透き通る様な世界観にいる一般呪術師 作:半ライス大盛り
お気に入り、高評価、感想、ここすき、大変励みになっておりまする。誤字修正も毎度のことながらありがとうございます。ほんと助かってます。
前回までは有休消化しなきゃいけなくて、暇な時間を作れて更新できてたんですがそれも終わりまた出勤しながらチマチア執筆してるので更新頻度は落ちるかもですが、頑張って早く更新できるように頑張りまちゅ。
アリウス夏イベ最高でした。
おら、もっとうまいもん食って幸せになれっ!
水着キャラも無料分と天井で確保できたので、周年まで石は貯めておきます(揺るぎやすい意思)
b月γ日
最近、
なんというか、こう、こっちを観察してくるような嫌な視線を感じるのだ。視線を感じで振り返っても、そこに誰かがいるわけでもなく、俺の一人がキョロキョロしてるような状況が続いてる。
先公に盗聴器を仕掛けているコタマちゃんという前例があるので、それっぽいのが仕掛けられてる可能性がある場所を探してみたがカメラとかはなかった……いくつか盗聴器が出てきたが、これは見なかった事にしておこう。多分だがこれはコタマちゃんの仕業だ、使われてるタイプが以前と同じだ。
その代わり、最近モモトでカヨコちゃんからおすすめされたバンドのハードなヘビメタを爆音で流しておいた。オラ喰らえ、悪霊退散! 悪霊退散ッ! 貴様もテンション上げてけッ!!
しかし、この妙な視線はなんだろう。
敵意というか、こっちに何かしようみたいな感じはしないが、四六時中見られているというのもなんだかいい気分がしない。とりあえず、そういうの詳しいそうなアキラちゃんにも相談してみた。
やはり怪盗というだけあってそういった小道具には詳しいらしい。
流石だぜ慈愛の怪盗ちゃん、だけど『因みに私は貴方の枕元に設置しました』なんて言われた瞬間は脳みそ固まったよ、脳内でコナンくんみたいなBGMが鳴り響いたよ。しかもマジで出てくるんだからビックリだって……え、本当にこれだけ?
ま、ぬるっと罪を自白したので、多めに見てあげよう。
アキラちゃんにはヘビメタ爆音の刑もなしにしてあげようジャマイカ。その代わりに、イタズラで盗聴器のマイクに息を吹きかけたり吐息を多めのアキラちゃん褒め殺しASMRの刑の処しておいた。
ゲヘヘ、ゲヘ……自分でやっておいてあれだが、ちょっとキモいなこれ。
だがしかし!これに懲りたら脚を洗うんだな!
とりあえずこの謎の視線はそのうちどうにかしよう。
あまりにも見られてる気がするので「ジョセフ・ジョースター!きさま!見ているなッ!」と視線を感じる方向にDIO様ごっこして遊んでたらシャーレのお手伝いに来たノアちゃんにガッツリその場を見られてしまった。
おっと、やめてくれ。
意味深な笑顔でメモをとり始めるのはやめるんだノアちゃん。ちょっと待とうか、このメイド服を着た恥ずかしがってるユウカちゃんの写真で手を手を打とうじゃないか。
c月y日
ちょっとした
まぁ、これについては追々記述して行こう。
とりあえず、今日はミレニアムの方まで行った。アリスちゃんの武者修行ならぬ勇者修行とやらを一緒にする約束をしていたからだ。修行と言っても筋トレしたり模擬戦したり、みたいな物理的な感じのやつではない。
ミレニアムを歩いて回り冒険して、“クエスト”と称して困っている生徒のお手伝いなんかをして勇者としての経験値を稼ぎレベルアップする為のものらしい。勇者アリスのパーティーに加入した俺は、序盤で助っ人として使える高レベルなお助けキャラボジションらしい。
なるほど、それって実は序盤しか役に立たないクソキャラだったりしない? ストーリー中にどこかで死亡&リタイアして編成不可になったりするようなキャラじゃなければお兄さんは嬉しいんだが。
ほぼ1日アリスちゃんと行動してわかったことだが、どうやら彼女はここミレニアムの上級生たちからだいぶ愛されているようだ。
すれ違う生徒に挨拶は欠かさないし、困った事があれば手を貸してあげる優しい性格。無邪気な彼女は中々に光属性パワーが強めなので他の子たちがアリスちゃんを可愛がる気持ちはわかる。かくいう俺もその一人だろう。
既にアリスちゃんの勇者レベルは中々高いようだ。
あと、元気がいいのは良い事だがあっちこっちに駆け回るのは勘弁してください。元気いっぱい過ぎて気がついたら迷子になりそうなアリスちゃんと手を繋いでおいたのだが、彼女の有り余る冒険力によってすごい引きずり回されてるから。
