プリミティブ・ンホアヘェ!   作:罪袋伝吉

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 待っていた方がいたかどうかわかりませんが、よろしくお願いします。

 仕事の都合でバタバタしてました……。





ラテン系ヘッズ

 

 朝起きて身に覚えもねーのに横に裸のおなごが寝ていて驚くなんぞ、ラノベでは有りがちなシチュであろう。

 

 とはいえ俺は特に、取り立てて驚きはしない。慣れているからだ。

 

 俺の人生では、朝起きて裸の女がいることなどよくある事でありそれと同じ頻度でいたはずの女が朝になるとベッドからいなくなっていた事もよくある事なのである。

 

 抱いた女の数?お前は今まで朝に食ったパンの枚数を覚えているのか?

 

 って、すまん。俺は関係を持った女性を忘れるような不義理な男でいたくないし、朝ご飯こそ1日の要のご飯だ。パンの枚数は忘れても……ってか、パンよりは銀シャリに味噌汁がええなぁ。何年食ってないんだろうなぁ、米の飯。何粒食ったかなんてのはわかんねーけどとにかく飯には感謝していただかねばならぬのだ……って、いやそうじゃない。つまり、あー、なんだっけ。寝起きで頭が回んねーなぁ。

 

……ああ、女が寝床にいても驚くような事はない、っつー話だ。どうも腹が減っているのと寝起きで話が逸れてしまったでは無いか。

 

 毛皮の掛け布団を捲って確認してみる。俺の隣で寝ているのはルカだった。

 

 驚きはしないが呆れはする。つうかなんで居るのだコイツは。

 

 思い切りふにゃけた寝顔でやたら幸せそうによだれ垂らしとるぢょしこぉせぇ、いやアホぢょしこぉせぇだ。全裸で大の字お股ぱっかーっとしているその様は、なんつうか野良猫を保護して飼ってたら途端に野生を忘れてふにゃけたっつー感じである。

 

 しっかしいつの間に俺の寝床に潜り込んだのやら。つーか猫系なのか?このギャルは。

 

……しっかし、ギャル系って奴はなんかスタイルがええのが多いがルカもなかなか良いのだ。若いから肌の張りも良いし、乳の形もええのう、ううっ、じゅるり、ってそうじゃねぇ。

 

 つか、忍び込まれたのに起きないのは問題だろ、俺。というかニンジャとしてどうなんだっつー話だ。

 

……昔から殺意とか敵意を向けられれば臨戦態勢になるのに、無害な相手なら起きないし反応したりしねーんだよなぁ、俺。

 

 つーか、無害なぁ。

 

 いや、この身体は無害じゃねーなぁ。成人男性、それも溜まってる男には有害な身体してからに。あー、ヤりてーなぁ。ヤらねーけどなぁ、っきしょう!ちんこに有害だろコイツ!

 

 うーむ、しかしこのまま全裸のルカを俺の寝床に寝かせておくっつーのは俺の精神的にもヤベーが他に見られたヤバいよなぁ。つーか、とくにスージーに見られたらまた小型拳銃を突きつけられかねん。

 

 俺はベッドからルカを起こさないようにそっとベッドから出て、床に散らばるルカの服を拾い、シノビの技を使い、これまた起こさぬように服を着せた。

 

 つーかスケスケT-バックなんて履きおってからに。つか陰毛がエロい感じに手入れされとってなんだかなぁ。このJKビッチが。いろいろはみ出してパンツがパンツの役目を果たしておらぬ。

 

……マカロンを縦にしたようなアレとか菊の御門すら隠し切れてないぞ。いや、見せるためのパンツか。安心してください、パンツ履かせましたよとは言えぬな、これは。

 

 はぁぁぁぁっ、と溜め息を吐きつつ掛け布団を掛ける。ちんこに有害なものは隠すに限る。

 

 と、外からなんかスージーの声が聞こえた。

 

……一人足りない、どこへ行った、とかなんとか。

 

 教師の吉水とか野間の声もするから、みんな起きてきたのだろう。

 

