透き通る様な世界観にいる一般呪術師 作:半ライス大盛り
感想、高評価、ここすき、お気に入りに登録のほどありがとうございます。誤字報告も助かってますありがとぅーす!
新イベやりましたが、驚きがいっぱいですね。
ガチャはトモエ狙いで10連チケ使ったんですが、マリナが来ました。違う、嬉しいけど何でトモエピックアップの方で君が来るんだ。
そして内容が濃い…っ!
キサキはマジかよって感じだし、カグヤも思想強めだし、カイはもう七囚人の中でもぶっちぎりじゃない? カグヤもおっぱいでけー!かわいいー! なんてはしゃいでいたが、ちょっとそういう目ではもう見れないかも…。
とりあえず続編はよお願いしやす…。
(ん〜。ギリギリ間に合った、ってところか……)
横目で周囲の状況を確認しながら、“最悪の事態”には至っていないことに心の中で安堵の息をはいて胸を下ろす。
自分が囚われていた牢獄、『要塞都市エリドゥ』からここミレニアムまで戻って来るのにだいぶ時間が掛かってしまった気がする。なにせ気絶してるうちに右も左もわからないデカい都市のどこかの牢獄に捕まっていたのだ。
だが慈愛の怪盗こと清澄 アキラが凛太郎の元へと救助に現れてくれたおかげで想定していたよりもだいぶ楽に牢獄を抜け出した上に、彼女はエリドゥの脱出ルートまで確保しており、防衛システムのAMASたちに阻まれながらもあっさり脱出できたのだ。
───ところで、なぜアキラは自分の居場所がわかったのか?
捕まった時に押収されていたスマホやら何やらを、回収してくれていたアキラから受け取っている際にそんな疑問を投げかけてみたが……その答えはすぐにわかった。
『失礼します。少しジッとしていてくださいね……確かここら辺に……』
『そのアキ……んんッ! 怪盗ちゃん。そんな耳とか首の周りをペタペタ触られるのはくすぐったいと言いますか……ちょっと待て、いま俺の学ランの詰襟部分から何取り出したの? ねえ!?』
『あ、発信機です』
『発信機ですっ!?!!?』
『……へぇ、首元が弱いんですね。なるほど勉強になります』
『待って、流石に誤魔化されないからね!? え、そういうの仕込んでるのは枕元だけって言ってなかった!? というか勉強って何!?』
『え? 確かに盗聴器は枕元にあると教えましたね。ふふっ、はい……
『……スゥー、ソッカー、ナルホドネー』
『ああそれと、スマホのパスコードは掛けておく事をお勧めします。ええ、特に深い意味はないのですが、不用心過ぎるというのも如何なものかと……ふふふ♪』
『ッッ!?!!?』
もはやツッコミ所が多すぎて凛太郎の思考は止まってしまう。
流石に咎めるべきか?
