Q.3 もしも浮気されたらどうしますか?
有栖「殺します」
桐葉「直球だね」
有栖「狂犬病にして殺します」
桐葉「絶対に生きて返すつもりがないよ。こっわ」
有栖「まあ意味の無い仮定ですけどね。桐葉が浮気なんてする訳がありませんから。……ですよね?信じてますよ桐葉」
桐葉「そりゃあ浮気なんてする気無いけど、圧が凄いし重たいな」
有栖「でも、そんな私も好きなんでしょう?」
桐葉「まあね。ちなみに俺は……まあ、有栖がどうしてもしたいんだったら、すればいいんじゃない?」
有栖「……(ゲシゲシゲシ)」
桐葉「痛い痛い痛い。執拗に腿蹴らないで」
有栖「もっと妬きなさい」
【side:桐葉】
7月10日土曜日。様々な陰謀策謀渦巻く小グループ作り期間も、早くも締め切り1週間を切ってしまった。
我等が2-Aのグループ作りも1名を残して既に組み終わっている。本命は俺の単独グループと有栖、ファルコン、マスミンの幹部グループだけで、あとはバランスを重視し下位5グループに落ちないことのみに焦点を当てた、毒にも薬にもならない実にパッとしない組み合わせ。実を言うと俺も有栖を鍛え上げることに夢中になってて放ったらかしだったからあまり文句言えないけどさ、あいつら俺と有栖がいなきゃ確実にリュンケル辺りにカモられると痛感したよ。
さて、今日も今日とて早朝から有栖とトレーニング……と言いたいところだけど、無人島試験直前にオーバーワークで故障しましたは正直洒落にならないから、鍛錬は昨日で切り上げ残りの1週間はコンディション調整の予定している。
ただ、この2カ月で有栖の運動能力が具体的にどこまで向上したのか気になるので、ちょっとしたスポーツテストを実施することにしたのだけど……
「握力が20.8kg、上体起こし16回、長座体前屈45.5cm、反復横跳び37回、50m走9秒6、立ち幅跳び146cm、ハンドボール投げ10.3m、1000m持久走5分15秒、それで昨日測ったシャトルランが41回、か……凄いね、完全に俺の想定以上の躍進だよ有栖」
「貴方の想定くらい上回れないようでは、私も血反吐を吐くほど頑張った甲斐がありませんしね……」
俺がそう労うと、持久走直後で肩で息をする─言い方を変えれば、その程度しか消耗していない─有栖は可愛げのない返答をする。ごめん嘘、滅茶苦茶可愛い。
いやしかし実際大したもんだ。このスポーツテストの結果は
女子高生としてはトータルで中の下、OAAで数値化するとしたらおよそC-〜C相当。2ヶ月前まで運動とは無縁の人生を送ってきた人間とは思えない劇的な成長……否、これはもはや進化だ。これなら無人島での活動でも目に見えて足を引っ張りはしないだろう。
俺は察しが良いから、病気のせいとはいえ日常生活にも支障をきたすほど自分の運動能力の無さに、この娘が内心相当な歯がゆさというか忸怩たる思いを抱えていたことは知っている。
だから俺がどれだけ過酷なトレーニングを課そうとも、ガッツで乗り越えられると信じていたけど……
「まさかここまで伸びるとは。やはり劇的な成長を望むなら、人間は悔しさをバネにしなきゃならないんだねぇ」
「……私にも貴方にもこうして目に見える変化が起きた以上、それは否定できませんね」
「でしょ?」
人類最優を自認していた俺の眼は、先日の有栖への手痛い敗北が原因なのか、
「……おっと、そろそろ時間だからもう行くね。有栖も人並みに丈夫になったからってお転婆もほどほどにしなさいよ?」
「へえ……桐葉貴方、随分と上からものを言うんですね。私に負けたくせに」
「あ、やべ」
失言を取り消す間も無く、有栖は袖と襟を掴んで小内刈で俺を押し倒した。有栖に柔道技をかけられる日が来るとは……感慨深いね。
「ごめんごめん今のナシ」
「今更遅いですよ。今一度ご自分の立場をわからせてあげますので、今晩は覚悟しておいてくださいね♪」
「あー……お手柔らかにね?」
「却下です♪」
あちゃあ、しくじった。有栖のドSスイッチをむざむざ押しちゃったよ。ここ2ヶ月トレーニング優先でご無沙汰だったから、俺を貪り喰うチャンスを虎視眈々と狙ってると予想して然るべきだった。
