透き通る様な世界観にいる一般呪術師 作:半ライス大盛り
ありがとうございます♪もっとくれ(強欲の壺)。誤字報告もマジで助かってます!気をつけてるつもりなのにめちゃくちゃ誤字ってる。
思ったより筆が乗ったというか、早めに更新できました。
b月β日
どうも、メイド長です。
いや〜、ぷちコスプレイベントは中々楽しかった。自分で言うのもなんだが、俺ってかなり似合ってたんじゃないか。違和感なさすぎて最初は先公から全然バレてなかったし。やっぱりイケメンは最強なんだな、って。
みんなのメイド服姿も可愛かった。
思わず構えてしまったスマホのカメラ機能のシャッターが止まらなくなるレベルだ。かわいいメイドさんコスで個人的な優勝候補はユウカちゃんかアリスちゃんだな。
やはりクラシックなメイド服……!!メイド服の可愛さは全てを解決する……!!
ユウカちゃんの最強のチャームポイントとでもあるその御御足が隠れてしまうという難点はあるが、そこは工夫でどうにか出来る。例えばロングスカートにスリットを入れる事によって太ももがチラ見えするという最強にエッチな攻撃もできる!
まぁ、恥ずかしがってたユウカちゃんからグーパン食らって着てもらう事は出来なかったが(代わりに自分で着た)。おいこらユウカちゃん、恥ずかしがってたくせに、チラチラと俺のスリットスカートを覗くんじゃありません。
そしてメイド服を着たアリスちゃんだが、ちょっと殺意が高すぎるな。あれは可愛すぎて死人が出るぞ。ちょっとユウカちゃん、気持ちはわかるが過度な撮影はご遠慮くださいって言っておいたでしょ。
モップを持たせて掃き掃除をさせてみたが、似合っていてとても可愛かったです、はい。試しにモエモエきゅんなるものをユウカちゃんに向かってやらせてみたが、ヤバかった。
その可愛さにユウカちゃんが気絶寸前だった。
かくいう俺とシャーレの先公もギリギリで致命傷だった。というか鼻血ボドボドだった。危なかった、俺が呪霊だったら一撃で消し炭になってるところだったぜ。
恥ずかしがってるユズちゃんにもやってもらおうと思ったが、いつに間にか気配を完全に消して隠れられてしまった。ダンボールに隠れて移動するな、貴様はスネークか。
あ、モモイはダメです。
可愛いけど、その媚び媚びな感じはもう少し押さえてけろ。正直言って萎える、あと口元に食べカスついてんぞ栗みたいな口しやがって。
ありのままを伝えたら逆ギレして襲いかかってきたが、カウンターでデコピンを叩き込んでやった。いい音なったね。
ミドリちゃんは、あれだ……正直そういうのになれてるでしょ。と言った感じだ、違和感なかったね。シャーレの先公もミドリちゃんに迫られて戸惑ってたクソが死ね(童貞の殺意)。かーっ!ミドリちゃんは卑しか女ばい!
とりあえずユウカちゃんとアリスちゃんのメイド服の写真はシャーレで俺がお仕事用に使うデスクトップの壁紙にさせていただきます。あとシャーレの先公の壁紙は俺のメイド服姿の写真にしておいた。
バレたら殺されるかもしれないが、バレなきゃ犯罪じゃないっていうし。
b月@日
今日はトリニティ総合学園の方にある有名なロールケーキのお店でお高めなロールケーキを買ってきた。
塩顔でロン毛で袈裟着てる変な前髪の呪詛師だが、シャーレの先公や五条先生より恋愛経験ありそうだしあのヤローに『女の子を怒らせた場合どうすればいいと思う?』とモモトークを送ってみたのだが、アイツから『女の子はみんな甘い物が好きだよ。よくうちの子も食べてた』というメッセージが返ってきた。
つまりは物で女の子を釣れってことか。
やっぱりカスだなあいつ。とりあえず『そうか。死ね』とメッセージを送って、返信は無視しておいた。しかし夏油の言う事には一理あるだろう。
そんな経緯でトリニティのほうまで足を運び。
有名なお店で限定品のロールケーキを買ってきた。本当なら“お詫びの品用”と、俺……とまぁ、シャーレの先公が食うようで二つ買ったのだが、持ち帰ることができたのは一つだけだ。
列に並んで俺が最後尾だった、ちょうど二つだけ残っておりそのまま会計を済ませたのだが。店を出ようと思ったタイミングでトリニティの生徒4人組が駆け込んできたのだ。
行儀が悪いが話を盗み聞きすると、どうやらその女の子たちも限定品スイーツがお目当てだったようだ。猫耳の生えた黒髪の女の子と金髪の女の子が言い争っていたが、これは見過ごせない一大事。
なので一つをその子たちにプレゼントして帰ってきた。
ふっ、お代はいらねえ。できるイケメンはクールに去るぜ。
そんなこんなでお詫びの品としてケーキを抱えて、俺が殴って気絶させてしまったセミナーの子の元へと謝罪しに言った。
