プリミティブ・ンホアヘェ!   作:罪袋伝吉

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・誤字脱字訂正ありがとうございます。

・需要あるのかどうかわかりませんが、続きです。

・ヒロインが増えるよ!でも好感度はマイナスだよ?あと怖がられちゃうよ?シカタナイネー。


生存者三人~好感度多分マイナス。

 

【西南の浜辺】

 

 俺はまず先にルカ達が救命ボートで上陸したという西南の浜辺に来ていた。

 

 生存者の捜索と言うよりは貴重な物資を調達するためである。

 

 この西南の浜辺は比較的に他の浜辺と比べて出現する危険生物の種類は少なく、ラプター系の小型恐竜くらい……と、言ってもラプター系の小型恐竜と遭遇すれば正直命が無いのは間違いはなく、それが証拠に浜辺には無数の人間の無残な死体が転がっている。

 

 危険生物であるラプター系小型恐竜の群れに襲われた、哀れな被害者のなれの果てだ。

 

 ラプター系小型恐竜は群れで行動しそして獲物を連携して狩る、言わば爬虫類に置けるハイエナのような立ち位置にある捕食生物である。

 

 ここに救命ボートでたどり着いた被害者達……えーと、なんたら女学院……なんか名前が出て来ないが、ようするに女子大の付属の高校だ……の生徒と教師達はある意味、最悪のタイミングでここに来てしまったと言える。

 

 この西南の浜辺に出没するラプター系小型恐竜は変温動物である爬虫類に近いタイプであり、別種の羽毛が生えた鳥に近い恒温動物のラプター系小型恐竜とは違い、気温が下がるとトカゲのように体温が上がりにくくなり、動きが緩慢になる。

 

 折しも今は雨が多い時期であり、三日三晩続いた大雨によって下がった気温により奴らは俊敏に動けず、満足に獲物を狩ることが出来なかったのだが、ようやく昨日、晴れてしまったのだ。

 

 太陽光で気温が上がり動けるようになった飢えたラプター共が、餌の大群を目にしたならばどうなるか。

 

 その結果が俺の目の前に広がる、この凄惨な光景である。

 

 浜には流された血が大量に染み込み、性別すらもわからぬほどに食い荒らされた死体が大量に転がって横たわり、テントから何から何まで蹴散らされ、いかに奴らが暴れたのかを物語っている。

 

「容赦ねぇな……」

 

 飛行機の墜落事故も無く異世界転移にも巻き込まれずにハワイに着けていれば今頃は修学旅行なんぞという学校生活での一大イベントを満喫し、キャーキャー言ってたはずの子供達が、無惨にも喰われて貪られて、その死体には鳥やカニ、虫などが集ってラプター共が食い残した肉を啄んでいる。

 

 すでに死体が腐臭を放っており、うっかり吸い込むと吐き気がこみ上げて来そうだ。

 

 諸行無常。女子高生とて死ねば骸になりにけり。

 

 俺は死んでいった者達に合掌した。人として俺に出来るのはそれぐらいしかない。

 

 埋葬をしてやる時間は無い。

 

 ラプター共は今、腹を満たして巣に帰っている。この時間を有効に使って必要なものを回収せねばならない。

 

 それに死者に裂く時間があったら生きている者に使うべきであり、この後、俺は生存者の捜索をせねばならんのだ。

 

 行動は早急に迅速にせねばならん。

 

 いや、だったら浜辺になんぞ来ないでさっさと森の方を探せよ、と思うかも知れないが、人間の文明の利器はサバイバルに必要だ。

 

 重要度では確かに人間を優先すべきだろうが、この浜辺の物資は安全に回収するチャンスは今しか無い。

 

 そう、ラプターがたらふく人間を食って動けない今しか無いのだ。

 

……ひどい話だが俺は生き残るためならば死体漁りだってやる男なのだ。今回、初めて死体漁りをやるんだけどな!ちくしょう。

 

