HUNTER × GHOUL   作:喰種好き

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第1次試験の話です。

ゴン「オレ・カネキさん」キルア「オレ・カネキさん」
レオリオ「俺・カネキ」クラピカ「私・カネキさん」
オレ呼びが多いので、漢字にして区別を付けていますが
もし混ざっていたら教えてください。
そしてやはり縦長ですね。


4.ウソ×ト×ウソ

「改めて確認いたしますが、ハンター試験は大変厳しいものもあり運が悪かったり、実力が乏しかったりすると怪我をしたり死んだりします。先程のように、受験生同士の争いで再起不能になる場合も多々、ございます。それでも構わない。___という方のみついて来てください。」

と高い所にいた男性は先頭の先へ降り、足音からどうやら歩き出したらしい。

少し間を置いてたくさんの足音一一先頭の受験者達も歩き出したようだ。僕達も歩き始めると男性の声が地下道をこだまして響く。

「承知しました!!第1次試験405名全員参加ですね!!」

その言葉を聞きレオリオさんが「当たり前の話だが誰一人帰らねーな…ちょっとだけ期待したんだがな。」と呟く。

その呟きとは別に僕の耳にバラバラになった足音を拾い、そして先頭の方がザワザワとしだす。先頭の方からだんだんと歩く…いや走り初めていた。

レオリオさんが辺りの変化に困惑していると、クラピカさんが

「やはり進むペースが段々早くなっている!」と声を上げた。それからあの声が大声で響く。

「申し遅れましたが、(ワタクシ) "第1次試験担当官"のサトツと申します。これより2次試験会場へ案内いたします。しっかりついて来てくださいねぇ!」

僕含め皆(2次試験会場?)と思っていると

「2次試験会場まで私について来ること。これが1次試験でございます。場所や到着時間はお答え出来ません。ただ私について来ていただきます。」

とサトツさんが疑問を答えるように言った。

(なるほどペース配分を考えろ、ということか。このままの速度、罠が無いと言いきれない。とりあえず中間を維持して様子見しよう。)と思っていると横を横切る影があった。思考を止めて横切った影を見ると白髪の少年がスケボーで滑っていた。

レオリオさんがその姿にずりぃぞ!と怒っている中、僕は別の所を見ていた。(この子から血の匂いがする…?……何かある。警戒しよう。)

その少年はゴンくんに目をつけ

「ねぇ君年いくつ?」

「もうすぐ12!」

「ふーん………やっぱやーめた。オレも走ろっと」

とゴンくんの隣に立ち並走する。

「オレキルア」

「オレはゴン!」

「オッサンの名前は?てゆーかキミも白髪じゃん!一緒だな!」とニっと笑う。

「あはは…なりたくてなった訳じゃないけどね……。あ、僕の名前はカネキです。(この子、足音も全然しないな…やっぱり何かある。)」

「カネキさんか、よろしく!で、オッサンは?」

「オッサンじゃねー!これでもお前らと同じ、10代なんだぞ俺はよ!!」とレオリオさんが叫び、

「えっ!!?」「ウソォ!!?」と僕とゴンくんが同時に驚きの声を上げた。

「ゴンにカネキまで!俺を何だと思ってたんだ!?」

(僕と同じ成人男性と思ってました…。)

あはは…と乾いた笑いでレオリオさんを誤魔化した。

 

 

***

(かなり走ったな……。あとどのくらいだろう。)

ゴンくんキルアくんは競走すると言い出し先に、僕とクラピカさんが同じペースで、少し後ろにレオリオさんが続いていた。ふと後ろを見ると、そのレオリオさんが見当たらなくなっていた。

「あれ、レオリオさんは?」と口にすると

「ああ、どうやら少し前にバテ始めたようだな。」とクラピカさんが教えてくれた。

(………。)