恐らくしく速いジャンピングスライディング土下座、俺でなきゃできないね。ちょうどその場にいたユウカちゃんとその子は驚いていたが、かくかくシカジカと訳を説明した。
ひとまずは許してもらえた。といっても俺が気にしてるだけで、向こうはなぜ謝罪されているのかよくわかっていないみたいだったが。自己紹介をしてその書記の子の名前が生塩ノアちゃんであるといことがわかった。
ご丁寧に名刺のようなものをもらった。
それと「なましお」ではなく「うしお」である、ここテストに出るので間違えないように。因みに俺は間違えた。
『…
『ふふっ、
『ヒェ!…シュビバシェン』
2度と間違えないようにします。
お願いだから、そんなバカを見るような目で見ないでユウカちゃん。とりあえず、ケーキはみんなで食べました……あの、ノアちゃんそんな観察するかのようにあまりジロジロ見ないでいただけると助かりましゅ。
面白そうに『最近、ユウカちゃんからあなたの話をよく聞いていたので。ふむふむ、なるほど』とか『ちょ、ノアってば余計な事は言わないでいいからね』とか、ユウカちゃんも顔を赤くしながらアワアワしてないで、お兄さんチョロいから勘違いしちゃうよ。いや、マジで。
b月α日
今日は久しぶりにアビドスの方へと行きみんなの元へ顔を出しに行ってきた、のだが運の悪い事に入れ違いになったようで誰もいなかった。
なぜアビドスに来たのかというと、みんなに会いに来たというのもそうだが借金返済の為の仕送りを手渡しに来たのと、ちょっと予想外の収入というか、人助けした結果押し付けられてしまったデカいソファをプレゼントしに来たのだ。
やることもなく、普通に商店街をぶらついて居ただけなのだが、絵に描いたようようなリーゼントヘアのヤンキーロボットに襲われているパグのおっさんを助けたのだ。
そしたらなんとそのパグのおっさん、ちょっと有名な家具会社の社長さんだったみたいで、お礼の品としてあれよこれよと自分の会社の人気商品を俺に押し付けてきたのだ。大丈夫これ、実は俺詐欺に遭いそうになったりしてないこれ。
ソファやらクッションやらと渡されたのだが、流石にこれ以上渡されても困るので、お礼ならアビドス復興のお手伝いに力を貸してくれとだけ頼んでおいた。
とりあえずもらった家具は自分の部屋に置き場はないので対策委員会本部にプレゼントする事にした。あそこならソファとかあっても困らないだろうし。
そのまま抱えて来たので意外と体力を使った。正直めちゃくちゃ眠い。とりあえず、みんなの顔が見たいし帰ってくるまで教室で待つか。
〜追記っ!〜
起きたらホシノちゃんが隣で寝てるし、目を覚ましたホシノちゃんがなぜかガチ泣きしている。どういうこと、そんなにこのソファに感動してくれたの? それなら嬉しいんだけど。
しかし夢見が悪かったのか。
『私がタローくんのことを守るから』とか『もう大丈夫だからね』なんてガチ泣きしてるホシノちゃんになぜか俺が慰められていた。本当にどういうこと?
とりあえず俺も、『ならホシノちゃんのこともアビドスのことも俺が守るよ』と指切りげんまんで約束しておいた。正直言って何が何だか……。
───いつからだろう。
いつの間にか、“彼”の姿を目で追うようになっていた。
飛び跳ねた黒い髪。
自分よりもずっと高い背丈。
透き通るような綺麗な青い瞳。
くしゃりと笑う顔がとても似合っていた。
最初はシロコちゃんが連れて来た、身元のわからない怪しい男の子というだけだった。キヴォトスに来て、無一文な彼がシロコちゃんに助けを求めて泣きついていた姿が今では懐かしく感じる。
それからシロコちゃんの頼みで、彼をアビドスに暫く滞在させることとなった。もちろん無償というわけではなく、アビドス対策委員会のお手伝いと、古い校舎の壊れた箇所の修繕、夜間警備などのその他諸々を条件として。
これは彼には内緒だけど。
その事を伝えた時の彼の表情はなんというか、ちょっと面白かった。光明が刺したかのような、パァっとした目を輝かせた顔を見てちょっと大きな小型犬でも拾って来たかのような気持ちになってしまったりもした。
それからは色々とあったね。
本当に色々と、彼がこのアビドスで対策委員会の一員として協力してくれてから本当にいろんなことがあった。
彼が『ちょっと出掛けて来る』、なんて言って郊外の方に行ってからなんの連絡もなく次の日に戻って来た時は流石に心配がまさってしてしまった。
アビドスが抱える借金を聞かされ、もしかしたらそれが原因でこっそり消えてしまったのかと思ってしまったりもしたが……そんなことはなかったのだとすぐに思い知らされてしまった。
何せ、次の日の朝にはどこで何をしていたのか問い詰めたくなるくらいにボロボロとなった姿で戻って来たのだ。しかもその手にはアビドスの借金を返す為の手伝いとして、なんて決して少なくはない金額のお金を持って戻ってきた。