凛太郎は驚愕の事実に表情を引き攣らせていたが目の前でニコニコと笑みを浮かべているアキラの様子と、その発信機のおかげで彼女がここまで助けに来てくれたので責めるに責められず……ひとまず頭を抱えながらも黙認することにした。
そんな凛太郎の反応に、答えがわかっていたかのようにアキラは嬉しそうに笑みを深くして笑っている。そして2人のやり取りを隣で見ていたヒマリは、まるでイケナイものでも見たかのように顔を手で覆いながら指の隙間から覗き見ていたのだった。
とりあえず帰ったら自分の部屋を隈なく掃除しようと心に誓う凛太郎。それと面倒だからと放置していたスマホのパスコード機能もオンにしようと決めた。
因みに凛太郎の術式発動を間近に見ていたヒマリへの言い訳は、アキラが慈愛の怪盗の秘術によるものだということで誤魔化していたとかなんとか。
そんなこんなで、アキラの助力を得て現在に至る。
「や、久しぶり……ってほどでもないかな」
「どうして、なぜ……貴方がここにいるの……!?」
「ん? ああ。あそこわりと居心地良かったけど、流石に籠りっぱなしじゃ飽きてくるからね。やっぱ男の子は外で元気よく遊ばないとダメでしょ」
「……それは、答えになってないわ」
「ん、そう? じゃあ、言い方を変えようか───あの程度で俺を抑えておけるわけないでしょ」
アリスを脇に抱えたまま、友人に挨拶でもするかのような軽い態度で凛太郎はそこに立っていた。
先程まで殺伐としていたようなこの空間で、あまりにも不釣り合いな空気感を纏い呑気に笑っている男の姿にシャーレの先生はポカンとした表情を浮かべており、彼と目が合えば凛太郎は「よっ!」と片手をあげて挨拶すらしている。
そんな凛太郎の姿にどこか安心感を覚えて笑ってしまう。
それはそうと今まで何の連絡も寄越さず心配を掛けた事は許すつもりはないので、言い分次第では情状酌量の余地はあるがとりあえず彼の罪状は
「私の邪魔をする、ということでいいのよね」
「なんか棘のある言い方で傷つくな。君が自分の目的の為に動くのと同じで、俺は自分の心のまま素直に行動してるだけだよ」
「……そう、なら私は自分がすべき事を成すだけよ」
「そっか。じゃあ俺もそうするよ、こう見えて俺はハッピーエンドのほうが好きなんだ」
リオの操作するAMASの装甲から銃身が構えられる。
それに応じるように凛太郎も呪力を巡らせる。そしてここに来るまでに慣らし運転がてらに何度か使用した
満ちていく呪力。
ギュッ、と衣服を掴まれた感触に動きが止まる。
一体なんだ、とその感触の先に意識が向けられる。そこには脇に抱えられたままのアリスが、俯いたまま何かを訴えるかのように凛太郎の衣服を掴んでいた。
ゆっくり少女が顔を上げれば、そこには目元に涙の雫を溜めながらも必死にいつものような笑みを浮かべようとするアリスの姿がある。彼女が、まるでこちらを心配させまいとしていることが、その表情から痛いほど伝わって来てしまう。
「……リンタロウ、いいんです。アリスは……勇者じゃなくて、魔王……だったんですっ」
「そっか……アリスちゃんは、魔王なんだ?」
「ッ……はい。アリスが悪い魔王、だから……モモイのことを、傷つけて、しまったんです……みんなを傷つけて、しまうから。だからアリスは、アリスは消えなきゃ……いけないんです……ッ!」
凛太郎の言葉に、まるで叱られる事を恐れる子供のように、怯えるかのよな仕草でビクリと肩を大きく跳ね上げると声音を震わせながら、自分の罪を認めるかのようにアリスは言葉を口にしていた。
そんなアリスの姿に心が痛くなる。
どうしてそこまで彼女が追い詰められているのか、凛太郎はここに来るまでの道すがらアキラからミレニアムで何が合ったのかをある程度のことは聞いていた。
だから彼女の心情はある程度察しがついている。
なにせ、自分が渋谷で命を落としたあの時に……自分の後輩、虎杖悠仁も似たような顔で涙を流していた。彼女の境遇も相まってか、何となく後輩と姿を重ねてしまう。
