透き通る様な世界観にいる一般呪術師   作:半ライス大盛り

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4章よかった。
大人のカードはもう鑑賞用だし、石は貯金して置くからねテラコ。





えっ! 今からでも入れる保険があるんですか!?

 

 

目が覚める。

見上げる先は“帳”によって作り上げられた飲み込まれそうになる漆黒の夜空。思考が止まる。数秒遅れて自分が一瞬気絶していた事を理解した。

 

眩暈がする。

 

聴覚はイカれたのか、耳鳴りが鳴り止まない。

 

全身に重くのしかかるような倦怠感。

地面に叩きつけられた衝撃によって建物は崩壊し、自分の上へ降り注いで来た瓦礫を退かし積み上がった瓦礫を蹴り飛ばしながら這いずるように脱出する。

 

 

「ほう、生きていたか。“小僧”と同じでつまらん奴だと思っていたがそうでもないらしい」

 

「かぁ〜、プッ! そいつはどうも、好き放題殴りやがってあちこち痛えっての。うえ……口ん中じゃりじゃりする」

 

 

圧倒的な存在感。

叩きつけられる威圧感(プレッシャー)、視線を合わせるだけで心臓を握られるような感覚。全身が総毛立ち、今すぐにでも逃げ出すべきだと己の本能が警鐘を鳴り響かせている。

 

月明かりを背にこちらを見下ろしながら───呪いの王、両面宿儺は嗤う。

 

記憶がぼんやりとしてなぜこんな怪物と戦り合う羽目になったのか思い出せない。正直に言って今すぐにでも逃げ出したい所だが、そうはいかないだろう。そもそも、あの怪物がみすみすこちらを見逃してくれるとは思えない。

 

どうして、あんな怪物と戦おうなんて思ったのか。

 

 

「ぁ……くく、はははっ!」

 

「なんだ、気でも狂ったか呪術師」

 

「あ? んな訳ないだろ。ただちょっと思い出しただけだ、なんでお前に喧嘩を売るなんて真似したのかな」

 

「……ほう。死の間際の走馬灯か?」

 

「いんや昔さ、五条先生が言ってたんだ。後輩を教え導き、守ってやるのが先輩の義務だって。いつもふざけてるアンタが何言ってんだって気にも留めなかったけど……どうも俺は、自分が思ってた以上に後輩が大切らしい」

 

「はっ、くだらん。それで、もう終わりなら幕引きにするが?」

 

 

ああ、きっと自分では呪いの王に勝てないだろう。

だが、それがどうした。

 

それは今ここで立ち向かわずに逃げていい理由にはならない。五条先生を助けるのは別に俺じゃなくてもいい。だが、いまここで呪いの王を、虎杖悠仁を止めるのは俺がやらなければならない。

 

でなければ、虎杖悠仁が目を覚ました時、これから暴虐の限りを尽くすであろう両面宿儺が引き起こす惨状を目の当たりにすれば彼は罪の意識に苛まれ続けるだろう。

 

それは、ダメだ。

他人の為に本気で怒れるあの優しい後輩にこれ以上、余計なもの背負わせたくない。

 

───恐怖を呪力に変えて、雑念を振り払う。

 

 

「……!(なんだ、奴の呪力が急激に跳ね上がった)」

 

「悪いな。俺の術式の関係上、どうしても()()()()()が遅くてさ。全力で戦ろうとすると時間がかかるんだ、急に呪いを込めたら器が保たないのと同じで“ガタ”がくる」

 

 

呪いの王は静かに息を呑んだ。

膨れ上がるような膨大な呪力。今も尚、際限なく高まり続ける負のエネルギーに口元が弧を描き歪な笑みを浮かべさせる。

 

ただの気紛れだった。

愚かにも自分に挑んだ人間、取るに足りないただの術師、両面宿儺にとって津上 凛太郎はその程度の認識であった。

 

だがそれがどうだ、目の前に立つ男は一目見て分かるほどに呪力の量も密度も、その出力までもが先程までとは比べ物にならない程に変化している。

 

そしてそれは自分が焼き祓った特級呪霊を凌駕している。

 

 

「けど、ギアさえ入っちまえばこっちのもんだ。それじゃあ、アゲて行こうぜ呪いの王……ッ!」

 

「クク、貴様の術式は呪力強化(つまらないもの)だと思っていたがそうではなかったか。なるほど、文字通り命を燃やし尽くすのはこれからだったわけだ。いいぞ、俺に貴様を魅せてみろ津上 凛太郎ッ!!」

 

