空条承太郎の親友   作:herz

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・pixivでは前編、後編、小説パートの3つに分かれていますが、一つひとつの話が長いので、ハーメルンでは前編①、②。後編①、②。小説パート前編、中編、後編の7つに分けました。よって、似非ホラー編はかなり長いです!


・ちゃんねる風似非ホラーの小説パート。全然怖く無いです。ご都合主義、捏造過多。キャラ崩壊あり。

・男主視点。異界に飛ばされた翌日の観光(短め)&エピローグ。

・何処の観光をしているか分かった方は、作者と握手!最後だけオリジナルですが、それ以外は実在している店の話です。





修学旅行組4名は、異界へ飛ばされた~小説パート(後編)~

 

 

 翌日。俺達が起きた時には既に日も高く上がっており、時刻は昼前。昨夜のドタバタの疲れが溜まっていたせいか、寝過ごしてしまったようだ。

 その後、ジョセフ達に例の大喧嘩がどうなったのかを説明したり、留守番組に連絡して直接無事だと伝えたり……そうして昼を過ぎた頃に、ようやく観光に出た。

 

 

 さて、花京院と形兆だが。俺達が眠った後にちゃんと話し合ったらしく、彼らの間には穏やかな空気が流れている。丸く収まったようで良かった。

 2人には迷惑を掛けた事への謝罪の言葉と、仲直りに協力してくれた事への感謝の言葉を告げられたのだが……

 

 

「えっ?記憶が曖昧?」

 

「そうなんだよ……後半は眠気のせいで自分が何言ってたのか全っ然覚えてないし、前半はなんとなく覚えているが、その記憶もぼやけてるし……」

 

「……俺もだ。前半は曖昧、後半は全く覚えてねえ」

 

「……無理もない。お前達は初めて異界に飛ばされた事で、普段以上に疲労が溜まっていたはずだからな」

 

「そういえば僕も、初めて異界に行って無事に帰って来た後の記憶は朧気だな……」

 

 

 花京院達に言った通り、俺は昨夜の記憶が曖昧だ。承太郎もそうらしい。

 花京院との話が終わって、承太郎に電話する前辺りまではなんとなーく覚えているが、電話で何を話していたか覚えていないし、その後の記憶も残っていない。

 

 

「……ん?という事は貴様ら、電話中のあのふざけた会話も覚えていないのか?」

 

「……ふざけた会話?」

 

「え?何?俺達何かやらかした?」

 

「…………いやいや、気にしないでくれ」

 

「典明?何だそのチベスナ顔」

 

 

 ……車内でそんな会話をしながらやって来たのは、とある賑やかな商店街。

 今日はここで観光がてら食べ歩きをして、朝食というか昼食を済ませた後に別の観光地へ向かう予定だ。

 

 ではさっそく、腹ペコ男子大学生4人で食べ歩き開始!……なお、女性達の黄色い声は聞こえないものとして処理する。

 ぐいぐい来る女性達をあしらうのは、承太郎達に任せた。俺は肉食系女子が苦手だ。

 

 

「……あ」

 

「どうした?」

 

「ほら、あれ。あのパン見てたら、スレ民達が口を(・×・)にしてたの思い出した」

 

「そのままだね」

 

「そのままだな」

 

「……ああ、躾の行き届いたスレ民共か」

 

「その覚え方は止めてあげようぜ、承太郎ニキ」

 

 

 さすがにあんな可愛いパンを食べ歩きする勇気は無いので、スルー。……その代わりに見つけたのが、これ。

 

 

「和牛のにぎり寿司……!?」

 

「何だそれ、美味しそう」

 

「食おう」

 

「……炙り串もあるぜ。食べ歩きに良さそうだな」

 

「それも買いだ!」

 

 

 肉!これは食いたい!

