プリミティブ・ンホアヘェ!   作:罪袋伝吉

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人類、始まる。

やはりヒロインがいないと話が進みません。

つーわけで人間の女の子登場(無節操)。


じょしこぉせぇ。

 

 大量の黒曜石の欠片の入った籠を担いでえっちらおっちらと拠点まで帰って来たら、拠点の外に仕掛けたブービートラップにエテコウが大量にかかっていた。

 

 奴ら、俺が不在だと思って拠点に襲撃を仕掛けてきたらしい。

 

 相変わらず抜け目が無いが、しかし間抜けな事だ。

 

 我が拠点は人間文明の砦だ。何の対策も施してないとでも思ったのだろうか……って、考える脳みそなんぞエテコウに求めてはいかんだろう。なんせ奴らは道具も作れないし火もまだ得てはいない類人猿なのだからな。

 

 外に仕掛けられたブービートラップの数々にはざっと数えて十数匹のエテコウがかかっている。

 

 おーおー、ベトコン式トラバサミ(板の部分を踏み抜くとスパイクの付いた板に足を挟まれてしまう罠)で足をやられたエテコウやら、バネ式スパイクウォール(罠に足を踏み入れるとバネの留め金が外れて無数のスパイクのついた壁が跳ね上がってぶっささる罠)に磔になっとるエテコウやら、落とし穴の底で杭にぶっささってるエテコウ共が死屍累々。

 

 拠点の外壁の壕の溝に並んだスパイクに身体を貫かれて死んどるエテコウの死体が七匹ほど。見ればどれも手や足の表面に鋭い刃物で切られたような痕があるが、それは外壁の漆喰に埋め込んでおいた黒曜石の鋭い欠片のせいだ。

 

 エテコウは身軽で敏捷性に優れている。ただスパイクを壕に仕掛けたところで器用にそれを足場にして乗り越えるわけだが、壁に手をかけて登ろうとした途端にその手は壁の上の方に埋め込んだ黒曜石の刃に切り刻まれる事になり、落ちて自ら壕のスパイクにぶっささった、というわけである。

 

 それは外壁の漆喰についた血のシミからも見てとれ、さらに黒曜石の刃に切断されたエテコウの指が引っかかっている。

 

……あとで掃除すんの大変なんだよなぁ。つーか血の匂いでラプター系やら虫が寄って来たりしたらいかんし。

 

 深い森の、木々が密集した場所には巨大な恐竜は入ってこないが、小型のラプター系の恐竜や腐肉を食らうような猛獣は棲息している。とはいえそういう奴らは拠点の壁を乗り越えては来れないのでまだ大丈夫なのだが、むしろ虫系、特にデカいゴキブリなどの虫が寄って来るのが最悪である。奴らはどこからでも入って来るし腐肉どころか貯蔵庫の食糧にも被害を与えて来るのだ。

 

 しかし深い森でしか人間はサバイバル出来ないんよなぁ、この世界では。というか、草原では巨大な恐竜や大型肉食獣だらけ、海には首長竜やサメやら海トカゲ、デカい川にはワニやら淡水性の補食生物がおるのだ。森の猛獣の方がなんぼかまだ対処できる範囲……それでも脅威なのたが……なのである。

 

 人間の俺とエテコウ共の生存可能域が森になるのはそういう事であり、森からあんまし出れないのは森の外の大型生物が脅威的過ぎるからなのだ。

 

 つうか『上手に焼けましたー』とか昔ゲームであったが、恐竜なんぞ白兵戦で狩れるようなモンでは無いし、前も言ったかも知れないがイノシシですら狩るのは困難……というか、この世界のイノシシはジブリアニメのイノシシキャラみたいにデカくて、弓矢じゃなかなか死なないのだ。つかエテコウ共以外の大抵の動物はわりと大きめなのだ。

 

 ま、それはさておき、エテコウ共の始末である。

 

「ふむ……。トラバサミに掛かった奴と吊し罠に掛かった奴以外は死んどるか」

 

 俺は弓を背中から取るとトラバサミに足を突っ込んで逃げられなくなったエテコウに矢をおもむろに撃った。

 

 ドスっという音と共に屋はエテコウの心臓にクリーンヒット。三年も弓を使ってりゃ上手くもなる。

 

 次に吊し罠に足を取られてもがいているエテコウに矢を放とうと弓をつがえるが、ん?んんんん?

 

 俺は首を傾げ、そして矢を収めた。

 

 いや、そのエテコウはボロボロだが布の服と思しきものを身に着けており、よくよく見れば腕にブレスレットのようなもの、いや、泥まみれになっているが腕時計だ。間違いない。それに服も泥まみれだが、よく見れば女子高生的なデザインの、それは、せ、せ、せ、せぇらあ服?!え?え?え?エテコウじゃない。乳が出てる!おっぱい!そう、人間だ!