ちょっと落ち着こうアリスちゃん、このままじゃ俺の肩が外れてすごい事になっちゃう。引きずられ過ぎてゴムゴムの身を食べてないのに腕だけゴム人間みたいになっちゃうからさ。
ミレニアムをアリスちゃんと冒険中に機材やら何やらを買い出し中のエンジニア部の子たちとも遭遇した。エンジニア部のみんなからも可愛がられているようで、微笑ましい限りだ。
アリスちゃんのレールガン、いや勇者の剣も定期的に状態を見てあげているらしい。『アリスの宝物です!』と大事そうに抱える姿にエンジニア部も嬉しそうにしていたが、『大切にしてくれているなら私たちとしても嬉しいよ……そう思うだろリンタロウくん?』なんてウタハちゃんの一言でこっちに飛び火してしまった。
笑顔なのに顔が怖いよ。メソラシ
いや、その、ちゃうねん……俺もあのアームギアはぶっ壊したくて壊した訳じゃないんですよ。なのでそんなに怖い顔でこっちを見ないでくださいエンジニア部の皆様方、修理から戻ってきたら愛でるように丁寧に扱わせてもらいますので、いやほんとすいません。
退散するようにエンジニア部に挨拶をしてその場から離れようとしたが、ヒビキちゃんが俺とアリスちゃんが一緒に歩いている姿を見て『ふふ、なんだか二人とも兄妹みたいだね』なんて言ってたりもした。
多分、黒髪で青い瞳という共通の容姿からそう思ったのだろう。いや、俺からしたら兄妹というより元気すぎる大型犬の散歩をしてる気分なんですが。
だがしかし、笑顔のアリスちゃんから放たれた『リンタロウ、お兄ちゃん……えへへ』は中々破壊力があった。その威力に思わず胸を押さえて膝をついてしまった。
なんて威力、五条先生から腹パンされた時より重い一撃だった気がする。
その瞬間、俺の脳内に存在しない記憶が生まれてきそうだったがどうにか抑え込んだ。落ち着け凛太郎、それじゃあ急に悠二の事を『
ふぅ、落ち着け。
アリスちゃんは別に俺の妹とかではない。それからエンジニア部のみんなが悪ノリしたのかアリスちゃんにお姉ちゃん呼びさせようとしてたりもした。
は?ちょっと皆さん俺の妹に変な事吹き込むのやめてもらっていいですか? 俺がお兄ちゃんやぞ。
ん、閑話休題。
それからだった、ちょっとした
どうせ一緒に学校の方まで戻るのだから、エンジニア部が買い出した荷物を持って帰るのを手伝ったのだ。ごちゃごちゃした機械のパーツや、大きな鉄材なんかもあったのだ。
とりあえず男手という事で、用途不明な大きな鉄材を俺が抱えて帰る事になった。流石に自分の身長くらいある鉄塊を生身で抱えるのはシンドいので、呪力で強化して持ち上げようとしたのだが、鉄塊に
そんな光景にみんなポカーンとしていた。
そりゃそうだろう、鉄の塊がまるで風船が破裂したかのようにデカい音を鳴らしてぶっ壊れたんだから。次の瞬間にはみんなが怪我はないかと駆け寄ってきたが、その場で俺に返事を返す余裕はなかった。
恐らく呪力出力の調整をミスった。
そんなバカな、というのが俺の感想だ。だっていつも通り少量の呪力を練り上げて肉体に強化を施したつもりなんだから。それなのに鉄塊を掴んだだけで派手にぶっ壊れたのだから。
しかも握り潰したというよりは、鉄塊の方が
まるで鉄塊が
それからシャーレに戻って一人でコソコソと調子を調べてみた、推測だが例えるなら水道の蛇口というかバルブというか、呪力出力の弁がおかしくなってみたいだ。呪力の総量自体に変化はない、ただ出力がバカになってる。
けど、これは自分でも原因がよくわかっていないので、多分や恐らく、と言ったら主観混じりの観測になってしまっている。
しかも呪力がだいぶ雑になっているというか、上振れや下振れのムラがすごい事になってることにも気がついた……思い当たる節はあるが、正直意味がわからない。
しばらく、呪力操作の精度を上げる修行に専念した方がいいかもしれない。下手したらマジでキヴォトスの生徒ちゃんや住民が死ぬ。
こういう時に六眼持ちの五条先生が近くに居てくれれば楽に原因が解明できるのだが……会えない人物に期待するのはないものねだりだろう、自分の力でどうにかするしかない。
……ただの気のせい、勘違いかも知れないが。
呪力を込めて鉄塊に触れたあの瞬間、変に心臓の辺りが痛みを感じたというか熱くなったというか、普段とは違う妙な呪力の……いや、別の
うーん、原因不明だ。五条先生ヘルプミー。タスケテー!
