透き通る様な世界観にいる一般呪術師   作:半ライス大盛り

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 お気に入り、ここ好き、誤字報告、感想。全てに感謝感激です!
 今回は特に話は進んでないかも。

 今回はちょっとした凛太郎視点です。ちょっと文字数が長くなったので区切った分を投稿しました。





ちょっと万死に値しねぇか…?

 

 

 

 ぼーっと天井を見つめる。

 ガキの頃に天井を見つめるのは究極の暇つぶし、なんて誰かから聞いたことがあるような気がする。『最初は何いってんだコイツ』なんて思っていたが、今ならちょっと共感できるかもしれない。

 

 なんかこう、新たな発見と変化に気がつけるというか。

 “ウォーリーを探せ”とか“ミッケ”とかをやってる気分になってくる。コンクリート製の壁なんだが、場所によっては少し色合いというかなんか違うんだよね。その中からちょっと似たようなやつを探して数えているところだ。

 

 ほら見てくれ、あそこの壁なんて人の顔みたいな変なシミがある……あれ気のせいじゃなければ日に日にあそこの顔みたいなシミが大きくなってきているような……こわ〜。

 

 それにあっちなんてなんだかクジラみたいな形して……。

 

 

 「───って暇すぎるやろがい!!」

 

 「わっ、急に大きな声を出さないでください」

 

 「暇だよ〜! ヒマヒマヒマヒマッ! ヒマリちゃん暇だよ〜! ヒマッちゃんだよ! このままじゃ俺ってば死んじゃうよ!」

 

 

 危ない危ない。

 暇すぎて自我が崩壊するところだった。

 

 くっ、ちゃんリオってばなんて恐ろしい拷問を思いつくんだ。俺のような人間は割と退屈よりも刺激を求めるタイプだ、そんな人間を何もない空間に閉じ込めるだなんて……くっなんて恐ろしい子!

 

 

 思わずジタバタと駄々を捏ねる子供のように暴れてしまう。そんな俺の様子をヒマリちゃんは『え〜…』とちょっと引いた感じな視線を向けてくるが、そんなものはどうでも良い、どうでもよいのだっ。

 

 暇なのだ、暇で暇でしょうがないのだ。

 

 だってここに閉じ込められて4、いや5日目くらいか?

 この部屋時計がないからどれくらい時間がたったかとかわからんし、なんだか感覚があやふやになってくるから今どれくらいなのかわかんない。最初は楽しかったが、流石に飽きてきたぞい。

 

 トキちゃんも遊びに来ないし、ちゃんリオもあれから顔を見せにくる事はなかったし。ヒマリちゃんと密室で2人きりという美味しい展開に不満があるわけではないが、ドギマギするような展開があるわけでもない上に囚人ごっこにも飽きてきた。

 

 というかトキちゃんとリオちゃんは出かけているのだろうか? 広い空間とはいえ、トキちゃんとリオちゃんの気配は周囲に感じないのだ。

 

 

 「ヒマちゃーん。なんかして遊ぶ〜?」

 

 「と言われましても、思いつく限りのことはやってしまいましたから……最後にやったのは“まるばつゲーム”でしたっけ?」

 

 「あー、そうだっけ? 確か10戦中8勝2敗で俺が勝ち越してるはず……」

 

 「ふふっ、記憶を捏造しないでください。この美少女天才ハッカーである私が8勝2敗ですよ、リンタロウさんはその逆で2勝8敗です」 

 

 「うっ……そ、そうでした?」

 

 「はい♪」

 

 

 何やら凄みのある笑顔のヒマリちゃん。

 暇つぶしに俺の日記帳の使われていないページの隅っこでまるばつゲームをして遊んだが、流石にヒマリちゃんは強敵だった。なんか気がついたら負けてるし、それでも最初と最後の2回は勝てたんだから褒めてください。

 

 チラリ、と鉄格子越しに隣の部屋を見てみればヒマリちゃんはトキちゃんが持ってきたデカいクッションに座りながら何やら読書をしている様子だ。

 

 確かあの本もトキちゃんが持って来たものだった気がする、俺も受け取ったが難しいことばっか書かれてよくわからんかったのですぐに読むのをやめた。今ではブックフォールディングの“猫”と化してそこら辺に置いてある、あれは暇つぶしとしては中々よかった。

 

 ため息をついて寝返りをうつ。

 

 

 「………」

 

 