「うるせボケ! 俺が魅せるのは女の子だけだってのッ! だぁくそ、どうせ死ぬなら可愛い子の腕の中で死にたい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──、タロウさん。リンタロウさん?」

 

「……へ? ああ、ごめん。眠くてぼーっとしてた」

 

 

名を呼ばれる声に意識が引き戻される。

どうやら自分でも気がつかないうちに疲労が溜まっていたようだ。軽く欠伸を零した後、眠気を吹き飛ばすように両手でパンッと勢い良く頬を張る。

 

よし。

とりあえず、まずは状況を丁寧に整理して行こう。

 

シロコちゃんに案内され、ここアビドス高等学校に到着したまでは良かったんだが、そこから一悶着あったのだ。血だらけの俺が現れたことにより生徒の一人が気絶しかけ、さらにその叫びを聞き駆けつけた他の生徒たちとも色々ありてんやわんやといった感じだった。

 

他の子がシロコちゃんがとうとうやらかしたなんて叫び、危うく隠蔽の為に土の中へと埋められる所だった。テンパってたんだろうけど、その判断はお兄さんどうかと思う。というかシロコちゃんは普段からどんなことしてるんだ?

 

いやー、その場を収めるのに意外と苦労したね。

 

 

「あ、そういえばシャワー借りた上に着替えまで貸してもらっちゃってありがとね。俺も()()()()()()()彷徨いたくなかったし助かったよ」

 

「い、いえ。偶々倉庫にあった……さ、サイズの大きい物をお貸ししただけですし。それよりも、その……先程は、あ、ありがとうございました」

 

「あー、いや、あれは事故みたいなものというか。そう露骨に反応されると俺も気まずいんで、色々と見なかった事にしよう」

 

「うぅ………は、はいぃ」

 

 

アビドス対策委員会と名乗った彼女たちが利用する教室。

 

向かい合うように前の席に座る彼女の縮こまる様な姿に苦笑いが出てしまう。このアビドス高等学校の対策委員で会計を担当しており先程表玄関で遭遇した黒髪の女の子、奥空アヤネちゃん。

 

赤縁の眼鏡とエルフ耳が特徴的でとってもキュート。彼女のエルフ耳の存在を確認した事によって俺の中で異世界転生説が浮上してきたね。

 

まあ、それはさておき。

俺が血だらけでシロコちゃんに連れられてくるもんだから、一体全体どうしたのかとか、怪我は大丈夫なのかとか、状況説明を求められ、色々と誤解を解く為にもここに至るまでの経緯を説明した。

 

誤解を解いた後、血で汚れてるし汗臭いしで学校にあるシャワーを借りたのだが、ここでまた一つ問題発生。なんとシロコちゃんが俺の着ていた服を、制服やシャツ、上着や下着などを洗濯機に突っ込んでしまったのだ。というかなんで洗濯機が学校にあるの、こういうのって普通にあるものなのか?

 

とりあえず何か着れる物を探してくると言われ、それまで俺はタオル一枚を腰に巻いた状態で待機を言い渡された。

 

真っ裸でゴウンゴウン、と回り続ける洗濯機を眺めながらシロコちゃんたちが戻ってくるのを仁王立ちで待ってる時間は流石に風邪を引くかと思った。

 

スマホでも弄って時間潰そうかと思ったが、画面は割れてるし電波は繋がってないしであまりにも虚無な待ち時間を過ごす事となった。

 

どれくらい待ったのかはわからないが、すると突然あら不思議、グラウンドに爆発音が響き、続け様に銃声まで聞こえて来たのだ。

 

窓から覗き込んで見ればフルフェイスのヘルメットを被った変な集団がヤンキー漫画のようなオラつき方でぞろぞろと侵入してきてるんだから。

 

いや、ビックリしたね。

ヘルメットの仮装集団もそうだが、彼女たちが使ってる武器が全部実弾の銃なんだもん。明らかなテロ、ここに来てから驚きの連続である。ポイポイ投げつけれる投擲物も本物の爆弾だし。

 

 

『うへ、まじか。あれ本物じゃん。ヤンチャしてるで済むレベルの話じゃないぞ』

 

 

どうするべきか悩んでいたのだが、集団の一人がこちらに気がつくと遠慮なしに発砲してくるのだ。

隠れてやり過ごすかとも考えたが、この学校に居るのは俺だけではないのでそれはなし。とりあえず無力化だけするかと思考していると、開いていた窓から何かを投げ込まれそれが目の前に落ちてきた。

 

爆弾かと思い慌てて投げ返したが、発煙手榴弾だったようで視界を奪われた集団は見事に混乱していた。

 

