透き通る様な世界観にいる一般呪術師   作:半ライス大盛り

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 誤字報告、高評価、お気に入り、感想、ここすき、その他諸々大変励みになっております!感想にも目を通しております。

 今回、凛太郎の出番は特にないです。
 主人公がいないもまま原作キャラのみで話を執筆するのは恐らく初めてだと思うので、なんだか新鮮でした。

 




なんだチミは?

 

 

 

 シャーレの先生は焦っていた。

 これほどの緊張感に襲われるのはいつぶりだろうか。

 

 ゴクリ、と固唾を飲む。

 全身が強張るかのように無意識のうちに力が入る。喉は渇いていないというのに、半開きになった口から取り込む空気によって舌が乾きそうだ。

 

 

 “………っ”

 

 『せ、先生……?』

 

 “ごめんね、アロナ。少しだけ集中させて……!”

 

 

 心配そうにする相棒の言葉に、なんてこと無いように微笑む。

 

 冷や汗が頬を伝いゆっくりと流れ落ちていく。

 手が震える。指先が思ったように動いてはくれない。それでも神に祈るかのように、強く念じながら意識を集中させ研ぎ澄ませていく。

 

 自分を信じろ。

 鼓舞するように自らを奮い立たせる。

 

 この程度の壁を乗り越えられないでどうする、先頭にたち生きる者として生徒たちを助け導く立場にいる先生(じぶん)がこの程度のことで根を上げるなどあってはならない。

 

 脳裏に浮かぶのは自分を信頼して笑いかけてくれる、生徒である小さな少女たちの姿だ……なんだか途中、自分に中指を立ててくる悪友のようなポジションに収まった少年の姿が浮かんだが、とりあえずムカつくので自分も中指を立て返しておく。

 

 チッチッチ……と秒針が刻む音が妙に大きく感じる。

 集中力を研ぎ澄ませたシャーレの先生からは覇気とも言えるような、相手を圧倒するようなオーラすら感じとれた。アロナはそんなそんな先生の様子に飲まれたかの様に、ジッと見つめて心の中で応援する。

 

 

 “………や、やった……っ!!”

 

 

 ───そしてその時はやって来た。

 まるで手術が成功した医師のように、ゆっくりと安堵の息を吐く。そんな先生の様子にアロナはシャーレの先生は無事にやり遂げたことを理解して、パァっと花が咲いたような笑顔を浮かべる。

 

 

 “やったよアロナ! ついに、ついに私はやり遂げたよ!”

 

 

 椅子を蹴り飛ばす勢いで立ち上がる先生。

 そしてタブレット越しに顔を覗かせているアロナへと、見せびらかすかのように自らが組み上げた渾身の一作を輝かせる。

 

 それは継ぎ目のないガラス瓶の中で帆を張る海賊船───所謂ボトルシップと言われる模型の一種だった。

 

 

 『やりましたね先生ッ!……ってそうじゃないですよ! ちゃんとお仕事をしてください! 遊んでばかりじゃまた怒られちゃいますよ!?』

 

 “うぐっ……ち、違うんだよアロナ。これは別に遊んでいたわけじゃなくて……そう、少ない休憩時間で楽しむ大人な趣味というか”

 

 『休憩時間はとっくにオーバーしてます。前回はロボットのプラモデルを作ってた所為で、ユウカさんに怒られたばっかりじゃないですか!』

 

 “うっ! ちゃ、ちゃうねん……あれはプラモの出来が良くて興奮しちゃっただけで”

 

 

 プンスカと怒ってますと言わんばかりの表情で自分を見つめるアロナの姿に、シャーレの先生はシラを切るかのように気まずそうに視線を逸らしている。

 

 確かに、休憩時間を過ぎ仕事を放置したまま作業に熱中したせいでユウカからお叱りを受けた……なんて出来事は以前にもあったが、今回はユウカではなくアロナからのお叱りに先生はあっちこっちと視線を泳がせている。

 

 

 『というかいつの間にこんな物を用意してたんですか! シャーレの経費で買ったなんてことだったら、また怒られちゃうんですから!?』

 

 “ち、違うんだよアロナ。今回は別にそういうんじゃなくて、これはリンタロウが持ってきた物であって……ハッ! そうか、これはきっとリンタロウが仕組んだ巧妙な罠なんだよ!!”