 

 にぎり寿司は注文してからその場ですぐに作ってくれた。口の中でとろけて超美味しかったです。その後は炙り串にも舌鼓を打ち、食べ歩き再開。

 

 

「少し喉が乾いたな……」

 

「……それはどうだ?」

 

「ほう。自社農園で収穫したブルーベリーを使ったスムージー……いいね。これにするかい?」

 

「そうしよう!……おっ、ここハチミツも売ってるのか。

 

 ハチミツ……そういや、この前金貯めて買ったオーブンで、手羽元のはちみつ醤油グリルっていうのを作ってみたんだが。

 失敗しちゃって味が微妙になってさ……良いハチミツ使ったら美味しくなるかな?どう思う?形兆」

 

「馬鹿が。純度の高い蜂蜜は手を加えるのではなく、そのまま使うべきだろう。トーストやホットケーキにかけたり、紅茶に入れたり」

 

「それも良いなぁ。……でも、あれでプリン作るのも美味そう」

 

「……それは同意する」

 

 

 

 

「こらこら、そこ。主夫の会話はその辺にして、早く行くよ」

 

「お前らの分も買ったぜ」

 

「あ、悪い!」

 

「すまん」

 

 

 喉が乾いたところで、スムージーを売っている店を発見。ついでに美味しそうな蜂蜜も見つけて、思わず形兆と料理談義。

 その間に承太郎達が俺達の分を買ってくれたらしい。悪い事をした。

 

 

「醤油の良い匂いがする……」

 

「……あれじゃないか?」

 

「焼き団子か……食べる?」

 

「食う」

 

 

 続いて、醤油の匂いに釣られて買った焼き団子。甘さは控え目で、代わりに醤油の味わい深さが良い。美味い。

 

 

「そろそろ甘い物が欲しくならないか?」

 

「欲しい!」

 

「……ちょうど良いな。アップルパイがある」

 

「○○県と言えばー?」

 

「りんご!」

 

「りんごと言えばー?」

 

「アップルパイ!」

 

「よし、食べよう!」

 

「おー!」

 

「……典明、志人、貴様ら。何だ、そのノリは」

 

「くくっ……!」

 

 

 花京院のノリに付き合ったら形兆に呆れられ、承太郎に笑われた。解せぬ。

 この県と言えば、りんごが美味い。しかも発見したのはアップルパイの専門店。立ち寄って正解だった。りんごシャキシャキ、生地サクサク、美味い美味い。

 

 

「……んん?」

 

 

 その後。しばらく歩き回ってから食い道楽を終えて、駐車場に向かっている途中。とあるアンティークショップを見つけた。……何だか気になる。

 

 

「なぁ、あそこ寄って良いか?」

 

「……アンティークショップ?」

 

「意外だな。君、そういうのに興味があるのかい?」

 

「興味というか、このロザリオの事もあって馴染み深いというか……まぁ、ちょっと気になっただけだ」

 

「ふむ……俺も気になって来た。行くか」

 

「えっ、承太郎も?」

 

「あんたこそ、意外だな……」

 

 

 流れでその店に入ると、なかなか良い雰囲気だった。いろいろ置いてるな……

 

 

「あら、いらっしゃい。……珍しいわね」

 

「こんにちは、お姉さん。ちょっと店内を見ても良いですか?」

 

「やだ、こんなおばさん相手にお姉さんだなんて!いいわよ、ゆっくりしていって!」

 

「ありがとうございます!」

 

 

 店主は、40代ぐらいに見える女性だった。ただでさえ、強面が2人いるからな。愛想良くして追い出されないようにしなければ。

 ぐるっと店内を見渡し、ふと目に入った物があった。それの前に立ち、手に取る。

 

 小さくて綺麗な緑色の石が付いている、スタッドピアスだ。……何故か気になる。

 

 

「……シド。お前も穴開けやるつもりか?それはファーストピアスには向かないぜ」

 

「いや。穴開けるつもりは無いんだが、何故かこれが気になってな」

 

 

 俺の後ろに立った承太郎が、肩越しに俺の手元を覗き込んだ。

 高校生活中。ピアスを付けていなかった承太郎は、卒業後にはいつの間にか付けていた。前世では付けていたし、今世でも付けないと落ち着かないのか?