c月k日
超天才病弱美少女ハッカーちゃんかわいいー!キャーウィンクシテー‼︎
というわけで超天才病弱美少女ハッカーちゃんこと明星 ヒマリちゃんとお友達になってきました! ヒマリちゃんカワウィー!! それでは皆さんご昌和ください、ミレニアムが誇る超絶天才病弱美少女エルフ耳ハッカーちゃんはかわいいー!!
よ! 眉目秀麗な乙女であり、ミレニアムに咲く一輪の高嶺の花! 図太いよ良い性格してるぅー!
……失礼、取り乱してしまいました。
ところで君ってばいい声してるね、耳によい綺麗な綺麗なお声をしてますこと。
今日はミレニアムの校内を探索中にヒマリちゃんと出会いお友達になりました。ヒマリちゃんなんだが、病弱というだけあり車椅子に乗っているのだ。その所為か彼女が自販機で買った飲み物を取りづらそうにしてる場面に出会して、代わりにとってあげたのが彼女との出会いだね。
それから軽く自己紹介をしてヒマリちゃんとお喋りしてたのだが、このすごい面白い子だと気づいてしまった。ドヤ顔がかわいいね。
しかしそのインパクトのある自己紹介文いいな。
俺もそういうの欲しいかも、超絶最強イケメン呪術師とか名乗ってみるか……いやなんかダサいな。というか最強はまだ名乗れないし、最強を名乗るならどうにかして五条先生をしばきに行かないと。
あの人ぶっ飛ばしてからじゃないと最強を名乗るのはなんか納得できない。
閑話休題。
どうやらヒマリちゃんは元々はヴェリタスの部長だったが、今はセミナー直属の特務組織である特異現象捜査部?とやらの部長さんらしい。最近できたらしい、なんだかよくわからないがかっこいい部活名な上にその部長とは中々クールな肩書をお持ちのようだ。
それと、彼女とは初対面の筈なのだが彼女は俺の事を知っていたらしい。おっと、なんだか意味深な事をいう彼女に怪しい匂いがプンプンするぜッーッ! でもヒマリちゃんの可愛さに免じて許しちゃうー!!
彼女に案内されて部室にお邪魔したのだが、色々とすごかった。
いや、うん。部室内はモニターとかよくわからんパネルとか、バカな俺でもすごい機械なんだな、とかこの機材揃えるまでにいくら掛かってるんだ、って感じ取れるくらい凄かった。
ヒマリちゃん以外にも部員がいるようで紹介されたが、その名も和泉元エイミちゃんだ。
彼女はその、ちょっとインパクトがすご過ぎすぎた。『全知』のヒマリちゃんと『全痴』のエイミちゃんっていうか……うん、ここはきっと恐ろしい部活だべさ。
その、もしかして君ここに来るまで身包み剥がされた?(真顔)
自己紹介を兼ねて挨拶した瞬間に無量空処をブチ当てられたね。多分、羞恥心や常識をどこかに置いてきちゃった生徒なんだろう。いや、暑いからってこれ以上脱ごうとしないでください。ほんと、お願いします。
普通なら『ウオー、女の子の裸体だー!』なんて女性の露出に興奮する輩がいるかもしれんが、そんな頓珍漢な格好されたら心配の方が勝りますって。
いやほんと、なんだその胸元のジッパー。もしかしてブチャラティの親戚だったりする? 否定するつもりはないが、ファッションセンスすごいね。
それからスッポンポンになりそうな勢いのスティッキィ・フィンガーズ疑惑のあるエイミちゃんを抑え込みながら、ヒマリちゃんから色々と話を聞いたが、ちょっと話が難しすぎてよくわからなかった。
俺は馬鹿だからよォ、難しい話されても馬鹿だからわかんねえわ!