 情けなくて涙が出るが、歯を食いしばって死体漁りをする。ひどい腐敗臭の中、吐き気を我慢するのが大変だ。

 

 教師とおぼしきボロボロのスーツの成れの果てを身にまとった死体の側に落ちていた手斧を回収し、テントの中にあったまだ未開封の『For emergencies only』と書かれた緊急時用のサバイバルセットの箱からナイフやサバイバルシート、釣り針、マッチ、固形燃料を回収し、テントのシートやロープなどを回収し、教師の持ち物とおぼしきカバンからタバコとライターを回収、その他、救急キット、薬品類、太陽光パネル付きのLEDランタン、フラッシュライト、折りたたみ式のシャベル……なかなか大漁だ。

 

 まだそれだけ詰め込んでも背負い袋の中には余裕がある。

 

 では女子高生のものとおぼしきカバンを物色しようかね。

 

 いや、これは変態的な行為ではなく、ルカや今後助ける予定の女の子達に必要な着替えや、それにとにかく『布』を回収するためである。

 

 俺のサバイバル生活に圧倒的に足りない物はいくつかある。……というよりも足りないものだらけなのだが、その中でも『布』は足りないというよりも存在していないものなのだ。

 

 なんせ、俺がこの世界に転移してきた時に着ていたスーツしか布と言えるものは無いし、布を生産する方法はまだ確立していない。材料となる綿花やカイコ蛾などはまだ発見出来ていないし、植物の繊維から作ってみたが、分厚過ぎてもはや出来の悪い敷物のような物になってしまった。

  

 はっきり言って薄くて軽い布は喉から手が出るほどほしい。

 

 つうか、俺の今のパンツは仔鹿の薄い革で作ったものだが、履き心地はともかく通気性が非常に悪くて股間が蒸れるのだ。マジで誰かデリケアエムズくれ……ってか、むぅ、なんかいきなりカバンからTバックの下着が出てきたぞ、おい。

 

「こんなん履いたら食い込んで仕方なかろうに、女と言うのはよくもまぁこんなん履けるモンだな」

 

 絶対、筋に食い込むどころか菊の紋所まで見えてしまうぞ、この紐しか無いような奴。

 

 布として使うところすら無いし再利用できんし、俺が履くわけにもいかん危険アイテムだ。魅力的ではあるが……。

 

……くんかくんか。

 

 思わず匂いを嗅いでしまうのは男のチバシガサガ。仕方ねーだろ、女のにほひなんざ、三年も嗅いで無いんだから。つか最後に嗅いだの、ソープじゃなかったっけかな。馴染みのアケミちゃんやな、うん。

 

 むっちりとしてそれでいて体型崩れてなくて気立てが良くてちょい陰がある感じがたまらんソープ嬢だったけど、元気にしとるのかなぁ。つうか親の借金返せたかなぁ。……つうかなんでそっち系の女で不幸そうな女の源氏名ってアケミが多いんだろなぁ。ドラマの被害者の女にやたらアケミとか出てくるしな。

 

 ああ、あのデカいケツにまた会いたい。つか突っ込みたい。

 

 原始時代の性欲ギリギリ○ンジン、そんな限界点に俺はあった。

 

 性欲値ーがギリギリだー。人間俺しかここにいない、ズリネタ全然ない。ズリネタどころか女いない、文明足りてない。あーっ!

 

「サバイバルはー辛いけれどーそれなりにー苦しいですー♪」

 

……使用済みTバックのかほりを吸い込みながら歌うアラサー男の図。歌っててめっちゃ悲しくなった。楽しい事なんざ一つもねぇよサバイバルには。

 

 つうか、三年前までエリート街道まっしぐらで、若手ナンバーワンの出世頭だったのになんでこんな目にあわなければならないのだろうか。社内でも社外でも、それこそ引く手数多で高めの女の子とかにもデートのお誘いとかされてたのに、なんで俺はこんな世界でおなごの下着のにほひをくんかくんかしとるのだろうな。涙が出ちゃう、だってサバイバーだもん。