 

 『リンタロウさんの所為にしないでください!』

 

 

 シャーレの先生の脳裏を過ぎるのは数日前の記憶。

 

 

 『おーい、やべえって先公!』

 

 “慌ててどうしたのさ。というか書類整理手伝ってくれると”

 

 『閉店セールで安売りしてた! 一緒にボトルシップ艦隊作ってシャーレの入り口に飾ろうぜ!』 オメメキラキラ!

 

 “急に何言って……良いじゃんそれ、やろうッ!!” オメメキラキラ!

 

 『WHOOOO!!』

 

 “イエーイ!”

 

 

 

 ブレーキ役が入れば大人しくなっていたかもしれないが、そのブレーキ役を担える生徒たちもこの日は不在であり、ストッパーいないと止まれないバカな男2人だけが集まった所為で暴走が加速してしまったのだ。

 

 着々とシャーレの入り口に飾られているボトルシップやプラモデルが増えてきており、様子を見に来た連邦生徒会所属である財務室長の扇喜アオイやユウカからお叱りや小言を受けているが……止まることを知らない男子たち特有なノリには意味のないものである。

 

 

 “おっほん……と、ところでリンタロウとは連絡はついた?”

 

 『あ〜! 露骨に話題をすり替えましたね先生! それは悪い大人のやり方ですよッ!』

 

 “な、ナンノコトヤラ……でもアロナもリンタロウの“先輩”としてお仕事の遅刻や無断欠勤はお説教はしなきゃ。それに彼の場合、何か事件や面倒ごとに巻き込まれてそうではあるしフォローしてあげなきゃね”

 

 『せ、先輩……っ。 そうでした、任せてください! 後輩は先輩の背中を見て育つと聞いたことがあります。ならばこのアロナちゃん、しっかりと後輩をフォローして見せます! なんたって私は先輩ですから! そう、リンタロウさんの先っ輩ですから!!』

 

 

 瞳に炎を灯してやる気MAXと言ったアロナの姿に苦笑する。それと同時に、うまく誤魔化せたみたいで何よりだと、ホッと安堵のため息を吐いた。

 

 リンタロウとアロナの関係だが、先輩と後輩という立場はあながち間違いではなく2人の仲も良好であろうと先生は思っている。

 

 と言っても、『シッテムの箱』のOSであるアロナの姿は基本的に持ち主であるシャーレの先生のみが視認することが可能となっている。

 

 その為、リンタロウもアロナの姿や声を認知することは出来ておらず、会話する時は彼が一方的にタブレットに話しかけている姿を先生はちょくちょく見かけている。

 

 

 『これがスーパーAIであるアロナちゃんパイセンが宿るタブレットか……“システムの箱詰め”だっけ?』

 

 『そうです! 私が先生の秘書であるスーパーAIの……って“シッテムの箱”ですよ! システムの箱詰めじゃありません!』

 

 『でさ聞いてくれよアロナちゃんパイセン、先公が俺のことを虐めるんだ。見てくれよあの書類の量、明らかに俺のほうが山積みになってる。新人イビリだってこれ……殺意が湧きます』

 

 『ええ!? 先生はそんな人じゃありませんよ!! すごい優しい人です、けど……しょ、書類の山はみんなで協力して頑張りましょう!!』

 

 『あ、パイセンは甘い物と辛い物どっちが好き? 俺はどっちかというと甘党かな〜。あ、てか食事とか出来るの?』

 

 『アロナも甘いお菓子が好きです! えへへ〜、苺カステラやバナナカステラなんか特に美味しくて』

 

 『ふむふむ、なるほど。パイセンは甘いものより渋い系が好みなわけだ! 大人な味覚だね煎餅とか今度お供えしとくよ!』

 