それを好機とし窓から飛び出すと即座に距離を詰めて、あて身ッ!の要領で気絶チョップを叩き込んだのだが、加減し過ぎたのか相手が頑丈だったのかはわからないが意識を失っていない奴が数名いた。

 

反撃として榴弾っぽいものを撃ち込まれたのだが、背後には校舎があるので仕方なく全身を呪力でしっかりと固めてから受け止める事にした。

 

まぁ、そこまではよかったのだ。

特殊な呪具ならともかく、呪力で強化して防御(ガード)していればただの刃物や銃弾を怖いと思った事はない。だからいつも通りのやり方で防御したのだが、爆発の影響で俺の腰に巻いていたタオルが文字通り消し飛んだのだ。

 

 

『お、おまっ!? どうして何も着てないんだ! 恥ずかしくないのかッ!!?』

 

『……いや、今の爆発でタオルが吹っ飛んだ。まあ気にすんな、見られて恥ずかしいようなだらしない身体はしてない』

 

『そういう事じゃない! 気にしろ! 前を隠せッ!!』

 

 

とりあえず、そのまま相手をしていると向こうも諦めたようで気絶した奴を引き摺って逃げ出し始めていた。なぜいきなり襲ってきたのかを聞く為にも一人くらい拘束しようと思っていたのだが、騒ぎを聞きつけたシロコちゃんたちが戻ってきたのだ。

 

恐れ逃げ出すヘルメットの集団、穴だらけで爆心地と化したグラウンド、そしてフルチン状態でそこに立つ俺。

 

圧倒的な混沌(カオス)。どう足掻いても絶望。もはや言い訳の余地がないほどに詰んでいる。この状況を打破するにはどうするべきか本気で悩んだが、結局解決策は導き出せなかったよ。

 

まあ……結局あれだ、色々と手遅れだったのでキッチリバッチリ見られたわけです。

 

因みに今はちゃんと服を着ています。

古い倉庫で見つかったという『大人用』のアビドスのジャージに身を包んでいます。これが見つからなかったら女性用のジャージにBURUMAを着用するハメになっていた。

 

それは流石に死ぬ、もう死んでるけど。

 

 

「あ、シロコ先輩たちがそろそろ戻ってくるそうです」

 

「こりゃあ、コンビニにおやつを買いに行くだけでも一苦労だ。お留守番も楽じゃないね。あ、俺もお茶のおかわり貰ってもいいアヤネちゃん」

 

「あはは、そうですね。買い物するなら郊外の方に行かないといけませんし。はい、どうぞ……あの、どうかしましたか?」

 

「いや、シロコちゃんとかアヤネちゃんとかもだけど、この学校ってかわいい子が多いなって。あ、柿ピーおいしい」

 

「か、かわ……っ!?」

 

 

うーん、とても可愛らしい。

目の前であわわ、と頬を赤く染め半分パニック状態で狼狽えるアヤネちゃんの姿についニマニマと口角が上がってしまう。しかし数時間前に委員会の子達と顔を合わせた時も思ったが顔面偏差値が随分と高い気がする。エルフ耳はいるし獣耳もいる、流石は異世界だ。

 

こんな女の子たちに囲まれて暮らせるなら異世界も意外と悪くないかもしれない。

 

 

「うへー、おじさんの前で可愛い後輩を口説くだなんてタローくんもやるねえ。これが若さかねー……あ、おじさんにも柿ピーを恵んでくれると嬉しいんだけど」

 

「しょうがない。それじゃあホシノちゃんにはこのピーだけをプレゼントしてあげよう。はい、あーん」

 

「わーい……ん、あれ? 本当にピーだけ?」

 

 

この空間にいるもう一人の女の子。

てっきり居眠りしてるもんだと思ったがそうでもなかったらしい。桃色の髪にピョコンと伸びるアホ毛と左右で色の違う瞳が特徴的で可愛いらしい自称おじさんの女子高生、小鳥遊ホシノちゃんだ。ご要望通りに、とは行かないが小さく開いた彼女の口の中にピーナッツだけを何粒か放り込んで上げる。この柿はわいのじゃ。

 

机に伏せるような体勢のままお菓子を頬張る姿は小動物のようにも見える。うん、かわいい。

 

 

「しかしおじさんキヴォトスの外から来たって人は初めて見たかなぁ。“大人”には見えないし、聞いてた話で想像(イメージ)してたのとはだいぶ違うかも」

 

「そ、それが良い方向での想像であることを祈るよ」

 

 

ホシノちゃんのかわいさに癒されながら、片手間にこのキヴォトスについてと自分がいま置かれている状況に考える。

 