 

 俺はがっくりと頭をうなだれさせ、そして目に入った、カバンにつけられた航空会社のタグにさらにがっくりとした。

 

 タグには、『Luka.Tonegawa』と書かれてあった。

 

 思わずべっしーん!と俺は地面にルカのTバックを投げつけてしまった。

 

 「どちくしょう!」

 

 いや、ルカが悪いわけでは無い。そしてにほひもわりかし悪く無い。だがなんかアイツが悪い。

 

 はっきり言ってルカを見ていると性欲とか犯してやろうかとか思う前に、人としての道をこんこんと膝詰め説教してやりたい衝動に駆られてしまうのだ。

 

 つうかアイツは飯を喰わせていろいろと話を聞いていたら所々で援交だのなんだのと言ったり、俺に対して、

 

『三年間も独りでこんなところで生きてきたんだ?……溜まってない?飯くれたし、あたしならパコパコオッケーだよ?』

 

 なんぞとあっけらかんとスカート捲って中身見せて来やがったのだ。いや、ちょっとオケケとか割れ目とかに興奮したけど!興奮した自分が情けねぇ!!

 

「あー、もうドチクショウ!!」

 

 女子高生が、たかが18年しか生きとらん分際で、そこらの安モンの娼婦みたいなビッチになってんじゃねぇ!!つかエンコー女子かよアホたれがぁ!!

 

 ええい、冷めたじゃねぇか。萎えたどころか人間として大切な何かを思い出させてくれてありがとうよ!!クソッタレ!!あームカつく!!くっそう!!

 

……人間文明を作ろうという俺の計画、特に人間の子孫を作って増やすという目的において何の抵抗もなくヤれる女というのは都合が良いはずなのになんで俺はこう、ルカに対して腹を立ててんだろう、とか思うが、だがなんかこう、ムカつくのだ。

 

 つーかムカつくって一体何回言ったっけ、俺。

 

 理由はわかっているが、それについては俺のトラウマに抵触することなので思い出さないようにする。ああ、淡い青春のドス黒いトラウマ、そんなもんにとらわれ続けるなんざごめんだ。

 

 精神衛生上全くよろしくない話なのでこれに関しては終わり!終了っ!

 

 あー、ムカついたわー。

 

 それよりもとっとと物資を回収してしまおう。

 

 俺がそう思ったその時、近くの草むらからガサッという音がした。

 

 俺は動きを止めて耳をすませる。

 

『……うっ……、楠木さんあれって、まさか』

 

『見ない方がいいわ間宮さん。予想はしていたけどみんな殺されて食べられてしまったようね……』

 

『……そんな、渚先生も花村教授も?ううっ、おぇええええっ』

 

『ああっ、吉水先生!』

 

……日本語、か。おそらく森に逃げた教師と生徒のようだ。

 

 逃げたのはいいが食料も水も何も持たずに入ってしまってどうしようも無くなり、ここに物資を取りに戻って来たという所だろう。

 

 足音は三人分。俺はその三人に接触すべくテントの外に出た。

  

「生存者がいたか!良く無事だった!」

 

 俺が三人の前に出ると、

 

「きゃああああっ?!原住民?!」

 

「原始人!!」

 

 と、なんか泥だらけのスーツ姿の教師らしき大人の女と、黒縁メガネがやや野暮ったいがなんとなく文学少女っぽい、ルカが来ていたのと同じセーラー服の少女が俺を見て叫んだ。

 

 そしてその前を、長い木の枝にナイフをくくりつけた槍を持った、黒髪のポニーテールの少女が二人を庇うようにして出、そしてその槍を俺に向けて構えた。

 

「間宮さん、先生、下がって下さい!」

 

 その構えたるやビシッと決まっており、おそらくはこの少女は薙刀などの武道を嗜んでいるのだろう、かなりの腕を持っているように思えた。

 