 『私の話を聞いてましたか!? けどお煎餅も好きなので許しましょう!』

 

 “(……会話が成り立ってるようで成り立ってないんだよな〜)”

 

 

 凛太郎がシャーレに所属してまもない頃、そんな会話が繰り広げられている所を何度か先生は目撃している。

 

 アロナを確認出来ていない凛太郎が一歩的にアロナへと喋りかけているだけなので、会話のキャッチボールどころかもはや会話のドッチボール状態となっている。それを目撃した先生は何度か腹を抱えて笑いそうになった。

 

 『せ、先輩としての威厳を…』なんて感じでアロナが頑張って凛太郎とのコミュニケーションが取れるように頑張っているが今のところはその頑張りは実っていない。

 

 

 『……うーん、ダメです。恐らくですが、リンタロウさんのスマホは電源が切れたり一時的に操作できない状態になってます。こっちから干渉しようとしてもうまく繋がりません』

 

 “そっか。ただの充電切れとかならいいんだけど……暫く時間を置いてまた後で試してみよっか”

 

 『わかりました!』

 

 

 凛太郎が持つスマホは「シャーレ」の地下にあるクラフトチェンバーと呼ばれる、あらゆる物質を作り出すことが可能な『謎の物体』によって生み出された特別性だ。制限が掛かっているとはいえ、先生が持つ「シッテムの箱」に近い性質を持っており、それと同等の物になっている。

 

 と言ってもあくまでコピー品のようなものだ。しかしOSは共通でありスマホ内からアロナがサポートすることが出来るので必死に操作を試みているが反応はない。

 

 

 “………”

 

 

 ひっそりと思考する。

 

 凛太郎との連絡が途絶えて既に3日ほど経つ。

 最初は彼が単純に仕事をサボっているか、他の自治区でもほっつき歩いているのかと考えていたが徐々にその考えはなくなっていった。基本的に凛太郎は『シャーレ』に住み込みで仕事をしている為、居住区には彼専用の個室が存在している。

 

 そこを覗いてみても彼の姿はなく、それどころか部屋の様子は変わらず帰宅してすらいないことがわかった。

 

 彼の強さなんかを知っている身からすれば「何かあったのでは」と考えてしまうのは余計な心配かもしれないが、それでも彼は“子供”であり自分はそれを預かるような立場にいる“大人”なのだから心配にもなる。

 

 

 “……よし、今日も頑張ろうか。サポートはお願いね”

 

 『はい! このアロナちゃんに任せてください!』

 

 

 とりあえず、答えの出ない思考の渦に囚われる前に今日の仕事をこなそうと先生は荷物をまとめてミレニアムに向かう。今日はヴェリタスのみんなから連絡を受けて呼び出されていた為、なるべく急ぎで向かう事にする。

 

 なんでも()()()()()()だとかなんとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  


 

 

 

 そうして先生がヴェリタスの部室に到着すると、部室の前にはゲーム開発部の姿があった。何やら楽しそうに会話に花を咲かせている生徒たちの姿に頬を緩ませながら、こちらに気づいた様子の彼女たちに手をあげて声をかける。

 

 

 「あ! アリス、先生を発見しました!」

 

 「あ、先生! こんにちは!」

 

 「こ、こんにちは……」

 

 「お、やっほー先生! どうしてここに? 先生もヴェリタスのみんなに呼ばれた感じ?」

 

 “や、どうにも目的はそっちと一緒みたいだね”

 

 「なんだやっぱりそうなんだ! マキが面白いもの見つけたらしくて……あれ先生だけなの?」

 

 “あー、彼はちょっと別件でね……”

 

 「はは〜ん。さてはまた何かやらかしたんでしょあのツンデレゴリラめ」

 

 

 誰がツンデレゴリラじゃい、なんてツッコミが聞こえてくる気がする。

 そして閃いたと言わんばかりに、探偵のように顎に手を当てて笑うモモイ。「マキが言う面白いものが凄かったら後で自慢してやろ〜」なんて笑う彼女の姿に苦笑する。

 