まず自分はあの渋谷で命を落としている。

これは確実だ、薄れゆく意識の中で今にも泣きそうな顔をしていた後輩の姿を覚えている。だがどうだ、胸に開けられた穴や失った右腕も、今の自分は怪我一つない状態でピンピンしている。

 

考えられる可能性としてはあの瞬間、両面宿儺に何かをされ肉体は死んでいるが俺の意識だけがこの領域に取り残されているという状態。もう一つはあの戦いの後、俺も実は助かっていたが意識不明の重態により目を覚まさず“夢”を見ているような状態。

 

もしくはやっぱ死んでるけど、今流行りの異世界系な感じでキヴォトスに転生した。このどれかだろう、まあ良い線いってるのは異世界転生説だ。実際に体験してるし、宿儺が俺をどうこうする理由もないだろう。

 

 

「おやおや、どうしたの難しい顔して」

 

「んー、女の子は目の保養になるなーって。スマホが無事なら写真撮って待ち受けにしたのに」

 

「ありゃりゃ、もしかしておじさんも口説かれてる? いやー、照れちゃうなー。けど、おじさんにばっかり構ってるとアヤネちゃんが拗ねちゃうからダメだよ」

 

「は、はいぃ!? ちょ、ホシノ先輩なに言ってるんですかっ!?」

 

 

きゃっきゃっ、と楽しそうにしている二人の姿に荒んだ心が洗い流されそうになる。呪術師になってからは任務漬けで灰色の青春しか送ってないから、呪いとか関係なしのこういう青春を送りたかったね。

 

それはさておき。

このキヴォトスとやらとその住民たちについても調べなくちゃいけない事はたくさんあるだろう。何せこっちの常識は通じないだろうし、ここじゃアクセサリー感覚で学生の殆どが銃などを日頃から装備して、場所にもよるが暴動なんて日常茶飯事のようだ。

 

キヴォトスって怖い所なのね。

 

まあ暫くはここアビドスに身を置く事になるだろう。何せ今の俺は住所不定無職に無一文の人間だ。

 

このままじゃお腹も空くし寂しいし「お願い助けてシロコちゃんッ!」と泣きついたところなんと本当に助けてもらえた。自分で言っておいてなんだが、俺相当怪しい奴だと思んだけど、優しすぎてちょっと心配になるぞ。

 

アビドス対策委員会のお手伝いと、この古い校舎の壊れた箇所の修理、夜間警備などのその他諸々を条件に滞在を許してもらえた。これも対策委員会の子達に掛け合ってくれたシロコちゃんのおかげだ。

 

 

 

シロコちゃんまじ天使。

 

 

 

 

 

 





津上 凛太郎
どうにか衣食住の問題を解決できそうになるが、このままだと面目ないのでどうにか稼ぎを探そうと思っている。後輩のことがいっぱいちゅき、な感じなので身体張った結果死んだ。術式はぶっちゃけると界王拳、呪力放出いう名のかめはめ波も撃てる。

高専の制服は灰原と同じ短ランタイプにパーカーを合わせて着てる感じ。

砂狼シロコ
「ん……恐竜がぶら下がってた」
凛太郎を助けたのは単純に過去の自分と境遇が重なり放って置けなかった為。とりあえずがっつり見てた。

奥空アヤネ
「あ、あわわ、あわわわ……っ!?」
ヘルメット団の襲撃に気付き、慌ててナビゲートしようとしたら全裸で戦っている変態がいたのでビックリ。指の隙間からチラチラ。

小鳥遊ホシノ
「若いっていいねー。おじさんは困っちゃうよー」
身元不明で怪しさ満点だが、シロコが連れてきた相手なので一応は様子見。見て見ぬふりをするが横目でチラリ。




高専一年ズからの評価(1〜5の評価)

虎杖悠二:5pt
「優しくてノリも良くて面白い。呪力に関しても五条先生より先輩に教えてもらったかな。あ、あと任務帰りに連れていってくれるメシ店はどこも凄い美味い」

伏黒恵:4pt
「……一応尊敬出きる人。けど虎杖や五条先生と一緒に悪ノリするのはやめてほしい。あとそこの虎杖(バカ)に余計な事吹き込まないでください」

釘崎野薔薇:3pt
「女性関係にだらしなさそう。それと自分の顔の良さを理解してるのは腹が立つ。けど私にナンパしてきたのは見る目があるわね、そのあと真希さんにぶっ飛ばされてたけど」





今後の展開。※参考程度

  • 時計じかけの花のパヴァーヌ編
  • エデン条約編
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