 あー、しまった。そりゃあこんな虎の毛皮のベストにサーベルタイガーの頭蓋骨の兜なんぞ着けて石器の槍なんぞ持ってたら、そりゃあ原始人と間違えられるわなぁ。

 

「落ち着け。俺に敵意は無い」

 

 俺は持っていた石槍の柄を浜辺の砂にザクッと突き刺して手放し、そして両手を上げて敵意が無い事を示しつつ、丁寧にゆっくり話しかけた。

 

「俺はお前達と同じ日本人だ。三年前に遭難して以来、ここでサバイバル生活をしていた」

 

 まぁ、遭難ではなく異世界転移なのだが、おそらく彼女達も状況が把握出来ていないだろうしパニックになられても厄介なのでその辺はぼかすことにした。

 

「……確かに日本語ですね。三年前からあなたはここに居るのですか?」

 

 槍を俺に突きつけ、警戒しながら黒髪ポニテの少女が俺に聞いてくる。つーか俺、今そう言ったよな?なんぞと思いつつも、

 

「そうだ」

 

 と肯定しつつ、ぢょしこぉせぇ二人と女教師か、とサーベルタイガーの兜の下で三人を観察する。

 

 ぢょしこぉせぇ、なぁ。

 

 俺にナイフを木の棒にセーラー服のスカーフと思しき黄色い布でくくりつけて槍にしたものを突きつけているぢょしこぉせぇはなんか勝ち気で堅物な印象を受ける。黒髪にロングなポニテで、目は真っ直ぐに俺を見据えている。健康そうかつやや体型は細いが身体を鍛えているのか筋肉の存在を感じる。なお、お乳は薄い。

 

 後ろで、あわわわわ、とかいう感じで不安そうに見ているぢょしこぉせぇはそいつより線が細く、こいつ飯ちゃんと食ってるのか?と言うくらいに体型が華奢な印象だ。野暮ったい黒いセルフレームのメガネがそこはかとなく文学系女子な感じを醸し出しており、知的な印象を受ける。乳はある。わりと。

 

 女教師は、ややむっちりとした太ももが大変よろしい。森で動くのに邪魔だったのだろう、タイトスカートの横を破っており、そこから見える太ももは触るとむちっ、と手が沈み込みそうに柔らかく見える。乳もなかなか大きそうで抱きついたら多分、気持ち良さげな体型だ。まぁ、油断した腹まわりは少しアレだが。

 

……うむ、やはり口説くなら大人の女だな。うひひひひっ。

 

「……俺の拠点に利根川ルカという女生徒が逃げてきた。それであんたらが飛行機事故にあってここに辿り着いたことを知ったんだ。ここは異常で危険な場所だ。ひょっとしたら生存者が居るかも知れんと一縷の望みを持って来てみたんだが……。生きててくれて、良かった。人間に会うのは俺も三年振りだからな」

 

 俺は万感の思いを込めて……若干演技もしているが……そう言った。

 

 だが、

 

「あの利根川が逃げて生き残った?悪運が強いというのかなんと言うのか……」

 

 眉間に皺を寄せつつ、黒髪ポニテが言う。どうやらルカの事をあまり良く思っていないようだ。

 

「あー、やっぱりあの子は問題児か何かなのか?」

 

 まぁ、エンコー女子だしなぁ。

 

「……言いたくはありませんが、淫売の子であの女も身体を売って生活していたのです。例え利根川グループ会長の御落胤とは言え、我が校に相応しくない女です」

  

 予想はしていたが、エンコーしてたんか、アイツ。

 

 とはいえ、なんかコイツムカつくな。なにが言いたくありません、だ。まるでセリフを用意してたかのようにスラスラ言いやがって。イラッとすんなぁ。

 

 しかし利根川グループ。つーか旧財閥系の業界でブイブイ言わせてるあの利根川なぁ。

 

 俺はなんかいきなり出て来た知りたくもない情報に眉を顰めた。

 

 そういや俺の前の会社の大手取引先にもあのグループの系列がいくつかあったが、商談の際、デカくなるとロクでもなくなるという見本みたいな親族経営ぶりに辟易とさせられた記憶がある。