 

 

「それは翡翠のピアスよ」

 

 

 と、店長さんが声を掛けて来た。

 

 

「翡翠のピアス、か。……二重の意味で魔除けにぴったりだな」

 

「あらあら、もしかして翡翠の効果とピアスの由来をご存知?」

 

「はい」

 

 

 まず、翡翠。これは東洋でも西洋でも、昔から強力なお守り、魔除けとして扱われてきた。その大きな理由は、翡翠の硬さ。

 

 硬度だけを考えればダイヤモンドの方が強いが、あれは衝撃に弱く、意外と割れやすい。

 しかし翡翠は衝撃に強く、傷は付いても割れにくいのが特徴だ。だから俺のバリアのイメージの元にもなっている。その特徴が、お守りとしてぴったりだった訳だな。

 

 

 次に、ピアス。古代文明の時から今に至るまで、人間達の間ではすっかり慣れ親しんだアクセサリーだが。

 

 古代では、体の中で穴の開いている部位から、悪霊や悪魔が入り込むと信じられていたらしい。

 そして耳や鼻、口などから入り込んで来る悪い存在を食い止めるために、魔除けとして付け始めたのが、ピアスの始まりだったとか。

 

 

「……ほう。そんな話があったのか」

 

「さすが歩く本棚、いや図書館だね」

 

「その呼び方はむず痒いから止めてくれ」

 

 

 承太郎に説明しているうちに、店内を歩き回っていた形兆と花京院も戻って来た。

 

 

「そのピアス、買うの?君もピアスデビューかな?」

 

「付けるつもりは無いんだ。ただ、ちょっと気になっただけで」

 

「……シドの気持ちも分かる気がするな。確かに、気になる」

 

「承太郎はこういうの好きか?」

 

「そうだな……これぐらい小さくて、シンプルな奴は好みだ。色も良いな」

 

「ふーん……」

 

 

 ……よし、決めた。

 

 

「これ、買います」

 

「はーい、ありがとうね」

 

「……付けるつもりは無いと、自分で言ったはずだが?」

 

「別の使い道を思い付いたんだよ」

 

 

 ピアスを購入して、店から出る事にした。今度こそ駐車場に向かおう。

 

 

 

 

 

 

「――それにしても本当に珍しいわ。ここを見つけてくれた人達なんて、何百年ぶり(・・・・・)?あのピアスに呼ばれたのかしら?」

 

「え、」

 

 

 聞き捨てならない独り言を耳にして、ばっと振り向く。……アンティークショップは消え失せ、人1人がやっと通れる程度の細い路地しかない。承太郎達もそれに気づいた。

 

 

「…………おいおい……」

 

「……ま、まさか……あれも異界、だった?」

 

「そうだろうな……貴様は次から怪しい場所を見つけても近づくな。いいな?」

 

「あ、やっぱり俺のせい?」

 

「……シド。買ったピアスも処分した方が良いんじゃねえか?」

 

「う……まぁ、そうだけど、でもな……」

 

「大丈夫だよ」

 

 

 すると、花京院がそう断言した。

 

「あの店も、そのピアスも。全然嫌な感じがしなかった。むしろ……あの店は居心地が良かったし、ピアスからは志人のロザリオと似たような気配がする」

 

「……典明がそう言うなら、危険は無い、か」

 

 

 あの不気味なホテルでは、花京院の霊的感知能力に何度も助けられた。そんなこいつが言う事ならと、俺達は緊張を解く。

 

 

 その後。車に戻った俺達は、さっそく次の観光地へ……行く前に、俺にはやる事がある。

 

 

「承太郎。ほい、握って」

 

「あ?」

 

 

 先ほど買ったピアスを承太郎に握らせ、その拳を両手で包み、上に掲げて――祈る。……案の定、承太郎の手の中から光が漏れた。これで良し。

 

 

「……という事で、プレゼント。これを付けておけば、万が一また異界に飛ばされたとしても、このピアスが俺のロザリオのように、お前を護ってくれるはず。

 さすがにずっとロザリオを貸す訳にはいかないからな。その代わりだ」

 

「……なるほど。別の使い道とはそれの事だったか」

 

「確かに、いつまた巻き込まれるか分からないからね。承太郎は霊に干渉されやすいようだし、気をつけないと」

 

 

 形兆と花京院が納得の声を上げ、承太郎は……それまで付けていたピアスをさっと外し、翡翠のピアスはそれとは逆に慎重な手付きで付ける。

 

 

「――ありがとう、志人。……大事にする」

 

「お、おう」

 

 