今思えば、悠仁にも悪い事をしたと凛太郎は申し訳なくなる。
気にするなと言ったところで、きっとあの後輩は自分が死んだ事を自らの所為だと咎を背負い込んでしまっているだろうと。
だからこそ───。
「なに寝ぼけたこと言ってんだこのチビスケめ。お前が“魔王”とか1000年早いわ。それなら寧ろ俺が次期魔王だね」
「え、きゃうん!?……い、痛いですリンタロウ!?」
とりあえずそのデコに容赦なく指を弾く事にした。
突然のことに目を丸くして驚き、ヒリヒリと痛みを感じる部位を押さえているアリスに向かって連続でデコピンを繰り出す凛太郎。
「あのな、魔王ってのはこう、もっとやばい奴なんだよ! 俺ってば実際に会った事あるからわかるんだよ、
「いっ、痛い! 痛いですリンタロウ!!?? おでこが割れちゃいますっ! 」
「人の不幸を見てゲラゲラ笑ったりするんだよアイツらは。すごいんだぞマジで、ボコボコに殴り飛ばされるし、こっちが全力でやっても平気ヘッチャラみたいな顔しやがって」
(……あ、やばい。なんか思い出したらイライラしてきたな。よしリベンジできたらあの野郎は絶対ぶっ殺そう、マジで殺そう。こっちを見下したあの顔腹立つんだよなァ〜。ま、最後に自爆した時の顔は中々見ものだったが)ペチペチ
「痛いですリンタロウ!」
沸々と怒りが煮えたぎる。
凛太郎の脳裏に過ぎるのは“呪いの王”と呼ばれる両面宿儺の姿。
天上天下唯我独尊と言うべきか。
己の快、不快のみで物事の全てが決まるような迷惑極まりない残忍な性格をしているであろう意思を持った歩く災いのような傍迷惑な人物。
ゲーム風に言えば
色々と含めて、あの傍迷惑な魔王とこの少女が同じ魔王というカテゴリーに収まるはずがないと凛太郎は考えていた。
「それに自分を悪い魔王とかいう奴が、友達を傷つけた事で後悔して悲しんだり涙を流したりするわけないじゃん」
「───ッ!」
「俺の知る限り、魔王というか
「ちがっ……アリスは、アリスは……!」
「ふぅ……もう少し話したいけど、それは後でにしようか」
アリスが視線を外す。
凛太郎が視線を向けた先には、こちらを睨むようにタブレットを構えて立ち塞がるリオの姿がある。このままお引き取り願いたいところだが、そうもいかない。アリスを助けると同時、凛太郎はリオを
いま思えば、
だけど、リオは
「ねえ、リオちゃん」
「なにかしら、大人しくアリスを渡してくれるという提案なら聞き入れるわ。私もあなたと揉めたいわけじゃないの」
「俺は……君が何を思って、そこまでの事をしようとしているのか。それは理解したつもりだよ、君の生徒を守りたいって意思も嘘じゃないだろうし、それを成し遂げようとするだけの“熱”が君にはある」
「………っ!」
「───だけど俺は少し怒ってる」
───来るッ。
纏う雰囲気の変わった凛太郎の姿に、リオの警戒心が最大限まで引き上がる。逃げ道を塞ぐように凛太郎を取り囲むAMASが一斉に攻撃体制へと移行する。
向けられた銃口の数々に、アリスが自分をリオへと引き渡すように凛太郎へと呼びかけようとして。
それよりも早く、凛太郎の手がアリスの頭の撫でた。まるで安心させるかのような手つきで、それに驚き少女が見上げた先には口元に弧を描き嗤う少年の姿がある。
───瞳に浮かぶ模様が強く輝く。
その瞬間、凛太郎の視界に映る世界がモノクロに染まった。
響く銃声。
発火炎に照らされながら凛太郎に向かって放たれた銃弾の数々が、凛太郎に吸い込まれるその直前。
一瞬でその弾丸の全ての
反転した全ての弾丸が軌道を変える事なく、映像を巻き戻すかのようにAMASへと吸い込まれるように直撃して火花を散らす。凛太郎に向かって放った筈の銃弾の全てが、まるで戻って来たかのような現象にリオは目を見開いている。
(───なるほど。いいね、この
「……あなた、いま一体何をしてっ」
「さあ? 何だろうね。それよりこんな狭い場所でやるのも何だ、広い場所を使おう……とりあえず君は、