何か危ない事をして来たのではないか、問い詰めても最初は笑って誤魔化そうとしていたようだが。
彼が戻って来ない事を心配しおかんむり状態だった対策委員会のみんなから問い詰められ、正座させられ自白する彼の姿に溜飲が下がる気持ちとなったのは覚えている。
───その時からだろうか、彼を仲間と認めて心を許し始めたのは。
『ホシノちゃん』
『この後、時間ある?』
『ちょっと俺と火遊びしようよ』
そんな時だ。
借金のかたを条件として、以前から私に接触して来た大人。そして私の身代わりとして彼の身柄を要求して来た人物。
探究者などと名乗る“黒服の人”が彼という存在に目をつけ、そして彼と接触してしまった。その事実を彼の口から突きつけられ、呆然と足の力が抜けそうになる私に、彼はそういって悪戯が成功した子供のように笑っている。
……“最悪な結末”が脳裏を過った。
彼と共に内緒話をする為に歩いていた時は気が気でなかった。
胸中に様々な言葉にならない声が渦巻き、頭の中はパンクしてしまいそうになり嫌な考えが加速するように過ぎっていく。
彼の答えを恐れ拒絶する様に、問いただす言葉が出てこない。けどそんな自分の懸念は一瞬で吹き飛んだ。
『───けどまあ、信用できるかよって断って来たけど!』
楽しそうに笑う姿に開いた口が塞がらなかった。
ああ、強い人なんだなと思った。
黒服の人の条件を飲みそうになっていた私とは違い、自分の芯を曲げずに、間違ったやり方を真っ向から叩き伏せるかのような性格。
黒服の人ではなく彼は自分や後輩たちを頼ってくれと言った。その提案に素直に頷くことができなかった、だってこれは先輩として、大切な場所を大切な後輩たちを守る為に私が解決しなきゃいけない問題だから。
不意に、少年は自分たちは似ていると言った。
そんな彼の言葉に、『何も知らない癖に』なんて酷い言葉が脳裏に浮かび上がった。だけどそんな言葉も感情も一瞬で消えてしまった。
『すごく苦しくてさ、自分の罪すら逃げる言い訳にしようとして、それでも目を背けられなくて吐きそうになりながらずっと歩いてきた』
『後悔だらけだよ。色んなモノを取りこぼした……
『ホシノちゃん、君は───
『答えが見つからないのならゆっくりでいいよ。けど、もしも答えがもう見つかってるなら、俺も君もその想いに恥じない生き方をしようよ』
それは同じ“痛み”と“苦しみ”を知る人間の顔だった。
私の胸の中にある。
すごく苦しくて、どれだけ時間が癒しても、どれだけ心の穴を埋めようとしても、決して消える事のない身を切り裂くような痛み。
目の前の少年は寂しそうに、悲しそうに、今にも泣き出してしまいそうな表情を隠すように笑う。そんなどこか痛々しい姿が今でも脳裏に焼き付いている。
そんな痛みに理解を示した少年を意識し出したのはこの時かもしれない。初めは興味と親近感だった、そして“それ”が明確なものとなったのはきっと、あの瞬間であろうということは自分でもよくわかっている。
『よっと、やっほ助けに来たよホシノちゃん』
カイザーや黒服の人の悪巧みを潰す為に、私を囮にした作戦が実行された日。連れられてやって来た謎めいた研究施設のような場所で、みんなが来てくれるのを静かに待っていた。
みんなの力や努力を疑っていたわけではない。
けど、もしもアビドスのみんなや協力してくれた子たちに何かあったら、もしこの作戦が失敗してまったら、なんていやな想像ばかりが膨らんでしまう……そんな時だった。
ここに来るまでにカイザーの傭兵やビナーと呼ばれる大きな怪物、それら全てと戦闘になりボロボロになりながら自分の元に来てくれた少年。自分の方がボロボロなのに、私の身を案じて笑いかけてくれる姿に安心感のようなものを覚えた。
『気にしないでいいよ……って言っても気にしそうだよね。う〜ん、あっ! それならほっぺにチューなんてどうよ! 俺頑張ったし……ははっ、なんちゃ───ぇ?』
最初はちょっと揶揄うだけのつもりだった。
アビドスの為に、私たちの為にここまでしてくれた彼へのお礼も兼ねて。
だけど、顔を赤くして驚いている彼の表情。柔らかい感触と不思議な心地よさ、高鳴った胸の鼓動を感じて動悸と動揺が激しくなる。その時、初めてその感情の名前を自覚した。
だけど、きっと私は───。
「うへ〜、来てたのなら連絡してくれればいいのに……」
アビドス対策委員会本部。
シロコちゃんが「ん、いい仕事を見つけてきた」なんて言いながら持ってきた不良生徒たちの指名手配書。そんな不良生徒たちがアビドスの近くまで逃げ込んできているという情報を元に、みんなで協力してたったいま一仕事終わらせてきたのだ。
