プリミティブ・ンホアヘェ!   作:罪袋伝吉

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・需要があるのかどうかわかりませんが、続き。

・白狒々討伐。

 


救出・女の子達。

 

 今度は俺の拠点から逆にルカの足跡を追って森を進んだ。

 

 俺は白狒々に攫われたという女生徒とキャビンアテンダントの救助を優先することにしたのである。

 

 というか白狒々のアジトというかねぐらはわかっているが、他の生存者を探すとなるとおそらくあちこちに散らばって逃げているだろうし、困難だという判断からだ。

 

 それにエテコウに種付けでもされれば人類存亡の危機でもある。つーか人間である俺が女とヤレてないのにたかがエテコウの分際でキャビンアテンダントなんていう、上玉に違いないねーちゃん……ルカの話によると金髪碧眼の外国人だったらしい……に、ち○こぶち込むなんざ許せるはずも無い。

 

 ルカの足跡を辿るのは難しく無かった。4日前から降り続いていた雨で粘土質のこの森の地面が柔らかくなっており、足跡が残りやすくなっていたからだ。

 

……む?落ち葉に血の跡がある。それに……。

 

 血の跡を目で辿れば脳天に非常斧がぶっささったエテコウの死体が転がっていた。それに他にも二匹ほどのエテコウの死体。

 

 ルカの話だと、キャビンアテンダントが非常斧を使ってエテコウ共と戦ったという話だが、女だてらに三匹も殺すとは。

 

「……エモノがこんなチープな斧でなけりゃ、もっと殺れてたのかも知れん」

 

 ズコッと俺はエテコウの脳天にぶっささった非常斧を抜いた。

 

 非常斧は、はっきり言ってあまり質のいいものではない。そもそも切れない鋼材で作られており、薪割りにも武器にも適さない、緊急脱出などの際に飛行機のハッチなどをこじ開けるとかそういう用途の道具なのである。むしろ斧の部分はおまけで、柄についているバールの先などがメインまである、そういうものなのだ。

 

 こんなもんで良くもまぁ、エテコウの脳天かち割れたな、まである。

 

 つうか、柄のバール部分に血がこびりついている。エテコウの死体の一つの目が潰れているところを見ると、バールの先でぶっさしたのだろう。

 

 狙ってやったのならなんつう戦闘能力だよ、おい。

 

 なんか、キャビンアテンダントじゃないんじゃねーか?これ使ってた奴。明らかになんか戦い慣れてる奴の使い方だぞこれ。

 

 血がこびりついてる斧を、エンガチョと思いつつもそこらに生えている大きな草の葉っぱを千切って拭い、腰のベルトに差す。

 

「……金属の道具は貴重だからなぁ」

 

 上手く使えば芋掘りにも使えそうなバールだが、こっちの血まみれになったもので芋掘りは嫌だなぁ。

  

 とはいえ、捜索に戻ろう。

 

 足跡でトラッキングしつつ、俺は森を進んで行った。

 

 一際大きいエテコウの足跡は白狒々のもので、奴に従っていた手下のエテコウの数は大体20匹程度、か。

 

 ウチの拠点の罠に掛かっていたエテコウの数が13匹、さっきので3匹。白狒々は計16匹の手下を失った事になる。残り約4匹が生き残っている。

 

 ハグレエテコウにもいろいろあるが、死体になったエテコウ共はまだ若い個体ばかりだ。

 

 そもそも若いハグレエテコウの数は少ない。

 

 何せ群れから追い出されるということは、安全圏から危険エリアへ捨てられる事に他ならず、大抵は補食動物の餌となり命を落とすのもあるが、若いエテコウは群れにおいて重要な働き手であり、また防人である。よほどの事がない限り群れのボスも追放などしない。

 

 白狒々の手下になり、その群れに加わった若いハグレエテコウ共は、そのよほどの事をしでかしたような連中かつ危険エリアで生き抜いて白狒々にスカウトされた言わばサルのサバイバーとも言うべき精鋭であると言える。

 

 が。

 

 さて、そんな白狒々率いるサルサバイバー達は俺の拠点へ二度ほど襲撃を仕掛けて来ているわけだが結果、ほぼ壊滅状態になって敗走している。

 

 そのエテコウ共の死体の数、約40匹。

 

 いや、多いじゃねーか、と思われるかもしれんが最後の襲撃んときは老いたハグレエテコウも混ざっとったので嵩増しで総動員したのだろう。

 

 まぁ、それでも戦えるようなハグレエテコウはやはり少なく、白狒々も補充がホイホイ出来るわけではない。

 