僕はペースを落とし後ろを向き、レオリオさんの所へ向かう。

「お、おい!」と困惑したクラピカさんの声が背中から聞こえた。

後ろに戻るとアタッシュケースを引きずるように汗を滝のように流したレオリオさんがいた。

僕はレオリオさんの元に行き「レオリオさん…大丈夫ですか?肩を貸しますよ。」と声をかける。

「ヒィ…ヒィ…お、おめ…にゼェそこまで、ゼェしてもらう…わけ…にゃぁ…ゼェ」と疲労困憊でもハンター試験の受験者という立場で断るように答える。

「…言い方を変えます。僕が、したくて聞きます。もし失格の件でしたら大丈夫ですよ。サトツさんはあくまでついて来いとしか言ってないので助けるな、とは言われてませんから。それに……ゴンくんが言ってたんです。………僕達は"友達"だって」

そう。キリコさんが会場まで運んでくれている間にゴンくんと話をした。手を合わせて色々突破してオレ達はもう友達だね!これからも手と手を取り合って皆合格しようね!と。あの世界で出来なかった…しようとした一人ではなく"みんな"で…。

レオリオさんはしばらく沈黙した後、「……たのむ。」

その言葉を聞いた僕はニッコリと微笑み

「わかりました。でもこのままのペースだと危ないと思うので、すみません。クラピカさんの所まで飛ばしますね」

と断りをいれレオリオさんを担ぎ僕は走り出した。うぉお!とレオリオさんが声を上げている中、あっという間にクラピカさんに追いつき

「改めて肩を貸しますね。」とレオリオさんを下ろす。

「え、なっ!びっくりした…。突然向かって心配したぞ」とクラピカさんが驚いていた。

途中から階段になり、レオリオさんがより苦痛な顔をし僕は励ましていた。先の見えない階段を黙々と登っていると突然クラピカさんが口を開いた。

「カネキさん…貴方は船にいた時、船長にカネキさんが欲しい情報はハンターにならないと知り得ない。と言っていたが…カネキさんの欲しい情報とは何か詳しく教えて貰えないだろうか?」

とクラピカさんは真剣な面持ちでこちらを見てくる。

「その…言っていた知りたい情報は…言えないのですが、実は僕記憶がほとんどなくて…記憶探しみたいな…」

と顎を触り答える。聞いていたレオリオさんが「記憶喪失みたいな感じか…

大変だったな。」と悲痛な顔をし、それから

「クラピカ、おめーはどうなんだ?凶悪な盗賊団に皆殺しされたのは聞いたが、何かなきゃそうはならんだろ?」

と話を振る。クラピカさんは目を閉じ少し考えた後、

「…緋の目。クルタ族だけが緋の目と呼ばれる特質を持っている。それは感情が激しく昂ると瞳が燃えるような深い緋色になる。そしてその緋色は亡くなっても消えることじゃない。」

と答え僕は思った事をそのまま「それで幻影旅団に襲われたんですね…」と呟く。クラピカさんは頷き

「…ああ、打ち捨てられた同胞の亡骸には1つ残らず目が奪われていた。今でも彼らの"暗い瞳"が語りかけてくる。"無念だ"と。だからこそ私は幻影旅団を必ず捕まえ、仲間達の目も全て取り戻す!」

それを聞いていたレオリオさんが

「緋の目、世界7大美色の1つと聞いた事があるぜ。だから持ってるのは特別な権力者、富豪らだ。一般じゃ手も足も出ないぜ。」と言うと

「だからハンターになるのだ。金持ちの契約ハンターになれば情報が聞き出せる。」

それを聞いた僕は(それじゃあ…エレベーターで聞いていた、クラピカさんが嫌うハンターと同じでは…)クラピカさんは僕の思考が顔に出していたのか、そう考えるだろうと思ったのか、

「私の誇りなど仲間の苦しみに比べれば意味の無いものだ。」と言い切った。少し重い空気が立ち込めたがそれを切るように遂に上から明かりが見えクラピカさんが顔を上げ「出口だ!」と叫ぶ。

レオリオさんが「カネキ!ありがとなもう大丈夫だ!」

と肩に回した腕を解き、うぉおおお!!と雄叫びを上げ登っていった。

その豹変に僕とクラピカさんは見合って笑う。

僕とクラピカさんも登りきると目の前には濃い霧が立ち込める湿原が広がっていた。

 

 