 はぁ、めんどくせーなぁ、と思いながら俺は寝室を出てリビングに毛皮を敷いて昨夜はそこで寝ていたように工作した。

 

 なんかいきなりルカが寝床に忍び込んで来たので、ルカを寝床に寝かしつけた後で俺はリビングで寝ていたーとか言えるようにである。

 

 よいしょっと毛皮にくるまって壁にもたれて目を閉じる。実際にここで寝ていたという形跡を残すため……いや、なんかドカドカドカドカという足音が聞こえてきた。この足音はスージーのパンプスの音である。間違いない。

 

 つーか、一直線にこっちに来るとかマジ有能エージェントだな、スージー=サン。

 

 足音はこちらに近づいており、そうこうするうちに、家の木の階段をダンダンダン!と力強く上がって、そして、

 

「ハラさん!起きている?」

 

 ドンドンドン!と戸を叩いてきた。つか、すげぇ力だな。

 

「ったく、あんまし叩かないでくれ。つかその戸は引き戸……スライド式だ。横に……」

 

 開けろ、という前にガラッと戸が開いた。

 

「ハラ、女の子が一人足りないのよ。ミス利根川!朝起きたら一人居なくなっていたの!」

 

 ズカズカと入り込み、リビングで毛皮にくるまっている俺の所まで来た『ハラさん』とさっきまで呼んでたのに今、さん付け無しで呼んだ辺り、焦っとるのう。

 

 つーかなぁ、起きんの早ぇえぞオマエ。あと顔くらい洗えよ。慌てていたのかもしれねーけどさ。化粧落とさないで寝ただろオマエ。

 

 そんなことを思いながらも俺は眠そうで面倒臭そうな顔を作り、頭をボリボリと掻いて、

 

「早朝から騒ぐなよ……。ったく、ルカなら俺の寝床を占領しやがった。おかげで俺はここで寝る羽目になって散々だ」

 

 欠伸をしながら、背骨を伸ばしてべきっごきっと鳴らしつつくるまっていた毛皮をのけて立ち上がる。

 

「いちちちち、あ~クソ、背中が痛てぇ」

 

 スージーはそんな俺をジトーっとした目で一瞥し、

 

「……まさか、性的な交渉をしたんじゃないでしょうね?」

 

 と、疑いの眼で見て来たが、実際何もしてないのだ。疚しいことなど何一つもありはしない。俺はだるそうに、

 

「するか。ガキなんざお呼びじゃねぇよ」

 

 と答えた。

 

 いや、他の奴らがもしいなかったら性的な交渉はしてたんじゃないかなーとは思うが、そんな事を俺が言うわけは万に一つもございません。

 

 だがスージーはそんな俺の言葉を無視するようにズカズカと俺の寝室へと進み、戸を開け入り、掛け布団を捲り、さらにルカのスカートをめくってじろじろとパンツを見て、

 

「……ああ、確認した。しかしなんて下着よ、これ」

 

 と呆れたように言った。まぁ、それは俺も思った。しかしスカートの中身なんぞ知りませんよ、という態度をとっておく。

 

「いや、そこまで確かめんでも……って、なんだそのパンツ。」

 

 と、顔をしかめる。

 

 まぁ、スージーに対しては怪しまれぬように演技をするほかない。

 

「……ガキの履く下着じゃねーな。ヒモじゃねーか」

 

 溜め息混じりにボリボリ頭を掻き、視線を外して俺はリビングの方に引っ込んだ。

 

「ええ、イタリア製、高級娼婦御用達のアンダーウェアよ。……日本の女子高生の流行なのかしら。あまり良い趣味とは言えないけど」

 

 イタリア製とはなぁ。つーかあまり良い趣味じゃない?いや、最高にエロいじゃないか。

 

……まぁ、ルカみたいなのがイチゴパンツとか猫さんとかクマさんとか履いてたら多分、まだ子供だなぁ、とほのぼの出来てムラムラしなかった……事もないか。それはそれで罪悪感と共にムラムラ……いや、げふんげふん。そう思うも、

 

「知らん」

 

 と俺は興味なさそげにそう言った。

 

