やっぱメインを複数人書こうとしたら会話とか流れがごちゃごちゃのバラバラになっちゃうのつれぇわ、なのにやっちゃうの、書きたいから。
夏休みがすぎて9月になり、自分達も学校が始まった。
今年の夏は今までにない体験の連続だった。
その日の思い出を頭の中で流しつつ校長先生の話を聞き流す。
思えば校長先生には本当にお世話になった、桜関係で。
今頃あの元担任は何をしているのだろうか、また懲りずにナニをしているのかもしれない。
そういえばだが、もし自分がいるこの世界が何かの作品(十中八九成人向け作品)であるのならヒロインは桜だろう。
もしくは自分も主要人物の1人で憑依のような形で自分がお邪魔しているのかもしれない。
ではヒーロー、主人公は誰か。
この問題は凡そではあるが検討が付いている。
大樹くん、桜の弟だ。
ある平日の夕方、大樹くんは郵便受けに入っている封筒を見つける……その中にはCDが入っており不審に思いながらもテレビで再生したら……
なんていう導入で桜と元担任の不快で不純で官能的なNTRビデオレターが始まるのだろう。
そしてそうなるきっかけと思われるあの図書室でのやり取り……の中に自分という異物混入があり、元担任はお縄についてハッピーエンドとなったのだ……なんてな、実際はそれからまだ続きがあるはずだ。
自分も桜も生きている、つまりまだそういう脅威に晒されるかもしれないのだ。
だが怯えて過ごし続けるのにも限界があるだろう、警戒はしても緊張し過ぎないようにしなくては。
始業式が終わり、教室まで帰る途中も自分の思考、もとい妄想が続く。
この世界はおそらく成人向け作品のNTR系のジャンルが幾つも集まって出来ているのだろう。
その証拠に桜、ネットニュースの記事、今自分の前を歩いているクラスメイトもそうだろう。
彼、松田 太陽は桜の友達……岸本 夕日に片想いをしている。
岸本が筋肉フェチという噂を聞いただけで筋トレを始めるようなやつだが、明るく陽気で少しナヨっとした所のある一般的な男の子だ。
そんな陽気なはずの彼が今、とてつもなく落ち込んでいる。
朝のホームルーム前に岸本があの褐色お兄さんを他のグループの女子にスマホで見せながら自慢していたのを目撃したのだろう。
ちなみにそのグループの女子の1人が岸本と幼なじみで「あんた彼氏でもできたん?」と聞いたのが自慢話の始まりだったそうだ。
それから松田はご覧の有様である。
その、なんというか、強く生きろよ。
まあこんな感じにNTR系(今回は"俺が先に好きになったのに"系だった)が日常的に蔓延っているように感じるのだ。
もちろん全てが全てそうだとも言えない。
例えば自分の緑川家。
家の父と母は幼なじみ同士だそうで、正直今も2人は夫婦というより距離が近い兄妹という印象だ。
だがまぁ、気付いたら大体一緒にいるのが気がかりではある。
まるで何かを警戒しているように思えてしまうのだ。
まあ考え過ぎだろう。
次に桜のご両親。
大樹くんに会った数日後、宿題の続きをしに桜の部屋を訪ねた時に遭遇したのだ。
桜と大樹くんをお互い成長させたような容姿をしており親子だな、と思っていたが……。
桜の父、柳さんは女装趣味、奥さんの瑞希さんは男装趣味であるらしい。
そして自分が会った2人は2人とも……今日は女装男装していたようで。
自分は、桜似の"お父さん"と大樹くん似の"お母さん"に会った訳だ……。
いや、うん、別にそれは受け入れるけど、いきなりカミングアウトし過ぎじゃないか?
こういうのもっとデリケートな問題だろ?
自分みたいなただの小娘に明かさない方が絶対良かっただろ。
大樹くんが自分なら大丈夫だって言ってたから?
大樹くんェ……。
ん、んん。
つまり……なんだ、自分が言いたいのは「皆違って皆いい」という事だ(?)。
うん、無理やりだがまとまったな(?)。
ではもう昼休みなので桜と合流しよう、松田も引きずりすぎるなよ。
俺、松田 太陽は人生1後悔している自覚がある。
俺にとって岸本は普通(可愛い)の女の子だった。
幼なじみだという田山とふざけ合う(可愛い)所はこの高校に来てからよく見かけた。
よく笑う(可愛い)子だなって当時から思ってた。
そして俺が岸本のことが好きだと気付いたのが1年の体育祭の時。
うちの高校は梅雨明けの6月末に体育祭があるんだが、その時俺は岸本と同じ白組だった。
そこで一生懸命に練習してる(可愛い)所やぴょこぴょこ動きながら応援してる(可愛い)所を見て、俺は岸本への気持ちを自覚した。
できるだけ表面上はバレないようにしていたが、近くの席の奴や男友達の何人かにはバレてしまった。
ちょいちょい野次を飛ばされながら結局ヘタレて2年生になっちまった。
今度こそ、今度こそと思いながら夏休みが明けた今日、俺は失恋した。
岸本に彼氏が出来ていた。
相手は大学生で海で一緒にサーフィンしたらしい。
あぁ、あぁ、どうして俺はあんなに意気地無しだったんだ。
ダメだ、泣くな、男だろ。
やっぱ無理、こんなの泣く。
でも1人になってからだ、それまでは我慢しろ。
そう思いながら岸本が田山に見せていたスマホ画面を思い出す。
かっこよかった、その金髪も身長も筋肉も……でも1番は顔だ。
見れば分かる、相手は岸本にベタ惚れだ、そんな目をしていた。
あぁ、岸本は大切にされるんだろうな、でもそれは俺じゃないんだな……辛いなぁ……。
気付いたら昼休みになってた。
早くどっか行こう、そう思って席を立とうとして後ろから肩を叩かれた。
「あまり引きずるな、女はまだいる」
そう囁きながらその人はある女子グループの方へ向かった。
緑川 梅さん、今俺に声を掛けてくれたクラスのマドンナ。
もう一人のマドンナである山本さんの方へ歩く彼女は凛としていながら山本さんを呼ぶ声はどこか楽しそうだ。
2人は向き合うとそのまま抱き合い、3秒程で別れた後恋人繋ぎをしながら席に着いた。
……こんなに仲が良くなったのがあのおぞましい事件からだってのが複雑だ。
山本さんはあのクソ野郎からうらやまけしからんことをされたのにこんなに楽しそうなのも緑川さんのおかげでもあるんだろうな。
緑川さんも山本さんも名は体をあらわすように綺麗な人達だ、その片割れに慰められたんだ、まだ心が引きつりそうでも切り替えなくちゃな。
「松田、その……」
そうこうしているうちに友達の溝辺が気遣わしげに話しかけ、その後ろに3人俺達を……いや俺を心配して見ていた。
全員、俺が岸本が好きだってことを知ってる奴らだ。
「なぁ、みんな」
「お、おう。どうした松田」
「今日、カラオケ行こうぜ、付き合ってくれ」
「も、もちろんだぞ、なぁお前らも」
「カラオケかーいーねー」
「予約してる?てかいるっけ?」
「まあいいんじゃね?」
「で、松田……いいのか?」
「……いいんだ。でもまだ割り切れないからさ、俺に付き合ってくれよ」
「「「「ま、松田……!」」」」
岸本、俺……早くお前を好きだったにするから……だから……幸せになれよ……。
どうしてこうなった?
まあキャラを暴走させるのは未熟者の証、つまりまだ伸び代があるとしておこう。
でも今回マジ違和感マシマシだったと思うわ、すまぬ( ´・ω・`)