クラピカは肩で呼吸しつつカネキを見る。カネキさんは先程の勢いで燃え尽きたように大の字になっているレオリオに

「お疲れ様でした。いい走りでしたよ。大丈夫ですか?」と声をかけていた。

(やはりカネキさんは汗一つかいていないな…。)

 

 

 

ガシャン…と地下道と繋いでいた出口にシャッターが現れ遮断されると、ずっと無言だったサトツさんが口を開き

「【ヌメーレ湿原:通称"詐欺師の(ねぐら)"】

2次試験会場へはここを通って行かねばなりません。この湿原にしかいない珍奇な動物達。その多くが人間をもあざむいて食糧にしようとする狡猾で貪欲な生き物です。だまされると死にますよ。ですのでだまされる事ないよう注意深くしっかりと私の後をついて来てください。」

と話し終えた所で後ろから…

「だまされるな!そいつはウソをついている!」

と先程閉められた出口の外壁から血だらけの男性が顔を現した。

「そいつはニセ者だ!試験官じゃない!俺が本物の試験官だ!!」

とサトツさんを指さし叫ぶ。突然の男性の告白にざわめく受験者達。

と血だらけの試験官?が1歩前に出て、後ろに隠された何かを前に差し出し

「見ろ!こいつはこの湿原に生息する人面猿!人面猿は新鮮な人肉を好む。しかし手足が細長く力は弱い。だから人に扮し言葉巧みに湿原に誘い込み他の生き物と連携して生け捕りにする!そいつはハンター試験に集まった受験生を連れ込み生け捕りにするつもりだ!!」

と次の瞬間、血だらけの試験官?へ何かが飛翔し、試験官?が声を出す間もなく倒れる。そして笑い

「なるほどなるほど♠」と納得するヒソカと

トランプが顔に刺さり倒れた試験官?とトランプを手で受け取ったサトツさんがその場に残された。皆、今起きた出来事を理解しようと静寂に包まれた中、「これで決定♦そっちが本物だね♥」

とヒソカはサトツさんを見る。

周りの受験生達も後追いサトツさんを見ると、

「試験官というのは審査委員会から依頼されたハンターが無償でつくもの♠我々が目指すハンターの端くれともあろう者があの程度の攻撃を防げないわけないからね♣」とヒソカは言い

「…褒め言葉と受け取りましょう。しかし次からは如何なる理由があれど私への攻撃は試験官への反逆行為と見なし即失格とします。宜しいですね?」

とサトツさんは忠告した。「はいはい♦」とそのやりとりを呆然と見ていた皆にパンパンとサトツさんは手を叩き、先程倒れた男性に群がるハゲワシのような鳥を指さしながら

「あれが敗者の姿です。私をニセ者扱いして受験者を混乱させ何人か連れ去ろうとしたのでしょう。こうした命懸けの騙し合いが日夜この湿原で行なわれているのです。…何人かすでに私をニセ者と疑った人もいるのでは?改めて参りましょうか、2次試験会場へ。」

とサトツさんは霧が濃い森の中へ歩き始める。

僕含めた皆がついて行く中(試験官は無償で依頼を受けたハンター。だが、トンパさんから聞いた言葉。『ヒソカは去年試験官を"半殺し"にした』先程も躊躇なく人を傷つけた。僕を親身にしてくれるゴンくんクラピカさんレオリオさん…何かあったら守ろう。なにも出来ないのは、嫌だから)と静かに決意をした。

 

 

【受験生:312名。ヌメーレ湿原へ突入。】

 

 