 しかしヒモパンツなぁ。吉原の馴染みのアケミちゃん辺りに履かせりゃもっとエロいかも、とか内心思い、だがアイツだと肉々しいビラがはみ出しビラビラになっちまうなーとも思った。まぁ、そういうのも嫌いじゃないが。

 

「というか、ソイツ、とっとと起こしてくれるか?俺はお前らの朝飯をとっとと作らんといかんのだ。つーかやらねばならんことが増えて俺も忙しい。あと問題が山積みだしな……」

 

 はぁぁぁっと、溜め息混じりに俺が言ったその時、突然外から魂消るような化鳥の如き、否、そのものが、それも拠点の近くで大きく鳴き叫んだ。

 

『ぐぎゅおおおおおおおおおっ!!』

 

 全ての者の魂すら凍らせるような恐ろしげなこの絶叫にも似た鳴き声。

 

 間違いない、これはこの世界における最強生物の一角、空の覇者『ルフ鳥』の鳴き声だ。

 

 俺はその鳴き声を聞くや否や、素早くリビングへ移動し、バババッと壁に立てかけてある装備一式を一瞬で取って身につけ、サーベルタイガーの兜を被った。

 

 これが特撮や某アニメイシヨンなら格好良く変身バンクが入るのだろうがこちとらリアルニンジャである。不思議なパゥワーなんぞ持ち合わせていない。つか、この格好は別にニンジャ装束などでは無いしな。

 

……つか、こんな目立つ格好のニンジャなんぞいてたまるか。実際、現代のニンジャなんぞスーツ姿でなんぼ、という連中が大半なのである。

 

「え?ええっ?!ちょっとハラさん?!」

 

 目にも止まらぬ俺の早着替えを見て目を丸くしているスージーなど俺は放って鳴き声が聞こえた方角の窓へと向かい、弦を外していた対ルフ鳥用複合弓に再び弦を張りつつそこから外を伺った。

 

『ぎゅおぉぉぉぉ!!ぎゅおぉぉぉぉ!!』

 

 拠点のすぐ近くの上空にルフ鳥が下の森の中を何か探すように飛んでいた。鳴き声からかなり怒り狂っている様子で、その翼の羽ばたきも荒々しい。

 

「あの鳴き声は……マジでキレてやがるぜ」

 

 ルフ鳥は獰猛とはいえ生態系の頂点であり、さほどキレるような自体はまず少ない。

 

 キレるとしたら命知らずな小型ラプターが巣から卵を盗んだとか、狩ろうとした獲物から必死の反撃を食らって傷つけられたとかそんな所だろう。

 

 まだ若い個体だ。大きさも完全に成長したルフ鳥のそれではなくおそらくは生まれてまだ一年かそこらの個体だろう。つまり、キレやすい年頃のルーキーって奴だ。

 

 飛んでいるルフ鳥の片目が潰れ、血を流しているのが見えた。なるほど、獲物から反撃食らって目を潰されたか。

 

 ふむ、なんとも厄介な事だと俺が思ったその時、パンッ!と何か癇癪玉が爆ぜるような音と共にルフ鳥の頭を何かが掠めて羽毛の束が弾け飛んだ。

 

……拳銃による射撃である。

 

 音から察するにあまり威力の無い、小口径の銃だろう。しかし残念ながら命中してはおらず、掠っただけだ。

 

 ルフ鳥は弾が飛んできた方を向き、『見つけたぞこの野郎』とでも言うように『ギャアアアアアッ!!』と叫び鳴き、そして翼を大きくはためかせて空中で一瞬止まる。

 

 ルフ鳥の視線の先には、一人の女が立っていた。右手に小型拳銃、左手には先を尖らせたただの長い木の枝を持ち、それを槍のように構えている。

 

 血まみれの顔に決死の表情を貼り付かせ、それでも獰猛に笑っている。

 

「K,moooon !!」

 

……あの目は命を捨ててまで何かを守ろうとする目だ。

 

 女がそう叫ぶのと同時にルフ鳥が女目掛けて突っ込ももうと高高度に舞い上がり、そして体勢を整えた。

 

