やめろ!(アニメ的に)そんなことしちゃいけない! 作:儚無吹雪
初投稿です。
絶対に油断できない
突然だが、一度はこう思ったことはないだろうか?
『カードゲームで全てが決まるような世界に行きたい』
ホビーアニメを見て、一度はそんな風に考えた人間は少なくないと思う。
ただ問題は本当にホビーアニメの世界に来てしまった場合だ。
え?
長くなりそうだからとっとと結論を言え? OK
一言で説明すると遊☆戯☆王ARC-Vの世界に異世界転移した。以上。
どうでもいいかもしれないが、自己紹介だ
自分の名前は
至って善良な、遊戯王プレイヤーだ。
転移してからしばらくは、あれこんな街並みだっけ?
道間違えたかな?
なんて考えでウロウロしてたが、どう見てもオモチャとは思えない
あっこれ遊☆戯☆王ARC-Vの世界やん……
最初は喜んだ
具体的にはその事実が分かった瞬間
「よっしゃぁぁぁ!!!」
と大音量で喜びを露わにして、道ゆく人に可哀想な人を見る目で見られたくらいだ。
しかし気づいてしまった。あれ?よくよく考えれば、住む場所ないし、職場もない、異世界だから学歴的にはホイ卒以下、なんなら財布の中には306円しかない、もしかしてこれ……社会的に詰んでる!?
おまけにこの世界は、次元戦争という下手したら世界が終わる(遊戯王ならよくあること)争いの真っ只中である。
やっヤバい……下手したら、カードにされて二度と太陽を拝めなくなる。
とりあえず近場のカードショップで、スリーブに入ってない適当なカードをまとめ売りして決闘盤を買った。
決闘盤なしで遊戯王ワールド探索なんて、現代人がスマホなしで生活するようなものだからね、しょうがないね。
決闘盤を付けて今夜の宿を探していたら、水色の髪のペロキャン舐めてる可愛いらしいショタに、決闘を申し込まれた。
あっこいつ【紫雲院 素良】やんけ!可愛いな!おい!
なんで?って理由を聞いたら、知らない場所から来た観光客に、デュエルを申し込むのが趣味だから決闘してとのこと。
あれ!?もしかして、これ他次元から来た決闘者だと思われてる!?
ヤバばばばばばばばばどうする!?どうする!?どうする!?
断りたいけど、多分断ったら転移一日目でカードの中にボッシュートされてまう……
ということで(誠に不本意)ながら決闘を受けた訳だが、問題は何を使うかだ。
まず負けるのは論外。
この遊戯王ワールドでの敗北は大体洒落にならない。
次に 融合 シンクロ エクシーズ ペンデュラム を使うデッキも論外。
他次元の決闘者だと思われて、その場は凌げても後々どんなトラブルが起きるかわからない。
つまりエクストラデッキを使わずなおかつ
【
に圧倒的有利が取れるデッキ……ならあれかな?
「おにーさん準備はいい?」
「いつでもどうぞ」
「「デュエル!!」」
自分と素良くんの声が、同時に木霊する。
「僕の先攻だね!」
先攻を取られてしまったか、まぁ相手は後攻で強いデッキタイプだ、さほど問題はなさそ……ん?この手札はもしかして……
「僕は手札から《ファーニマルドッグ》を召喚!効果で《エッジインプ・シザー》を手札に加えるよ!」
おいゴラァ!チェーン確認はどうなってんだ!チェーン確認は!
現代遊戯王によって体に染み付いた確認がないことに困惑しながらも、それに対抗し"こちら"もカードを発動する。
「その処理後に《
ということで、今回使うのは《ラビュリンス》だ。特徴は可愛すぎる姫さまと、ありとあらゆる通常罠カードを操る対応力の高さだ。そしてこのデッキには、アニメで使うにはあまりにもあんまりなカードが入ってる、あとはそれを持ってこれるか……
「相手ターンに手札からモンスター効果!?でもせっかく罠カードを伏せても、伏せたターンには使えないよ!手札から魔法カード……」
「待ってください、その前に今墓地に落ちた《絶対王 バック・ジャック》の効果を発動します。デッキの上から3枚を見て……」
さーてデッキトップは〜あっ……(察し)ふーん。
「……好きな順番に入れ替えます。そして墓地の《絶対王 バック・ジャック》を除外して効果を発動、デッキの一番上のカードをめくり、通常罠カードの場合セットします。デッキトップは……当然通常罠カードです。その効果により《次元障壁》をセットします、なおこのカードはセットしたターンでも発動できます」
「僕の先行1ターン目に発動できる罠カードを伏せるなんて!?でも!さっき伏せた罠ごと、僕自慢の融合モンスターで引き裂いてやる!手札から魔法カード融合を発動!」
「それにチェーンして罠カード発動……」
「フィールドの《ファーニマル・ドッグ》と手札の《エッジインプ・シザー》を素材に融合召喚! 現れ出ちゃえ!すべてを引き裂く密林の魔獣!《デストーイ・シザー・タイガー》!ってあれ?なんで何も起きないの!?」
いやほんとごめんね、流石に命の危険がないなら自重するんだけどね。
「……罠カード《次元障壁》の効果、特殊な召喚法を一つ宣言して発動する、発動ターン宣言した召喚法のモンスターの特殊召喚を封じ、さらに宣言した召喚法のフィールドでのモンスター効果は無効になる、自分は融合を宣言していた……」
ちゃんと宣言したけど、相手ノリノリで召喚口上言ってたからな……聞こえてなかったんでしょうね。ということで《次元障壁》を発動した訳だがこのカードは魑魅魍魎蔓延るOCG大会環境の中でも、メタカードとして一定の地位を確立していたカードだ。このカードは特定の召喚法に頼るデッキを事実上1ターン行動停止レベルまで止めることができるパワーカード。単体でも十分に強力なんだけど、このデッキだと……
「ぐっ……なんてカードを!仕方ない、このターンは見逃してあげるよ!カードを2枚セットしてターンエンド!」
大丈夫?本性出てない?