 そして今回、16匹の手下を失っており、それはつまり白狒々の群れは現在激減していると言うことである。

 

 つまり攻めるには好機!と言うわけだ。 

 

 そのためには日があるうちに奴らのアジトを弓で狙える場所へ向かわねばならない。

 

「サルサバイバーサルサバイバー、チャンスをーつかみーとれー♪……いや、奴らに生存のチャンスなんぞ与えはしない。エテコウ死すべし。慈悲はない」

 

 つーかロミナ姫かレインかで言えばロミナ姫派です、俺。つーかニンジャいいよね、ニンジャ。

 

……ガキの頃、五寸釘で手裏剣の練習したりニンジャ走りしたり、ロッククライミング的に塀を登ったりして大人に叱られたなぁ。ニンニン。

 

 なんとなく十傑衆走りでシュタタタタッと森を駆け抜け、この森と竹の自生する区域の境目の丘を駆け上がり俺は移動した。

 

 丘は森のエリアの東側の区切りのようになっており、元々は野ウサギや山羊のような羊のようなどっちなのかわからない動物や、デカい陸生のイグアナみたいな草食トカゲなどが生息していた場所だったのだが、二年前のとある事件が元でその数は激減している。

 

 激減した原因ははるか北のサバンナの草原地帯から『羽毛が生えたラプター』の群れが突如としてこの森に侵攻してきたせいである。

 

 なぜ、そんなものがこの周辺に侵攻してきたのかは実際の所、俺にはわからない。草原地帯で何らかの生態系の変化があったのか、それとも何らかの生物に生存競争で敗れて移動してきたのか。原因はともかく羽毛の生えたラプターの群れは森に侵入し、森の生態系に多大なる被害を与えたのだ。

 

 この羽毛が生えたラプターは西南の浜辺に出没する、変温動物に近い爬虫類型のラプターとは違い、むしろ鳥に近い恒温動物であり、気温が低くなる森の奥深くにも侵入出来、また夜でも構わずに暴れ回るといった厄介な奴らで、浜辺のラプターよりも身体が大きくその体長は2メートルを越す。獰猛で貪食かつ森に存在していた大熊すらも易々と狩って餌にしていたくらいに強かった。

 

 しかし、その侵略者に立ち向かった動物がこの森にはいた。

 

 そう、このエリアの森の覇者、狼達である。

 

 狼達は森の生態系の頂点の座と種の存続をかけた戦いにその身を投じ、そしてついには羽毛ラプター共を殺し尽くした。

 

 しかし狼達はラプターを全滅させたものの、払った犠牲は多大だった。

 

 なにしろ、狼の群れは今では数えるほどしか残ってはいない。……この二年でまた数は増えてはいるが最盛期の頃と比べればまだまだ少ない。

 

 そして、狼達が減った事で今度はエテコウ共がこの森に侵攻してきた。

 

 今まで狼達や熊達を恐れて近寄ることすら出来なかったのが、今では群れを率いて堂々と奴らはこの森に入り、やりたい放題だ。森に自生している食べられる植物を根こそぎにしたり、小動物をとにかく殺しまくったり、他の動物の生息地を脅かして増えている。

 

 エテコウ共を間引かねば森が死ぬ。その前に奴らも飢えるだろうがその頃にはこの森の生態系はラプターの比では無いほどに被害を受けるだろう。

 

「狼は生きろ、豚は死ね」

 

……蘇る金狼。いや、ブタとかイノブタとかイノシシとかは増えて欲しいんだよなぁ。ジャイアントボア(巨大猪)は怖いけどこの辺の生態系には必要だし、あいつら脂乗ってて肉が旨いんだよマジで。つーか脂って漢字は肉月に旨いって書くだろ?肉はやっぱ脂が乗ってこそ旨いんだよ。

 

……「狼は生きろ。エテコウは死ね」

 

 うん、これだな。エテコウは食えねーし悪さしかしねーし、害しかねぇしな。うんうん。

 

 丘の最も高い所へ到達し、腕を組んで下を見下ろす。気分はなんとなくニンジャである。

 

 ここからは竹林の向こうの白狒々のアジト……というかたむろしている広場が見える。

 

 俺は浜辺で回収してきた物の中から手の平サイズの望遠鏡を使って奴らの様子をうかがった。

 

 うむ、さすが文明の利器。よーく見える。拡大も出来るとは優秀だ。小さいのにやるなこの望遠鏡。

 