 

 まぁ、それはルカには関係無いんだが。

 

 しかしあそこの現会長はスキャンダルだらけだ。女にだらしなく、いい女ならどんな女でも金の力で手に入れる狒々ジジィだともっぱらの業界の噂……というか事実である。

 

 もう結構な年齢になっており、最後に老いらくの恋とかなんとか言って安い風俗嬢に入れあげて愛人にしたってのを最後にそういう噂は聞かなくなったが、孕ませた女は数知れず。御落胤やら隠し子やらがどんなけいるかわからない。

 

……なるほど、ルカはその愛人の子供の一人ってわけか。引き取られたのは運がいいのか悪いのか。

 

 アイツもいろいろそれなりに苦労してんだなぁ。この手の奴にさんざん嫌な目にあわされてきたんだろう。

 

 俺は少しルカに同情すると同時になんか目の前のこのガキに腹を立てていた。

 

「楠木さん!言いすぎです!」

 

 先生が後ろからピシャリと黒髪ポニテ……楠木ってのか……を叱る。

 

 それは教育的指導などでは無く、顔を見れば利根川グループの力を恐れての事のようにも思える。

 

 いや、本当はどうだか分からないが、この女教師にもなんか少しイラッとした。

 

「ですが本当の事でしょう」

 

 涼しい顔してしれっと言う、このいけ好かないガキに、俺はかなりイラついていた。つうかなんか今日はイラつく事が多い。人間関連でイラつくのは実に三年振りだ。つうか三年前ならスルーできていたはずなのに人間社会から解放されたせいでなんか自制心が無くなったようにも思えるが、ここは人間社会じゃない。デタラメな野生世界、弱肉強食の世界なのだ。

 

……本当の教育的指導をかましてやろうか、このジャリめが。

 

「……身体を売ろうが何しようが、人間綺麗事だけで生きられるわけじゃねぇ。つーか善人だろうが悪人だろうが処女だろうが童貞だろうが、ここじゃ何の意味も無い。金も権力もな。運が無ければあそこの死体のようになる。生きたまま食われて死ぬ事もあれば、食い物も得られずに飢えて死んで鳥やカニや虫のエサになる事もある。類人猿に攫われて無理矢理類人猿のガキを産まされるって事もある。……で、ここで要らん話をしている間に、あんたらの仲間の肉で満たされていたラプター共の腹もいい具合に消化され、また飢えた奴らがここに来るわけだが。……さて、あんたら、生き残る気はあるのか?」

 

 俺は俺に槍を突きつけたままの楠木とやらにそう言った。

 

 おそらく、コイツらの学校はええとこのお嬢ちゃんが通う学校なのだろう。それはどうでも良いのだが、しかしこの真面目で堅物だろう少女の、真っ直ぐさと潔癖さから来る、いわゆる意識高い系・賢しい愚か者的な考えが気にくわなかった。

 

 俺の言う、賢しい愚か者とは地位や学歴、立場などでしか物事を判断せず、なんの人生経験も苦労も体験もせずに、自分の世界と他者の世界に優劣をつけて自分が正しいとか、自分が偉いとか勘違いしているような奴を言う。

 

「楠木とか言ったか?おまえ、人の優劣つけてなに上に立った気でいやがる?何様のつもりだ?」

 

 俺は砂地に突き刺した石槍を抜いた。

 

「面倒臭ぇ。同じ日本人のよしみで助けてやろうと思ってたが、お前、助けると後々トラブルを起こしそうだ。ここで死ね。トカゲに食われて野垂れ死ね。俺が生き残るのに邪魔になる奴は要らねぇ」

 

 俺はそう言い、ルカのカバンを肩に掛けた。

 

「な、なっ?!あなた、なんて事を!私は楠木財閥の……!」

 