「エンドフェイズに手札から《ワナビー!》の効果を発動、使用してない相手魔法罠ゾーンの数つまり3つだけカードをめくり、その中から罠カードをセットします。デッキから罠カード《ビッグウェルカム・ラビュリンス》をセットします。」
「また僕のターンに動いて!ターンの概念がめちゃくちゃじゃないか!今度こそターンエンドだよ!」
いや気持ちはわかるよ?少し遅いとはいえ、相手ターン終了時に罠置くのえげつないし。
「私のターン、ドロー」
と言っても正直、もうここから先はドローカードに頼るまでもない。
「罠カード《ビッグウェルカム・ラビュリンス》を発動。効果でデッキからこのデッキの切り札を呼び寄せる、現れろ……」
《
うお……デッッッッッカ!(何がとは言わないが)リアルソリッドビジョンで動く姫さまを見れただけで、幸福指数が上がりこの先なんとかなる気がして来た。
「特殊召喚後自分場のモンスターを1体手札に戻す、《
手札に戻ったと思ったら即出社である、今日も姫の業務はブラックです。
「罠カード1枚から攻撃力3000!?だけどそれだけならまだ……」
「モンスターが罠カードの効果でフィールドを離れたので、墓地の《
「厄介な効果ッ……長期戦になる前に勝負を決めないと」
大丈夫、ちょっとかかるけど長期戦にはならないよ。
「罠カード《ウェルカム・ラビュリンス》を発動、デッキからラビュリンスモンスターを特殊召喚します。(何も……ないな ヨシッ!)それにチェーンして《
《白銀の城のラビュリンス》攻2900
腋が一番ですわ 腋といえばコレですわ 種類いっぱいありますけども 腋ですわ これだけあれば勝ちですわ。
つい思考が腋に支配されてしまった。落ち着こう。
「また……大型モンスター!いくらなんでも展開スピードが早すぎる……」
「フィールド魔法《白銀の迷宮城》の効果により、《ウェルカム・ラビュリンス》罠カードに追加効果『フィールドのカードを一枚破壊する』が追加されている。よって《ファーニマル・ドッグ》を破壊。さらにモンスターが通常罠カードによってフィールドを離れたので、《白銀の城のラビュリンス》の効果発動、フィールドの素良くんから見て右側の伏せカードを破壊する」
「《ファーニマル・クレーン》が!これは不味い……!」
「バトルフェイズに入ります」
「ッ!」
「《白銀の城のラビュリンス》で、素良くんにダイレクトアタック」
「うわぁぁぁぁぁ!なんてね!罠カードオープン!《びっくり箱》!攻撃を無効にして《
あー上手くかわされちゃったなー、仕方ないか。
「ふぅー散々好き放題されたけど、これで次のターンに僕の勝ちかな!君の場には攻撃力0のモンスターと伏せカード1枚だけで、ここからの逆転は無理そうだし!」
は?オイオイ、とんだロマンチストだな。あまりOCG環境を
「メインフェイズ2に移行、《白銀の城のラビュリンス》の効果を発動、墓地の通常罠カードを一枚を対象に取りセットする。対象は《次元障壁》」
「は?えっ?ちょちょっと!?もしかしてこれ、ずっと次元障壁回収されたら何にもできないじゃん!」
そうこれがあまりにもあんまりなコンボ、障壁ループだ。白銀の城のラビュリンスと次元障壁1枚で、リンク以外の特定の召喚法一つに頼るデッキの息の根を止めることができる。姫さまの効果を止めるか罠を止めない限り、一部デッキを除いて突破できない凶悪なロックだ。こんなフリーデュエルですら嫌われるコンボだが、アニメ環境だとリンクもないからリンクで解決できず。レッドリブートもなく。汎用無効札はそもそも入っているか怪しい。アニメだと発動したら勝つ相手が多すぎる正真正銘のインチキだ。しかし―――
「もしかしてですけど、まさかこの程度で終わりだと思っているんですか?」
「何を……言ってるんだ……?」
まだ勝利が確定していない。
「何を……言ってるんだ……?」
買い出しに行く途中見るからに怪しい人間を見つけ、少し見てみれば明らかに他次元のもの特有の動き、話しかけても僕のことを知らないなら味方でもない、そうならば決闘にサクッと勝って相手をカードにして師匠の下に帰るだけ。
それだけだった、それだけのはずだった。
蓋を開ければ、自分が先攻を取ったにも関わらず、何もさせてもらえず、攻撃は凌いだものの、次の自分のターンも何もできないことが確定している。
"普通"ここまで相手の動きを完封できれば、勝ちを確信する、油断する、正直ここから巻き返すのは絶望的だ。
だけどなぜだ……なぜ
相手は勝ちを確信しない!?
紫雲院素良は知らなかった、彼がいた世界OCG環境は妨害をいくら構えようが、たった1手を通されたらそれまでの盤面を全て覆されて負ける、そんな光景が"よくあること"で通ってしまう世界、勝ちを確信できる状況は未判明札が1枚もなく全てを捌き切れる状況のみである。
そして遊戯王アニメシリーズには、アニメオリジナルカードとしてOCG勢ですら把握してないカードプールがある。
遊楽遊代は、どういったカードがあるのかは知らないが、知らないカードがあるということは知っていた。
だから油断しない。
相手の手の内を暴き切るまで、それまでは……微塵も油断しない。
相手の心を折るまで徹底的にやる。
それが
悪魔(OCG勢)には人(原作キャラ)の心はわからない