……複数人で海で遊ぶ描写が何も浮かばなかった訳じゃない、いいね?
あの男性組とのトラブルが解決した後、自分と桜達は半日かけて海を堪能した。
と言っても何も考えずに楽しめたのは午前中くらい。
お昼を食べた午後からは何しようか……とみんなで悩む時間が多かったように思う。
ビーチバレーも水遊びも午前中にあれだけやれば飽きてくる。
何かアトラクション的なものがあれば良かったのだろうが今回来た海にはそんなものはなかった。
こうして考える余裕が生まれた時、自分はある事を思い出していた。
それは前世で自分が行った(やらかした)行動についてだ。
その頃の自分は学生で、模範生たろうと行動するのが一番良い事であると考えていた。
そう行動すれば、たとえ後ろ指をさされても自分の行いを誇れるものだと思えたからだ。
そして学生旅行で海に来た時、自分は自由時間に海辺のゴミ拾いを勝手にし始めた。
これに困るのは自由時間を楽しんでいた同級生達。
皆いい人達で楽しんでる中1人だけそんな行動をすれば素直に楽しめないのだろう。
次第に自分を手伝う者が現れ結果、自由時間のほとんどを清掃活動に変えてしまったのだ。
今思えばなんてことをしてしまったんだと頭を抱える事態である。
さぞ先生方も困惑されただろう。
つまるところ、楽しむべき時に楽しめない行動をとった、自分は空気の読めない阿呆である事を証明したのだ。
そんな黒歴史を思い出しながら(今にも歪みそうな表情筋を意識して固め)皆と次何やるか話し合っていると、あの男性組が声をかけて来た。
もし良かったらサーフィンやってみない?
そう誘われてすぐに飛びついたのは岸本 夕日、桜経由で知り合った友達で今回も一緒に海に来ている。
因みに後で知ったが彼女は筋肉フェチであった。
それからやることもないしと皆なあなぁで同意し、帰るまでサーフィン体験をしていた。
実はこの時が今日一番の盛り上がりをみせていた。
これで夏の思い出がまた1つ生まれていくのだろう、なんて臭いことを思い浮かべたのは秘密である。
帰る頃になると皆名残惜しそうに荷物を片付け始めた。
そしていざ帰る、というタイミングで自分と桜を除く友達ーズが男性組の方に向かって行った。
しばらくして帰ってきたのでどうしたのか聞いてみると、
「連絡先交換しちゃった!」
「まだ交際とかじゃないけどお互いにキープ作れたしモーマンタイ」
「私はもうデートの約束もしちゃったよ!一夏の恋がさっそく目の前だよ〜♪」
と言いながら褐色お兄さん達のいい所を上げていく岸本達。
……最近の女子って凄いんだな、そう思わずにはいられなかった。
海を満喫した日からしばらく、自分は桜と買い物に出掛けた。
他のメンバーはどうしたのか聞いてみると、苦笑いされながらスマホを見せてきた。
そこに写っていたのは岸本含む海に一緒に行った組と3人の褐色お兄さん達。
皆ピースしながら写っており岸本に至ってはお兄さんの1人に抱きついていた。
この時期だと暑いだろうに……と申し訳なく抱きつかれているお兄さんを見れば、頬や耳がわかりやすいほど真っ赤になっていた。
え、褐色でも分かりやすいって逆に大丈夫?熱中症なってないよね、とつい呟いてしまい桜からは苦笑いと共に「そうだねー」と控えめな同意を貰った。
そんなこんなで始まった買い物だが、買う物は主に小物と食材である。
まずは小物、部屋に飾るインテリアを探すために100円ショップへ向かった。
その後食材も買うのであまりかさばらない物が好ましいだろう。
自由に稼げるようになればもっといい所に行ったりできるのだろうが、うちの学校はバイトはやむを得ない理由がなければ禁止されている。
もちろんそれを無視してやっている人もいるが見つかれば罰則だ。
そこまでのリスクを負いながらお金を得るくらいなら家の手伝いをする方がマシである。
その結果……自分はあまりお金を持って無い、しかし部屋に彩りは欲しい、こんな具合に苦しむナンチャッテ苦学生が誕生したのだ。
桜もその1人だったようで機嫌良さげに自分の隣を歩いていた。
おそらくこの日のために頑張って貯めてきたのだろう、見てるこっちまでテンションが上がりそうなくらい上機嫌だ。
店に入ると軽快な音と一緒に涼しい空気が自分達を出迎えた。
店員のいらっしゃいませー、という声を聞きながら桜と共にインテリアコーナーへ向かう。
途中にある家具や文房具、更におもちゃやパーティーグッズが視界を掠めていく。
確か母の買い物に付き合う時はよくおもちゃ売り場をすぐ探しに行ったな、なんてことを思い出しながら桜と共に歩いていく。
目的の場所に着いた。
あれでもないこれでもない、あれは可愛いあれも可愛い。
こんな具合に大して多くもない品を全力で冷やかしながら話し合った。
せっかく二人で来たのだからお揃いの物がいいなっなんて笑いあったりもした。
そうして選別に選別を重ね選ばれたのは……招き猫型の時計であった。
プラスチックで出来ているそれは手のひらから少し溢れるほどのサイズで小判を持つ場所に時計がハマっている。
自分が購入した招き猫は、真白な毛並みに目を細めた柔和な表情でピンク色の首輪をつけており、桜のは白黒のハチワレ顔でどこかふてぶてしさを感じさせる表情の赤い首輪をつけたものだった。
自分はこれが一番可愛いと思ったので選んだのだが、桜は何故それを選んだのだろうか。
正直桜の買った招き猫は自分に似ているような気がして、何故か微妙な感覚を覚えてしまうのだ。
「これ梅ちゃんに似てて凄い可愛く感じたの〜」
……おそらく自分は微妙な顔をしているのだろう、桜の笑い声が小さく聞こえた。
おい人の顔を見て笑うんじゃない。
この後の食材で重いの持ってやらんぞ……いや持つけど。
あまりに暇すぎて書いてみた。
……一応言っときますけど作者は友達が1人もいない訳ではないですよ?
ほんとですよ?