 ───呪力を練り上げる。

 些細な変化だろうとヒマリちゃんにはバレないように、慎重に行動する。

 

 意識を集中させる。

 肉体という器に呪力という水を注いでいき満たしていく。自身の体内で根を張るように体の隅々まで呪力を巡らせて、負のエネルギーによって輪郭を形成するイメージを構築する。

 

 

 「………ッ」

 

 

 僅かな痛み。

 “心臓”が跳ね上がるように鼓動する。

 

 自身の肉体に小さな変化を知覚する。

 そして自身の両腕、手首の辺りには色濃く()()()()()()()()()()が浮き上がってくる。片腕に2本ずつ、計4()()の黒い線。だがどういうわけか、右手首の黒い模様に対して左手首の模様はなぜか色が薄く()()()()()()()()印象を受ける。

 

 それと同時に、『ガチリ』と何かがハマり込んだ感覚───まるで、何かの『鍵』が開いた時のような感触。

 

 その()()に流されるまま、この牢屋の床に手を置く。

 いつものように、自分が術式に呪力を流し込んで起動させる感覚で力を込める。

 

 

 「───……っ!!」

 

 

 一瞬、静電気のように僅かな赤雷が迸るとその線に沿うように床に小さな亀裂が入った。その裂け目は徐々に広がっていき、まるでコンクリートの壁を蝕み喰い尽くしていくかのようにボロボロと崩れ落ちていく。

 

 その亀裂が自分の手のひらの大きさを越えて、30cmほどの大きさになった所で手を離す。

 

 

 (………やっぱりこれ、()()だよな?)

 

 

 自分の「呪力強化」とは違う術式の“起こり”、自分の呪力を器の限界まで流し込んでむりやり武具を壊すのとは違う感覚。まるで刃物で紙や果物でも切るかのように、スッと刃が入っていくような……そんな感覚。

 

 多分、この術式の能力は「分解」といった所か?

 といっても術式の詳細はわからないので、あくまで俺の予想だ。この術式を自覚したのだってつい最近だ、取説があるわけでもないしわからんちんだ。

 

 

 (正直に言って、訳がわからない)

 

 

 なぜ自分の術式とは違う術式を扱えるのか。

 

 深く考えると頭が痛くなってくる。

 術式の2個持ちなんて聞いたことがない、術式を複数使える憂太が過去に棘の「呪言」や俺の「呪力強化」を使っていたが……いや、俺の「呪力強化」は()()()使()()()()って言ってたっけ? ま、今それは別にどうでもいいか。

 

 それは憂太(あいつ)の術式が「模倣(コピー)」であったから使えただけであって、俺は別に憂太のようなコピー忍者という訳じゃない。

 

 それに六眼持ちの五条先生からも俺が術式が2個持ちである事など、今まで言われたこともない。というか『凛太郎はシンプルな術式だから実力を伸ばしやすいよ〜』なんて言ってたし。

 

 五条先生が嘘をついてたり、俺にこの事を隠してたのか?

 

 いや、仮にそうだとだとしてもそんな事する理由がないだろう。あの人の場合、生徒が強くなってくれれば万々歳だろうし。そうなると、六眼持ちの五条先生でも()()()()()()()()……ってことか?

 

 ……いや、それこそありえないか。

 術式の情報を見抜く()()()()()()()とか無理ゲーだろ。

 

 

 (……そうなると、キヴォトスに来て秘められた力が覚醒しちゃったとかそういう感じ?)

 

 

 ───これも違う気がするな。

 

 ありえなくない可能性だが、キヴォトスという環境が呪術師に何かしらの影響を与えてパワーアップするなら、俺よりも長い期間ここにいる夏油なんて今頃はボディービルダーよろしくムキムキのゴリマッチョのクソ坊主と化してるだろう。

 

 というかあいつの場合は術式が使えなくなって寧ろパワーダウンしてるからな。

 

 

 「……あー、もう! 訳わからんて!」

 

 

 お手上げ状態だ。

 とりあえず、“なぜ使えるのか?” と言った疑問はこの際置いておこう。深く考えた所で答えは出てこないのだから。仕組みはわからんが、それならば“何故か使える”ということだけわかっておけばいい。

 

 いまは術式の理解を深めていこう。

 そうと決まれば、この術式の詳細を紐解く為にもしっかりメモをしておこう。難しい話になると記憶しておくに苦手なんだよね。

 