とりあえずデカ枕トンだがグラマトンだが知らんが、俺がアビドスで戦ったあのデカいツチノコの話もされた。しかもあの時の戦いなんだが、戦闘の様子を隠し撮りされてったっぽい。
映像見せられて、ポカーンとしちゃったもん。
『ふふ、実は貴方にとても興味があります』なんてヒマリちゃんに言われたが、ちょっと怖いっす。もしかして俺ってこのままモルモットコースとかはないですよね? 解剖ENDとかは普通にお断りっすよ?
気のせいであってほしいがヒマリちゃんは俺が神秘とは違う力を使っている事に気がついてるっぽい。流石にこれが呪力である事には気が付いてないが、神秘とは別物である事について確信にも近いものがある感じだ。
楽しそうに質問してくるヒマリちゃんに、俺は笑って誤魔化すしかなかった。さ、流石に呪いの力についてひけらかす訳にもいかんし。
それからヒマリちゃんにはちょっとした頼まれごとをされた。シャーレ経由ではなく、津上 凛太郎という俺個人に対しての頼み事らしい。よくわからんが、俺に任せんシャイニング!
薄暗い室内。
夜の帳に包まれた時間帯、暗闇が電光色に彩られ照らされたキヴォトスの市内。そんな絶景とも言える夜の風景を一望できるような、大きな窓ガラスが目立つ室内に彼女たちは居た。
モーターが静かに稼働する駆動音。
電子パネルによってロックされた自動ドアを開く。
「あら……超天才清楚系病弱美少女の来訪を電気をつけずに迎えるなんて、呼び出しておきながら来客を持てなそうなんて気がこれっぽっちもない点はあなたらしいですね───リオ」
「万全を期しているだけよ、この会談を外部に知られてはならないもの。その為であれば、この程度は問題ないでしょう」
車椅子の少女、ヒマリの視線の先で少女が振り返る。
黒を基調とした衣服に長い黒髪、それらとは対照的となる白いタートルネックを着用した色白の肌を持つ生徒。彼女こそがミレニアムサイエンススクールを取り仕切るセミナーの生徒会長であり、一部の生徒達からはミレニアムの『ビッグシスター』と呼ばれている少女。
調月リオ、それが彼女の名である。
「今回、この訪問はデータベースには残らない。つまり記録上私たちは会ってなどいない事になっている。すべては、これから話す
「リオったら、真面目なんですから『お姉ちゃん面しないで!』くらいの軽口を返せないと、ユーモアから程遠いですよ。私のように、なんてあなたに求めても酷な話でしょうが」
「?……貴女は私の姉ではないわ。急に何を言ってるのヒマリ」
「……はぁ、ええ。そうでしたね。あなたは
つい、重たい息を吐き出す。
ヒマリという人間は自由奔放なイタズラ好きでもあり、大小の我欲を通すためカジュアルにハッキングを行ってしまうなど、自分を賞賛する言い回しは毎回変えていたりする。いわば自己肯定感の塊、自由人とも言える性格の人間だ。
そんな自分とは全てが真反対とも言える、冗談が通じず堅苦しい合理主義を極めた人物に対してのヒマリは嫌味混じりに息を吐いた。
「ユーモアを解さずに“合理”だなんて……あなたの好きな表現でしたね」
「好悪の話ではないのだけれど……事実でしょう?」
何を言ってるんだとは言いたげな彼女の表情。
この手の話題やユーモアに理解や共感することのできない、小首を傾げるリオの姿にヒマリは何度目かわからないため息をつく。
「この会合が秘匿されている事くらいは、貴女も理解しているでしょう」
「それはどうでしょうか───そもそも、人目を気にするのであれば、ここではなく
「……他の場所?」
「ええ、例えば……
意味深な言葉と共に、微笑みながらヒマリはリオへと視線を向ける。相手の懐に探りを入れるような視線ではなく、何か確信めいたものを秘めた鋭い視線。
しかし、当の本人は彼女の言葉に動揺するわけでもなく静かに言葉を切り返した。
「……そう、本題に入りましょう」
