プリミティブ・ンホアヘェ!   作:罪袋伝吉

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原始時代の幕開け。

チートは無く、俺ツエーも俺スゲーも無く。主人公はただ生きるために石斧担いだゴンゴーンゴーン生活を余儀なくされていた。

あとヒロインはおらず、いるのは類人猿(敵)。


ヒロイン不在の原始生活

 

 人間はじめは石斧担いでゴンゴンゴンゴン。

 

 一心不乱にデカくて硬い黒く光る石英の岩を俺は手に持った石のハンマーで叩いて砕いていく。いや、砕くというよりも剥離させていくというのが正しいかも知れない。

 

 そんな事をして何をしてんだよと思われるかも知れないが、これは生きていくのに重要な作業の一つなのだ。

 

 すなわち、石器の槍やナイフ、鏃を作るための黒曜石採取だ。

  

 わかっているとも。ああこんなのは文明人、それも先進国日本で生まれた生粋の文化人たる俺がやるような作業ではないということは。

 

 だが人間、文明人であれ文化人であれ、必要にかられればやらねばならないのだ。

 

 ああ、そこの君。そこに存在しない架空の君。もしくは俺の脳が約3年間の孤独で生み出してしまった妄想の君、独り言だけど聞いてくれ。

 

 独りきりじゃ寂しすぎるから。人が見てる夢のようなもんだろ、妄想なんだから背中なんて抱いてくれないだろうけど聞いてくれ。

 

 なんで俺がこんなことをせにゃならん羽目になったのか聞いてくれ。

 

 俺の名前は原・始。読みはハラ・ハジメだ。こう見えて都会生まれの都会育ちの、れっきとしたシティボーイだった男だ。

 

 いや、言いたいことはわかる。というか妄想の向こうの存在だから何にも言ってくれないのは知ってるけど、つまり今の俺の姿がどう見ても原始人ルックじゃねーか、と思ってんだろう?

 

 ボサボサの髪の毛を蔦の繊維でくくり、伸びきったボーボーのヒゲ、動物の毛皮をまとって石器時代のまんまな石の斧に石の槍、木の枝で作った弓と矢をもったこの今の姿を見れば、そりゃあ都会暮らしをしていた人間には見えないだろう。

 いや、ワンチャン都会のホームレスくらいには見えるかも知れないが、残念ながらそうじゃない。

 

 強いられてるんだ、原始生活を!

 

 つうか、生きるためにっ!この時代でっ!なんとか適応しようともがいてきた結果がこの姿なのだっ!!

 

 つうか周りを見ていただきたい。

 

 ものの見事にギャー○ルズな風景だ。あっちの遠くの山は噴火しててマグマが垂流れてるわ、海にはなんか首を出してる首長竜っぽいのとかモササウルスっぽいのが泳いでて、浜辺にはゴキブリみたいな三葉虫っぽいのがワサワサ這いずりまわってたり、向こうの草原にはマンモス的な哺乳類やサーベルタイガーにダチョウみたいな羽を生やした走りまわる巨大なトカゲ、のそのそ動くステゴサウルス、デカいエリマキトカゲみたいなのがおり、空にはデカいトンボみたいな虫が大量に飛び、それをプテラノドンみたいな奴が追って食っていたり、そうかと思えばめちゃくちゃデカいムカデやら蛇やら大サソリ、ゴキブリまでうじゃうじゃうじゃうじゃ!

 

 つうかな、年代を無視して『古代の生物』で一括りにしておんなじ所に放り込んだような有り様なのだ。

 

 いや、マジで更新世末期(約400万年前)のマンモスとカンブリア紀(約五億年前)のアノマロカリスが同時期に存在してたり、ジュラ、白亜紀、その他時代も違う恐竜やら、生きてた年代無視して進化とかそんなん置いてきぼりで生態系も超越して同時に存在しているこのデタラメさ。

 

 それにそこらに生えている植物群もかなりおかしいのだ。シダ系植物だけでなくどう見ても高等植物のスギ、ヒノキ、樫まである。それどころかヤシの木やらココナッツ、柿にビワ、リンゴに……。古代にそんなもんあったっけ?という感じで存在しているのだ。

 

 もうカオスである。有り得ない世界だ。時代考証もなにもかもデタラメなのだ。……そんなんあるとすればそれは異世界か遺伝子工学が暴走して生命が溢れ出したようななんかのジュラシックだかなんだか、そういうパークだろう。まぁ、カンブリアとか白亜紀とかごたまぜだけど!