 エテコウ共は女達を囲んでいる。一番上座……というかここからでは奥の岩にえらそうに白狒々が座り、デカい川魚に齧りついているのが見える。

 

……つーか、大股開きでちんこおっ立てながら飯食ってんじゃねぇぞ、このミニち○こ野郎が。

 

 エテコウの数は白狒々を入れて5。エテコウに囲まれてる女の数は、ひぃふぅみぃ……って、6人、か。

 

 奴らはなんか股間を活きり立たせながら円陣を組み女達を囲んで腰を横にグラインドする妙な動作をしている。

 

 あれはメスエテコウにオスエテコウがやる求愛行動で、通称ち○こ踊りと言われるものだ(命名俺)。

 

 あのオスエテコウのちんこ踊りにはメスエテコウの発情を促す作用があるらしいのだが、はっきり言って人間の女性にはなんの役にも立たないっつーか、逆に春によく出るフラッシュおぢさんな変態を見た時並みに嫌がられるだけである。

 

……お巡りさんこのエテコウ共です。

 

 とはいえ俺は少し安心した。いや、エテコウ共のちんこ踊りに、ではない。無理矢理レイプするような事がなかった事にである。

 

 エテコウの交配においては相手を選ぶ権利はメスエテコウにある。故に奴らは頑張ってちんこ見せてああやって踊っているわけである。その辺を見てるとなんか男って悲しいイキモンよなぁ、と思わないでもないが、とはいえだんだん奴らも苛立って来ているようだ。

 

……無理矢理犯されてもいかん。

 

「ちゃっちゃと変態エテコウ共ぶち殺すかぁ」

 

 俺は肩に掛けていた弓と矢を持ち、丘を竹林に向かって駆け下りた。風向きは向かい風で奴らはまだ俺の臭いに気付いていない。

 

 エテコウ共と戦うときは、まず、遠距離からの攻撃である。

 

 今までバカにしてきてはいるが、奴らはバカで間抜けだが某ラノベのゴブリンのようにはいかない。

 

 エテコウの身長は平均で130~150㎝。人間より若干背は低いが、しかしその力は人間よりも強く敏捷性にも優れている。そして白狒々はそんなエテコウの中でも異常個体といえるほどであり、身長200㎝で身体も大きくその力は巨大なワニ(全長400㎝)を口から引き裂いて殺せるほどに強い。

 

 そんなもんに接近戦を仕掛けるなんぞ自殺行為なのである。

 

 この世界において人間こそが最弱。だがしかし。

 

「……人の造りし文明の英知、コンポジットボウ。その射程優に500メートル。対ルフ鳥用に俺が造ったこれならば、反撃の暇すら与えずに……全滅だ」

 

 竹林のちょうど小高い場所に陣取り、俺は弓を構える。

 

 ルフ鳥がいつか襲来するのではないかという畏れから俺はこの弓を作った。長距離射程、高威力、コンパクトかつ取り回しに優れるトルコ弓をうろ覚えの知識を動員し、先の羽毛ラプターの死体をも使って造りあげたのだ。

 

 羽毛ラプターの肋骨を羽毛ラプターの骨髄を煮出したニカワで貼り合わせ、弦を羽毛ラプターの腱を加工して造りだした。

 

……まぁ、ルフ鳥は翼が傷付くのを嫌がって森の中までは降りて来ないと知って、お蔵入りになった弓だけどな?

 

 この位置からならば、充分白狒々をヒット出来る。

 

 すぅぅぅっ、と息を吸い、吐き出すと同時に殺意すら込めずに矢を引き絞る。

 

 狙いはやや上に、風向きと重量を計算して……。

 

 第一射。

 

 素早く二射をつがえ、備える。

 

 果たして、黒曜石の矢は白狒々の喉に命中し頸椎をも破壊した。

 

「……ゴガッ?!」

 

 うむ、即死である。白狒々は座っていた岩から後ろに仰向けに倒れた。まぁ、脅威的な力を持つ白狒々とはいえ、急所を矢で破壊されればそりゃあ死ぬ。呆気ないものである。

 

「……次」

 

 二射は白狒々には劣るが、黒い毛の大きい個体を狙った。何が起こったのか分からず固まっている。

 

 その背中、心臓の位置に狙いを定めて射る。

 

 パシュッ!