 現在、凛太郎とは通信が途絶えており連絡が取れない状況であるということは伏せておく。生徒を騙すようで心苦しいが、変に話を広げて余計な心配をかけさせたくはなかった。

 

 それに凛太郎の事だから、そのうち『おいやべーって、そこのコンビニポテト半額だよ行こーぜ!』なんて興奮気味に案外ひょっこりと帰ってくるかもしれないとシャーレの先生は思っていた。

 

 その時は問答無用でぶん殴るか、なんてすら思っていた。人に心配かけてなんでそんなピンピンしてんだお前は。先生は密かに男子生徒へのお仕置きを決意する。

 

 

 「ヴェリタスの発見に、何かゲームインスピレーションがもらえるんじゃないかと思って遊びに来ました。あ、ユズちゃんもいますよ」

 

 「はい……い、いいアイデアに繋がるなら、けど……ここまでくる時はちょっと、うぅ……すごく大変だった……」

 

 「何やら重要なイベントが発生する予感がしたのでみんなで来ました!……できればリンタロウにもいて欲しかったのですが、それはまた今度別のイベントを一緒にクリアすることにします!」

 

 “はは、そっか。ならその時は私も一緒させてもらうかな”

 

 「はい、もちろんです! あ、でも先生はマスコットなのでちゃんとアリスの後ろに隠れてくださいね!」

 

 “う、急に刺すね……なんだかリンタロウのよくない所ばっかり似てきた気がするよ。あれを手本にしちゃダメだからねアリス”

 

 

 ゲーム開発部総出でここまで来たらしい。人と会話したり接したりすることが大の苦手なユズは若干表情が死にかけていたが、みんなに支えられてここまで来れたようだ。

 

 

 「行きましょうユズ!」

 

 「あ、アリスちゃん……ちょ、ちょっと待って……うっ」

 

 

 ……グイグイと前に進むアリスに引きずられているようにも見えるが、あれはきっと彼女なりの支え方なのだろうと納得しておくことにする。そう思い、涙目で助けを求めてくるような視線から目を逸らしておく。

 

 ヴェリタスの部室の扉をノックすれば、中から元気よく返事を返すマキの声が聞こえてくる。入室の許可をもらい、いつまでも廊下で騒がしくするのもあれな為、サッと部室の扉を開けて入る。

 

 中に入れば以下にもハッカーの部屋といったような、パソコンやモニターなどの電子機器が並んだ室内が視界に入り込む。

 

 

 「やっほー! お邪魔しまーす!」

 

 「あ、邪魔するなら帰ってね」

 

 「えええっ!!?!?」

 

 「ははっ、うそうそ。冗談だってば!」

 

 

 仲良さげなモモイとマキのやり取りからから視線を外して、こちらに近づいてきたハレに向き直る。

 

 

 「こんにちは! 途中で勇者パーティーに合流した先生も一緒です」

 

 「ふふ、こんにちは。ちょうど間に合ったみたいだね」

 

 “やっほー……ってあれどうしたのコタマ”

 

 「こんにちは先生……今日は彼は一緒ではないんですか?」

 

 “う、うん……どうかした?”

 

 「いえ、ふ、ふふふ……ただちょっと、舐めた真似をしてくれた落とし前をと……ふふ、ふふふふっ」

 

 「あー、コタマ先輩はちょっと前からこんな感じで……ひとまずそっとしておこう」

 

 

 何やらガンギマったような目つきのコタマだが、ハレの言葉に従いそっとしておくことにした。

 

 もしもこの場に凛太郎がいたら問答無用でコタマは飛びかかっていたであろう。何せ先生の生活音を盗聴……耳を澄ませて楽しんでいたタイミングで爆音のヘビメタを浴びせられたのだから。

 

 そんなことを知りもしない先生は“例のブツ”とやらの詳細を聞いている。ハレに案内された先で、ハレが何かスイッチを操作するとそのブツとやらが現れた。

 

 ───それは奇妙な形をしたロボットだった。

 

 それは一つだけではなく、よくみれば合計で5体のロボットが置かれている。シャーレの先生の目にはそれがちょっと変わった形をしただけのロボットにしか見えなかったが、それでも()()()()()と違和感を感じた。

 

 これを見せてきたのがエンジニア部なら、変わった作品と納得したかもしれないが相手はヴェリタスの面々である為、何か意味があるのだと推測する。

 

 

 “これは、どこにあったの?”