 寝転んだままではやりにくいので、跳ねるように起き上がる。

 

 

 「……あっ、やべ」

 

 

 最悪だ。

 普段使っている日記をメモ帳代わりに、いまわかったことを記入しておこうとしたタイミングで、懐に入れていたペンを取り出そうとした手が滑ったせいでペンを落としてしまう。

 

 しかも床に落ちたペンはその衝撃で大きく弾んだ後そのまま牢屋の外へと転がって行ってしまう。

 

 うわ、ダル。

 両手が手錠で繋がってるせいで取り出すの失敗した。牢屋の外とはいえ、そこまで離れてはないので頑張れば手が届く距離だ。

 

 牢屋の鉄格子の隙間から腕を伸ばす。

 

 

 「ふぎぎ〜……!」

 

 「えっと、何をやってるのでしょうか?」

 

 「いや、ペンが転がって行っちゃって……うっ、ふにゅ〜!」

 

 

 ヒマリちゃんの呆れたような声が聞こえる。

 

 多分、だいぶ間抜けな格好を晒しているだろう。

 片腕を突っ込んで伸ばせば普通に届く距離だというのに、両手が手錠で塞がっているせいで腕が鉄格子に引っかかってギリギリ届かないでござる。これも全部ちゃんリオのせいだ、この手錠さえなければ届くというのに。

 

 いっそもう手錠ぶち壊すか?

 なんて考えたが、それだとなんだか負けたような気がするという謎のプライドがあり間抜けな格好のまま腕を伸ばす。

 

 

 「あ、あと……ちょっと、ってちょい待ち動くな! それ以上奥に転がらんといて!」

 

 

 指先がペンに掠ったが変な力の入れ方をしたせいで奥にずれてしまう。それでも、まだどうにか届く距離だ。腕のリーチを伸ばす為に鉄格子に半身を押し付けているせいで視界が半分潰れてしまう。

 

 それでも()()でどうにか視界を確保しながら、腕を伸ばす。

 

 

 「あ、あとちょっと〜……ふぎぎ、もうちょいだから!」

 

 「えっと、手伝いましょうか? だいぶ面白い事になってますけど」

 

 「大丈夫! 俺が勝つ!」

 

 「いや誰にですか」

 

 

 ───呪力が迸る。

 一瞬だけ感じた()()()に動きが止まる。だが次の瞬間、視界が暗転したかと思えば謎の()()()に襲われた。

 

 

 「え……いでぇ!!? 頭ぶつけた! っっっ、痛すぎる!?」

 

 

 力を入れすぎていたのか、ゴロゴロと体が()()()()()()()()()()()()()()

 

 呪力で強化してるわけでもないので、普通に痛い。ぶつけた部分を押さえて痛みに悶えていると、何故か困惑したかのように声を震わせるヒマリちゃんの声が聞こえた。

 

 

 「り、リンタロウさん……?」

 

 「痛っ〜、頭割れそう……ふぅ、ヒマちゃんどうかした?」

 

 「い、いま……()()()()()()()()()

 

 「何って……ペン取ろうとして、それ、で……ぇ?」

 

 

 痛む頭を摩りながら、ヒマリちゃんの声のする方へ振り向くと彼女は驚愕を露わにしたような表情で俺の方を見ている。

 

 なぜ彼女がそんな顔をしているのか理解できずに首を傾げそうになったが───自分の視界に映る光景の違和感に徐々に気がつき始めた。

 

 ───なぜ自分は、()()()()()()()()()()()()()()姿()()()()()()()()()()()()

 

 ゆっくりと視線を周囲に向ければ、自分が立っていた場所はあの狭い牢屋の中ではなく、その鉄格子の外側である通路に立っていた。

 

 冷や汗が流れる。

 無意識のうちに唾を呑み、関節が錆びついたロボットのようにゆっくりと自分がいた筈の牢屋の方へと視線を向ける。

 

 そこには自分が牢屋の外へと落とした筈のペンが置いてあった。最初からそこにあったかのように、そいつは最初から動いていなかったかのように通路の向かい側あの鉄格子の中で鎮座していた。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 「───ッッッ!!」

 

 

 ゾッ、と冷たい汗が流れる。

 視界が暗転した瞬間に感じた()()()()を俺は知ってる。

 

 厳密にいえば別物だろうが、それでも知っているのだ。だってこれに()()()()()()を体感したことがある、だがありえない。この場にあのチョンマゲゴリラはいないし、いるはずがない。

 

 そして何よりも、この()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。分解という術式を自分の意思で発動させた今だからわかる。この()()の術者は自分自身だと。

 

 

 「……おいおい、うっそだろ」

 

 

 表情が引き攣る。

 知らない2()()()があるとか聞いてないぞ……。

 

 ───疑問だらけだ、だが今はそんなことはどうでもいい。

 

 ありえないものでも見たかのような表情をしているヒマリちゃんにどう説明するべきかの方が重要だ。

 

 だがなんといっても説明すればいいんだ?