 

 命中の手応えに、次、次、次、と連続でエテコウ共に矢を放ち、エテコウ全滅。

 

「我ながらなんというワザマエ!」

 

 自画自賛である。

 

 だが、白狒々とその手下のハグレエテコウを殲滅したとしてもまだやらねばならんことが残っている。

 

 と、俺の後ろから何者かの気配がした。俺は背負い袋の肩掛けに付けた黒曜石の投げナイフを抜き、後ろを振り返りそれを構えた。

 

「待って!私は敵じゃない!」

 

 そこに居たのは金髪の女だった。服を見ればANL、つまり航空会社のロゴが入った制服を着ている。

 

 その服も泥と血で汚れており、額に巻いた包帯からも血が滲んでいる。タイトスカートのスリットは自分で破いたのか、破れたストッキングの太ももが見えている。腰にはナイフ、俺の腰に付けているエマージェンシーキットの中に入っていたものと同じものを付けていた。

 

 手にはナイフをくくりつけた木の棒を持ち、杖代わりにしている。つーか、ナイフ何本持ってんだよこのねーちゃん。

 

「……墜落した飛行機の添乗員……キャビンアテンダントか?」

 

「……ええ。でも今はキャビンアテンダントなんて言わないわ。キャビンクルーよ」

 

 状況を考えると、おそらく白狒々に攫われた飛行機の乗客を助けに来た、と思われるが……。

 

「……俺は三年前にここに漂着した日本人だ。今まで原始時代じみた方法でサバイバルしてきた。名をハラ・ハジメと言う」

 

「……最初はここの原住民だと思ってたけど、あなたやたら独り言が多いし、日本語話してるし。話が通じるなら話しかけようとあの丘まで追いかけて来たんだけど、なんかものすごい勢いで走って行くんだもの。はぁ、私、足を怪我してるから追いつくのは大変だったわ」

 

……丘なぁ。つうか気配もなんもせんかったぞ。つうか、なんかこのキャビンクルーのねーちゃんは怪しいんだよなぁ。

 

 斧でエテコウを的確に殺しているわ、この俺がこんなに近くまで接近されなければ気配を察知出来なかったことといい、ただ者ではない。少なくとも何らかの戦闘訓練を受けた人間なはずである。……多分。

 

「……そうか。それは済まなかった。早く助けてやらねば女の子達の貞操の危機だったのでな。しかし足を怪我したのか?」

 

「ええ。この靴で森は無理」

 

 キャビンアテンダント、いや、キャビンクルーか?は革のパンプスを見せた。まぁ、そりゃそうだよなぁ。

 

「挫いたか。ふむ……。手当てをしたいところだが、後だ。早く女の子達を解放せねばならん。歩けるか?」

 

「まぁ、なんとかね」

 

……なんかコイツ、怪しい。

 

 と思いつつも俺はやたら日本語が上手い金髪のキャビン……ええっと、なんだっけか?……乗務員を連れて女の子達が捕らわれている場所へと向かった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

【白狒々のアジト】

  

 女の子達はかなり怯えていた。

  

 まぁ、そりゃそうだろう。エテコウ共の勃起ち○こを強制的に見せられた後でそのエテコウ共がいきなり矢を受けてバッタバッタと死んで行ったのだ。

 

 さらにサーベルタイガーの頭蓋骨被った奴が現れたらそりゃあもう怯えるわなぁ。

 

 俺は女の子達を安心させようと話しかけようとしたのだが、

 

「アイェェェ!バーバリアン!」

 

 ふらっ……、ぱたんきゅう。

 

 と、なんか髪の毛縦ロールな、どう見ても超一流の悪役令嬢っぽい見た目の女学生がやたらいい発音で俺をバーバリアン呼ばわりしてしめやかに失神。いや、失禁はしていないが、倒れ方が少女漫画の高貴なお嬢様っぽい感じだった。捲れたスカートの中味は白のガーターベルトとシルクのレースの高級そうなパンツだった。

  

「会長!」

 

「姫!」

 

 なんぞとその取り巻きっぽい感じの黒髪ロングな和風なお嬢様にピンクのハーフフレームのワンレンショートカットなお嬢様が縛られたまま涙目でその悪役令嬢に叫ぶように声を上げた。

 

 うーむ、会長ってことは生徒会長かなんかなのだろうか。取り巻き達は副会長とか書記……とか、そういうのだろうか。

 

 なんか、その後ろで肌がやや浅黒い女生徒が、

 

 「ケッ!」

 

 とか言った。なんかスカートが長く、長い茶髪がドレッドヘアっぽくてファンキーな感じである。首に金のチェーンネックレスがジャラジャラ、手にもバングルやら指輪やらがやたら着いており、頭にはグラサン。

 

……DJかな?