「あらあら、話を逸らすつもりですか? ふふ……ええ、それも構いませんが。ならまずは、お互いの認識のすり合わせといきましょうか?」
パッ、と薄暗い部屋の壁に映像が映し出される。
それはつい先日、ゲーム開発部の面々が『鏡』を巡ってセミナーの差押保品管庫へと大掛かりな行動で乗り込んできた時の映像だった。
「前回、“鏡”を巡ってミレニアム生が起こした一連の騒動、あれは私たちが共に仕掛けた事だったわね」
「ええ。私が“鏡”という
「そう───全ては
映像が切り替わる。
そこに映し出されたのは、ゲーム開発部と行動を共にする少女の姿。リオはその少女の姿をまるで恐れているかのように、表情を険しくしていた。
「あれから随分と経つけど、解釈の結論は出たかしら?」
「もちろんです。アリスの正体、それは無名の司祭が崇拝する“オーパーツ”であり、遥か昔の記録に存在する───“名もなき神々の王女”……違いますか?」
「そう……同じ解釈になったようね。つまり、
「ええ。アリス、あの子は───」
「───
「───
深刻そうな顔をするリオ。
満面の笑みを浮かべるヒマリ。
数秒感、沈黙がこの場を支配した。
両者の表情が『何言ってんだこいつ』と内心で言い表していることは見てとれる。部屋の隅に掛けられた時計の秒針が刻まれる音だけがこの静寂に満ちた空間内で妙に耳へと響いていた。
「……そう、じゃあ私たちの同盟はここで終わりということね」
「そうですね。それと同盟ではなく、休戦です。そこは間違えないでもらいましょうか……あら?」
リオが指を弾く。
小君良い音が響くとリオの周囲へと駆動音を響かせながら、まるで一輪車に銃器を装備したロボットが彼女の周りへと集まってくる。その銃口はヒマリの方へと静かに向けられている。
ジリジリと壁際に追い詰められて行く。
戦闘を得意とするキヴォトス生徒であるならば、この場を切り抜ける事に不安要素はないだろうが。生憎と車椅子に座るヒマリは前に出て戦える身体ではない。
「これが噂の……あなたが最近作ってるおもちゃですね」
「同盟を解除した以上、貴女をこのまま返すわけにはいかないわ」
「まぁ……そうでしょうね。あなたならそうすると思っていました。ですがそれを予期しておきながら、私が
「いったい何を言って……!」
「ですので、少し乱暴なくらいで構いませんよ───
瞬間、轟音と共に建物全体が揺れた。
まるで隕石が落下してきたかのように天井を突き破って現れた男の姿にリオは目を見開いた。何せ彼の姿はここ数日で確認しており、予定は狂ったがこの会合の場でも彼の名を上げてヒマリにその存在を問うつもりでもあったからだ。
「津上 リンタロウ……っ!」
「───ふっ、最強無敵な超天っ才美少年ここに見参……あ、義によって助太刀致すとかの方がカッコよかったかも、どう思う?」
「ふふっ、それならこの超天才清楚系病弱美少女の私が一緒に自己紹介を考えてあげましょうか?」
「おっ、それいいね。なんかカッコいいやつ頼むよ」
派手に瓦礫と粉塵を巻き上げ、よくわからない名乗り構文と共に現れた凛太郎の姿にリオは一瞬、ポカンとした顔で固まってしまった。
何せに派手な登場をした彼の背後でヒマリはよくできましたと言わんばかりにパチパチと手を叩き、人造人間でスーパーヒーローな決めポーズをとっている凛太郎がいるのだから。
「よしっ。俺としては君ともお話したいけど、今回はこのまま帰らせてもらうよ?」
「っAMAS、2人を捕えなさい……!」
「おっとと、やっぱ撃ってくるよね!? 悪いけど、しっかり掴まっててねヒマリちゃん!」
「あ、あら……い、意外と大胆なんですね。こういった経験はないのでもう少し優しくしてくれると……ひゃぁ!」