「知らん。いや、楠木財閥は知ってるがな。利根川グループより二つほど格下の企業だろ?それが利根川グループの令嬢に淫売呼ばわりしてたのかよ。口は災いの元……いや、関係ねぇな。ラプター共の腹に入ればやがてはみんな同じく糞んなって出てくるだけだ」

 

 俺は未だ突きつけられている楠木の槍を自分の石槍で素早く払い、間合いを詰めて槍の真ん中を視点にくるりと回し、楠木の脳天に柄の方でゴツッ!と強く突いた。

 

「がっ……?!」

 

 いや、それで終わりじゃない。そのままさらにゼロレンジに踏み込み、楠木の首の後ろに槍の柄をひっかけて両手で倒すと同時に腹に膝蹴りを食らわし、そのまま槍を楠木の首を視点にくるりと回すようにして横に押し、地面に仰向けに転がした。

 

 そして、トドメにその鳩尾に槍の柄の先で強くドッ!と突く。これで教育的指導完了だ。

 

「あと、いつまでも偉そうに人に槍を突きつけてんじゃねぇ。そんだけでこの世界じゃ殺されても文句言えんぞ、このメスガキが」

 

 はぁ、なんかスッキリした。

 

「く、楠木さん!」

 

 女教師が楠木を呼ぶが、しかし楠木が答える事は無い。失神しているからだ。駆け寄ろうにも俺が怖くて足が竦んでいる。

 

「ふん、気絶させただけだ。あんたら、生き残る気はあるか?なら、そいつを担いでついて来い。助けてやるからおっかなびっくりついてこい。はぐれたら俺は知らねえからな」

 

 俺は女教師にそう言うと、ゆっくりだが三人を待たずに歩きだした。

 

……初コンタクトから最悪だが、とはいえやっちまったモンは仕方ないし、それに上下関係を最初に教え込むのはどんな世界でも同じなのだ。悪い手では無い……と、思っておこう。

 

 ぢょしこぉせぇはともかく、女教師はわりかし良い身体してんだけどなぁ。口説くのはこれで難しくなったか?むむむ。おせっくすへの道のりは遠い。

 

 俺はそう思いつつ、ゆっくりと追いついて来るのを待ちつつ森へと入って行った。

 





・登場人物補足。

【利根川ルカ】
 
・旧財閥系グループ『利根川グループ』の会長と風俗嬢の間に生まれた、言わば愛人の子。

・母親を亡くし、生きていく為に援交をしていたが、父親に引き取られ、名門女子校に入れられて高校生活を送る事になった。

・わりと苦労しており、男全般に優しいギャル。


【楠木真実】

・新興系の楠木財閥の本家の次女。薙刀部所属。

・いわゆる堅物で自分の思想が一番正しいとか思って独善的になるタイプ。

・貧乳(A)かつやや筋肉質。

・彼氏いない歴=年齢。


【間宮智恵】

・文学系少女。そこそこのお嬢様だがアキバ系の趣味がある。サブカルに詳しいがお嬢様学校故に隠し通している。中立派で、楠木ともルカともあまり接点無く、平穏に目立たず暮らしていたのだが……。
 
・痩せ形だが、乳はB+で尻もわりとある。

・彼氏いない歴=年齢


【吉永詩織】

 女教師(27歳)。専門科目は世界史。考古学等や生物学など専門ではない科目にはあまり詳しくない。お嬢様ではなく、平凡な家庭に育った人物であり、やんごと無いお嬢様達のオホホな文化には馴染みが無く、苦労しており、まだルカやリカと言った問題児達の方が理解出来ると思っている。

・好物は酒、肉、チーズなど。バストはD、ウエスト太め、尻はデカいが少々肉が垂れ気味。

・彼氏いない歴6年。


【相馬・マリアナ・リカルド】

 お嬢様学校でルカと共に『異物』と言われている一人。通称『リカ』。ハーフであるが、まだ名前だけしか出ていないので、詳細はまた次回。

【的場ミサキ】

 お嬢様学校で孤立している『異物』の一人。通称サキ。以下同上。
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