「───は?」
一瞬の浮遊感。
視界が掻き混ぜられたかのような不快感。
そして
そして気がつけば自分はアリスがいた場所におり、凛太郎に抱えられている。その理解が追いつかない事態に、リオは驚愕して一瞬思考を停止させてしまう。そんな彼女の様子に、イタズラが成功した子供のように凛太郎は笑ってしまう。
「うお、リオちゃん軽いね。ちゃんとご飯食べてる?」
「ッ!! あなたいつの間に、離しなさい!」
「オッケー。いま
凛太郎を振り解こうと暴れるリオだが、そうはさせまいと押さえ込む。そしてそんな彼女を尻目に、凛太郎は少し離れた場所でネルを拘束したまま様子を見ていたトキに向かって声を掛ける。
「トキちゃん!」
「……え?」
「この子
「───……なっ!リオ様!」
こちらに向かって走り出す彼女の様子を見ながら、凛太郎は全身に力を込めると踵を返すよう身体の向きを変えて部室の割れた窓ガラスから外に向かってリオを片手で投げ飛ばす。
一瞬の驚愕。
投げ飛ばされたリオの後を追うように、すぐさまトキも窓枠を蹴って外へと飛び出して行く。その様子を見ながら、凛太郎はひとまず時間稼ぎは出来るだろうと思考する。
───ゲーム開発部の部室はミレニアムの校舎の一階にあるわけではない、が……かといってここから落下したところで地上まで距離が10m以上もあるわけではない。
それにトキの身体能力ならば落下するリオをキャッチするのに間に合うだろうと考えながらも、手心を加えてなるべく山形に投げたつもりだ。
もし仮にリオが地面に叩きつけられたとしても、この高さからならキヴォトス人の頑丈さならば大したダメージもないだろうと凛太郎は判断している……まぁそれでも心配なのでヒョイと外を覗き込んでみれば、無事にトキが落下して来る彼女を受け止めているところだった。
ホッと胸を撫で下ろしながら、凛太郎は数日ぶりに顔を合わせる面々の元へと向かう。
「うっす! どうしたそんな顔をして」
“り、リンタロウ……いまの、何がどうなって……”
「え、あ〜。ま、それは今度教えてやるよ。それよりも先公もミドリちゃんたちも怪我はないって感じでいい?」
「だ、大丈夫……です……」
「あ、は……はい! ってそれよりもいまリオ会長のこと外に投げませんでした!?」
「うん、投げたけど大丈夫でしょ。細かい事は気にしちゃいかんよ」
何が起こったのか。
目の前で行われた理解を超えるような現象と急展開過ぎる事態に理解が追いついていないのか、シャーレの先生とゲーム開発部の2人はポカーンとしたような顔をしている。そんな様子に苦笑気味に笑ってしまう。
ひとまず、シャーレの先生たちの無事は確認できた。
そちらから視線を外して戦闘の痕跡がある部室の外に目を向ければ、いつの間にか数体がかりでAMASに押し潰されるように拘束されているネルの姿がある。
うげ、と言いたげな彼女と視線が交差する。
凛太郎はうんうんと頷きながら、側から見た絵面が面白かったのでとりあえず何枚か写真を撮っておく。
「おいコラなに撮ってんだテメぇ!?」
「いや、面白かったからなんとなく。後でアスナちゃんたちにも見せよ」
「ふ、ふざけんな! おいマジでやめろ!?」
「とまあ、冗談はさておき。アリスちゃんたちの事助けてくれようとしたんでしょ、ありがとうね」
「……別になにもしてねえよ。ご覧の有り様で何の役にも立っちゃいねえ、目の前であのチビが連れ去られそうになるのを見てるだけだった」
「なにしょげてんのさ。それよりもほら、
「ッ!……はっ、乗せられてやるよクソガキ───このあたしが後輩にやられたままで終わるわけねェだろうが! それはもちろんテメェにもだぞ!」
「うーん残念。そのお誘いはまた今度かな」
両者共に嗤う。
彼女を拘束しているAMASを蹴り飛ばして、ネルに手を差し伸べる。その手を掴み立ち上がったネルは歯を見せて凶猛な笑みを浮かべながら武器を構える、立ち直りの速さと彼女の頼もしさに凛太郎もつられて笑う。