 

 だが、なんか体型いいな。よく見りゃ睫毛長くて日本人離れした顔してっし。

 

 その女生徒の影でやたら影の薄そげな薄幸そうでか弱そうな女生徒がふるえている。

 

 こっちはなんつーか呪いの日本人形のような印象を受ける。肌は日に焼けた事がないように抜けるように白く、黒髪はサラサラストレート、和風美人って感じで可憐だが、なんか可哀想オーラみたいなものが出ている。

 

 黒メガネ、いや間宮も細かったがコイツはもっと細い。いや、お嬢様ってのはちゃんと飯食ってんのだろうか。いや、ドレッドヘアの奴はやたら発育良いんだが。

 

「あのな、俺は……」

 

 俺は女の子達を安心させようと再び口を開いたが、

 

「くっ、イェティの次は原住民なんて!」

  

 と、縛られているジャージ姿のどう見ても生徒ではない女が叫ぶように言い、俺の言葉を遮った。

 

 うっ、また声を掛けるタイミングを逃した。

 

 軽く日焼けした肌と茶色い短髪の髪、そして筋肉質なボディ。首にはホイッスル。体育教師のようだ。だが、乳はなかなかいい感じだ。

 

 イェティ、とは白狒々の事を言っているのだろう。

なるほど、たしかに奴の白い毛皮はヒマラヤの雪男のイメージによく似ているかも知れない。

 

「私らをどうするつもりなのよ!この原住民っ!」

 

……気がキツい感じだな、この女教師。吉水とは体型も性格も正反対な気がする。

 

「いや、俺は……」

 

 と、言いかけて、キャビン……添乗員が来た。

 

 それをみた体育教師は、

 

「スッチーさん、だめよ!来ちゃ危ない!原住民よ!」

 

「いや、危なくない。俺は……」

 

 あんたらを助けに来たんだ、と言おうとしたが体育教師がキーキーと騒いだ。

 

「うっさい!危ない奴ほど危なくないっていうのよ!つーか何よその筋肉!ムキムキさせてんじゃないわよ!パンツに札束ツッコむわよ!」

 

「いや、あんたは何を言っているのだ?」

 

……パンツに札束を突っ込むって、マッチョバーかなんかか俺は。

 

「あの、先生。その蛮族さん日本語喋ってます」

 

 日本人形みたいな女の子が体育教師におずおずと言ってくれた。いや、なんか怯えてるけどナイスだ薄幸そうな日本人形みたいな少女よ!

 

「ナイス!お菊ちゃん人形クン!」

 

 思わず薄幸そうな日本人形少女に指を指してそう言ってしまった。

 

「ひゃあっ!」

 

 あ、日本人形少女がなんか気絶してしめやかに失禁……って、あーあーあー。

 

「うわっ?!ミサキっ?!エンガチョーぅ?!」

 

 近くにいたドレッドヘアが退いて飛び退いた。つか、英語訛りな発音のエンガチョ……。やはりハーフかなんかか?このドレッドヘア。

 

 ちょろちょろちょろちょろ……に染みが広がる。

 

「……いや、うん、怖がらせてスマン」

 

「言葉……、日本語?」

 

「そうだ。人の話を聞け。俺はバーバリアンでも原住民でも蛮族でもない。俺は……」

 

「この人は原住民じゃありません。三年前にここに遭難されて、そのままサバイバル生活をされてきた方のようです。今回、皆さんを助けるために来て下さったとの事です」

 

 セリフを添乗員にとられた。

 

「……そう、それ」

 

 俺はそう言うしか無かった。

 

 




・やったね!ヒロイン増えるよ!

【今回の補足】

・トルコ弓

 アナトリア発祥・オスマントルコ帝国が誇る弓であり、世界三大弓の一つ。特徴は材質を張り合わせて補強した事でコンパクトかつ威力と射程距離が長いこと。なお世界三大弓中、もっとも射程が長く、記録では800メートル飛んだそうな。

・エテコウ

 類人猿である。ボスエテコウを中心に群れを作ることと、万年発情期でやたら増えるのが特徴。
 チンパンジーなどよりは知能は上で、遺伝子も人類に近いが進化に行き詰まった種である。多分、原人が現れれば駆逐されてしまう運命にある。


【次回予告】

 女の子達を無事助け出した原始サン。だが、お嬢様学校の令嬢達は世間知らずどころか変な奴らばかりだった。あと、拠点の家は以外には狭いぞ、どーする原始さん!

 次回・家が狭ぇ!!(仮)の予定。

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