日も傾き始めており、いい時間でもあったので今日はそのまま現地での解散となった。私はそのままいつものように、あまり治安の良くない街の見回りを開始しようと思っていたが、一度学校に戻って戸締りを確認してから帰宅ルートついでに見回りをするかと考えた。
それに意外と激しく動き回った事もあり、シャワーを浴びたいという気持ちもちょっとだけあった。
そう思って学校に戻ったが、外出する前に鍵を閉めた筈の校門が開いていた。なぜ、という疑問と共に警戒心が満ちていく。
備品や空き教室を一部屋づつ確認していたのだが、対策委員会本部として使っている教室の扉の前に立った時、室内に誰かがいる事に気がついた。
一瞬だけ警戒心が跳ね上がったが、懐かしくも感じてしまうその気配に私の警戒心は霧散する。ゆっくりと扉を開けて中を覗き込んで見れば、そこには自分の予想通りの見知った人物がいた。
飛び跳ねた黒い髪。
自分よりもずっと高い背丈。
自然と広角が上がってしまう。ほんのちょっと前まで一緒にいたというのに、今では酷く懐かしく感じてしまったのが少し寂しい。
「……おーい、こんな所で寝てたら風邪ひちゃうよタローくん」
ゆっくりと近づく。
ソファの上で小さなクッションを抱えながらスヤスヤと静かな寝息を立てて眠る姿が微笑ましい。
そこで初めてこの教室で見慣れない大きなソファの存在に気がついた、彼が持ってきたのだろうか? 借金返済の仕送りだけではなく、わざわざこうした物まで運んで来てくれたというのなら少しだけ申し訳なく感じてしまう。それと同時にちょっとだけ嬉しいなって思ってもしまう、こうしてまた顔を見ることができたのだから。
「わっ、このソファふかふかだ〜」
タローくんを起こさないように気をつけてながら、ゆっくりと彼の隣に腰を下ろせば沈みゆくクッションの感触に頬が緩んでしまう。これは間違いなく高いヤツだ、座ってみてすぐにわかった。
しかし、いつからここにいたのだろう。
お昼前にはみんなで一仕事する為に出発してしまっていた為、もしかしてその時に入れ違いになってしまったのだろうか。だとしたら長い時間待たせてしまった事になる、連絡を入れて戻ってくれてもよかったのに……タローくんの事だから驚かせようとしていたのだろうと予想できて笑ってしまう。
「(……まつ毛長いな〜)」
隣で静かに眠る彼の顔を眺めて、そんなくだらないことを考えてしまう。とても綺麗な顔立ちをしている。普段から自分で「ふっ、俺イケメンだから」なんて言うだけであって顔立ちは整っている。
そんな彼の頬に手を伸ばして、指先で突いてみても特に反応はない。うめき声を上げる事もなく反応する素振りを見せないことから、よほど疲れており深い眠りに落ちているのだろう。
だからと言って、このままタローくんを放置して行くわけにも行かない。かと言って無理やり起こしてしまうのも申し訳なくなり、少しだけ待ってからもう一度声をかけようと決めた。
「…………っ、うへへ」
だが特にする事もなく手持ち無沙汰になってしまった私は、不意にだらんとソファの上に置かれた手のひらに目が吸い寄せられた。
これはなんとなく、そう、なんとなくだ。
そんな彼の手のひらに、なんとなく自分の手のひらを重ね合わせてしまう。自分の手のひらを簡単に包み込んでしまうであろう硬く大きな男の子の手。
暖かい。
まるでイケナイことをしてるみたいで、ついキョロキョロと周りに誰も居ないか確認してしまう。心臓の鼓動が早くなっているのが自分でもわかってしまった。
「………〜〜〜ッ!」
そこでふとタローくんの顔、その口元に視線が吸い込まれる。
“あの時”の感触と心地よさを思い出してしまい、柄にもなく年相応の少女のように顔が赤くなってしまっている事を、鏡で確認せずとも理解してしまう。
眠る彼に近づき、もう一度だけ……なんて身を寄せてしまう私はきっと悪い先輩だ。でも、あんなことがあったのに、まるで特別な事などなかったかのように誤魔化しているタローくんの方がもっと悪い後輩だ。
心臓の鼓動がうるさい。
肌が焼けそうになるくらいに顔が熱い。
自然と心拍数が上がってくるのを感じてしまう。
ゆっくりと眠る彼の元へと近づいていき……。
「───ひゃぁ……!」
そんな時だ。
ゴトッ! と何か重たい物が床に落ちる音に驚いて声を上げてしまう。そんな私の悲鳴と物音に反応してか、一瞬だけ表情を強張らせたタローくんだが目を覚す事なく寝息を立ていた。
いったいなんの物音。
僅かな苛立ちを覚えながら音の発生源を確認してみれば、ソファの背もたれに掛けていたタローくんの学生服が床に落ちていた。妙な重みを感じるそれを拾い上げ、確認してみればポケットの中に入ったスマホが床にぶつかった音だとすぐに理解した。
