女王の女王─2年生編─   作:アスランLS

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【チキチキ☆獅子身中の虫・橋本を処刑タイム(前編)】

橋本「……」←ロープでグルグル巻き

有栖「……」←微笑んでいるが目は笑っていない

神室「……」←軽蔑の眼差し

鬼頭「……」←軽蔑の眼差し

桐葉「(カチャカチャカチャッ)……ありゃ、8秒7か。イマイチ」←最近買ったルービックキューブに夢中

橋本「えっと……なんで俺縛られてんの?」

神室「この期に及んでなんではないでしょうが」

鬼頭「10巻が発売して間も無いので、未読の方々に配慮し詳細は伏せるが……お前の裏切り行為は決して許されるものではないと自覚しているか?」

橋本「いやまあ、その……」

有栖「よう実読者の9割超が察していた貴方の人物像が、とうとう公式で確定してしまいましたね。人間のゴミ、ゴミ&ゴミ。打算的に人と付き合い、平気で嘘をつき人を裏切り、自己保身のために何でもする。人間の持つ嫌なところを煮詰めて蒸留した吐瀉物のような人品骨柄です」

橋本「ここぞとばかりに好き放題貶すな!?そこまで言わなくてもよくない!?俺だってなあ、今後のAクラスのためを思ってだな─」

有栖「黙りなさい。この作品の私は桐葉の影響で原作より人間味に溢れています。私の真澄さんを傷つけたことは断じて許されません」

真澄「いや別に傷ついてないし、アンタのでもないからね?」

有栖「(無視)真澄さんの仇を討つため、そして半年も待たせてしまった読者へのお詫びも兼ねて、貴方を処します」

橋本「いや待てオイ!?何どさくさに紛れて更新が滞ったのも俺のせいにしようとしてんだ!?それ全部作者の怠慢のせいだから!」

有栖「問答無用、真澄さんのファンは貴方の退学を待ち望んでいるでしょうが、果たしてそれが成就するまで何巻待たされるか……ですのでせめてここで貴方を処して溜飲を下げてもらいます。さあ出番ですよ処刑人!」

橋本「しょ、処刑人……?」

桐葉「よっしゃ任せろ、デンジャラスにいくぜい!」

橋本(あ、俺死んだかも)

続く


一巻エピローグ

【side:一夏】

 

 特別試験の結果が発表された日の放課後。あたしはちょっとした野暮用で男子寮まで足を運んでいた。

 別に気になる異性との逢瀬とかではない。というかあいつを異性だと意識したことはこれまで一度も無いし、今後も多分無い。どこまで行っても腐れ縁その2だ。

 ……とはいえあいつは生意気にも学校1のイケメンだとか何とか持て囃されているし、こうしてあいつの部屋を訪ねているところは何人たりとも目撃されるわけにはいかない。一度目撃されてしまえば多感な高校生達はあること無いこと好き放題噂するだろうし、その噂は雷速で学校中に広まるに決まってる。不愉快だし屈辱だし面倒だしで百害あって一利無しだ。

 あたしはあの施設で習得した隠蔽術、潜入のスキルを最大限に駆使して、見事誰にも見つかることなくあいつの部屋の扉前に到着した。

 あーあ、しなくていい苦労をさせられてる気がしてならないにゃー……かと言ってあいつは人の目とか絶対気にしないから、あたしの部屋まで来させるのは論外だよねぇ……。

 釈然としないものを感じながらも、あたしは施錠すらされてない扉を無造作に開け、あまりの防犯意識の低さに思わず嘆息しつつ部屋の中へと入る。

 

「やっと来よったな。散らかっとるけど楽にしてええよー」

「いや散らかり過ぎでしょうが。よく1ヶ月ここまでぐっちゃぐちゃにできるね」

「衛生面は気遣うてるから別にええやろ」

「うわぁ意識ひっく……」

 

 部屋に入った私を机に座ったまま頬杖をつき、何かの書類に目を通しながらこちらを見向きもせず出迎えたこのダメ人間は、あたしと同じホワイトルーム5期生……松任谷秀司。

 誰もが認める不世出の美形だが、部屋中に脱ぎ散らかされた衣服やぶちまけられた学校教材エトセトラが全てを台無しにしている。いくらイケメンでもここまでだらしない姿見せられたんじゃあ女の子はときめか……いや、ときめく奴はときめいちゃうか。いつ何時どこにでも顔に騙されるバカ女はいるもんね。気だるげな雰囲気が逆に品性と優雅さを感じさせるとかクラスの子達がキャッキャ騒いでたのを耳にしたときは、目腐ってんじゃないかと思ったねいやマジで。

 

「……ま、いいや。あたしも別に暇じゃないし、さっさと用件を済ませてしまおっか。……なんで宝泉君と綾小路先輩達のいざこざに、わざわざ本条先輩をけしかけるような真似をした訳?」

「何の話や?」

「とぼけなくていいよ。宝泉君の策略は刃傷沙汰が絡むリスキーなものだったし、情報の秘匿は徹底していた。事前に知っていた人物はごく一部限られてる。共犯者の七瀬ちゃんとあたしを除けばアンタと拓也だけ。拓也がそんなくだらないことする筈が無いし、消去法でアンタしかいないんだよ」

「あちゃー、こらしらばっくれても無理そうやなー……降参降参、確かに非通知で本条先輩に暗号送ったのは俺やよ」

 

 肩を竦めながら凄く軽い感じで自白する秀司。こいつ自分の置かれてる状況ちゃんとわかっているのだろうか? 