 

 「これらはすべてミレニアム学区の郊外で発見されたものです」

 

 「しかもこれで全部じゃなくて少なくともまだ、あと20体くらいはあったよ!」

 

 “そうなんだ……これ、なんだか外見が”

 

 

 先生の言葉に「なんか深海魚っぽいよね〜!」と笑うマキを横目にジッとその物体を見つめる。ロボットと言われればそうだが、少なくともミレニアム製のドローンやロボットには見えなかった。個性的というかなんというかと、奇怪的で不気味な見た目をしたロボットだ。

 

 ハレもその言葉に同意見なのか、困ったような顔をしている。

 

 

 「び、びっくりしたー! なんか想像してたのと違うんだけど……コメディ映画かと思ってたらホラー映画見せられた気分だよ! え、これなに!?」

 

 「これって、本当にミレニアムで作られたロボット……なのかな」

 

 「……ハレ先輩、これっていまどんな状態なんですか?」

 

 

 例のブツなんて言われて見せられたロボットの存在に驚きながらも、興味ぶかそうにロボットをジロジロと見ているモモイとユズ。視線を外したミドリはアレが起動させられるかどうかを尋ねている。

 

 ───そんな中、アリスはただジッとそのロボットを見つめていた。

 

 

 「うーん、一応私たちのほうでも調べてみたんだけど……」

 

 「結構綺麗な状態だったから、起動できないかなーって思ってたんだけど。結局何も見つけられなかったんだよね」

 

 “というと……?”

 

 「こちらで調べた結果、このロボットには電源ボタンはおろか接続ポートすら見つかりませんでした」

 

 「それ以前に、この機械の表面には繋ぎ目すらない。開けることが出来ないから、故障してるのかどうか、これがハードかソフトなのかすらもわからなくて」

 

 「だから先生を呼んだってわけ!」

 

 

 彼女たちの言葉になるほどと納得する。

 確かに言われてみれば、このロボットの表面には繋ぎ合わせたような場所もスイッチやポートらしきものは一切見当たらない。

 

 繋ぎ目を処理したのかと思ったが、そうではないのだろう。まるで最初からそうだったかのような綺麗な状態だった。危険なものだったらシャーレに任せようと思っていたらしいが、生憎とそっち方面の知識が広いわけでもないので先生にもこのロボットがなんなのかはわからない。

 

 

 「うーん、先生でもダメってなると……部長に聞くしかないかなぁ。確かオカルトとかそいういうの好きだったと思うし」

 

 「オカルトかぁ……でもこれってオカルト?」

 

 「今ここにいない人の事を話しても仕方ないですよ」

 

 「いやここにいないっていうか、ヒマリ部長はそもそも全然来てないし」

 

 

 ヴェリタスももはやお手上げ状態らしい。

 全員が疲れたような顔をしてぐでぇっと座り込んでしまった様子に、彼女たちの力にはなれなかったようで申し訳なくなってしまう。

 

 といっても先生も謎のロボットにはお手上げ侍といった状態だ。こんな時に凛太郎(ゴリラ)がいれば、意外性のあるが案が出るかこのロボットを力尽くで分解するかなどで来たが、当の本人はここにはいない。

 

 どうしようかとみんなが頭を悩ませる、そんな時だった。

 

 

 「───……あ」

 

 “……アリス?”