俺に処刑宣告を下した有栖は、上機嫌そうにスキップしながら寮へと戻っていく。こうなったらもうどうしようもない。少なくとも今夜、下手したら明日と明後日も、この腐れベッドヤクザに散々辱められて搾り取られるんだよ。恥ずかしいししんどいしドキドキするしで、愛がなければやってらんないよまったくもう。
……ふと思ったんだけどさ、夜に男子が女子の寮に滞在するのは禁止されてるのに、その逆はOKどころか一晩明かしてもお特に咎めなしなガバガバルールって、坂柳パピーが娘可愛さでこっそりねじ込んだんじゃないだろうね? あの人って基本公明正大だけど親バカなんだよなあ……。
「ん? よう、兄の方の本条じゃねぇか。奇遇だな」
「おや、みやびん会長に桐山先輩。本日もご機嫌麗しく……は無さそうですねこりゃ」
リュンケルに呼び出され俺の居城こと植物園『ルビカンテ』に向かう途中、まあまあご機嫌なみやびん会長とかなり不機嫌そうな桐山先輩というチグハグなコンビに出くわした。まあ出くわしたというか、遠目から意外な組み合わせが歩いていたのでこっちから近寄ったんだけどね。
しかしやはり随分と妙な組み合わせだ。桐山先輩は伝統を重んじるコランダム先輩のシンパで、伝統とかクソ喰らえなスタンスのみやびん先輩とは相性が良くない……どころかチャンスがあれば会長職から引きずり降ろしたいくらい疎ましく思ってた筈。生徒会の仕事でならともかく、こうしてプライベートまで一緒にいるなんて違和感バリバリだ。……こうして会ったのも何かの縁、ちょっと探り入れてみっか。
「相変わらず俺のことがあまり好きじゃないみたいですねー桐山先輩。しかしそこまで露骨に態度に出るとは、何かあったんですか?」
「……お前には関係無い。余計な詮索をするな」
おやおや可愛い後輩に向かった随分と冷たい対応。なんて尊敬し甲斐の無い先輩だろうねまったく。
……丁度良いや、この人達に進化した俺の眼の実験台になってもらおう。
俺が黙って凝視していると、桐山先輩は不快そうに顔を歪めた。
「……何だその目は? 何か文句があるなら─」
「
「……なっ!?」
おお、いいリアクション。前々から思ってたけど、この先輩単体だとクソつまらねーけど弄りがいはありそうだ。さて、次は─
──何故そのことをこいつが知っている? どこかで覗いていたのか? それとも鬼龍院の奴が告げ口を?──
「いやいや先輩達とは今会ったばかりだし、楓花先輩もそんなつまらねーことする人じゃないっしょ?」
「っ!?」
咄嗟に口元を当て、わっかりやすいくらいに気が動転する桐山先輩。そんな彼を呆れたように一瞥するみやびん会長。
どれ、みやびん先輩もまとめて─
──気味が悪い奴だ。俺は何も喋ってない筈だ。なぜ俺の考えてることを見透かせる?──
──馬鹿が動揺しやがって。このくらいホットリーディングの応用でどうとでもなる。だいたい鬼龍院とこいつは、変人なところは似ているが根本的に違うだろうが──
……人間の思考、感情は脳の電気信号と密接に結びついている。現代の脳科学では、思考や感情は脳内の神経細胞がやり取りする
何がきっかけなのかはわからないけど、以前よりもさらに上の領域へと踏み込んだ俺の眼力は、顔面の筋肉から脳内を流れる微弱な電流さえも見抜けるようになった。
今の俺には相手の思考を読み解くことも可能であるし、さらに─
俺の眼は、
「誰が気味悪いやつですが失礼な」
「っ、何故だ! 何故お前は見透かしてくる……!?」
「何故でしょうね? ……しかしなるほど、楓花先輩はこれまでクラスにまともに協力してくれないんですか。おまけに鬱陶しい口出しはしてくる、と。なるほどそれは嫌っても無理無いっすね」
「っ!?!!?!?」
「みやびん先輩は、実力を認めてたのに勝負から逃げるので興味を無くしたと。あ、ホットリーディングかどうかはご想像にお任せしますがね」
「……お前、いったいどういうトリックだ?」
