男、意外とコスプレなどのイベント事は好きだったりする。キヴォトスに来る前もちょくちょくコスプレをしており、一年生の頃にあまり使い道のないお金でふざけて戦闘用にオーダーメイドした亀仙流の道着を着て京都姉妹校交流会に乗り込んだ事もある。

 

 因みに2年の頃は事前に注意を喰らっていたが無視してドンキで買った安っぽいフリーザのコスプレを着て参加した。観戦していた五条は堪えきれず爆笑していたと凛太郎は歌姫から聞いた。

 

 

 「ということで、今日限定の先公専用のメイドさん部隊だぞ。喜べよ」

 

 “やめて、あらぬ誤解が広がる……”

 

 「因みにここに来るまでジロジロ見られてたからもう遅いと思う」

 

 “嘘だっ!”

 

 

 

 

 

 

 






 加茂くん
「な、なんだこいつ!新手の呪霊か!?」

 フリーザ様スタイル凛太郎
「ほっほっほっ、ぶち殺しますよ」デスビーム

 花御
「(グゥ!な、なんだ……呪霊、ではない人間なのか!?)」




女装凛太郎は遠坂凛とか多分そこらへんの美少女イメージです。

ぶっちゃけどの時間帯に更新されると読みやすい?

  • 07:00くらい
  • 19:00くらいやな
  • 21:00くらいやでー!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。