***

「チッまたマラソンの始まりか!」

「くっぬかるみがひでーな。」

霧が辺りを包む中、僕ゴンくんキルアくんが前で、少し後ろでクラピカさん、レオリオさんが走る。

ずっと黙っていたキルアくんが目つきを鋭くし

「もっと前に行こう。」と話す。ゴンくんが

「うん、試験官を見失うといけないもんね」

と言うとキルアくんは首を軽く振り、

「それよりもヒソカから離れた方がいい。あいつ殺したくてウズウズしてるから。きっと霧に乗じて何人か殺るつもりだぜ。」

「…キルアくんなんでそんなことが分かるの?」

と聞くと「オレも同類だから、臭いで分かる。」

その言葉にゴンくんが鼻を鳴らし「同類?…あいつと?そんな風には見えないけど…」と首を傾げる。

その言葉にキルアくんはニッコリ笑い

「オレは猫被ってるからねー」と言う。

「ふーん。それならクラピカとレオリオが心配だな…」

とゴンくんがこぼす。僕は少し考えた後、

「ゴンくん、僕がクラピカさんとレオリオさんと一緒にいるよ。だからキルアくんと先に2次試験会場へ向かってくれる?…そうだな、念の為にこれ預かってくれる?」

と湿原へ行く前になりふり構わっていられねぇ!と上半身脱いだレオリオさんの預かっていたスーツの上着とアタッシュケースをゴンくんに渡す。念の為…?と首を傾げ呟いたゴンくんは、あ!と声を出し

「香水の匂い!」その言葉に頷くと「うん、任せて…気をつけてね。」

とゴンくんは親指を立てる。僕もそれに応えた後速度を落とし二人の元へ向かった。

僕が二人と合流し、より一段と濃くなった霧の向こうから悲鳴が轟く。次第に四方八方から悲鳴が聞こえ

「どうやら前方集団と切断されたようだな。」

とクラピカさんが呟いた刹那殺気が飛び、クラピカさんは木刀を構え

僕は「レオリオさん!!」と飛来する物質からレオリオさんを庇う。

辺りにはトランプが刺さり呻き声をあげる受験生と悠然と歩くヒソカが「くくく♦試験官ごっこ♥」と現れた。

 

 

!!「ごめんキルア!先に行ってて!」

「ちょ…ゴン!!」

ゴンはキルアに持ってた持ち物を預け走り出した。

 

 

***

僕は肩に刺さったトランプを抜き彼が何をするかすぐに感じ取り、1歩前にでて

「クラピカさん、レオリオさんと逃げて下さい。」

と振り向かずに言った。レオリオは「な、カネキ何するつもりだ。」と手を伸ばす。そんなやりとりの中でもヒソカは周りにいる受験生を何の躊躇いもせず屠る。目だけ二人を見て

「早く!!」と叫ぶと

「あ、ああ!レオリオ!行くぞ。」とクラピカさんはレオリオさんを引っ張り走る。二人が居なくなった事にホッとしつつヒソカを注意深く見る。

「君ら全員不合格だね♦あとは…キミだけか♥」

と僕を見る。ヒソカはトランプを投げ、僕はそれを叩き落とす。

「フゥン…キミは少し殺りがいがありそうだね♣」

とヒソカが間合いを詰め拳が飛ぶ。僕は避けたり受け流しながら

(やっぱり強いな…!さっきもトランプなのに僕の体に刺さった!"半喰種になり多少頑丈になった僕の体"が、だ。つまり生身の攻撃なら僕の体が貫かれる可能性がある…!それに彼は殺り慣れている。受けたら致命傷になりうる。もしダメージを受けたら空腹だから回復に時間もかかるし、彼は…)とすぐ耳元で「考え事かい?♦」

と声がかかり、しまっ…!僕は反射的に顔をガードするが、

「残念♥こっちだよ♣」

と鳩尾に衝撃が走り「カハッ」数メートル僕の体が飛ぶ。

「……カヒュー…カヒュー」

 

 

***

ゴンは霧の中、匂いを元に走ると前方にぼやけた二人の影が現れる。

「クラピカ!レオリオ!!」叫ぶと「その声は…ゴンか!?」と影からクラピカの声がかかりぼやけていた影も近づき実体を現す。

「良かった!無事で……あれ、カネキさんは?」

と辺りを見渡すとクラピカとレオリオは苦虫を噛み潰したような顔になり

「カネキは…ヒソカと…」とレオリオがいい切る前にゴンはクラピカ達が

逃げてきた方向へ走り出した。

「お、おい!待てゴン!!」

クラピカのその言葉は虚しく霧の中に消えた。

「……おい、どうするよ。俺なら後を追うがな。」

とレオリオはクラピカに言う。

「……くっ、行っても無駄死にするだけだぞ。」

「ああ。」

「…行こう。二人の元へ」二人は来た道を戻りだした。

 