桐山先輩は完全に冷静さを失い狼狽えに狼狽え、みやびん先輩も流石に得体が知れないと感じたらしくやや顔をひきつらせる。まあそうビビらなくても、今はまだこの程度が精一杯ですよ。色んな意味で。
「まあ戯れはこのくらいにして、この後用事があるのでもう行きます。特別試験じゃお互い悔いの残らないようトップを奪い合いましょうね」
「トップを奪い合う……か。果たしてお前がその土俵に上がれるのか疑問だがな」
「ほほう?」
「桐花に聞いた話じゃ何でもお前、グループを作らず単独で試験に臨むんだってな」
「今回の試験で問われるのは勝つためな必要な人材を見抜く目と、それを引き入れる手腕だ。グループ作りを放棄した時点でお前は警戒に値しない。トップを狙うなど大言壮語も大概にしろ」
おおう、流石は桐山先輩。クラス同士での競争で遅れを取ったけど個人の能力ではみやびん先輩に負けてないと真面目に信じてるだけのことはあるズレっぷりだ。
「いやいや逆っしょ。真剣にトップを狙うからこその単独行動ですよ」
「……何?」
「みやびん先輩は3年をほぼ掌握してますよね? アンタのグループより上に行こうとすると、3年生全体が立ち塞がると考えられます。1人だろうと7人だろうとどちらにせよ多勢に無勢……だったら足手まといを抱えないのが最善の選択でしょうが」
おっと桐山先輩が苦虫を噛み潰したような表情になった。多分内心でまた俺のことを楓花先輩と重ねてるんだろうね。
「はっ、1年間苦楽をともにした仲間を足手まといときたか。随分と薄情な奴だ。だがまあ、そこまで大口を叩くなら少しは期待できそうだ。楽しみにし─」
「楽しみにしている? みやびん先輩、何か勘違いしてませんか? そちらが挑戦者ですよ?」
去年の体育祭で俺はみやびん先輩に一度勝利している。だったら当然みやびん先輩が挑む側だろうさ。
「……はっ。本当にクソ生意気な後輩だな」
「まあ無人島生活が楽しみ過ぎて多少ハイになってるんで、多少は大目に見てくださいな。それじゃ……っと」
流石にそろそろ時間の余裕が無くなってきたので、会話を切り上げその場を後にしようとしたが、急激な目眩に思わずよろけてしまう。
「……? 何かフラフラしてるけど大丈夫かよ?」
「ああ、ちょっとした迷走神経反射っすよ」
「なぜ正式名で言った。貧血でいいだろ貧血で」
悟られないようすまし顔を取り繕って、逃げるようにみやびん先輩達の元から去る。そして2人の視覚外に出たことを確認し他上で、限界が来てその場にしゃがみ込む。
あぁ、きっつ……頭が割れるように熱い……
視覚情報から他人の心を読み取る。口で言うのは簡単だけど、雪崩込んでくる視覚情報の量は常人の何千倍何万倍。当然俺の脳には莫大な負荷がかることになる。
しかしたった1分でここまで脳が疲弊するとは……念のため表層意識のみを読み取っていたが、もし深層意識まで探ろうとしてたら脳細胞が焼き切れてたかも。あっぶねえ。
【side:葛城康平】
「ここか……」
朝早くから突然届いた龍園からのメール。内容は植物園『ルビカンテ』に来いと言うもの。1年ほど前、本条が稼いだとてつもないプライベートポイントを学校側に返還する見返りに設置されたらしい施設。以前から多少は気にはなっていたが色々と巡り合わせが悪く今まで訪れなかった場所だ。……入り浸ってるらしい本条と鉢合わせたく無かったと問われれば否定はできない。
龍園からの呼び出しなど別に無視しても良かったのだが……坂柳との政争に敗れ、クラス内で孤立している今の俺には皮肉なことに時間的余裕だけは大量にある。
ろくなことにはならないと予想できているのに、半ば自暴自棄で園内に入場すると……
「やーりとほーだかをっ♪ ばんぺいにおいてっ♪ おーはなばたけではなをつむっ♪ へぇい♪
ランラララ ララララ♪ ランラララ ラララー♪ ランラララ ラララララララララー♪」
……ゲンナリした表情の龍園の前で、本条と綾小路がノリノリでアルプス一万尺の手遊びに興じている光景が視界に入ってきた。……なんだこれは? 風邪をひいたときに見る悪夢か何かか?