 『あはは、実は俺呪術師なんだ〜!』とか『素直に俺が入れ替えました!』なんて言える訳がない。呪いの事なんて全く知らないヒマリちゃんに何を説明すればいいと言うのだ。

 

 いやそれよりも、仮に俺がヒマリちゃんに嘘を混えながらぶち撒けたとして……頭の良いヒマリちゃんなら1の情報で100という答えまで辿り着いてしまうだろうという確信にも近い何かがあった。

 

 別に守秘義務ってわけじゃないが、このキヴォトスで呪いについて不用意に情報を広めたくない。変に恐怖を煽って、未だ尻尾の掴めない派生条件だって謎の多いキヴォトスの呪霊という事態への影響を大きくしたくない。

 

 ───考えろ。

 この場を切り抜ける方法を。中身空っぽの脳みそをフル回転させろ津上 凛太郎!

 

 ヒマリちゃんのあの表情からして、適当な事吹かしても絶対に信じてくれない。それどころか絶対に自分が納得するまで色々聞かれるって。

 

 そんな興味深い物を見つけたと言わんばかりのキラキラ目を向けないでくれ。すごく可愛いけど、それを受け止める余裕は今の俺にはないんです!

 

 

 「えっと、その……」

 

 「いま一瞬だけ、姿が消えたようにも見えましたが……今のは一体どうやって?」オメメキラキラ

 

 「スゥー……実は俺マジシャンなんだッ!!

 

 「……はい? ま、マジシャン??」

 

 「そう、今のはちょーすごいマジック!!」ヤケクソ

 

 

 ───もうちょいマシな言い訳思いつかなかったのがクソが。

 

 ほらみろあのヒマリちゃんの顔を、どう見たって俺の返答に納得してないだろうが! 明らかに不信感強くなってるじゃん顔でわかるよ『お前急に何言ってんだ?』みたいな顔してるもん! 俺だって自分が何言ってるかわからんて!?

 

 え、まじでどうする?

 下手な言い訳はできない。

 

 このままヒマリちゃんに呪い云々を素直にぶちまけるか?

 

 いや、ダメだ。

 ただでさえ知的好奇心強そうなヒマリちゃんに教えたら呪いのあれこれを自分で調べたりしそうだし、それで呪い関連の事件に巻き込まれたりしたら俺のせいだぞ。

 

 もしそんな事になったら、()()()()()()()()()()()()()()

 

 ほんと、誰か助けてクレメンス。

 この状況を変化させたい、いやほんとに誰でも良いから───!

 

 

 「───おや、何か困っているご様子で?」

 

 「………へ?」

 

 

 そんな俺の思いが届いたのか。

 耳元から聞こえる聞き覚えのある落ち着いた声音が聞こえた。

 

 正面にいるヒマリちゃんは驚いた顔で俺の隣にいる人物を見ている。その視線に引っ張られるように振り向けば、ふわっと鼻腔を擽るような甘い香りに満たされた。

 

 その距離は近く。

 こちらを覗き込むように立つ白い少女。

 

 

 「っ………あ、アキ、うぷっ……!」

 

 「しーっ、私の名前を呼ぶのは2人きりの時でお願いします♪

 

 

 彼女の指先が俺の口元に添えられる。

 俺の視界の先にはここにいる筈のない少女、慈愛の怪盗こと清澄 アキラちゃんが微笑みながらそこに立っていた。あらやだかわいい。

 

 ……え、君なんでここにいるの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 アキラ
「助けに来ちゃいました」

 凛太郎
「……ち、因みにどうして俺の居場所がわかったんですかね?」

 アキラ
「……♡」ニコニコ

 凛太郎
「ヒェ…」

ぶっちゃけどの時間帯に更新されると読みやすい?

  • 07:00くらい
  • 19:00くらいやな
  • 21:00くらいやでー!!
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