 

「ハァ…ハァ…」肩で息を切らしながらゴンが着いたそこにはカネキさんがヒソカに攻撃を受けふきとぶ姿だった。ゴンはすぐさま持っていた釣竿を投げる。

 

 

***

僕は鳩尾に攻撃を受け息苦しい中、すぐに顔を上げ彼を見るとそこには逆に彼が赤い玉の様なものに攻撃を受けている姿だった。赤い玉の先にキラリと何かが光りその何かを追うと釣竿を手に持ったゴンくんだった。

「カネキさん!」とゴンくんは叫ぶ。

僕は(なんで来たんだ!ゴンくんじゃ歯が立たない!)来るな!逃げろ!と口を動かすが口からは変な音を立てた呼吸音しか、声が出ない。

ヒソカはぐるりと首をゴンくんに向け

「やるねボウヤ♣持ってるのは釣竿?面白い武器だね♥ちょっと見せてよ♦」

とザクザクとゴンくんの元へ歩き出す。

 

 

ゴンは釣竿を構えヒソカに振り落とすがヒソカの姿は霧のように霧散し後ろからゾクリ、と背中が粟立つ。そして首に違和感。

息苦しさから首を絞められたと気づく。ヒソカは自分の首を楽しむようにじわじわと力を込め、

「仲間を助けに来たのかい?いいコだね〜〜〜♣」

と耳元で囁く。「ぐっ…」ヒソカの腕を持ち離そうとするがビクともしない。だがニヤニヤ笑みを浮かべ見ていたヒソカはスっと後ろを向き

「おや?キミ、案外タフなんだね♦しばらく寝てるぐらい強めに殴ったつもりなんだけど♠」と隙を見せた。

 

 

 

***

「おや?キミ、案外タフなんだね♦しばらく寝てるぐらい強めに殴ったつもりなんだけど♠」

あっという間にゴンくんの首を絞めゆっくり痛ぶるようにしていたヒソカを注視しつつ、ゴホゴホと咳き込みよろよろと立ち上がる。

(鯱に比べたら…軽い。でもゴンくんを手に持っている以上、人質のようなものだ…"アレ"を使うしかないのか…!)と額から汗が落ちる。僕が眼帯の奥で赫眼にした時、

 

 

(今だ!)ゴンはヒソカがカネキさんに意識を移した瞬間に腕に向かって蹴りあげる。ヒソカはすぐに反応し、「おっと…♥」余裕のつもりか手をオレの首から離す。

オレは離さまいと両手で掴んでいた腕をこっちに向かって引っ張った。ヒソカの目が見開き、オレは額と額をぶつけ頭突きした。

 

 

僕が赫子を出す前にゴンくんが行動に移し頭突きをして、ヒソカが少しよろめく。僕は素早く二人の元へ走り、そして体勢を低くして手で足払いをかける。ヒソカは「危ない危ない♦」と"僕の狙い通り後ろに跳躍"をした。そのまま僕はスピードを緩めずゴンくんを抱きかかえて、自分のできる猛スピードで後ろを振り向き確認する事もせずに走った。

 

 

***

二人が霧の中に消えその場に残ったヒソカは

「う〜ん中々楽しかった♠まだまだ青い果実だけど久しぶりゾクゾクした…♦興奮したよ♥」

とニンマリと妖面な笑みを浮かべ、ペロリと唇を湿らせた。

そこに「ヒソカそろそろ戻ってこいよ。どうやらもうすぐ2次試験会場につくみたいだ。」とポケットに入っていた無線機から声が届く。

「ok.すぐ行く♦」とヒソカは歩き出した。

 

 