ヒマリを座らせるように片手で抱き抱え、もう片方の手でヒマリが座っていた車椅子を軽々と持ち上げる。そのまま天井に開けた穴から脱出するつもりだったが、リオの呼び出したAMASと呼ばれるロボットがそれを許さない。
AMASの胴体から突き出た銃口から銃弾が放たれる。
周辺を取り囲む全てのAMASからの攻撃に凛太郎は焦る事なく、床を蹴って走り出すと室内の壁を蹴って壁面を走りながら冷静に銃弾を回避する。
それと同時に、少しだけ安心していた。
目の前の少女、リオが前に出て戦うタイプではなくこういった多数のロボットを操作する事によって戦うタイプの人間である事に。正直に言って、今の凛太郎は絶不調もと言ってもいいところだ。
何せ、呪力という負のエネルギーで戦う自分の武器が謎の不調によってうまく機能してくれないのだから。しかも下手すれば加減が効かずキヴォトスの生徒であろうとひとたまりもない一撃になってしまうのだ。
それ故に、加減の心配がいらないAMASが相手でよかったと安心がある。
「───オラッ!」
蹴りを繰り出せば、ただの風圧が見えない砲弾と化して鋼鉄のボディを穿つ。これでも充分に加減してるほうなんだが、と凛太郎は内心で冷や汗を流す。もう少し呪力出力を抑えるべきか、思考しながら出力にムラのある呪力を調整しつつAMASを蹴り砕いていく。
しかしいくら潰しても、次々と湧いて出てくる。
「ふぅ、ヒマリちゃん。跳ぶからちゃんと掴まっててね」
「……か、加減していただけるとありがたいのですけど」
「……逃がさないでっ!」
「悪いね。また今度ゆっくり話そうか……!」
体力にも呪力にもまだ余裕はある。
だがこれ以上の戦闘はキリがない。そして何かの拍子に調整をミスった攻撃でヒマリやリオに何かあってしまっては困るので、凛太郎はこの場は早々に撤退する事にした。そもそも、自分がヒマリに頼まれたことはあくまで護衛であり、リオとの戦闘ではない。
ギュッとしがみついてくるヒマリを落とさないようにしながら、身体を沈ませるように膝を曲げて───跳躍する。その瞬間、室内に居たはずの二人は美しい夜景を一望できる空中へとその身を踊らせていた。
気のせいでなければ隣に高層ビルの屋上が見える。
(ん? やべ……加減ミスったな明らかに飛びすぎた)
「へ?……ひゃっ、ひゃっあああぁぁぁぁl!?? りりり、リンタロウさん!? もしかしなくても私たち地面に向かっておちおち落ちてませんか!?」
「ん、へーきへーき。しっかり掴まってて」
「反応が軽いっ!?」
迫り来るコンクリートの地面。
このまま行けば間違いなくペシャンコだ、頑丈なキヴォトス人でもこの高さからの落下は恐怖を覚えるのだろう。若干涙目になっているヒマリが凛太郎に抱きつくようにしがみ付いている。
そんな彼女をしっかりと抱きかかえながら、重力に引きずられるように地面へと落下していく。
「よっと、ふわっと着地でございやす〜」
「………」
「ヒマリちゃん大丈夫そ……ではないか、正直ごめん」
「ふ、ふふ、ふふふ……これがパラシュートなしで空を跳ぶ感覚というものなんですね。て、天才美少女ハッカー的にはできれば2度と体験したくないものですが」
「ご、ごめんて」
ジェット噴射の要領で放出した呪力を逆噴射させて勢いを殺しながらしっかりと着地する。ひとまず、しっかりと着地できた事に安心しながらヒマリの方へと振り返ってみれば口から魂が抜けてでいきそうな状態となった姿があった。
よく見ればヒマリが使っていた膝掛けがなくなっている事に気がつき、いまだけ使って貰おうと制服の上着を膝掛け代わりに渡しておく。
ひとまず、彼女を車椅子に乗せて押しながらこの場から猛ダッシュで逃げる事にする。先程の着地がよほど衝撃的だったのか、車椅子に座り前へ進む感触に感動し始めたヒマリに罪悪感が込み上げてくる、後でお詫びとしてジュースでも奢らせてもらおうと考えて。
不意に、足が止まった。
「………」