タイミングが悪すぎて心臓に悪いよ〜、なんて息を吐く。
タローくんは悪くないのに、つい彼を恨めしげに見つめてしまう。とりあえず、学生服を背もたれに掛け直す。もう床に落ちないように重しとなっていたスマホを取り出してみれば、二つのスマホが出てきた。
一つは彼がシャーレに所属してから支給されたという白いスマホ、もう一つは彼が壊れて使えないと言っていた黒いスマホ。修理にでも出していたのか、壊れていたとはとは思えないほど綺麗になっていた。
───傾けたことでスリープモードが解除されたのか、白いスマホが明るく光る。
「……う、うへー、し、シロコちゃんってばやるねえ。おじさんびっくりだよ〜」
私の意識は明るい光に吸い寄せられるかのように白いスマホに向いてしまった。
何気なく視線を向けた先、スマホのロック画面にはタローくんとシロコちゃんのツーショットとも言える画像が設定されていた……シロコちゃんの目線やカメラに気がついていないタローくんの姿から隠し撮りに見えるが、気にしない事にした。
胸が苦しい。
言葉にできない感情が胸の中で大きくなった。
スマホを手に取って操作してみれば、ロックがかかってないことがわかった。不用心だなぁ、なんて思いながらもスマホを操作する指を止めない。
「……ふぅ、これでよし」
眠っている彼を隣に、慣れない自撮り写真の構図でカメラ機能のシャッターを押す。こういう事にはあまり詳しくはないが、多分あってると思う。それからその写真を先程のシロコちゃんの写真とは別枠でホーム画面に設定する。
妙にスッキリとした感覚。
ことが終わってから、自分は何をしてるんだと冷静になるが……誰が悪いかと言われればきっとタローくんが悪いので深く考えないようにする。
なんとなくもう一つのスマホも気になって触ってみたが、こちらはパスコードのロックがかかっており開くことができなかった。ロック画面には数人の大人とタローくんと似た制服を着た子達が並んだ集合写真のような物が写っていた。
それが大事な写真であるということは、友人たちと肩を組んで満面の笑みを浮かべて少年の顔ですぐにわかってしまう。
これ以上はやめておこう。
流石にプライバシーの侵害というヤツだ、きっとタローくんにも怒られてしまう。スマホを置いて、隣に座る彼の肩に頭を置く。
「ふわぁ……タロー、くん……」
まだ目覚める様子はない。
そろそろ声を掛けるべきだろうか。そう思っていたのに私の瞼は重くなってゆき、まるで電源が落ちるかのようにゆっくりと閉じていった。目が覚めたら色んなことを話そう、そう思っていた。
「………ぇ?」
視界に映る景色にそんな惚けた声が出た。
先程まで自分はアビドスの、学校の教室にいた筈だ。だというのに眩い日差しに照らされ、ポツンと身に覚えのない場所に立っている事にホシノの思考は停止してしまった。
アビドスではない。
小さな河川敷や、遠くに見える大きな山々、視界に映る自然豊かな風景からそれだけは理解できた。遠くには田んぼも見える。
砂漠だらけのアビドス近辺にこんな景色が見える場所はない、ここはいったいどこなのか? いや、それに以前に自分の身にいったい何が起きたのか、状況を理解しようと思考がグルグルと駆け回る。
冷やせ汗が流れる。
自身の理解を越える現象に遭遇すれば思考は止まってしまうと聞いたことがあるが、それがまさにこのような状況の事かとホシノは困惑しながらも他人事のように考えていた。
「───へっ……!?」
瞬間。
音もなく、小さな影がホシノの
弾かれたように振り返り、自分の身体とその小さな影を確認する。
『………』
自分よりも歳下であろう少年が何事もなかったかのように歩いている。
どことなく
気怠気そうな表情でどこか遠くを見つめる
そして自身の身体は半透明に透けており、まるで映画に出てくる幽霊のような状態となっていることが理解できた。何がどうなっているのか、ホシノは困惑を隠せないでいる自分をどうにか落ち着かせようとするが、それもできない。
そんなホシノの思考を遮るように声が聞こえてきた。
『おーい、私のこと置いて行かないでよぉ〜!』
年相応の、元気な少女の声だ。
長い髪に
そんな少女もホシノに気がついていないかのように、彼女の横を素通りして前を歩く少年の元へと駆け足で近寄って行く。そんな少女の姿に少年は、うげっと表情を顰めている。
『……別に置いていってない』
『ならもっとゆっくり歩こう! せっかくなんだからお喋りしながら帰ろうよ!』
『……だるっ』
『だるくないもん!』
(なに、これ……もしかしておじさんってば変な夢を見ちゃうくらい、疲れてたりする?)