 

 しかもっ!!

 

「じょ、じょ、じょしこぉせぇ?!」

 

「原始人に殺されるぅぅぅ!!やめて私にあたし美味しくない!!食べられたくなーーーい!!」

 

 しかもわめいている言葉も日本語である。

 

「ヒロイン、キターーー!!ヒャッハーーーっ!!」

 

 俺は思わず手の槍を掲げ、

 

「うほーっ!うほほっ!うほほっ!うほほっ!じょしこぉせぇ!!」

 

 と吊し罠の周りで小躍りしてしまった。

 

「キャーーーッ!キャーーーッ!!やめて嫌ぁっ、原人来ないでぇぇーーーっ!!」

 

「ひーっひっひっひ、おなごじゃおなごじゃ人間じゃーーーっ!ちちしりふとももーーーっ!三年目にして言葉がしゃべれるヒロインキターーー!!わはははははは、今日は宴じゃーーー!!」

 

 どどすこどどすこどどすこどどすこどどすこ。スピアを上下に振りつつ、どどすこどどすこどどすこ。

 

「いーーーーーやぁぁぁ!!」

 

 森にじょしこぉせぇの叫びが響いた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「……オジサンさぁ、人間だったら早くそう言いなよぉ。つかマジ原人ルックしてっからわかんねーってか怖かった!」

 

 じょしこぉせぇはギャルだった。髪の毛ストレートで黒な清楚ギャルか。

 

 ぷりぷり怒りながらも俺が出してやった芋スープをがっつきつつ、野生のトウモロコシを挽いた粉と草食トカゲの卵で焼いたコーンブレッドを頬張っている。

 

 よほど腹が空いていたのだろう、土鍋の芋スープはもう空だ。つかよく食うなコイツ。

 

 宴だー!とかいいながらそんなもんしか無いのはスマンと思うが、そもそも俺は元の世界で料理なんぞしたことなんぞ無かったのだ。この世界に来て焚き火で肉を焼いたりなんだりから初めて三年でようやく料理らしきものを作れるようになったが、まぁ、最初に比べてわりと美味くなったと自負している。

 

……人に食わすのは初めてなのだが問題なくて一安心だ。

 

「いや、すまんすまん。この世界でようやく人間に出会えてテンションあがってな。ハハハハハ」

 

 俺は狼達に先ほど罠にかかって死んでたエテコウ共の肉……無論、じょしこぉせぇに見られないように解体した……を与えつつ、頭を掻いた。

 

 狼達は俺が拠点に入れたじょしこぉせぇに最初は警戒して「グルルルルルっ」なんぞと唸ったりもしたが、じょしこぉせぇに肉の入ったエサやり用の器を持たせて出させ、仲間なのだと教えると普通になった。

 

 現金なもんである。

 

「しっかしその犬達でっかいねー。つかモフモフじゃん?」

 

 さっき唸られてビビってた癖にすぐにあっけらかんとしている。うむ、ギャルだな。それもアホなやつ。

 

 まぁ、それでも日本語で会話が出来るのはありがたい。ところどころ俺の理解出来ないギャル語が出て来たりするが、それでもエテコウ共とは雲泥の差といえよう。

 

 じょしこぉせぇギャルの名は、利根川瑠華(とねがわ・るか)。女子高生ではあるが留年して現在18歳らしい。ふむふむ、留年して18歳。いいではないか。

 

……これで『この物語に出てくる人物は全員18歳以上です』と18禁なエロゲーのごとく言える!条令にも抵触しない!法律的にもなんとかなる!ぐひひひひひ。

 

「コイツらは狼の原種だ。というか犬はこの世界にはまだ出現していない。元々は凶暴な奴らだが、なんとか飼い慣らすのに成功した。だが野生を失ってないから不用意に触ろうとするなよ。ガブリとやられても俺は責任持てんからな?」

 

「おおー、狼!かっけーじゃん!」

 

 ルカのその声に、狼のリーダーのグレイ(母狼)がチラリとルカを一瞥し、尻尾をやや振る。

 

 あ、なんかルカの事を気に入ったっぽいな、これは。

 

 この母狼と俺の出会いは偶然だった。

 

 普通は狼は群れで行動するものだが、この母狼は傷だらけで単体で俺の拠点近くで倒れていたのだ。

 

 俺は昔に犬の繁殖をしていた祖父母が飼ってたハスキー犬達を思い出して放っておけず、まだ作りかけの拠点の中に母狼を入れて保護し、世話をしてやった。

 

 なお、グレイという名前は灰色の毛から名付けた。仔狼たちはなんか黒い毛なので多分、グレイの番の狼は黒い毛をしてたのだろう。

 