グッと伸びをして、体の調子を確かめるとリオたちを追うように窓から飛び出して行く。彼女の姿が消えた数秒後、気合いの入った掛け声と銃声が外から聞こえて来る。
どうやら派手に暴れているようだ。
その様子に笑いながら、部室にいる2人の少女に視線を向ける。
「うしっ、そんじゃお前らもいつまでそこでぼーっとしてんだ。休憩時間はもう終わってんぞ〜」
「………え?」
「いや、2人はアリスちゃんがこのまま連れてかれてもいいのかなって思ってさ」
「……ッ、いいわけない! アリスちゃんが消えなきゃいけないなんて、そんなこと認められるわけないです!」
「わ、私は……アリスちゃんは、そんなんじゃないって……『魔王』なんかじゃないって、会長を……説得したい……ッ!」
「だろ? ならリオちゃんに一泡吹かせに行こうか、こっちの話を聞いてくれず好き勝手言われたまま泣き寝入りなんてできるわけないよな。なら、抗って証明するしかないでしょ」
「はい! 行こうユズちゃん!」
「……うん!」
一瞬だけ少女たちの視線が一点に集まる。
先程までの暗い表情に包まれていた少女たちの姿はない。
ミドリとユズも己の愛銃を構えて、ネルの後に続くように部室を飛び出して行く。彼女たちが向かう先はとうに決まっていた。
ドタドタと廊下を走る音が聞こえて、遠ざかって行く。
“……はは、リンタロウはすごいね”
「……は? お、お前もしょげてんのかよ!? ったく、別に凄かねえよ他の奴より“嫌な場数”を踏んでるだけだっての、人に誇れるもんでもねぇってこんなの……それよりもあんたも先生なら生徒の為に体張ってこい」
“もちろん! 情けない姿を見せちゃったからね。大人としてみんなの先生として、それはこれから返上させてもらうよッ!”
「は、頼もしいね……あ、そうだ。アキ、じゃなかった……怪盗ちゃーん!」
タブレットを構えて気迫を見せる先生の姿に、これ以上発破をかける必要もないだろうと判断する。シャーレの先生はすごいと言っていたが、凛太郎本人はそうは思わない。自分は口がよく周り、過去の経験から相手を乗せるのが少し上手いだけだ。
そんな自分と比べて何の力もないのに、このキヴォトスで生徒1人1人に親身に寄り添い立ち向かって行く先生の方が凄いだろうと内心ではシャーレの先生のことは評価している……口が裂けても本人に言うつもりはないが。
だがしかし、みんなに気力が戻ったところで状況が好転したわけでもない。ミドリとユズ、それにネルだけでは先生の指揮があろうと事態の終息にはまだ届かない。
なので凛太郎は頼もしい助っ人を呼ぶ事にした。
「おーい! 怪盗ちゃーん!」
「───はい。お呼びでしょうか?」
「うおッ!? い、いつからそこに?」
「ふふ、実は少し前から気配を消して潜んでいました」
驚かせんといてや。
音もなく、気配を感じさせずに白い衣服に身を包んだ少女が背後からひょっこりと顔を見せる。毎度のことだがいつの間に居たんだ君は、と凛太郎は驚き表情をひくつかせるが遊んでいる時間はない。
「お願いがあるんだけどいいかな?」
「嗚呼、それくらいならお安い御用ですよ。任せててください」
「おっと、まだなにも言ってないゾイ」
「あのお嬢さんたちに力を貸してほしい、そうでしょう? 友を守ろうとする、その美しい友情の為に手を貸すのはやぶさかではありませんので。ですが……あの捻くれ者のお嬢さんへの説得には力になれないと思いますよ?」
「ありがとう。そっちはモーマンタイ、リオちゃんたちを抑え込んだ後に強引に話し合いの席に持って行ければこっちで何とかする」
“えっと、そっちの子はいったい……?”
「ああ、この子は慈愛の怪盗っていう……説明が長くなりそうだからそこは省くか。とりあえず、信用も信頼もしてくれていいぞ。なにせ俺の大事な友達だ」
「っ!……ふふ、シャーレの先生ですよね。あなたの噂は予々、ひとまず今宵はあなた方へ協力させて頂きますので……ええ、大切な友人からの頼みとあらば」
“そ、そっか。とりあえずよろしくね!”