「お、ランスじゃん。今日も輝いてるね」
「喧嘩を売っていると取っていいんだな?」
「はははまさか」
「目を見て話せ」
「遅ぇんだよクソが。テメェがもたもたしてる間に25番に突入したぞこいつら」
「そんなもの俺の知ったことではないし、時間内に来たのだから責められる謂れはない。だいたい本条に綾小路、男子高校生の時間のつぶし方が本当にそれで良いのか?」
「いやだって清隆君やったことないって以前言ってたし、丁度良い機会だからやってみようかと思って」
「綾小路、嫌なら嫌と言って良いんだぞ?」
「別に嫌ではないし、オレもかなり楽しめたぞ。中々深い遊びだなこれは」
……以前から思っていたが綾小路は、どこか普通の生徒とは違う感性を持った男だ。そして俺の想像を超えた牙を隠し持っている男だ。学年末試験では坂柳にチェスで勝利し、先日の特別試験では1教科とはいえ、あの難問揃いのテストで満点を叩き出した。もし俺がまだクラス間競争に意欲があったのなら、決して無視できない警戒対象だっただろう。……詮無き仮定だな、我ながら見苦しい。
「……それで? どういう了見で俺を呼び出したか答えてもらおう」
「随分と急かすじゃねぇか。まあいい、余計な駆け引きは捨てて本題に入ろうじゃねえか。ちんたらしてるとこの馬鹿が余計な茶々を入れてくるだろうしな」
「失敬な」
面倒そうに本条を一瞥する龍園。大事な話だろうと本条なら茶々入れてくるなど2年の生徒なら周知のことだろうに、何故同席させたんだ?
「Cクラスに来いよ、葛城」
そんな俺のささやかな疑問は、あまりにも大胆不敵な龍園の誘いに吹き飛んでしまった。
「俺が、お前のクラスにだと? 気は確かか?」
「ああポイントか。当然足りない分は出してやる」
「違う、何故俺が下位のクラスに進んで落ちなきゃならんと言っているんだ。何のメリットも無いだろう」
「メリットならあるぜ。……テメェは坂柳を地に這いつくばらせたくはねぇのか?」
「……っ……!」
「テメェを慕ってた戸塚は坂柳の悪意で脱落させられた。当然奴を憎んじゃいるが復讐しようにも同じクラスである以上、クラスメイトにも迷惑をかけちまう。こんな契約を結んで今なお俺にせっせとポイントを献上させちまっているから尚更な」
不敵な笑みを浮かべながら龍園は1枚の紙を取り出し、ヒラヒラとはためかせる。去年の無人島試験で俺と龍園が結んだ契約書。Cクラスは試験中全面的に協力する代わりに、Aクラスの生徒は毎月2万プライベートポイントを支払うという内容。クラスポイントを重視する俺達とプライベートポイントを重視する龍園達、双方に利のある取引だったものの、龍園の罠とDクラスの健闘によりAクラスの成績は芳しくなかった。
「つまりこの契約が破棄され、尚且つお前が坂柳と別クラスになれば遠慮なく復讐ができるって訳だ。葛城お前、今いくら溜め込んでんだ?」
「……230万ポイントほどだ」
「十分だ。つい先日坂柳と交渉して、こいつを500万で手放すことにしたのさ」
500万……一見相当高額だが、卒業までに本来払う分と比較すれば1000万ほど龍園側が損することになる。加えて俺という不穏分子をリスクも無く排除できるとなれば、坂柳が蹴る筈が無い。
そして俺にとっても、取引相手が龍園なことが気に入らないが、願っても無い条件と言わざるを得ない。……やはり俺は、坂柳が許せない。
「迷う必要はねぇだろ。断言してやるがこんなチャンス、二度と巡ってこないぜ?」
「何故、そこまでして俺を引き抜こうとする?」
「あのねランス、あまり自分を卑下するものじゃないよ。もしリュンケルが俺と有栖を退学に追い込めたとしても、君がいたんじゃAクラスは厄介な敵のまま。……そう思われるくらいは、みんな君のことを評価してるのさ」