 なお、グレイという名前は灰色の毛から名付けた仔狼たちはなんか黒い毛なので多分、グレイの番の狼は黒い毛をしてたのだろう。

 

「かっけーだろ?ここの守りだ。頼もしい奴らさ」

 

 俺も狼たちをそう言われてちょっと気分がいい。いや、元の世界では現役のコギャルとは接点はなかったが、なんかコイツ、善い奴かもな。

 

「で、ルカ。お前なんでウチのエテコウ用の罠にかかってたんだ?つうか他に人間は?」

 

「…………」

 

 さっきまで明るかったルカの顔が曇った。

 

「あたし、いや、あたしら」

 

「ら?ふむ、ということは他にも人間がいるのか?」

 

「わかんない。あたしら修学旅行でワイハーに行く予定だったんだ……」

 

 ワイハー、とはハワイの事か。ふむ?

 

「でも、飛行機、海に落ちちゃったんだ……」

 

………異世界転移、あるあるパターンその一、事故で転移かよ。

 

 俺はうーむ、と唸った。

 

 ルカは自分の身に起こった事を話してくれたが、なんかこの娘、頭悪いのか説明が下手なのかどうも状況が理解しにくかった。いや、突然の事故と異世界転移に巻き込まれて整理がついていないだけなのかも知れないが、コイツの話を俺が理解するにはかなりの根気が必要だった。

 

 まぁ、なんとか要約して理解できた事は。

 

①ハワイ行きの飛行機が海に落ちた。

 

②なんとか救命ボートで沈む飛行機から脱出。他の救命ボートも幾つか浮かんでいた(つまり他の生徒や飛行機会社の人間も脱出できた)。

 

③いきなり他の救命ボートがデカいワニのような頭を持つ怪物に食われた(圧搾空気式のビニールボートを丸ごと食えるのは、おそらく首長竜かモササウルス的な水棲恐竜か爬虫類だろう)。

 

④慌てて先生達がオールで近くに見えた陸地へとボートを漕いで、何隻かの救命ボートが浜辺に到着。

 

⑤ボートにあった緊急用のサバイバルキットの中のテントを浜辺に張ってなんとか夜を明かそうとしたが、やはり大きなトカゲの襲撃にあって、若い男性教諭や生徒の何人かが食われた。

 

⑥そこから数人、森に逃げたが、走るダチョウみたいなトカゲ(おそらくラプターだろう)に途中で襲われ、日が登る頃にはキャビンアテンダント一人とルカの友達の女の子四名しか生き残ってはいなかった。

 

⑦しかし、森の中で猿にキャビンアテンダントとルカの友達は襲われ、ルカ以外は攫われてしまい、そしてなんか建物が見えたから助けてもらおうとここへむかい、そしてトラップにかかってしまった。

 

「……なるほどなぁ。怖い目にあったな。しかしかかったのが吊し罠で良かった。他の必殺型の罠や虎ばさみだったら死ぬか足を失ってたぞ」

 

 話しながらひっく、ひっくと涙で顔をベチャベチャにしたルカにそういうとめちゃくちゃ睨まれた。

 

「普通、あんな罠なんてしかけねーし!危ねーし!」

 

「いや、そう言われてもなぁ。罠が無けりゃ、ここでは襲われて殺されるんだ。……ここは俺達が生きていた世界じゃない。太古の恐竜や滅びた危険な生物が跋扈する異世界なんだ。人類だってまだ発生していない。君の友達を攫った猿も正しく人類に進化する道に入り損ねた類人猿だ」

 

 俺はルカにこの世界の状況について説明しはじめた。

 

 説明しながら、攫われたキャビンアテンダントや女の子達についても考察する。

 

 エテコウは殺したのではなく攫ったという辺りがちょっと引っかかる。女を攫う。エテコウが。

  

 うーむ。何故にエテコウが女を攫って行ったのかわからんが、攫ったということはまだ生きている可能性は高いということである。

 

 これは、ヒーローになる時が来たかもしれん。助ける事が出来れば俺様好感度超アップ、ハーレムまっしぐら。

 

 とはいえ、どの群れのエテコウに攫われたのかがわからんからなぁ。

 

 まずはルカの話をもっと詳しく聞いて見ねばなるまい。





・主人公の独り語りがなんか精神やられてる人みたいになって行くのが止めらず(精神病んでた時の自分を見てるみたいで)嫌になったんで、女の子出してみました。

【利根川ルカ】

・見た目清楚系、話し方ギャルな女子高生。ただし留年(理由は学校サボリ過ぎて出席日数足りてなかったから)。彼氏居ない歴一年。非処女。かなり割り切るタイプ。

・属性は、頭悪い系脳みその皺がツルツルギャル。

・スレンダーだが胸はD。尻はわりと大きめ。

【次回】

 『ハジメのエテコウ講座(予定)』

 あんまし面白くない気がする。

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