***

なりふり構わず走り、どうやら追っては来ないことに安堵しつつ森の外にでると「グオオオ!」と雄叫びを上げ逃げる巨大な亀のような生き物と

「!クラピカさんにレオリオさん!?」

「クラピカ!レオリオ!」

と見知った顔に僕とゴンくんは声を上げた。二人もこちらを向き、

「ゴン!それにカネキさん!?良かった!」

「おまえら無事か!!?」と大声で向かってくる。

ゴンはうんと頷き、僕はゴンくんを下ろしつつこっそり赫眼も消し

「ハァ…ハァ…二人とも、無事で…良かったです。でもヒソカが来るかもしれませんので急ぎましょう。」と額の汗を拭い息を整える。

クラピカさんは僕の様子に驚きつつ「あ、ああ…だが本隊の場所はもう分からないぞ。」と話す。

そういえば、と僕がゴンくんを見るとゴンくんはニッコリと浮かべ

「レオリオの上着をキルアに預けたんだ!スンスン…こっちからだ!」と指さす。

僕も鼻を鳴らすと微かにレオリオさんの香水の匂いがした。「行きましょう。」その言葉に3人は頷き、匂いの元へ走り出した。少しずつ霧が晴れる中

ゴンくんは突然、

「凄く今更なんだけどさ、カネキさんって目を怪我してるの?」と聞いてきた。

本当に今更だなと思いつつ、思い浮かんだ言葉を口にする。

「えっと、今は怪我をしてないんだけど…昔、やけどして目の辺りにやけどの痕が残っちゃって…隠してるんだ。」

(…昔、やけどの傷を負った?おかしい。地下道の時、

記憶が無いと言っている。事実なら負ったらしい、が妥当だろう。やはり、彼には何か…)とクラピカさんが疑心の目を向けていたことに僕は気づかなかった。

 

 

***

走り続けて数十分。霧は既に晴れていて砂利道の軽い塗装がされた上り坂を登りきると遂に人集りが見え、「お疲れ様です。」とサトツさんが声をかけてきた。4人は喜び口に出す前に目の前の奥の木に腰掛けるヒソカを見つけた。ヒソカもこちらに気付き一瞥するがそれ以外とくに何もしない。

4人は大きく息を吐き、改めて喜びを分ちあった。

そこにキルアくんが来て、

「絶対戻って来ないと思ってたぜ。…オッサン、ん」

とレオリオさんに上着を渡す。ゴンくんはキルア!と二人で向こうに消えた。

その様子を眺めた後、レオリオさんは僕に顔を向け

「カネキ!お前俺を庇って肩に傷を負ったはずだ。こっち来い。手当する。」とアタッシュケースを開く。しまった!傷などすでに癒えている。

断わろうと声を出す瞬間に、別の方向から肩の部分を捲られ、ビクッと体をあげ振り向くとクラピカさんが服を捲っていた。

「私も心配だったんだ。だが…」

レオリオさんも覗き込み「ありゃ、傷がねぇ。」

「あはは…心配かけてすみません。でも横から庇ったので服に刺さっただけで怪我まではしてませんよ。」と咄嗟に答える。

レオリオさんはそうか、そりゃ良かった。とポンと僕の肩を叩く。でももし怪我したら遠慮なく言ってくれよな!とその言葉にはい。と答えているとカネキさん〜とゴンくんに呼ばれ僕はそっちに向かった。

 

 

(有り得ない。私は確かにカネキさんの肩にトランプが刺さっているのをこの目で見たし、彼がトランプを抜いた時、トランプに微かな血の付着がついているのを見えた。カネキさん…キミは何者なのだ。)とクラピカはゴンの元へ向かったカネキを観察する。

一瞬、ゾクリとしカネキは何かに"獲物を狙う目"を向けた。ほんの一瞬であった為された者は気の所為か、と思うがずっと観察していたクラピカからは得体の知れない恐怖が全身にまとわりつくのを感じた。

「…カ!…ピカ!おい!」

「!!なんだ、レオリオか」

「んだよ、おっかねー顔しやがって…それよりほら、2次試験だってよ。」

「そうか…ありがとう」と二人も人集りの元へ向かった。

 

 

***

「皆様お疲れ様でした。ここビスカ森林公園が2次試験会場となります。私の案内はここまで。皆様のご健闘をお祈りします。」

とサトツさんは来た道を戻っていった。

(今年は豊作。しかし2次試験官がメンチとブハラとは…念の為様子を見ましょうか。)とサトツは受験者達の姿が見えない位置に来ると木陰に隠れた。




(次話:2023/03/24 12:20)
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