「決死の血闘ってか?」

 

 ルフ鳥の突っ込む速度と質量を舐めては行けない。つか、確かに空を飛べるとは言え、ルフ鳥の体重はだいたい100㎏を超える。そんなもんが高高度から猛スピードで突っ込んで来るのだ、槍で殺せたとしてもその勢いは殺せず、足の爪に貫かれて殺される事になるだろう。

 

「ノーッ!!サラ、ラーーーン!!(ダメだ、サラ、逃げろ!!)」

 

 それを俺の後ろから見ているスージーが叫ぶ。まぁ、普通に考えればあの女はスージーの部下なのだろう。

 

「だが無駄な覚悟にしてやる」

 

 俺は窓から身を乗り出して弓を構えて素早くしかし力一杯に弓を引き絞り、

 

「フライドチキンになれぇぇぇっ!!」

 

 と叫びながら思い切り矢を放った。

 

 いや、いい必殺技っぽいかけ声がとっさに浮かばなかったのでとりあえず食いたいモンを言っただけである。放った後で『ゴッドゴーガン』って叫べば良かったな、と思ったがまぁ、どうでもいい。

 

……つうかルフ鳥は食えんのかな。

 

 一瞬そう思ってしまったが、それくらい放った矢には自信があった。

 

 バスっ!と俺の撃った矢は俺の狙い通りルフ鳥の翼、それも骨の腱の辺りに深く刺さる。

 

 鳥の翼を支える重要な筋腱を断たれて飛べる鳥などいない。ぺきんと音がしたと思えば、ルフ鳥の翼はあっさりとあらぬ方向に折れた。

 

「翼あるもの、翼を折られれば墜ちるしかない」

 

 翼が折れたルフ鳥は揚力を失い空中でバランスを崩し、突っ込んだ速度のまま錐揉みしながら墜落し、女の近くの大木の幹に激突した。

 

「グゲェェェェェェ!!」

 

 グッシャアアッと嫌な音がここまで聞こえたが、とはいえまだトドメは刺せていない。

 

「ショギョムッジョ。空の覇者も翼が折れればただの鳥よなぁ」

 

 ナーム、と拝みつつ真理じみた事を言いつつ、俺はスージーに向き直った。

 

「ほれスージー、ぼさっとしてんじゃねーぞ。ほれお前の部下を救助に行くとしよう」

 

 俺は弓を肩に担ぐと、スージーを連れて外へ出た。

 

……なお、ルカはこの騒ぎでも起きることなく、大股開いてすぴょぴょぴょ、とまだ寝ていた。

 

 意外と大物かも知れんな、このJKは。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 南の外壁の外からスージーを伴って着けば、スージーの部下が槍をルフ鳥のわき腹に木の槍をぶっさす所が見えた。

 

『グゲッ……』

 

 まぁ、高いところから墜落して大木の幹に頭から激突してもう死に体だったようだが。

 

「Fooooooo!!」

 

 トドメさした女が、ガッツポーズで雄叫びを上げてた。つうかキャビンクルー、つまりスチュワーデスの格好したねーちゃんが噴き出す返り血塗れになりつつアマゾネスみたいに雄叫び上げてんのってかなりシュール過ぎるが、まぁ無事なようでなによりだ。

 

「『ワイズマン曹長!』」

 

 スージーが部下に駆け寄った。

 

「『スチュワート少尉!ご無事でしたか!』」

 

 スージー達が英語でお互いに呼び合う。

 

 ワイズマン曹長と呼ばれた女はルフ鳥を仕留めた槍から手を放し、スージーの前に出てビシッとキチンとした敬礼をした。崩れた海軍式ではなく正式な敬礼だった。

 

 ぶるん!と豊満な胸が揺れた。

 

……ぬぅ、その胸は実際豊満!だが返り血まみれで台無しだのう。スプラッターはあまり好きじゃない。うーむ、血塗れ乳、なぁ。どうせならローション塗れ乳のが好きだぞ。エロいから。

 