「そっちは任せた。俺もすぐに向かう」
「はい……それではシャーレの先生、お手をどうぞ。ダンスと参りましょうか」
突然現れたアキラの姿にシャーレの先生は目を丸くして驚いているが、凛太郎が慣れた様子で気にしていないことから先生も深く考えることはせずに彼女の協力に嬉しそうに頷いた。
先生を抱きかかえたアキラが窓枠に足を掛けると、そのまま落下するように外へと飛び出して行く。
その一瞬、先生と視線が交差する。
お互いに言葉はなかったが、それでも彼が何を言おうとしていたのかはすぐにわかった。それに意を示すように凛太郎も頷いて返事をする。
自分もすぐに援護に向かいたいが、まだやるべき事がある。
荒れた様子の辺りを見渡して、凛太郎が向かう先には膝を抱えるように蹲ったまま動けないでいる少女の姿がある。なんと声を掛けるべきか、それは既に決まっていた。
「───アリスちゃん」
「………ッ」
少年の呼び掛けにビクリと体を震わせて反応する。
そんな様子に、まるで怯える小動物みたいだと不謹慎ながらも笑ってしまう。そんな少女に近づいて、隣に腰を下ろす。
「リンタロウ……アリスは……」
「よっと……少しだけ、俺とお話ししようか」
「……え?」
「そうだな、昔話ってほどじゃないが……アリスちゃんと少し似てる後輩の話をしようかな」
凛太郎の言葉にアリスは目を見開いて驚いていた。
そんなアリスの様子に、凛太郎は戯けるように笑みを浮かべた。
それは呪いの王である両面宿儺の器として千年生まれなかった逸材と評され、呪いの戦いへと巻き込まれるように身を投じた善人の話。
───あいつは何も悪くないのに、呪術高専上層部の判断によって死刑が決定してしまい彼は、虎杖 悠仁はその身に呪いの王を抱えて死ぬことを受け入れていた。
それが凛太郎には許せないことでもあった。
勝手に決めた上層部も、自分にしかできないことだと言っていた後輩のことも。
どんなに強くたって大切な人が死ぬ辛さは変わらない、だから凛太郎は自分が大切だと思う人には幸福で居てほしいと思っている。
それは自分の為でもあるが、それ以上に大切な人の幸福を祈るのは普通のことだと思っているからだ。
「リンタロウの、後輩……?」
「そ、俺の自慢の後輩! あいつは勇者、って柄じゃなかったが気のいい奴なんだ。そんでアリスちゃんがいま思い悩んでるように……そいつの中にも復活しようとする魔王が封印されてたり……どう、この話興味あるでしょ?」
だから、アリスのことも見捨てられない。
凛太郎は彼女にも、彼女の友人たちにもそんな寂しい思いをさせたくない。そしてそれを奪った時の罪悪感もリオには感じてほしくないのだ。
だからアリスにも自分が大切だと思う人にも、アリスも大切だと思われているのだと凛太郎は伝えたい。
それはかつて、自分が後輩に伝えられなかったことだから。
虎杖 悠仁
「凛ちゃんパイセン」
津上 凛太郎
「なんだ悠二後輩」
虎杖 悠仁
「『ミミズ人間』って、今日にある?」
津上 凛太郎
「ふざけんな。ゼッテー見ねえから、デザインが生理的に無理」
虎杖 悠仁
「ええー!? そう言わずに一回だけ! ちょー面白いからさ!」
………
……
…
虎杖 悠仁
「で、どうだった?」
津上 凛太郎
「……3はともかく、1と2はまあ面白かった。とりあえずミミズ人間4も見に行く、俺とお前の座席予約しとくか」
虎杖 悠仁
「よっしゃー!」
津上 凛太郎
「クソ、なんか癪だから恵も強制参加で連れてくぞ!」
ぶっちゃけどの時間帯に更新されると読みやすい?
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07:00くらい
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19:00くらいやな
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21:00くらいやでー!!