 私達2人と秀司では標的が異なるため綾小路先輩に不干渉だろうと別に何も問題は無いけど、彼を助けるような立ち回りはホワイトルームへの反逆と捉えられても文句は言えない。あたしはともかく拓也には明確に敵と見なされるだろう。

 そんなあたしの呆れたように気づいたのか、秀司は気だるげに弁明し始める。

 

「いや別にさ、一夏の邪魔しよう思ってやったんちゃうんよ。……というか一夏さ、あんな浅はかな手段でうちらの最高傑作を陥れられると本気で思てたわけやないよね?」

「まあそうだけど」

 

 秀司の問いにあたしは迷いなく肯定する。あんな穴だらけの作戦でどうにかなるなら、綾小路先輩は最高傑作などと持て囃されていないし……拓也もあれほど拗らせなかっただろう。あたしが宝泉君に協力したのは、綾小路先輩がどれだけスマートに対処できるのかを見たかっただけ。

 

「せやろ? どうせ失敗するんやし、せやったらこっちの任務を進めさしてもらお思てな。堪忍やで」

「いや、別にあたしは気にしてないけど……確か秀司の任務って本条先輩のデータ収集、可能であれば綾小路先輩と同じく退学させて施設に連れていく、だっけ?」

「そーそー。……そんでな、ハッキリ言って本条先輩を退学させんのは無理やと判断したんやよ」

「日和んの早っ。まだ1ヶ月でしょうが」

「俺らがホワイトルーム生ってこと秒でバレてもうたみたいやし、何より君を一蹴するようなバケモンやろ? 俺なんかじゃ勝たれへん勝たれへん。諦めてのらりくらりと平和なスクールライフを楽しみながら、可能な範囲でパイセンのデータをほどほどに集めてさせてもらうわ」

「アンタね……」

 

 またこれだ。せっかくあの狭っ苦しい施設を飛び出しある程度自由に生活できるってのに、もう秀司の悪癖が出てしまったらしい。

 秀司はとにかく諦めが早い。そしてすぐ楽な方楽な方へと流されていく。要領は良いし備わったポテンシャルはあたしや拓也にも劣らない(かもしれない)のに、できるだけ楽な道を選ぶことのみに心血を注ぐ絵に描いたようなダメ人間っぷりだ。だから施設での成績は万年最下位なくせに、脱落するラインだけは毎回ギリギリのギリで下回ることはなかった。

 仮にあたしや拓也がそんな舐め腐ったことをすれば決して軽くない罰を受けちゃうけど、秀司だけは例外的に許される。だって秀司は他のルーム生と違い唯一の編入生で、求められている役割もあたし達とはまったく異なる。

 その唯一無二の容姿を先生に目をつけられ、先生が政界へと舞い戻るために用意された票集め用のパンダ役。あたし達に交じって教育を受けさせていたのも能力はあるに越したことはないという理由もあるけど、来たるべきときまでにそのどうしたって目立つ容姿を世間から隠す意味合いが大きいんだろうね。

 まあそんな風にある種の特別扱いを受けている秀司に対し、向上心と承認欲求が凄まじく強い拓也はそれはもう侮蔑と嫌悪の感情を抱いている。具体的には秀司と会ったり、秀司の話題を振るだけで不機嫌になるくらいには。

 

「……それにしても、世の中は広いもんや。あのテスト、終盤結構ムズかったよな? 少なくとも普通に勉強してたら高2やとせいぜい80点ちょいくらいが限界やろ。……やのになんやこの点数?」

 

 OAAを開き今回のテスト結果に目を通しながら、秀司は軽く引き気味に呟く。

 

「全教科ほぼ満点とかヤバ過ぎやし、これで首席ちゃうって頭おかしいやろ。俺らの学年、谷間の世代とか言われてまうやんこんなん」

「気にするとこそこなんだ……まあたしかに、すごいっちゃすごいね」

 

 あたしや拓也だったらその気になれば満点も取れたけど、それはあの施設で特別な教育を受け続けてきたからだ。

 上級生達の中学までの資料は事前に目を通したけど、本条先輩も坂柳先輩も常識の範疇に収まる程度のカリキュラムしか受けてきていない。

 つまりあの2人は、完全な独学であの点数を叩き出したということ。あの施設で生み出そうとしている人工の天才ではなく、生まれついての天才……どちらも敵に回ったら、拓也でも手を焼きそうだニャー。

 