 俺はサーベルタイガーの兜の下で気取られぬようにワイズマン軍曹の姿を見た。

 

 髪の毛も血まみれになっているが黒に近いブラウンでウェーブがかかっている。顔立ちと体型からラテンアメリカ系だろうか。ややたれ目がちで人懐っこいような印象を受ける。無論美人だ。

 

 だが、身のこなしはかなりの手練れのように見えた。それにルフ鳥に相対し、護衛対象を守るために命を投げ出してでも差し違えようとするあの胆力と覚悟。

 

 間違いなく戦場で叩き上げられた兵士に違いあるまい。

 

 スージーとワイズマン曹長は抱き合……いや、抱きつこうとしたワイズマン曹長をスージーが避けた。

 

「『抱きつかないで!アナタ血塗れじゃない!』」

 

「『えー?良いじゃないですかぁ、つか少尉だって……って、あれ?つーかなんか意外と小綺麗じゃないですか?つか、そこの塀の中から来たように見えましたが、飯とか風呂とか洗濯とか出来る感じですか?そこ』」

 

「『風呂は無いわ。拠点の中に水場というか小川が通っているのよ。小川で盥と洗濯板を借りて洗ったわ』」

 

 盥も洗濯板も貸した覚えはないが、おそらく水路の所に放置していたのを勝手に使ったのだろう。

 

 まあ、盥と洗濯板を置いていた所なら問題は無いが、水路で洗うときはトイレより上流で洗わないと実際ばっちぃ。なんせトイレから汚物流れてくるからな。

 

 つーか、むぅ、みんなにも注意しておかないといかんな。それにやはり風呂場も作らないと衛生的に不味いか。いや、トイレも増設しなければ絶対、朝に取り合いになるだろうし、それに伴い上水と下水を分けて工事せやゃなるない。

 

 結局は拠点の敷地を広げねばならず大規模な拡張建築を行わねばならん、という話にループする。頭が痛い。

 

 しかしワイズマンなぁ。ワイズマンと言ったら伍長なイメージがあるんだが曹長でしかも女か。

 

 嘘だと言ってよバーニィ!!

  

 いや、白い悪魔的なモビルスーツと差し違えで倒した某ワイズマン伍長のように命を落とさなくて良かったな。つーか、大人の巨乳ねーちゃんは貴重な資源(?)だ。

 

 まぁ、その巨乳ねーちゃんは血まみれの姿で無理矢理上官に抱きつき、わざと服にその汚れを擦り付けるようにしてすりすりしやがった。

 

「『うぎゃーーーーっ!!』」

 

 と叫び声を上げさせていた。

 

 うむ、お茶目な性格のようである。仲良き事は良きことかな。しかし何やってんだかなぁ、こいつら。

 

 しかしなぁ、衣服に血がつくと正直落ちないのになぁ。それに、ルフ鳥の死体の血の臭いを嗅ぎつけて起きてきたのか、狼達がワンワン!ワンワン!ワオーンと壁の中から鳴いている。

 

 うむ、急がねば厄介だな。グレイ達が気付くのだ、森の中の肉食動物共も気付き始めているに違いない。

 

 とっととあの死体を拠点の中に回収せねばなるまい。それにこの羽根と革は重要な資源だし、食えるかどうかわからんが肉も回収しておきたい。

 

……つうか、肉食の鳥類は食えるかどうか微妙なラインなんだよなぁ。

 

 肉食の爬虫類、特にワニなどは臭みも無く食用に適するが、小型恐竜のラプターはその肉にひどい臭みがあり食糧にするにはかなり手間がかかる。まぁ、狼達はその臭みに全く頓着せずに普通に喰うけどな。

 

 始祖鳥に類する爬虫類と鳥との中間みたいな奴は食うところが少ないが、骨から良い出汁が出るので悪くはない。

 

 哺乳類の場合、肉食動物は大抵臭く、食うための手間はラプターよりもかかるので狼達の餌にするのが一番早い処理方法だ。

 

 なお、エテコウは食ったことも無ければ食う予定も無いので味は知らん。

 

「『はっはっは、あーすっきりしました』」

 