ランドセルを揺らしながら歩く小さな子供の姿。
そんな少年と少女を視界に収めながら、ホシノは理解できない状況に呆然と佇む。ペタペタと自分の頬を触り、軽くつねってみるが痛みはない。古典的な方法でこれが夢かどうかを彼女は確かめる。
『ねえ、もう夏休みだしさ一緒にどこか遊びに行こうよ』
『遊びたきゃ1人で遊べ、俺は忙しいから』
『もう! り■■ろーってば、またそんなこと言って家でゴロゴロする気でしょ!』
『……いやだよ。こんなクソ暑いのに、わざわざ遠出なんてしたくないね』
『ほら、やっぱりそうじゃんっ!』
そんなホシノのことなどお構いなしに、少年と少女は楽しそうにこれからの計画を立てている。そんな微笑ましい子供の姿が、どことなく自分の後輩たちの姿と重なってホシノは1人で笑ってしまう。
『あ、じゃじゃーん! 見てこれ、かわいいでしょ!』
『何その爪……いじめられてるの?』
『違うから、これはオシャレ! 別にいじめられてるのわけじゃありませーん!』
『ほーん、色ペンで塗ったの?』
『違うもん! おばあちゃんがね、
『?……ぷりきゅあ?』
『マ・ニ・キュ・ア! ふんだ……あ、これからおばあちゃんのとこに行くんだけど、■ん■■ーも来る?』
『絶対行かない。あのババア嫌いだもん、いつも俺に怒鳴ってくるし……というか、俺と一緒にいたらまた怒られるぞ。俺お前の家族に嫌われてるだろ』
『その時はその時ですっ! ママもおばあちゃんも、君が本当は優しいってまだ知らないだけだもん!』
『……あっそ』
『あ、照れてるぅ? かわいいな〜もう!』
『ち、ちげえよ!』
「……ふふっ」
くすりと笑う。
そんな子供たちを横目に、ホシノは冷静に一つずつ自分の状況を確認する。
こんな半透明な状態の身体でもしっかりと地面に足をつけて立っている感触はある、しかし近くの木や電柱に触れようと手を伸ばしてもすり抜けて透過してしまう事は確認できた。
あの子供たちにも干渉することは出来ないであろう事は予測できた。
そして自分が持っていた武器や盾はなく、丸腰の学生服姿でここにいる事も確認できた。色々と疑問は尽きない、考えても答えが出てくる事はない。
これからどうするべきか?
ホシノは口元に手を当てて状況を整理しながら思考する。
───世界が切り替わる。
空間そのものに罅が入り、テレビ画面に
そして
「───え、は?……なっ、なに、これ?」
地獄を見た。
まるで焦土だ。
表情が引き攣るのを感じた。
自然に囲まれた豊かな風景は消え去り、そこにあったのはここで戦争でもあったのかと疑ってしまう程に悲惨な光景であった。砕けて折れている電柱、焼け焦げて崩れ落ちた家屋、辺りには嫌な煙が燻っており、血と泥でぬかるんだ地面。
絵の具をぶちまけるように飛び散った血痕。
遠くには、まるで処理し切れなかったゴミのように“ソレ”が並べられている。
「うぅっ……!」
吐き気が込み上げてくる。
夢の中だからであろうか、ホシノの感触も嗅覚も機能していない。しかし視覚から脳内に入り込んでくるその光景が、ホシノの精神へとリアルな嫌悪感と衝撃をダイレクトに伝えてくる。
「はー、はーっ……うっ、はぁ……さっきの、子供……?」
そんな地獄との言える場所に、
『嘘だ……誰か、だれでもいい……だれもいないの?』
『なんで、だれでも、いい……だれかっ、ねえってば』
『かあさん母さん、お母さん……おれっ…会いに、会いに来た、おれ帰ってきたんだよ。ねえ、どこ? どこなの、返事してよ。どこにいるのお母さん、おかあさんおかあさんっ』
崩れ落ちた家屋の中で、少年が瓦礫を掘り起こしている。
感情が抜け落ちたような表情で必死にナニかを探していた。
どれだけ長い時間その場所を掘り起こしていたのだろう。少年の手の皮は擦りむけて、爪が剥げており石や木材などの瓦礫を退かす度に指先で血の線を描いていた。
思考が追いつかない。
何がどうなっているのかわからない。
だがそれでもホシノは理解してしまった。
ホシノの顔が悲惨に歪む、無意識のうちに握る拳が痛くなる。
ああ、きっとこの子は生き残ったんだ。この地獄を生き残ってしまったんだと。
そんな時だ、少年の表情が綻んだ。
それはまるで暗闇で光を見つけたかのように。だがその表情はすぐに塗り替えられた。
『あ、っ……え……かあ、さん?……ぅそだ、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だッッ! ちがうちがうちがう、ちがうっっ!』
ホシノは目を見開く。
掘り起こした瓦礫の中から引き摺り出したそれは、肘から先のない少年の母親の一部だった。つんざく悲鳴と共に放り投げたそれが、嫌な音と共に地面に転がる。
少年の悲鳴が、その絶望の慟哭が、どうしようのないほど伝わってきてしまう。喉が枯れるほどに叫び続けている。
『いかなきゃ……さ■ちゃん、■やちゃん、にあやまらなきゃ。おれが、おれが怒らせちゃったから、みんなで意地悪してるんだ……ハハハハ、かくれんぼだよね。きっとそうだ、そうなんでしょ……だって、じゃなきゃ……おれはしんじない』
立ち上がった少年は姿にホシノは唇を噛んだ。
今すぐにでも声を掛けて上げたかった、少年の心を休ませて上げたかった。だけどホシノには少年に声を掛けてあげる事も触れてあげる事もできない。
彼女に許されたのはこの地獄を目に焼き付けることだけだ。
ふらふらと彷徨う幽鬼のような足取りの少年の後ろ姿に、先輩を探してただひたすら砂漠を歩き続けた自分の姿が重なってしまい、胸が張り裂けそうになる。
(あれ……まさか、あの女の子も…っ!)