 

 しかし、ジュラシックなそれでないのはこの三年間、この世界を探索し、人類文明の痕跡すら無い事から判明している。

 

 ではこの世界はなんなんだと言われれば異世界だとしか考えられない。つまり、異世界転移かぁ、うわー、チート能力も俺スゲーもねぇぞ馬鹿やろう!(キレ気味)。

 

 トラックに跳ねられた覚えもない、異空間ゲートも潜った覚えもない、地底世界に足を踏み入れたとかそういう覚えもない。

 

 ただ、会社の仕事終わりに同僚とちょっと飲みに行って上司の悪口を言いまくって、悪酔いしつつも家に帰ってそのまま寝て、起きたら着の身着のままこの世界にいた。

 

 というかあのまま寝ていたらティラノサウルスっぽいデカいトカゲにガブリとイかれて食われてた。よく逃げれたな俺。俺スゲー。

 

 つまり、俺がこの岩から石器の材料を取っているのは、死にたく無いのでとにかく生きるために必要な武器や道具の材料を採取しているってわけだ。

 

 おお、リアルマインクラフト、ってもっと困難だぞ現実は。材料そろえんのだってめちゃくちゃ時間掛かるし、作るのだって大変なんだぞ。つかクラフト系のゲームなんぞで苦労して○○作ったとかほざいてんじゃねーぞ、現実で作ってみろやゴラァ!

 

……いや、すまん。ストレスとかもろもろ溜まってんだよ。ホントすまんね、妄想の人。

 

 まぁ、本当に生きるために必死でいろいろ頑張ってんだよ、俺。

 

 やることが多過ぎだよ、マジで。

 

 『生きてて偉い』とか言うじゃん、いや本当にこんな限界サバイバル生活を3年も続けて生きてる俺、マジで偉いわ。

 

 何もない所から始めて、木と石で石器を作り、最初はライターがあったから焚き火はやりやすかったけどガスが無くなって、木の棒と板を擦り合わせて火起こししたり、住居を作ったり、木の弓作ったりな……。

 

 弓を作ったって、狩れるのはせいぜいが小さい陸トカゲやデカい齧歯類程度だ。つーか大型生物どころかイノシシみたいな奴とか無理だ。つか人類の先祖はあのデカいマンモスを狩ってたとか言うが、そんなもん独りで狩れるわけねぇし、狩ったところで他の肉食生物が横取りしにやってくるので当然、俺の腹には入らない。

 

……もっと、強い武器を作れなければならないが、ゾウだって狩猟用のライフル銃では狩れないとか言うのだ、そんなもん無理!!つーか、上手に焼けましたーとか、んなもんリアルでやれるわけねぇんだ、ダラァ!!鉄だってまだ少量しか精錬出来てねぇんだぞこちとら!!

 

……いや、たびたびすまん。つうかなぁ、独りでやってくのは辛いんだ。限界来てんだよ。独りが辛いから、こうやって脳内で誰かがいるみたいに話しかけたりさ、肉体的にも辛いから妄想しつつ誤魔化しながら疲労を軽減させたりしてんだよ、悪いね妄想の友達さん。

 

 つうかなぁ、デタラメな生態系してんだから異世界人くらい用意しとけよ異世界め。人間なんざマジで俺以外存在してねぇんだ、この世界は!