「余計な口挟むんじゃねぇよロリコン野郎」
「わーお、酷い言われよう。若い内からカリカリしちゃ駄目だよ? はいカルシウム」
おもむろに本条は懐から紙パックの牛乳を取り出し龍園に差し出すが、挑発と受け取ったのか龍園は無言で裏拳を放つものの、本条はそれを完全に見切って躱した。
なるほど……もし龍園が坂柳を退学に追い込めたとしたら、本条は奴を追って自主退学すると公言しているのでアテにはできない。その上俺までいなくなってしまえば、確かにあのクラスで指揮を取れる生徒はいなくなる。
避けられることはわかっていたのか龍園は追撃せず軽く舌打ちするにとどめ、再び俺に向き直る。
「契約書を無効にする対価に既にこいつから500万巻き上げている。それに事前にクラスの連中から徴収したポイントに、お前の手持ちを加えれば目標額に手が届く」
5月から7月の間クラス全員が貯蓄し、さらに足りない分を1人辺り20万ほど回収すれば1300万は稼げない額ではない。だがその代償としてCクラスの資金は完全に枯渇する。……前回の特別試験でマネーゲームを仕掛ける素振りを見せながらみすみす一之瀬達に敗北したのは、最初から勝つつもりなど一切無かったということか。
龍園は2枚目の契約書を取り出す。内容は俺がCクラスに移籍するための取り決め。
「さっさとサインしろよ。クラスの移動ってのはいくら資金が足りていようが本人の同意が無けりゃ成立しねぇ。自発的に、自己の資金で移動すると宣言する必要がある」
この契約書は俺が渡された2000万を持ち逃げしたり、別の用途に使わせないためのもの。金額が金額だ、これにサインし俺が不正を行えば退学を通り越して投獄ものだろう。……この契約書にサインをすれば、もう後戻りはできないな。
俺はしばらく悩む素振りをしてから、その契約書にサインをした。
……本音を言えば悩むまでもない。俺はどうしても坂柳に落とし前をつけさせたい。再び悪魔と契約をしてでもだ。
「俺を引き入れるのは構わんが、お前のやり方が間違っていると判断したとき、俺は遠慮せず異を唱えるぞ」
「好きにしな。テメェの堅苦しい意見もたまには役に立つだろ」
契約書を受け取り満足そうに笑う龍園から視線を移し、たった今から味方でなくなった本条と向き合う。
「これからは敵同士だね。果たして君は俺と有栖を打ち倒し、戸塚の仇を討つことができるかな?」
「何か勘違いしているようだが、坂柳はともかくお前に対しては特に恨んじゃいない」
「ありゃ、そうなの?」
「坂柳の腹心なため距離を置かざるを得なかったが、伊達に1年以上同じクラスで過ごしちゃいない。お前ほど悪意とは無縁の人間もそういないだろう。……もっとも、こうして敵対してしまった以上手心を加えるつもりも無いがな」
「それを聞いて安心したよ……。あ、そうそう。有栖から伝言を頼まれているんだ。
……『今度はガッカリさせないでくださいね?』だってさ」
「……あくまでも、遊び感覚か」
いいだろう坂柳、必ず目にものをみせてやる。
※この後原作通り、綾小路君は『試練』カードを龍園君にトレードしました。
桐葉君の眼力が進化しました。元ネタをご存知の方もいらっしゃるでしょうが、ネウロのイレブンです。着実に人外への道を進んじゃっていますね。
ただし桐葉君は改造人間でも新しい血族でも無いため、使用する際に物凄い負担が脳にかかります。だいたい一分で一睡もせず丸一日ゲームをやり込んだくらい疲れます。そして本人の推測通り今の所読み取れるのは表層意識までで、深層意識まで読み取ると下手したら廃人になります。