「リンタロウさん。急に立ち止まって、どうかなさいましたか?」
「いや、なんかまた、
最近、感じるようになった妙な視線。
凛太郎がその視線の出所を感知した瞬間、自分たちの目の前に落下してきた既にピンの抜けた
意識の外から忍び寄ってきた攻撃に反応が僅かに遅れた。
爆発の熱をダイレクトに感じる。ヒマリを抱えたまま吹き飛ばされながら、ゴロゴロと地面を転がっていき少し離れたところでどうにか停止する。
すぐさま起き上がってヒマリの無事を確認するが、先程の衝撃でどうやら気絶してしまったらしい。ひとまず彼女に怪我ない事に安堵しながらも、爆発で立ち上った煙の中から現れた襲撃犯に視線を向ける。
「痛っ……ふぅ、流石に今のはビビったよ。んで、君は誰なのかな?」
「───まさか、今のを避けられるとは思いもしていませんでした。噂に違わぬ力量という事でしょうか?」
近づいてくる影に凛太郎の眼が細められた。
爆発による土煙が烟る向こう側で、ゆっくりその影の輪郭が露わになっていく。その姿に凛太郎は驚愕を露わとするかのように眼を見開いていった。
「はじめまして、ご挨拶申し上げます。ミレニアムサイエンススクールC&C所属、コールサインゼロフォー。飛鳥馬トキです……できれば大人しく拘束されていただけませんか……?」
「…………」
「……あ、あの?」
「───……か」
「か?」
「かわいいー!! ドストライクのメイドさんだぁっ!! もう一回お名前を教えてくれませんかね!?」
「……へ? あ、飛鳥馬トキです」
「トキちゃんっていうのか! 因みにモモトークやってる!?」
「え、あ、あの……!?」
そこにいたのはメイド服を着た少女だった。
それから金髪青目の美少女、その上ロングスカートという凛太郎の性癖にはドストライクな要素を兼ね備えた少女の姿に凛太郎は歓喜の産声をあげている。
彼は欲望には正直だった。
東堂
「どんな女が
凛太郎
「……ははーん、なるほど。これが噂の好きな性癖発表ドラゴンってやつだな? いいだろう教えてやる、俺の最近のトレンドはロングでポニーテールだ」
「……ほう、続けろ」
「しかしただのポニーテールじゃない。普段は髪を下ろしてるが運動中に結ぶという王道なシチュが俺的にはポイントが高い……なぜなら、いつもなら隠された女の子のうなじや、髪を結くときの脇から下のラインに俺はとても興奮します……このシチュをお前の推しで想像してみろ」ハヤクチ
「っ!……ンなるほど、完敗だ。ふっ、お前は俺の一歩先を行ったようだな戦友っ!」
釘崎
「……真希さん。あそこでバカと馬鹿がはしゃいでんるですけど?」
真希
「ほっとけ野薔薇。頭悪い猿とゴリラが縄張りで戯れてるだけだ、ちょっかい出したらお前もIQが低くなんぞ」
真衣
「ふぅん……髪、伸ばそうかしら」
これくらいの設定なら開示しても問題ないかと判断しやした。
※一応ネタバレ。
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他者の魂に干渉して“魂を物質化”させる術式。言ってしまえば魂を呪物化させる術式とも言えるがこの術式のみでは、羂索のように過去の呪術師を呪物化させて受肉化させるといったことはできない。
しかしこの術式の真価はそこではない。術式対象を呪物化させ取り込む事によって対象の技能と生得術式を
ぶっちゃけどの時間帯に更新されると読みやすい?
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07:00くらい
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19:00くらいやな
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21:00くらいやでー!!