 

 ああ、最初の一年間は俺もめちゃくちゃ探したんだ。よくある異世界転移とかだと大抵は同じように転移して来た仲間とかいるはずだろ?それに異世界人とか、その、ヒロイン的なポジのキャラとかさ。

 

 なのにこの世界にはそんなの居ねぇ。つか類人猿しか居ねぇ。二足歩行しているが毛だらけ毛むくじゃらの顔面原人っつーかチンパンジーウッキーな奴だ。

 

 俺は奴らをエテコウと呼んでいるが、奴らは正直、ただのケモノだ。フレンズじゃなくエネミー、敵でかつ襲撃してくる厄介な奴らだ。

 

 奴らは群れで行動し、木の棒などを武器にしている。たまに何か大きな生物の大腿骨を棍棒にしている事もある。まぁ、そういう個体はやけに身体が大きく偉そうな態度をしているので群のボスかなんかなのだろう。

 

 エテコウは友好的な奴らでは無く、とにかく俺の拠点を何度も襲ってきており、ある意味、それに対抗するために俺は今まで苦労してきたと言ってもいい。

 

 つーか群れをなしてフェラルフォードよろしく攻めて来るのでもはや俺の拠点はフォートレスの如く、戦闘拠点じみてきたが、しかしそれでも毎回苦労して追っ払っているのだ。

 

……罠をあちこちに仕掛けたり、落とし穴掘ったり、餌で手懐けた狼の先祖をけしかけたりな。

 

 もはや俺対エテコウの関係は戦争状態であり、俺が生き残るためには奴らを滅ぼすしかないような状態になっているのだ。

 

 いつかそいつらが進化してこの世界の人類の先祖になるかもしれない?

 

 んなもん知るか。この世界の人類なんぞ俺には関係ねぇ。俺とエテコウ共の間にはやるかやられるか、生きるか死ぬかの二択しかないのだ。未来なんざ知らねぇ。つーか文句があるなら俺に戦いを挑んだてめぇらの先祖に言えよ。つーか文句を言うどころか生まれても来させねぇがな!

 

 ハァァァーっ(溜め息)。

 

 でもね、異世界転移ってさ、こう、ファンタジーな感じで、登場人物はなんかくっころな女騎士とか、ビキニアーマーとかそういうのでさ、こう、ハーレム作るぜ!的なもんじゃねーのか?

 いや、原始時代でもこう、シュワちゃんが出たようなヒロイックファンタジー映画みたいにせめてマッチョでもいいから美女のいる世界にしてくれよギブミーボインヒロイン。

 

……いやどうせ言っても仕方ないか。神はこの世界には存在しない。人類もいない。美女もいない。女なんて、どうせいないんだよ。現実なんてそんなもんさ。

 

 でもな、もし神なんてもんがいるなら。そう、神がいるならさ……。エロ本、せめて独りH用のエロ本くらいは差し入れしてくれよ。巨乳むちむちのねーちゃんの奴をさ。

 

 マジで溜まってんだよ。つうか気が狂いそうになるんだ。いや、狂いかけて異常な行動に走りかけたんだよ、俺。

 

……エテコウのメスを捕獲して使おうってしてしまったんだよ。

 

 でもな、ダメだったんだよ。

 

 エテコウのメスは……。猿のメスはダメだ。俺の美的感覚が鋭すぎて無理だったんだ。

 

 捕まえて毛を毟ってもエテコウはエテコウだ。つーか毛がないエテコウは皮膚病の猿にしか見えなかったし、何より臭すぎてダメだった。オメガル○ールだった。クサマ○ティーヌどころの騒ぎではなく拠点の俺の小屋の中がとんでもない臭いで汚染されかけた。

 

 臭くて、正気に返ったくらいに臭すぎた。あと黒くとビラビラでぐっちょりグロすぎた。それとケツにうんここびり付いてた。

 

……所詮、エテコウはエテコウ。人間じゃないケダモノだと再確認したよ。

 

 うん、とりあえず殺してウチの狼の餌にしたよ。新鮮だったから喜んで食ってた。よーしよしよし、よーしよしよしウチの狼は可愛いですねー(某ムツゴロウ感)。

 

……ああ人類、特にムチムチボインなねーちゃん、どこかで発生して無いだろうかなぁ。もしくは元の世界に帰れねぇかなぁ。

 

 ああ、大人のお風呂、石鹸の国が恋しいぜ……。

 




思いついたので、投下。

・コンセプトは、俺スゲー&俺ツエーなチートなんぞ無い世界で、原始時代に投げ込まれた奴がとにかくバカやりながら苦労してリアルに文明を築いていくのかを適当にやりつつ何かと生存競争(血みどろ)を繰り広げる。

・なお、火攻めはチートに入らない(松明メラメラ)。

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