少年の向かう先が理解できてしまう。
だってそれはきっと、少年の心の最後の支えとなっているはずだから。
けど現実というものは少年に対してとても残酷だった。
そして少年は見た。
かつて少女と共に過ごした場所も、遊んだ秘密基地も、好きな女の子が住んでいた場所が何一つ残ってなかった。そして女の子本人も見つからなかった。
あるのはただ、夥しい量の血痕と血で汚れた手紙の数々、そして瓦礫の中で見つけた彼女が自分に用意してくれた誕生日プレゼントの耳飾りだけだった。
『───………あっ』
『ああ……あ、ああァァ』
『うっ、あ……あ、ああ、ああアアッ、あ゛ア゛アアっア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ぁぁぁぁっっア゛ア゛ア゛ア゛ア゛アァぁぁっァァ!!!!!!!』
───少年の心が砕ける音が聞こえた。
「…………っっ!」
言葉が出なかった。
ただ呆然と、その場に座り込んでしまった少年の姿をホシノは見ていた。
そしてホシノはこの小さな少年が誰なのか予想が出来てしまった、見覚えのある跳ねた黒髪に、面影を残した顔立ち、そして少年の手の中に握られた血で汚れたプレゼントの耳飾り。
「………タロー、くん」
彼は幼き頃の津上 凛太郎。
この夢は、この光景が意味する事はなんなのか。
これがただの幻覚なのか、それとも真実なのか。けどホシノにはこれは彼の過去の記憶だと理解した。きっとそうだという、確信にも近い何かがあった。
ゆっくりと少年に近づく。
触れる事は出来なくとも、側に行き抱き締めて上げたいと思ったから。
───世界が切り替わる。
「え……───!」
文字通り
一面の黒い海、蒼い炎に包まれて燃え尽き沈みゆく廃村。そして星の光すら消えた漆黒の夜空に浮かぶ黒く大きな満月はただ涙を流すように泥を吐き出している不可思議な世界だった。
背筋が凍った。
それは眼前に広がる景色に対してではなく、音も気配もなく背後から伸びてきた
動けない。
声が出ない。
喉が引き攣る。
呼吸する事すらままならない。
その冷たい指先からは生気すら感じなかった。
「覗き見はダメだよ?」
楽しそうに、鈴の音のような少女の声が耳元で聞こえる。
だが自分に何かを伝えようとする声は、ノイズが走ったかのように途切れ途切れで、ホシノには少女の声が理解できなかった。
「ここまで深く墜ちて来るのはちょっと予想外かな。波長がよかったのかな、それともそこまで信用されてるのか。うーん、まァ、凛太郎のお友達だから今回は許してあげるっ♪」
「でもこれ以上はダメ、
頬に触れた手に顔を引かれて、振り返る。
「───っ!」
口を噤む。
悲鳴を堪えるように、息を飲み込んだ。
頬には渇いた血涙の跡。
“抉り取ったか”のような
見覚えがある。
少年の隣にいたあの少女だとホシノは理解した。
なぜだろう。不思議な事に、次第と恐怖心も警戒心も薄らいでいった。どうしてか、眼前の少女の柔らかい雰囲気が記憶の中にいる少年と酷似している気がした。
瞳のない顔で静かに微笑む少女の指先が、ゆっくりとホシノの唇に触れる。それはまるで羨むかのように、名残惜しむかのような仕草でくすぐった。
「もっとお話ししたいけど、これ以上はダメなの。だからまたね、小鳥遊ホシノちゃん」
「ま、待って……君は、いったい……っ?」
「ふふふっ、内緒。まだ絆ランクが足りませんっ! だから、もしまた会うことができたなら、同じ子を好きになった女の子同士でガールズトーク?ってやつでもしよっか!」
トンッ、と押された。
倒れ込んだホシノの身体が水面に叩きつけてられ海の中へと沈んでいく。暗い水底で沈んで行くというのに、海面に引き上げられていくような感覚に似ていた。寒くはない、寧ろ暖かさすら感じる。
だんだんと、意識が薄れていく。
『───ん?……や、お寝坊さんだねホシノちゃん』
『───……んんっ……?……タロー、くん?』
『どうしたのさ、そんな顔して。あっ、怖い夢でも見ちゃったんじゃないの〜……え、ちょ、ホシノちゃん? うぇ!? なんで泣いてるのさホシノちゃん!?』
目が覚めた彼女は、ただ目の前の少年を抱きしめる事しかできなかった。何がどうなっているのか理解できない凛太郎は、困惑しながらもホシノ背へと腕を伸ばし返してあやすように優しくさすることしかできない。
そんな光景が、アビドス対策委員会の面々が登校してくるまで続いていた。
全部、私のせいだ。
私が弱いから、何もできなかった。
私が弱かったから、こうなった。
今、■シノ先輩を止められるのは私だけ。
私がアヤ■も、セ■カも、ノノ■も、■ン■ローも、■シノ先輩も、私が……私が、絶対に助ける。そのために私は、ここに存在しているのだから。
そう、思っていたのに……。
『───シロコちゃんッ!』
『ッッ………ぇ、リ■、タロー……?』
動けずにいた私を庇って、大事な人が傷ついた。