 ワイズマン曹長は爽やかに笑ってなんともすっきりした表情で、くりくりっとした目を俺に向けてきた。

 

「で、あの方は何者ですか?弓を持っている所を見ると、あのサンダーバードの翼を射て、撃ち落としてくれた人物のようですが……?』」

 

 なんか訝しむような、それでいて興味深々なような目である。

 

「サラ、彼はは日本人よ。英語は苦手だそうだから日本語で話して。彼はハラさん。日本人の遭難者で、三年前からここでサバイバル生活をしている方よ。私や他の生存者達を救助してくれたのよ」

 

 ワイズマン曹長は何故か胸の前で合掌すると、ぺこりと一例し、

 

「Oh!ソーデシタか!ドーモ、ハジメマシテ、ハラ=サン。ワタシはサラ・ワイズマンデス。スケダチ、カタジケ無かったデース!」

 

 と、ニンジャ・スレイヤー式にアイサツをかまして来やがった。

 

「アーイェェェ?!ナンデ?!ニンジャナンデェ?!」

 

 と、俺はネタに乗るようにワザとニンジャリアリティショックを発症したようにのけぞってオーバーリアクションをした後、

 

「ドーモ、ハジメマシテ。サラ・ワイズマン=サン。いやいや、なんとか助けられてなにより」

 

 と、やはり合掌してアイサツを返した。

 

「アハハハハハ!ニンジャスレイヤー、お好きデスか。ハラさんとは趣味が合いソーです!マァ、かなり間違ったジャパンな物語デスが、アレはアレで面白くて大好きデース!アハハ、ワタシはサラと呼んでくだサーイ」

 

 むぅ、こんなところでヘッズ(ニンジャヘッズ、つまりニンジャスレイヤーのファン)に出くわすとは。

 

「ええ、ジッサイ日常でもついつい『ワッショイ!』とか『イヤーーーッ!』とか言ってしまったりしてね……。って、む?」

 

 ガサガサッと、向こうの茂みからなんかひょこっとなんか女性が頭を覗かせているのが見えた。つーか顔が泥だらけ、というかワザと泥を塗りたくったのか、服までも泥にまみれている。

 

「あちらの人達は……生存者、か。ふむ、ルフ鳥は嗅覚が鋭い。なるほど、泥で臭いを消したのか」

 

「ええ、ワタシはアレをサンダーバードと呼んでマシタが、目も嗅覚も良くてなかなか逃げられませんデシタ。なので泥にまみれてもらったのですが……」

 

 サラは苦笑しつつ、茂みに隠れている生存者に手を振り、

 

「モウ大丈夫デース!出て来てイイデスヨー!」

 

 と合図を送った。

 

「うへぇ……日本、帰りたーい……」

 

「うぅっ、お風呂入りたーい」

 

「お腹空いた……」

 

「はぁ……、というかサラさん、無茶しないで下さいよ……」

 

 ヘロヘロ、というかお疲れ重点、といった感じで四人が出て来た。なんとなくマッドマンという言葉が出てきそうなくらいに泥まみれだ。

 

「……まあ、とりあえずは俺の拠点の水場で、みんな洗おうか。あと、朝飯を用意しよう。とりあえず、俺はこのルフ鳥の死体を片付けてから行くから、スージーさん、案内を頼む」

 

……こうして、また五人の生存者達が俺の拠点に加わる感じだが。

 

 俺のがこれからオツカレ重点だよな。これ。

 

 俺はこれからの労働を思い、ため息を盛大に吐いたのだった。

 





【ルフ鳥】

 伝説の巨大猛禽類。千夜一夜物語に出てくるロック鳥から主人公はルフ鳥と呼んでいる。なお、今回はまだ若い個体で体躯はまだ小さかったため、なんとか倒せた。

【サラ・ワイズマン曹長】

 元陸軍出身なラテン系アメリカ人。ニンジャスレイヤーヘッズでもある。正しい日本文化を正しく理解しているが、しかし妙な物語も結構好きでわざと間違った日本文化的なものを時折出してくることもある。

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