「ところで秀司さ、いくら落ちこぼれのアンタでも流石に学年11位は手を抜いたとわかるよ。……もし本気で受けてたらこの2人に勝てた?」

「舐めんなや、一矢くらいは報いれたわ多分」

「負けてたんだ」

 

 ホワイトルームで最高の教育を受けていてその程度ってどうなの? どんだけ怠惰? ……言っても無駄だろうから言わないけど。   

 

「……じゃあそろそろあたし帰るね。自堕落なのはアンタの勝手だけどさ、あんまり度が過ぎると目障りだって拓也に潰されるかもよー?」

「その台詞そっくりそのまま返すわ。綾小路先輩に肩入れしようもんなら、拓也は君でも躊躇せえへんやろな」

 

 踵を返して部屋を去ろうとしたあたしは、思わず足を止めてしまう。 

 ……まったくこいつは、ぐーたらのくせになんで人の機微にはやたらと聡いかな。あたしの綾小路先輩への憧憬、拓也の綾小路先輩への憎悪、どちらもハッキリと見抜いている。

 

「もしかして心配してくれてるのかニャー?」

「それなりに付き合いの長い同期がどうなってもいいと言えるほど、俺は冷血人間やないよ」

「あはは、別に綾小路センパイに付くつもりは無いよ。憧れの先輩と同期のよしみ、天秤にかけるのは意外と難しくってさ」

「相変わらず小悪魔系気取ってるくせに意外と情に厚いんやね」

「張り倒されたいの?」

「やめぇや暴力反対。弱い者苛めとか格好悪いで」

「仮にも女の子相手にそんなこと言ってて悲しくならないの?」

「全っ然。人は人、自分は自分や。別に一夏が俺より強からって、俺が貶められる理由にはならへんし」

 

 妙に達観してるところも相変わらずだねぇ。そういや拓也は秀司のこういうところも嫌いだったっけ。

 

「あ、せやせや。今回の試験で無事上位5組に入れたお祝いに本条先輩が飯奢ってくれるんやけど、ついでに一夏も行く?」

「いや行くわけなくない? あたし関係ないじゃん」

「大丈夫大丈夫、あの先輩器デカいから多分奢ってくれるて多分。人の金で食べるご飯は格別やで」

「清々しいクズ発言をどうも。あたしはそこまで落ちぶれてないし、第一つい先日ボロクソに負かされた相手と仲良くご飯を食べろと?」

「ボロクソに負かされたから、や。拓也ほどやないけど君も大概プライド高いからなあ……リベンジしたいんちゃう?」

 

 軽い調子で問いかけてくる秀司に、あたしは思わず閉口してしまう。

 なんだかんだ言ってもう長い付き合いだし、あたしがどういう人間なのかを秀司はちゃんとわかっている。彼の知る天沢一夏なら、迷うことなく提案を受け入れると確信しているんだろう。

 

 …………でも、

 

「一夏?」

「……残念だけど、遠慮するよ。あの先輩とはもう、戦いたくないかな」

「ふーん……えっ。マジで? ホワイ?」

「あたしも素人じゃないし、一度拳を交わせば相手の実力くらいわかるよ。……本条先輩は、まったく本気を出していなかった。終始あたしを怪我させずに無力化させることだけを狙っていた。それだけ力の差がある相手に噛みついても仕方ないでしょ」

「いやいやいや、ネタで言ってるん? 何回負けても拓也に挑み続けてた君が、そんな理由でリベンジを諦めるわけないやろ」

 

 ごもっともな指摘だ。これまで何十何百と懲りずに拓也に挑んでは負け続けたあたしが、自分より強いからという理由で目障りな存在である本条先輩を、普通なら潰しにいかない筈が無い。

 

「あはは、まあ秀司ならひっかかるよね。……秀司の言う通り、力の差にビビったってのは嘘。本条先輩の怖いところはもっと別のところにある」

「別の、ところやて……?」

「そーそー。別の根拠があるわけでもなく、ぶっちゃけ私の勘なんだけどさ……本条先輩と敵対したら凄くマズい気がするんだよね」

「? いや知っとるわ。あんなチートキャラと戦うなんて、俺からしたらマズいなんてもんやないよ」

「そういうことじゃなくってさ……あっ。敵対したら、も適切じゃなかったかも。より正確に言うなら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 敵意を抱かれたら“終わる”……そんな気がするんだ」

 

 

 




お久し振りです読者の皆様、待たせてしまって申し訳ない……。

オリキャラ、松任谷秀司君は通称『怠惰』のホワイトルーム生。ダメだと思ったりしんどくなったりするとすぐ諦める典型的現代っ子です。ホワイトルーム生なのに運動能力は須藤君並、学力は幸村君並程度しかありません。

一方天沢さんはこれまで誰も気づかなかった、桐葉君の最も恐ろしい部分に気づきかけているようですね。


【テスト総合トップ5】

①坂柳有栖、本条桐花……887点
②本条桐葉、松任谷秀司……881点
③一之瀬帆波、石上京……848点
④椎名ひより、栗原春日……815点
⑤二宮唯、小西徹子……809点
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