身体に大きな穴が空いていて、必死に傷口を抑えても血がたくさん出てきて……砂漠の上で真っ赤な水たまりが広がって私と彼の制服が色を変えて汚れていく。
痛いのに、痛い筈なのに、気にするなと彼は笑っていた。動いちゃダメだよって、必死止めたけど、■■タローは反■したホ■ノ先輩を止める為に、私たちを守る為に、手足が千切れようと立ち上がって戦い続けていた。
なにもできなかった。
私が弱いせいで、守られてばかりのせいで、大事な時に■ン■■ーを助ける事も守ることもできなかった。
私が。
私が、私がっ、私がッッ。
私がみんなを守らなきゃいけないのに、私が止めないといけないのに……。血と泥の中で眠ってしまった彼を抱きしめて声を掛け続けることしか出来なかった。いつものように笑いかけてほしい、それなのに返事は返ってこない、その体はどんどん冷たくなっていく。
視界が滲む。
■リ■が、ア■■が、■■ミが、涙を流しながら、何か私に伝えようとしてくれている。大丈夫だよ、きっとすぐに目を覚ましてくれる。だって、この人はいつだってピンチな時は助けてくれたんだから……。
リン■ローが死んだ。頭ではわかってるのに、心が追いついて来ない。
弱くてバカな私は、それでも彼を信じて縋ってしまう。
そう、縋ってしまった。
だからきっと、彼はそんな私の呼びかけに
『もういい、もういいよ……リ■タロー……!』
声は届かない。
視線の先では■転した■シノ先輩、そして
彼の頭部の
刃物のように鋭い爪。全身は角質化した鱗のような黒い皮膚で覆われおり、背中からは長く細い4本の触手が風に靡くように蠢いている。
鋭い鱗の隙間から噴き出す青い炎が怪しく輝いていて、それは文字通り悪魔という存在を体現したかのような姿だった。
みんなが私の手を引いて逃げようとしている、なんで? 彼がまだ戦っている、早く止めないと、2人とも怪我をしちゃう。なんでリン■■ーを置いていくの、かれはまだそこにいるのに。
『ダメ、ダメだよ……先輩が、死んじゃう』
嫌な音が聞こえる。
その音が聞こえる度に先輩の身体は僅かに跳ね上がって、赤い雫が砂漠を汚していく。
『───……ァ、ああ……っ!』
降り注いだ巨大な光の柱が■■■先輩を貫いた。
しっかりと視界に焼きついてしまった。
その瞬間、先輩のヘイローが砕け散り破壊される様を。
リン■ローは完全に動かなくなった“ソレ”をゴミでも捨てるかのように放り投げると、月明かりに照らされながら、まるで勝利の雄叫びを上げるかのように咆哮を轟かせていた。
私には、それがどうしようもないほど悲痛な獣の叫び声に聞こえた。
「……変わらないね、リンタロー」
「あー、えっと、どちら様? これでも女の子の名前と顔はしっかり覚えてるほうなんだけど───……いや、もしかしなくてもシロコちゃん、だよね」
「───ッ」
「あ、やっぱりそうだ。え、どうしたのその格好? 特殊メイク的な? いやでも、髪の長いシロコちゃんってのもかわいいね!どっちかというと美人さんより?」
自分の罪の記憶から意識が引き戻される。
崩壊を始めるキヴォトス、この世界の彼を見つけた。
跳ねた黒い髪に綺麗な青い瞳。
私の記憶の中にいる彼と変わらない。嬉しそうに笑いかけてくれる姿に、どうしようもない安心感を覚えてしまう。けれど、そんな彼とは違って変わり果ててしまった自分の姿に、言い表しようのない感情が込み上げて来る。
ただ一目姿を見られればそれでよかった。
けど彼は変わってしまった“私”が私だと気がついて、笑いかけてくれた。そのせいで、我慢しようと思っていたのに我慢できなくなってしまった。
「うおっ、えっと、シロコちゃん? そ、そんなに抱きしめられるとお胸が……ちょ、シロコちゃーん?」
「───ごめんねリンタロー」
「………え?」
私が、色彩がもたらした6つの反転したサンクトゥムタワーがキヴォトスを終焉に導く……きっと、彼は障害となる。
だから私は、ひっそりと構えた拳銃を彼の脇腹に押し当てて引き金を引いた。ごめんねリンタロー、もうあなたが知る
嫌な感触が伝わる。
この感触だけは、好きになれない。
ああ、ごめんねリンタロー。
───これはまだ先の出来事、それでもそう遠くない未来の話。
透き通ってますね。
某ロボット
「守れない約束ならしなければいいのに」
呪霊化凛太郎の外見は個人的に覚醒ガロウに近いイメージ。
ぶっちゃけどの時間帯に更新されると読みやすい?
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07:00くらい
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19:00くらいやな
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21:00くらいやでー!!