 

 「知っています。アリス……見たことが、あります……これ、は……」

 

 「どうしたの? 何かあった?」

 

 

 ふらふらと、おぼつかない足取り。

 それでも彼女の身体は吸い寄せられるかのようにあの奇怪なロボットへと向かっていく。何やら様子がおかしいアリスに違和感を覚えた先生が彼女を止めようとするも。

 

 ───アリスの指先はロボットに触れてしまった。

 

 その瞬間、今まで起動すらしなかった奇怪なロボットが奇しい輝きを放ちながら駆動音を響かせ始める。

 

 

 「え!? 何、なになに!? 電源入ったの!?」

 

 「えっ!?」

 

 

 そしてそれに呼応するかのように、モモイが持っていたゲーム機が起動する。

 

 それはミレニアムのアリスを見つけた廃墟にて、謎のメッセージに従い『G.Bible』のデータを入手する際にデータの消失を防ぐための移行媒体としてモモイが咄嗟にゲーム機ののメモリーカードを差し出して以降、起動することが出来なかったモモイのゲーム機だ。

 

 

 「お姉ちゃん、そのゲーム機……!」

 

 「えっ、なんで! 今まで起動できなかったのに!?」

 

 「ま、待って……アリスちゃんの様子が、おかしい」

 

 「え、アリス……?」

 

 「………起動開始

 

 

 アリスの言葉に従うかのように、部室にあった奇怪なロボットたちが一斉に起動する。

 

 

 「わわ、なんで急に動くの!? ちょ、コタマ先輩なにかした!?」

 

 「違います。私はなにも……!」

 

 「……気をつけて! 何か様子がおかしい!」

 

 “いったい何が……アリス?”

 

 「……コードネーム『AL-1S』起動完了

 

 

 振り返る少女の瞳が妖しく輝く。

 削ぎ落としたかのような無感情な表情、別人のような鋭い眼光が射抜く。

 

 起動したロボットたちはアリスに付き従うかのように彼女の側へと鎮座してどこからともなく現れた銃口が先生やモモイたちに狙いを定める。

 

 

 「プロトコルATRAHASISを実行します。」

 

 

 ───無情に運命の歯車は廻り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 じゅじゅさんぽ!
〜任務帰りに顔を合わせたクソガキ2人〜

 禪院直哉
「なんや、ここ臭いなぁ。あ、そらそうか隣にこんな田舎者がおったら埃っぽいけったいな匂いもするわけやな! 田舎臭が移ったら嫌やからあんまり近づかないでくれへん? 僕は君と違って身だしなみには気ぃ使ってんねん」
 
 津上 凛太郎
「………」スッ(築地魚河岸三代目の包丁ポーズで帰り道に拾ったカマキリの卵を無言でこっそり忍ばせる)


 〜数日後。高専内にて〜


 禪院 直哉
「おうこら、ええ度胸やないかお前ぇ! よくもやってくれたな!?!!? ほんまにぶち殺すぞッ!! 」トビラバーン!
 
 津上 凛太郎
「おうおう!俺に負けた三下がなんか騒いでんなァ!? また気絶させられたいなら素直にそう言えやドブカスゥ!ン〜、負け犬の遠吠えはキモチィィィ!!お、どうしたん? 怖い顔してまちゅね〜」アオリモードゼンカイ

 禪院 直哉
「あ゛………ぶっ殺す!! 外に出ろやこの田舎者がァ!」
 津上 凛太郎
「あ? 声が小さくて聞こえねえよ。てか1人で行けよ寂しんボーイ。家に帰ってパパと陳腐なアニメでも見てるんだなァ!!」


〜数分後〜


 五条 悟
「はぁ……で、どっちが悪いわけ?」

 禪院 直哉
「こいつやな……あ゛あ゛!!?」
 津上 凛太郎
「こいつっス……あ゛あ゛!!?」

 五条 悟
「ハハ、実は仲良しでしょ君たちって」




ぶっちゃけどの時間帯に更新されると読みやすい?

  • 07:00くらい
  • 19:00くらいやな
  • 21:00くらいやでー!!
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