 ふわりと笑った承太郎の顔を見て、花京院達の目が点になった。

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

「……ここ、か?五藤さんが言ってたのは」

 

「ああ。……刻まれた名前も一致している。これだろう」

 

「じゃあ、さっそく準備しようか」

 

「おう」

 

 

 旅行先から帰って来て、数週間が経過したある日。俺達4人は墓参りに来ていた。……例の元大学生達から暴行を受けた、被害者の女性の墓だ。

 

 

 俺達が巻き込まれた事件から、数日後。メディアは大騒ぎになった。

 政財界の大物、大病院の理事長、大企業の社長、有名弁護士……それぞれの息子達合わせて4名が、犯罪者として逮捕されたのだ。

 

 その息子達こそが、例の元大学生達である。その親であるお偉方も、隠蔽工作について罪に問われたらしい。

 火災事件の真相が明らかになった事で、今まで泣き寝入りしていた者達も声を上げている。……これはしばらく騒ぎが続くだろう。

 

 こんな状況を作り上げたのは、もちろん我らがSPW財団だ。……しかし、一体どうやって逮捕にまで漕ぎ着けたんだろうか?前々世でも思ったが、今世でも財団は謎過ぎる。

 

 

 そんな中。五藤さんから被害者である女性の墓が都内にあると聞いて、既に夏休みは終わっているが、俺達は時間を作って再び集まり、その墓参りに来た。

 彼女を除霊した人間として、墓参りに来るのは義務だろうと、全員がそう考えていた。

 

 許されたいとは、思っていない。俺達は自分達が生き残るためにやった。後悔はしていない。……しかしそれでも、やるせない気持ちは残っている。

 

 

 俺達は無言で花を供え、線香をあげて、墓前で手を合わせる。……やがて、顔上げた。

 

 

「…………帰るか」

 

「んん、そうだな」

 

 

 少しの間の後。承太郎の一言で全員が動き出し、使った道具を片付けて踵を返した……が、すぐに足を止める。

 

 

 帰り道の先に、女性が立っていた。透けていて、足が無い。彼女は俺達に向かって、深々と頭を下げる。

 そして――ごめんなさい、ありがとう……そんな言葉が、透き通る声で聞こえた瞬間、彼女は消え去った。

 

 

「…………今、の」

 

「……例の被害者の女性と、よく似た姿だった気がするのは、俺の気のせいか」

 

「……いや、気のせいじゃねえよ」

 

「…………ごめんなさい、ありがとう……って、言ってた、な」

 

「…………」

 

「…………」

 

 

 ……許されたいとは、思っていない。そう考えていたのは確かだ。しかし実際にそう言われて、救われたような気分になってしまった。

 

 罪悪感はあるが、彼女がそう言ったのなら……俺達も、それを引きずるべきではない、か。

 

 

「――さぁ!今度こそ帰ろう!外暑いし、早く室内に入りたいだろ?な?」

 

「……ああ、そうだな。帰るか」

 

「帰りにアイス買って行こう!形兆の奢りで」

 

「おい、典明!何故俺が奢らねばならんのだ!?」

 

 

 だから俺は、わざとテンションを上げて切り替えた。承太郎達もそれに乗ってくれたし、多分気持ちは同じだったんだろう。

 墓には似つかわしくない騒がしさのまま、俺達はその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

「そうだ、聞いてくれ。俺、承太郎にピアスプレゼントしただろ?そしたらこいつ、夏休み終わって早々にこれを女避けに使い始めやがった!」

 

「は?女避け??」

 

「……ああー、恋人から贈られたプレゼントですよー、みたいな?」

 

「そう、それ!!」

 

「……そこまではっきり言ってねえよ。――大切な贈り物だ、と言って意味深に笑いはしたが」

 

「意図的に勘違いさせたのか……」

 

「そのせいで承太郎狙いの女の子達は俺を質問責めしてくるんだよ!承太郎の彼女は何処の誰なんだ!?って」

 

「ああー……」

 

「……容易に想像できる」

 

「俺がピアス渡したのは魔除けのためであって、女避けのためじゃねぇ!!」

 

「ちゃんと女難という名の魔除け(・・・)になってるぜ」

 

「言ってろ!!」

 

 

 

 

 

 

 





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